今月もノルマの達成が無理そうな部下がいる。チームとしての数字が達成できないと、部下の指導がなっていないと自分の評価が下がってしまう。社会人なんだから仕事は自己責任でしょ。なんで上司がそこまで面倒みなきゃいけないの、法律とかで決まっているの?
(システム会社営業部 リーダー職 35歳 談)
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チームに仕事の遅い人がいて、どうやら煮詰まっている様子のリーダーです。部下をもつと、仕事の指揮監督とともに日常の人材マネジメントが任せられるので、ストレスが溜まるのもわかります。
ただ、上司として自分の法律上の地位や権限、負っている義務について理解していないと、トラブルが生じることもあります。
そこで今回は、なぜ上司が部下を教育・指導しないことが問題になるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
前の総務部長が退職したので、後任として職務にあたることになった。バタバタの引継ぎだったが、「戸棚の書類をみれば大丈夫」だって。
どれどれ・・・ガチャ。(←キャビネットの扉を開ける音)
はいはい、これが就業規則の原本ね。ん?職場代表の意見を聴いてないし、労基署へ出した形跡もないっっ?!これ絶対ダメなやつ!!
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就業規則はその作成、変更の都度、労基署に届け出なければならない旨が労基法に定められています。
では、就業規則を作成したものの労基署への届け出をサボっていた場合はどうでしょうか。有効なものとして扱われるのでしょうか。
そこで今回は、労基署に届出ていない就業規則はそもそも有効なのか、またあわせて職場代表の意見を聴いていない、社員に周知していないときはどうなのか、について詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社ではパート社員向けの就業規則をつくっていないのですが、まさか正社員の就業規則が適用されることはないですよね?」
・・・この「まさか」の予感は的中してしまうかもしれません。
常時10人以上の社員が働く会社には就業規則を作成して労基署長に届け出る義務があります。そんな職場でパート社員がいるのに、パート社員について適用される就業規則が作成されていないとなると、困ったことが起きてしまいます。
ひとつは、法違反の問題。もうひとつは就業規則を下回る労働条件を個別に労働契約で決めたとしても、無効となって就業規則の基準で契約したものとされる問題です。
ライフスタイルに応じた働き方で、さまざまな雇用形態の社員が同じ職場で働くことは珍しくないですし、無用なトラブルは避けたいですよね。
そこで今回は、パート社員の就業規則にまつわる問題について詳しく確認していきたいと思います。
上司が部下を大きな声で怒鳴りつける、暴言を吐く、机をバーンッと強く叩いて机上の書類を部下に投げつける・・・
↑いわゆる「パワハラ」です。皆さんこれには異論ナシですよね。
上司が部下の顧客対応に注意したり叱責する、反省を促すため顛末書の提出を命じる、業務態度不良を繰り返す部下に叱責がきつくなる・・・
↑これについてはどうでしょうか?
上司には部下を指導、教育する義務がありますが、それを受ける部下にしてみれば上司の叱責などを「いじめ」と受け取る場合もあるかもしれません。ここに、パワハラ問題の難しさがあります。
どこまで指導すればいいのか迷われる上司の方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、職場でのパワーハラスメントと上司の指導教育にまつわる問題について詳しく確認していきたいと思います。
職場では、社員同士が職場コミュニティをつくり、人間関係を築いています。あえてケンカしたいとは思わないまでも、やはり人間同士の集まり、人間関係上の軋轢、ハラスメント、もめごと、トラブルetc.・・・が生じます。
会社には職場環境配慮義務があり、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど職場でのいやがらせ防止等などが求められています。
「法律で決まっているから会社がやらないといけないのか」
・・・と思われるかもしれませんが、ハラスメントによる社員の意欲ダウン、優秀な人材流出、訴訟リスク・・・といったことを考えると、経営に与える影響は甚大です。
そこで今回は、会社が気をつけたい「職場のハラスメント」対策について、詳しく確認していきたいと思います。
「始末書の提出が前提でけん責処分にしたのに、一向に始末書を出してくる気配がありません。反省の色が見えないので、さらに減給しようかと考えています。」
ここで問題となるのが、「一事不再理の原則」です。ひとつの違反行為に対して二重の処分をすることは許されません。
「それなら、そもそも“始末書を提出させてけん責処分にする”というのもダメなんですね?」
これは「併科」の問題であって、「一事不再理の原則」とは関係ありません。・・・「一事不再理の原則」のことを「二重処罰の禁止」ということがあるので、ややこしく誤解されがちかもしれません。
そこで今回は、始末書の提出拒否をもって、新たな懲戒処分を下すことがダメなわけについて詳しく確認していきたいと思います。
「懲戒解雇を行った場合、社内の掲示板で対象の社員を公表することを就業規則に定めようと思うのですが、何か問題はありますか?」
懲戒処分の内容を公表することで、今後の社員の指導・教育に努めたいとのことでご相談がありました。
とはいえ、公表することで、懲戒処分の対象社員から逆に名誉棄損で訴えられるリスクがあるのでは?とも心配されています。
結論からお伝えすると、「懲戒解雇が有効」なのであれば社内公表することで特段の問題はありません。逆に言えば、「懲戒解雇が無効」であるような場合は違法となりますから注意が必要です。
そこで今回は、懲戒解雇について社内公表する場合の注意点について詳しく確認していきたいと思います。
「いきなり会社を辞めたいと言われると、会社側としては引継ぎやら後任者の選定、人員の補充など大変なので、“退職願は3か月前までに提出すること”と就業規則で義務付けてもいいですか?」
退職の申出が突然あったと思いきや、そのまま出社しなくなってしまった・・・そうすると、社内の業務だけでなく取引先との関係もあるので、残された周りの社員はそれらのフォローのためにてんやわんやになってしまいます。
そんな事態を防ぐために「退職願の提出は3か月前までに」と決めたいのは、心情的には理解できます。
ですが、あまりに長い予告期間を設けることは、社員を不当に拘束することにもなりかねません。
そこで今回は、退職願の提出時期はどのくらいにするのが適当なのか、詳しく確認していきたいと思います。
「ハローワークの手続きで困っています。離職証明書の離職理由で“希望退職の募集又は退職勧奨”という項目がありますが、希望退職の募集と退職勧奨はどう違うんですか?」
人事担当者さんのギモンですが、雇用保険被保険者離職証明書にある細かな記載によく気が付かれました(=゚ω゚)ノ
希望退職と退職勧奨の両方とも、「労働契約の合意解約の申入れ」という点では共通しているものの、会社と社員のどちら側による解約の申入れなのか、という点で両者は異なります。
そのため後日トラブルにつながる可能性もありますから、両者の違いを踏まえながら、特に退職勧奨について理解を深めておくことが大切でしょう(退職勧奨は場合によっては無効になることもあります)。
そこで今回は、退職勧奨と希望退職の募集の違いについて詳しく確認していきたいと思います。
「ある社員が退職願を出してきたのですが、その後に重大な服務規律違反が発覚しました。懲戒解雇にあたるような事案でしたが、もうすでに退職願が出されているだけに、懲戒解雇はできませんよね?」
退職願の提出から一通りの業務の引継ぎが終了し、あとは退職日を迎えるだけ・・・と思いきや、よもやの事態が発生。そんなとき、会社としては対応に慌ててしまいますよね。
結論から申し上げると、たとえ退職願が出されていたとしても、まだ社員として雇用関係があるのなら、懲戒解雇しても問題ありません。
ですが、退職願と懲戒処分の関係については、民法での決まり事と情状酌量の2点について考慮しなければなりませんから注意が必要です。
そこで今回は、退職願が出されている社員を懲戒解雇してもよいのかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
「国内出張はいいけれど海外出張は危険だから行きたくない、という社員がいます。業務命令違反ということで、懲戒処分にしても問題ないですか?」
いろんな人がいて、いろんな考え方があり、その対応に悩まされる・・・ということで、いろんなご相談をいただくわけですが、そのなかで出張にまつわるものもあります。
出張とは、働く場所である勤務地の変更をいいますが、一時的な勤務場所の変更であり、社員に対する指揮命令権には変更がありません(←転勤との違い)。
ただ、海外出張は国内出張と比べて働く環境が著しく異なり、社員本人やその家族に対する影響が大きいので、同じように考えるわけにはいきません。
そこで今回は、国内出張と海外出張の違いを踏まえ、海外出張を拒否する社員を懲戒処分できるのかについて確認していきたいと思います。
会社がセクハラの事実を把握するのは、本人からの直接の申告よりも、噂やなんとなくの雰囲気から周囲が察知→周りの人が人事・総務部へ相談、という流れが多いようです。
たとえ噂レベルであってもセクハラの問題を察したときは、人事・担当者の耳に入れて対策を講じることが、事態を打開するポイントとなります。
(パワハラ・セクハラ・マタハラ等は複合的な問題として生じることもあるので、今では一元的に対応できる相談体制を考えないといけないかもしれません。)
職場のセクハラについては、男女雇用機会均等法により、会社にその対策(やらないといけないこと)が義務付けられていますが、今回は逆の視点から、セクハラの申告があったときに会社がやってはいけないことについて、確認していきたいと思います。
「ある社員に転勤を打診すると、病気を理由に拒否してきました。持病のある社員に転勤命令を出すのはダメなのでしょうか」
病気の社員に対して勤務地を変更する配転を命じるということは、会社による転勤命令権の濫用にあたってしまうのか?というのが、このご相談のキモです。
会社は社員に対して健康配慮義務を負っているので、上司としてそのあたりを心配されたご様子でした。
自分の部下が実は病気を抱えていて働いていた、という事実を知ってショックなのに、さらに転勤命令の有効性を考えると、どんな対応をとるべきなのか?と悩んでしまいますよね。
そこで今回は、転勤命令の有効性とともに、会社として病気の社員に対する転勤命令をどう考えるといいのか、詳しく確認していきましょう。
「現在の就業規則では、“休職期間の満了時になお休職事由があるときは退職とする”とありますが、そんなのかわいそうじゃないですか?」
就業規則を見直すためのコンサルティングで、このようなご質問をいただくことがあります。休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然休職が解除されて復職となりますが、問題は休職期間が満了しても復職できない場合です。
結論から申し上げると、そもそも休職とは解雇を猶予する措置をとる制度なので、休職期間が満了しても復職できない場合について、冒頭の例のようにあらかじめ就業規則に明記しておくのが望ましいといえます。
とはいえ休職制度の趣旨についてあやふやな理解でいると、休職中の社員に適切ではない、曖昧な態度をとってしまいがちです(後になっていざこざの原因になります)。
そこで今回は、休職期間満了による自然退職は有効なのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「当社の現在の就業規則では、懲戒解雇について“予告期間を設けることなく即時解雇する”と書いてあるのですが、30日分の解雇予告手当は必要ないのですか?」
就業規則を見直すためのコンサルティングにおいて、このようなご質問をいただくことがあります。
懲戒解雇は、社員の秩序違反行為に対するペナルティーとして最も重いものであり、悪質な場合に課せられる最上級の処分です。なぜなら、解雇することで社員としての身分を消滅させる懲戒行為だからです。
そのため、懲戒解雇は「即時解雇」として解雇予告期間をおかないのが通常ですが(もちろん、事案の性質、その事案を起こした動機、その影響の程度、本人の弁明を聞くなど慎重な配慮が必要です)、たしかに「30日分の解雇予告手当」との関係は気にかかるところですよね。
そこで今回は、懲戒解雇イコール即時解雇とすることに問題はないのか、無効とならないのか、詳しく確認していきたいと思います。
「会社には社員に対する安全配慮義務があるとはいえ、社員のうっかりした危険な行動までも会社だけの責任になってしまうのですか?」
安全配慮義務とは、企業が人材を採用するときに特別なとりきめをしなくても、労働契約に付随する義務として、「安全衛生上の管理をきちんとして社員を労働災害から守って働かせます」と約束することです。
とはいえ、冒頭の疑問のように、労働災害は社員の行動や作業動作などを抜きにしては発生しません。
つまり、労働災害を防止するには、社員にも自ら行動を律し、安全を遵守することが求められます。
そこで今回は、社員に求められる自己安全義務と健康保持義務とはいったいどういうことなのか?について、詳しく確認していきたいと思います。
「会社が社員を解雇しようとするときには、30日の解雇予告期間が必要なのに、社員が無断で会社を辞めるのはいいの?」
社員が会社を辞めるときには、上司(会社)に申し出る→仕事の引継ぎをしっかり行い、会社からの承諾を得る→退職日を迎える・・・という流れが原則です。
ただ、そのようなプロセスを踏まないで、突然「いついつに会社を辞めます」と社員が一方的に宣言したり、断りなく退職して他社で勤務する・・・といったケースも時として見られます。
社員が無断で退職したことによって、大わらわになった上司、同僚、人事部の方々が冒頭のような疑問を持つのも当然といえます。
そこで今回は、社員が一方的に無断で会社を辞めるといったことは、法律的に有効なのかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
「突然ある日から出社しなくなった社員がいます。連絡もとれないので困っています。これはもう退職したものとして、社会保険などの手続きを進めてもいいのでしょうか?」
社員寮から荷物をまとめて居なくなったように、その会社で働く意思のないことを態度で表明したと思われる場合には、「黙示の退職の意思表示として取り扱って問題ない」との旨が通達によって示されています。
ただ、「突然姿を消した社員さん」について問題なのは、連絡がとれず行方不明になった場合です。単に行方不明になっただけでは、前述のように取り扱うわけにはいかないからです。
そこで今回は、行方不明になった社員をどのように取り扱ってよいのか、詳しく確認していきましょう。
最近、女性社員Aさんが具合悪そうです。もしかして、おめでた?
だとすると会社として何らかの配慮をしないとだけど、本人からの申出はない・・・。体調が心配とはいえ、女性のプライベートにどこまで立ち入っていいのか?ともすれば、「セクハラ」として受け止められるかもしれないし・・・(人事部員のBさん(男性)談)
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人事部員としての仕事に勤勉で真面目で誠実に向き合うほど、会社としての安全配慮義務と社員のプライバシーにどこまで踏み込むべきなのか、悩ましい問題となります。
法律的には、妊娠中又は出産後1年を過ぎていない女性社員が、医師等から健康診査に基づいた指導を受け、この指導事項を守るための措置について申出をした場合、会社は申出に応じて勤務時間の変更、勤務の軽減等の必要な措置を講じなければなりません。
では、妊娠したことを会社に申し出てこない社員に対して、会社はどう配慮するとよいのでしょうか。詳しく確認していきましょう。
休職とは、社員側の事情により業務に従事することが「できない」または「不適当な事由」が生じた場合に、社員との労働契約関係を維持しながら、会社が一定期間の就労義務を免除する処分のことをいいます。
長期にわたって正常な勤務ができないのであれば、本来なら直ちに普通解雇事由にあたるところを、退職を猶予して休職期間に傷病が回復することを待って、社員を保護することが目的です。
(社員には解雇を猶予される代わりに、療養に専念する義務があるといえます。)
ただ問題となるのは、休職期間が満了したときの社員の回復状況です。無理な職場復帰によって、症状が悪化することにでもなれば、元も子もありません。
そこで今回は、会社として社員がどの程度の状態まで回復すれば復職できると判断するべきなのか、詳しく確認していきたいと思います。
「企業に不祥事があると、“役員報酬を〇か月にわたって減俸します”とか謝罪会見などで言いますよね。こういった処分は、一般の社員にも適用されるものですか?」
不祥事に対する経営陣の責任の取り方として「報酬額〇%カット〇か月間」といった報道発表があると、コンサルティングのなかでも話題にあがることがあります。
労基法では、就業規則で減給の制裁を規定する場合において、その減給の最高限度を定めています。減給の額があまりに多額となって、社員の日常生活を脅かすことがないようにするためです。
では、社員に対する減給処分「月給〇%カット〇か月間」は有効になるのでしょうか、それとも認められないのでしょうか。さっそく詳しく確認していきましょう。
「新婚ホヤホヤの社員が、地方支社への転勤命令を嫌がっています。配偶者は仕事の都合で一緒に行けないそうで、単身赴任をしたくないとのことです。会社は夫婦間のことまで考えないといけないの?」
今では夫婦共働きは珍しいことではなく、仕事の都合、こどもの教育、家の管理などのため、家族と別居して単身赴任せざるを得ない場合も十分ありうることです。
とはいえ会社側としては、「夫婦が別居せざるを得ない転勤命令が、人事権の濫用とみなされないか(転勤命令が無効にならないか)?」ということが、最も気にかかるところではないでしょうか。
そこで今回は、単身赴任をしたくないとの理由による転勤命令の拒否は果たして認められるのか(夫婦別居となる転勤命令は人事権の濫用となるのか)、会社のとるべき対応について確認していきましょう。
「将来の転勤や配置転換について、いざその時になって社員から拒否されないために、誓約書をとっておいたほうがいいですか」
働く場所は社員にとって重要なので、コンサルティングのなかでこのようなご質問をいただくことがあります。
労基法では、社員の入社時に絶対的明示事項は書面の交付により明示しなければならないことになっています。「就業の場所・従事業務」もそのうちのひとつです。
最近では、新型コロナウィルスの感染防止のためテレワークを実施するのなら、就業の場所などについて労働契約を変更しないといけないのか?、などと疑問に思われた経営者や管理職の方もいらっしゃるかもしれません。
はたして、社員の労働条件にかかる「就業の場所」をどう考えるといいのでしょうか。そこで、配置転換や転勤に応じる旨の誓約書を入社時にとっておけば、なにか特別な効力が発生するのでしょうか?さっそく詳しく確認していきましょう。
「仕事の都合で社員に休日労働をしてもらうことになりました。代休をいつ取得できるのか、と社員から質問があったのですが、かならず付与しないといけないのでしょうか?」
以前、企業の管理職の方からこのようなご相談をいただいたことがあります。その方が以前勤めていた会社では代休制度がなかったので、質問に戸惑われたそうです。一方、質問した社員さんのほうでは、必ず保証された権利として代休を取得できる、との認識であったようです。
実は、この代休は法律上の制度ではありません。それぞれの企業において定めた任意のものです。会社の就業規則に定めることによって、はじめて社員に代休の付与を求める権利が発生します。
ただ、冒頭のようなご相談をいただくことは割合多く、誤解されているケースは多いのかもしれません。
そこで今回は、代休は必ず与えなければいけないのか、について詳しく確認していきたいと思います。
各方面からの事情で縮小営業を余儀なくされてきた、グループ子会社の業績悪化が進んでいる。今期の赤字転落は避けられなくなった。
通常営業に向けてさまざまな対策をとってはいるが、状況次第では今後の対応に変更を迫られる可能性もある。
そこで優秀な社員を親会社から送り込んで、子会社の立て直しを図りたい。・・・とはいえ、「不本意な人事」ということで、社員が拒否してきそうで心配だ・・・
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経営状態の芳しくないグループ子会社への出向命令に対して、社員の拒否が想像に難くないだけに頭を悩ませる経営陣。
こんなとき、会社はどのように対応するべきなのでしょうか。
また、そもそも社員は出向命令を拒否することはできるのでしょうか。さっそく確認していきましょう。
「ローンやクレジットなど複数の業者から借金をしていて、返済が困難になって(いわゆる多重債務)自己破産を申し立てる社員が職場にいるとわかったとき、会社としてどのような対応をとるべきでしょうか?」
業者(債権者)から職場に電話が頻繁にかかってきたため、本人に確認したところ事情が明らかになったようです。
多重債務、自己破産というワードを聞くと「ギャンブル?」「お酒?」「浪費癖?」といったイメージを持たれるかもしれませんが、不況など経済環境の変化に伴う収入の減少によって生活費や教育費などを補うために借金を重ねた・・・というケースは少なからずあるようです。
一般的に、社員が自己破産した場合は、企業の信用問題にかかわるので、会社としては解雇を含め当然退職になるものと考えられがちですし、人事異動は検討するべきでは?と判断に迷われる場合も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、自己破産した社員への会社の対応について、「解雇」と「人事異動」の場合に分けて詳しく確認していきましょう。
会社には、ビジネスを推し進め、企業を存続させていくために、企業秩序を守ることが必要です。そのため、企業秩序を乱す社員に対して、会社がその回復のために懲戒処分を行うことは当然の権利として認められています。
ただし懲戒処分を行うには、あくまでも本人が会社に在籍していることが前提です。したがって、退職した元社員に対する懲戒処分は、法的な根拠を欠くため無効となります。
そもそも「元社員」を企業の外に追い出す必要性がないので、懲戒解雇(懲戒処分のなかで最も重い処分)も必要ありません。
では、社員が退職願を会社に提出してきた後に、本人の違反行為が発覚した場合はどうでしょうか?
「すでに退職願を出している社員は懲戒解雇の対象となるのか」という点が問題になります。
そこで今回は、社員の退職願と会社による懲戒解雇では、どちらが優先されるのか、そして会社としてはどのような対応をとるべきなのかについて、詳しくみていきたいと思います。
業務運営上の都合から社員の就業場所や担当業務を変更することは、会社の人事権として認められています。
とはいえ、「社員は会社のいうことにはなんでも”YES”と従わないといけない」というわけではありません。
つまり、会社の命令による配転や転勤は無制限に許されるわけではなく、その命令権の行使に合理性がなく、権限の濫用にあたるときは無効になります。
このようなときは、法律上の争いとして裁判所の審理に従うことになります。ただし、配転や転勤が「労働契約の(要素の)変更」として認められる場合に限られます。(それ以外の場合は裁判所ではねられます。)
では、法律上の紛争として扱われる「配転や転勤」とはどんな場合のことをいうのでしょうか?さっそく確認していきましょう。
「社員には事情を説明して、転勤の同意を得るつもりですが、社員の家庭の事情をどこまで考えるべきでしょうか?」
経営状態によって、社員を他の支店や工場へ配置転換せざるを得ない場合もあるかもしれません。ただ、その転勤先が遠方で現在の住まいからの通勤が難しいなら少なくない負担を強いることになるので、会社としては社員の家庭の事情が気がかりです。
人事権の濫用とならないよう社員の不利益を軽減するにはどの程度までの措置をとればいいのか、経営者、人事担当者の方におかれては悩まれることが多いようです。
そこで今回は、遠方への転勤に際して、会社は家庭の事情を斟酌するべきなのか、するとしてもどの程度の措置をとれば権利濫用とならないのかについて詳しく確認していきたいと思います。
テレビ会議やウェブツールなどの導入により、社内会議にまつわる国内出張は一般的に減少傾向にあるようです。一方で、月1回程度~年5回以上の頻度の海外出張は増えてきているそうです。
思い返してみると、今の時期はハイシーズンではないにもかかわらず、ビジネスで海外へ出かけるとのお話を伺うこともあります。
そこでよくご質問いただくのが次のようなトピックです。
「社員を海外に出張させたり、海外の支店や現地の企業に派遣する場合で、もしも事故にあったり、ケガをしたときに、国内と同じように労災保険はつかえるのでしょうか?」
物理的に遠く離れた赴任途中や赴任先での社員の事故やケガは、経営者や管理職にとって、大変気がかりなことですよね。
海外での就労は、大きく区分すると海外出張と海外派遣の2パターンになります。それぞれ海外での労災保険の適用はどうなるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「すでに辞めてしまった社員のことを言っても仕方がない」
社員の退職後にその者による不正が発覚した場合、こう思われる経営者や管理職の方もいらっしゃるでしょう。ご心中、察するに余りありますが、法律的に懲戒処分はできないのでしょうか。
懲戒処分とは、「企業秩序の違反に対して会社によって課せられる制裁罰のこと」として考えられています。企業秩序を乱したことに対するペナルティーですから、あくまでも会社に在籍していることが前提です。
ただ、退職した社員について「懲戒処分にするべきなのか?」という悩みが深くなるのは、退職金の不支給もしくは返還についての問題があるときです。
そこで今回は、社員の退職後に違反行為がわかったとき、会社として懲戒処分と退職金の問題にどう対処するといいのか、について詳しく確認していきたいと思います。
最近、同僚の動きがおかしい。帳簿などの経理関係書類を、どうも不正操作しているような気がする。
だが現場を実際に目撃したわけではないので、はっきりしたことは分からない。こんな状態で上司に報告はできない・・・
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同僚の不正行為をうすうす感じていた経理部員のAさん。その後、抱いていた疑念が事実だったことがわかりました。
では、同僚の不正行為を上司に報告や相談をしなかったAさんは、「不正を見逃した」として懲戒処分の対象となるのでしょうか?
ここでポイントとなるのは、Aさんがこの不正を行った社員に対して管理監督する職務上の注意義務を負っていたのかどうかです。
そこで今回は、職場で不正行為が発覚したときに問題となる管理職の指導責任とはどういったものなのか、について詳しくみていきましょう。
少人数のアットホームな経営から人数を増やして規模を拡大していくときなど、会社をステージアップさせる機会に、「懲戒処分の基準を見直したい」とのご相談をいただくことがあります。
社内外における態度や姿勢を改めて気を引き締めたい、というのがその意図です。そこで、次のようなご質問をよく伺います。
「たとえば重大な違反行為があったとして、会社が懲戒解雇を決めるまでの間、その張本人が出社すると職場の雰囲気がぎくしゃくすると思います。本人もばつが悪いでしょうし、周囲もどう接すればわからないでしょう。そんなときは本人に自宅待機を命じてもいいのでしょうか?」
懲戒には、1つの違反行為に対しては1つの処分を下すものとするルールがあります。つまり、同じ違反行為を2回懲戒処分にすることは禁止されているのですが、「出勤停止からの懲戒解雇」という処分は、この二重処分の禁止にあたらないのでしょうか。
今回は、懲戒処分を決めるまでの自宅待機は二重処分にあたるのかどうかについて、確認していきましょう。
ドラマを見ていると、その終盤で、主人公から預かっていた退職願を上司が「これはもういらないよな」と本人に突き返し、涙ながらに主人公が退職願をビリビリ破り捨てる・・・といったシーンがあります。
これをオフィスでの日常に置き換えると、「社員はどんなとき退職願を撤回できるのか?」という疑問がふと浮かんできます。
実は退職願は2パターンに分かれます。ひとつは、社員からの一方的な解約の意思表示である「辞職」、もうひとつは会社との合意に基づいて雇用契約を解約しようとする「合意解約」です。
会社が取るべき対応も変わってきますので、今回は、「辞職」と「合意解約」という退職願の2パターンの違いについて詳しく確認していきたいと思います。
昇進とは、「係長→課長→部長」などのように、企業内での職務上のポジションが上がることです。昇進にあたっては、企業内における権限と責任を伴います。上のポジションになればなるほど、それらは大きく、重いものとなっていきます。
昇進によって、会社から経営権・人事権を分担され、会社と一体となって(もしくは会社の立場にたって)業務の推進と部下のマネジメントを任されることになるからです。
このことから、昇進に関する人事は、原則として会社の経営権の裁量にゆだねられていることがわかります。では、降格についてはどうでしょうか。実は、降格については次の3パターンに分かれます。
今回は、社員の降格は会社の裁量によって決めてもいいものなのか、上記の3つの場合に応じて、確認していきましょう。
「海外支店の増員のため、社員に転勤命令を出す必要性が生じた。」
「海外との取引が頻繁に行われるようになり、数人の社員を現地へ派遣しなければならなくなった。」
このように業務上の都合で、社員に海外勤務を命じなくてはならなくなったとき、どのようなことに注意すればいいのか?と、戸惑われる経営者や管理職の方は多いのではないでしょうか。
海外で働くことに憧れや興味を持っている人の割合は、一般的にみても高いようですが、いざとなると「国内とは事情が違う海外転勤に社員が不安になり過ぎて、モチベーションが下がっていて困っている」といったお話を伺うこともあります。
そこで今回は、海外勤務を社員に命じるときに留意しなければならないことについて、①海外支店への転勤命令、②海外子会社への出向の2パターンに分けて確認していきたいと思います。
6月は梅雨で蒸し暑くどんよりしたお天気の日もありますが、しっとりした空気に緑の香りも漂っていて初夏の訪れを感じます。
春先に体調不良で休職した社員の復職について、そろそろ考えなければならない職場もあるかもしれません。
「社員が職場に復帰したいと言ってきたとき、本人はきっと『自分はもう大丈夫だ』と主張するでしょう。とはいっても、実際には完全に回復していないケースも多いと思います。会社としてどう対応するべきでしょうか?」
よくご相談いただく内容です。会社として社員の健康管理に留意する必要があるので、このように懸念されるのも当然でしょう。
社員が復職するにあたって、その可否の判断基準はどうなるのでしょうか。また会社がその判断を行ってもよいのでしょうか。
今回は、これらについて詳しく確認していきましょう。
先日テレビをつけると、ドラマをやっていました。たまたま目にしたシーンは、(親が薦める)結婚相手と結婚してほしい父親が、婚姻届にサインしようとしない娘に向かって、「私が(父親が)婚姻届に署名捺印しておく」というようなセリフを放つところでした。
そこで思い出したのが、以前にいただいた「社員の親御さんが書いた退職願を会社として受理してもいいのでしょうか?」というご相談についてです。
社員さんが入院されたため、代わりにご家族が退職願をお書きになり、会社へ提出されたとのことでした。
ちなみに前述のテレビドラマでは、婚姻届にサインしたのは父親であった(娘の意思ではない)ことが結婚相手の知るところとなり、結果として破談となる(親の書いた婚姻届は無効になる)ストーリーでした。
では、「親が書いた退職願」は有効になるのでしょうか?
今回は、退職願をめぐる問題について会社はどう対応するとよいのか、確認していきましょう。
支社へ転勤する社員が単身赴任することになったそうだ。当社では、引っ越し費用の全額の他、単身赴任の場合は月額3万円の手当を支給する。ただ、当人から”転勤先が都心部のために物価が高くて今までよりも給料の手取りが減る、手当を増額してほしい”との訴えが・・・どうすればいいのかな?(ハウスメーカー勤務・営業課長 談)
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職場では、この春から転勤で新しい環境となった方もいらっしゃるでしょう。転勤に際して、社員・部下の悩みにできるだけ応えたいもののその要望に困惑する上司や人事担当者の方のお話を伺うことがあります。
そこで今回は、単身赴任する社員の経済的負担について会社はどこまで考慮するべきなのか、詳しく確認していきたいと思います。
みなさんの会社の就業規則の1ページ目を開いてみてください。
そこには、「この規定は、就業規則に定める当社の従業員に適用する」と、就業規則の適用範囲が定められていると思います。
さて、ここで問題です。
いったい何時の時点から、「当社の従業員」に該当するのでしょうか?
入社してから?それとも試用期間が終わってから?
・・・そこで取扱いに悩むのは「採用内定者」ではないでしょうか。
採用されることが内定しているとはいえ、「当社の従業員」かというとどうもしっくりこない・・・。 では「当社の従業員」にあたらないのなら、就業規則は適用されないのか?
とはいえ、これから採用されるわけなので「見込みの従業員」として準用されるのだろうか・・・?など、思考が堂々巡りになってしまいますね。
そこで今回は、採用内定者に就業規則の適用はアリなのか、それともナシなのかをみていきたいと思います。
就業規則に一カ月単位の変形労働時間制のことはまったく書かれていないけれど、記載なしのままで実施されている。しかも慣例的に長年にわたって行われている・・・また社員の方からも特に異議もなく・・・
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このようにいわゆる労働慣行として変形労働時間制が実施されているケースもあるかもしれません。
ですが注意しなくていけないのは、就業規則に規定することが一カ月単位の変形労働時間制の導入要件になっている点です。
そこで今回は、就業規則に記載がないまま実施してきた変形労働時間制についてよくご相談いただく次の2点について詳しく確認していきたいと思います。
世の中のIT化によって、新しい仕事の枠が広がっています。たとえば自社のECサイトなどWebサービスの企画、Webサービスの問い合わせに対応するコールセンターの立ち上げ、IT対応オフィスの提案などです。そのため業界を問わず求人ニーズがあり、転職市場も活性化しているようです。
会社にとって中核的な業務をこなし、みんなの中心的役割をつとめるエース社員は他社にとっても欲しい人材であることは間違いありません。そこでエース社員が同業他社から好条件の処遇や重要ポストなどの転職オファーをもって「引き抜かれる」ケースも起こりがちです。
そこで、「就業規則で引き抜きによる転職を禁止することはできないのか?」とのご相談をいただくこともあります。
そこで今回は、引く手あまたなエース社員の引き抜き転職を会社は果たして禁止することができるのか、会社のとるべき対応について確認していきたいと思います。
「妊娠したのですが、残業など今まで通り乗り越えられるか不安があります・・・急に体調を崩したら周りの皆さんが困りますよね・・・」
妊娠した社員からこれからの働き方について相談があったとき、悩まれる管理職の方もいらっしゃるでしょう。
労働時間や休暇面もさることながら、「仕事のストレスが身体に影響しては大変」との配慮から、負担の軽い仕事内容への変更を検討することもあるかもしれません。
現場をマネジメントする立場であれば、妊娠した社員本人のやる気と体調を考えながら、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
そこで今回は、女性社員から妊娠の報告を受けたとき、会社として特に留意すべき下記の2点について詳しく確認していきたいと思います。
朝夕はようやく秋らしくしのぎやすい気候になりました。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋・・・と、いろんな楽しみが盛りだくさんの時季ですが、同時に転勤・人事異動のタイミングでもあります。
子会社・関連会社への技術指導や、また社員のスキルアップのために親会社から子会社へ人材を送り出すなど、グループ企業間で人事交流が行われている場合もあるでしょう。
「プロジェクト運営をはじめグループ企業同士で強いつながりがあるので、人事異動、人事交流をもっと行っていこうという流れにある。この際に転勤(配置転換)と出向の違いをちゃんと理解しておきたい」との質問をいただくこともあります。
確かに、グループ企業内の関係性が密接であると、本来出向として対応するべきなのに単なる転勤として取り扱ってしまうなど、出向と配転を混同してしまいがちです。そこで今回は、グループ企業内の人事異動における出向と配転の違いについて、確認していきたいと思います。
就業時間中に自分のデスクで、会社のパソコンを使ってデイトレードを行っている社員がどうやらいるらしい、との社内の噂を耳にした。
デイトレードを行うのは午前中のほんの10分間程度のことだから会社にバレない、と吹聴しているそうだ(それなりの利益を出していると自慢しているらしい)。
就業時間中に、会社のパソコンを使って株取引を行うなんて、相当な懲戒処分にあたるのでは?とはいえ、噂が本当なのか確認をとって慎重に事に当たらなければ。会社としてどんな対応をとるべきなのか・・・
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就業時間中に行われた株取引。もし、それが噂のとおり事実であるなら、懲戒処分を考えるべきなのか、またどの程度のものにするべきなのか。会社のとるべき対応に迷われるかもしれません。そこで今回は、次の2点を通じて、会社の取るべき対応について確認していきましょう。
いつも始業前に女性社員がみんなのデスクの上を水拭きして、給茶機をセットしてお茶の準備をする・・・ひと昔前では見慣れた朝の職場風景かもしれません。最近では、次のような質問をいただきます。
「なんとなく昔からの慣例で、以前は女性社員が始業時刻前に簡単な掃除をしたり、お茶の準備をしてくれていました。時代が変わって、男女差別ではないか、との声が聞こえてからはその習慣もなくなりました。
すると今や、机には書類が積み上がり、キャビネットの周りも散らかっている状態です。とはいえ昔のように女性社員に任せっぱなしはいけないですよね。今は、ハラスメントやコンプライアンスをきちんと考えておかないといけない時代なので、そのあたりの問題点を確認しておきたいのですが・・・」
このお話のなかでハラスメントやコンプライアンスの問題として、整理・確認しておくべきは次の2つです。
今回は、これらをしっかりチェックしていきましょう。
以前、女性の経営者からいわゆる生理休暇の取扱いについて質問をいただきました。その方の相談案件ではなくて、「先日の交流会で知り合いの男性経営者から、生理休暇の申請への対応に困っているそうでアドバイスを求められて。こういった内容はなかなか聞きにくいみたい。」とのことでした。
男性の経営者・管理職にとって、生理休暇に関する取扱いには戸惑いがある、もしくは何か触れてはいけないもの、などといった意識があるのでしょう。最近では、「セクハラとの誤解を受けないか?」「妙な空気が職場に漂わないか?」と伝え方に迷う男性経営者・管理職は多いかもしれません。
またコンサルティングをしていると、「他の会社では生理休暇を取る人なんているのですか?周りの人から特別な目で見られそうです」といった声を、参加者の女性社員さんから伺うこともあります。
女性からも男性からも何やらタブー視されがちな生理休暇の取扱い。それは、この制度自体をよく知らないがゆえのこともあるのではないでしょうか。そこで今回は、職場で誤解を生まない生理休暇の取扱いについてみていきたいと思います。
とあるメーカーB社さんでは、オフィスで仕事をしながら私物のスマートフォンを使用する社員が多くみられます。
特に最近、Aさんはスマホの着信があるたびに席を離れることが多く、席にいるかと思いきやスマホを操作してSNSでメッセージのやり取りをしている様子。それを見た課長はイライラを募らせています。
一方、Aさんにもなにやら事情があるようです。
【課長の思い】
Aさんは最近スマホばかりいじって落ち着きがない。普段は真面目に仕事をやっているので、みたところ仕事に遅れはないようだが・・・。注意指導したいところだが、スマホを職場で使っている社員は他にもいるし、なんせうちの部長がヘビーユーザーだ・・・。とはいえAさんの振る舞いをみて、スマホで頻繁に席をはずす社員が他にも出て来やしないか心配だ。どうすればいいのか?
GW明けは五月病シーズンといわれています。4月からの新しい環境での緊張が緩まって、連休明けに体調不良を訴える社員がでてきてもおかしくはありません。
メンタルが不安定で欠勤が続く社員に対して、会社が「休職」を命じるケースもありえるでしょう。会社としては、休んでしっかり療養して、また元気に職場へ戻ってきてもらいたいですよね。
休職制度を設けている場合であっても、職場復帰だけでなくその後も継続して働いてもらうための対策を立てておくことが大切です。
今回は、休職にまつわるルールでよくご相談いただく下記の内容につて詳しく確認していきたいと思います。
4月も半ば過ぎ、オフィスでは新入社員が配属されて、慌ただしかった日々もようやく落ち着いてきた頃ではないでしょうか。
「新入社員から質問攻めにあったけれど、うまく答えることができなかった・・・」と、返答に困った例として、よくお聞きするのが次のような内容です。
入社したということは、その会社の社員の地位を得たということです。よって、会社と社員との間にはいろいろな法律関係が発生します。
そこで日常の仕事をやっていくなかで、「これは会社のものなのか、それとも本人(社員)のものなのか?」と、ふと判断に迷うのはありえることだと思います。そこで今回は、会社と社員の関係性に着目して、名刺やポイント還元は会社のものか、それとも社員のものなのかについて、詳しくみていきたいと思います。
部下をもつ人は、仕事の現場で直接メンバーを指揮するので、日頃から人材マネジメントも任されることになります。
したがって、部下をもつ人には、会社の業績を伸ばすために努力やチャレンジを促すよう、部下を教育・指導することが求められます。
そうした上司の活動のひとつに、信賞必罰としてのペナルティー(懲戒処分)があります。
そこで、ペナルティーに関する知識を備えておくことが大切です。
人材マネジメントにおいて必要な法律上の知識がないために不適切な対応をとってしまい、その結果、職場の人間関係がぎくしゃくする・・・というのはとても残念ですよね。
また、そもそもペナルティーは教育的指導として行うもの。本人のプライバシーにも配慮しなければなりません。
そこで今回は、
これらについて詳しくみていきたいと思います。新年度もスタートしたばかりです。せっかくの前向きなムードを維持するために、職場の人間関係をぎくしゃくさせないペナルティーへの対応について確認しておきましょう。
SNSは効果的に利用するとビジネス上のメリットも大きいので、積極的な活用を進める企業もあるでしょう。
とはいえ、プライベートでもSNSを利用するなかでは、社員の不適切な投稿によるトラブルへの懸念もあるのではないでしょうか。
SNSにまつわるトラブルは知識不足によるものなので、会社としては社員にSNSの特性とリスクを正しく理解してもらい、リスクをできるだけ小さくしていくことを考えるほうが現実的かもしれません。
社員のSNS利用を制限するとトラブルの隠ぺいから対応が遅れてしまうかもしれませんし、リスクを恐れて企業がSNSを活用しないのはひとつのプロモーションの機会を失うことになるからです。
そこで今回は、SNSのリスクを回避するために、会社がとるべき対応について確認していきたいと思います。
これから夏に向けて暑気払いなどを名目に、社員同士の接触を増やして親睦を深めるため、レクレーションを企画する企業もあるでしょう。最も簡単なので開催頻度が高いのは「飲み会」だと思います。
とはいえ今や、上司と飲みに行くよりプライベートな時間を尊重したいと思う若手社員がいたり、子育て中の社員にとっては参加しづらかったりと、働き方の多様化や価値観の変化から飲み会の機会は減少傾向にあるかもしれません。
飲み会をコミュニケーションの場にしてきた、今の管理職世代にとっては、部下のマネジメントに戸惑うことも多いようで、飲み会でコミュニケーションギャップが発生することもあるようです。
そこで今回は、せっかくの機会がハラスメントの場とならないように「飲み会あるある」が法律に抵触しないのか確認していきたいと思います。
入社5年目の社員がメタボ気味で、体形がデカくなったため作業スペースも狭くなって効率も落ちている。真夏の作業場は暑いので、他の社員よりバテやすくて体力の消耗が激しい。もし作業中に倒れたりしたら、事故やケガにつながります。体形のことだけになかなか本人にも言いづらいですが、仕事にかかわることなので強制的に痩せさせる必要がありますよね?(メーカー勤務、現場責任者 談)
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GWも明けた5月、以前なら新入社員に多い5月病についてのご相談を受けたものでしたが、最近増えたなあ、と思うトピックスはずばり「メタボ社員の健康管理」です。
会社には社員への安全配慮義務があるので、総務・人事担当者の方は社員の健康問題に関心が高いことだと思います。
そこで今回は、メタボ社員の健康管理を会社としてどのように対応するべきなのか、詳しく確認していきたいと思います。
就業規則を作成したものの忙しくて社員にしっかり説明する時間がなく、就業規則を一読した社員から「年休って社員の権利なんですね。明日休みます」との申し出が。権利の主張だけされて、こんなことなら作らなければ良かった・・・と、就業規則の作成を悔やむ会社。
一方、就業規則の作成をきっかけに「こういう理由で年休取得のルールがあるんですね」「だったらみんなが年休をとれるように、あの仕事はこうしませんか」など、社員からの理解やアイデアを得て、仕事のやり方を見直して生産性がアップした会社。
10人以上の社員を抱える会社には、就業規則の作成義務があります。ところが、就業規則を作成しても、「作って終わる会社」と「作って活かす会社」があるのです。
この2つの会社の違いはどこにあるのでしょうか。今回はこのあたりを詳しくみていきたいと思います。
過去記事「就業規則は作って終わり、と思っていませんか?」では、就業規則の効力が発生するタイミングについてお伝えしました。
そのタイミングは社員に説明を行ったときであり、労基署への届出は必ずしも効力の発生要件ではない、ということでした。
ただし、就業規則の合理性を判断する際には、労基署への届出をはじめ手続きの遵守も問われます。
場合によっては、効力うんぬんよりも就業規則そのものが無効となってしまいます。
就業規則が有効になるかどうか、気をつけなければならないのは就業規則を変更したときです。
そして、就業規則の変更には4パターンあります。
この変更パターンを把握して、やるべきことをやっていなければ、就業規則が無効になってしまうのです。
それでは、次から具体的にみていきましょう。
「社員が常時10人以上いるなら就業規則を作らなければならない」
このことは、経営者や管理職の方なら強く意識されていると思います。
けれど、「作って終わり」になっていませんか?
これは、よく見受けられるパターンなのですが、せっかく作成したにもかかわらず、とてももったいないことになってしまっています。なぜなら、就業規則は単に作っただけでは、その効力は発生しないからです。
就業規則が有効となるには、次の2つの要件が必要です。
つまり就業規則に不備があったり、法改正に対応していない場合はもちろんのことですが、社員へ真摯に説明を行っていないと思わぬトラブルが発生するリスクをはらんでいます。では、せっかく手間暇かけた就業規則を無駄にしないために、会社としてはどうしておけばいいのでしょうか。
今回はこのあたりについて詳しくみていきましょう。
インターネットは日常生活だけでなく、ビジネスにおいてもとても便利なツールです。出張のために新幹線の予約や調べもの、備品や資材の購入を検討するとき、ライバル製品の動向を探るなど、なくてはならないものです。たまたま見ていたサイトから、仕事に役立つヒントが見つかることもあるでしょう。
けれど昼間はずっとSNSや仕事に関係のないサイトを見ていて、その分毎日遅くまで残業・・・そんな社員が周囲にいたら、いい加減にしろ!と言いたくなってしまいませんか?
そこで、インターネットに繋がるパソコンを職場に1台しか置かない、ネットにつながるパソコンを割り当てない、など接続環境を制限する会社もみられます(もちろん仕事へ支障がないことが前提ですが)。
一方で、業務効率のため個人へタブレット端末を貸し出す会社もあり、使いやすい分どこまで制限をかけるべきなのか悩む、と経営者や管理職の方からよくお伺いします。今回は、勤務時間中のインターネット閲覧を、会社はどこまで管理するべきなのかについて確認していきましょう。
ある営業職の女性社員は、「ストーンをあしらった派手で立体的なアートで」「濃色の」「長すぎる」ネイルで毎日仕事をしている。
・・・・取引先を回るのに、爪が派手すぎないか?
あんなに長くて、ゴテゴテした飾りが爪についていて営業車の運転に支障はないか?取引先からも「こんな子に仕事を任せてもいいのか?」と印象も良いとはいえない。
営業職で採用した社員だが、対外的な対応がない他の部署へ異動させたい。異動が無理ならせめて処分(ペナルティー)したい・・・
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このようなご相談をいただくこともあります。
仕事に関わることとはいえ、今どきのファッションとして許容するべきなのか、注意してもセクハラととられないか、など問題の扱い方について悩みは深くなるようです。
そこで今回は、このご相談の趣旨である、営業職で採用した社員の異動に問題があるのか、ないのかについてみていきたいと思います。
ダブルワークや在宅ワークなどの副業について、最近ではメディアによく取り上げられるようになりました。
収入源を増やしたい、幅広いネットワークを築きたい、などキャリアチェンジを目標とした人、自分の趣味や得意なことを活かして収入を得る「週末起業」派、仕事の時間外での株式投資やアフィリエイトで会社の給料以上の収入を得ている人、などなど、副業の業態やその動機は人によってさまざまだと思います。
とはいえ、経営者や上司の方にとっては、自社にそんな社員がいることがわかった場合、どのように対応すればいいのか?と思われるのではないでしょうか。2足のわらじで社員が体調を崩さないとも限りません。
副業をやりたい事情や背景は理解できるけれど、いざその対応に悩まれるケースは少なくないでしょう。そのため、今のところ就業規則で兼業禁止規定を設けている企業の割合は高いと思われます。
そこで今回は、社員の副業について会社はどのように対応するといいのか、詳しく確認していきましょう。
社員さんとコミュニケーション、とれていますか?
「やることがいっぱいでなかなか・・・」
「いざ話しかけようにも何を話していいのか」
「向こうも身構えるので表面的な話になってしまう」
こんなことを思われているかもしれません。
しかし、そもそも社員とコミュニケーションを図る目的は、仕事をスムーズにやっていくためです。決してむやみなご機嫌とりではないし、相手の意向を聞きすぎる必要もありません。
改善ポイントのヒントを得るべく、質問からコミュニケーションを始めればいいのです。
社員とのコミュニケーションにはポイントがあります。
「社員が動く就業規則」を採用している会社は、このポイントを押さえているコミュニケーション上手な会社なのです。
「社員と意識をひとつにするにはビジョンの共有が大切」
このようなフレーズを見たこと、耳にしたこと、みなさんもあるのではないでしょうか。
(かくいう私も「就業規則を作成するには会社(経営者)のビジョンが重要」とコンサルティングの現場でよくお伝えしています(^^♪)
とはいえ「ビジョンの共有が大切なのはわかるが、どうすればよいのかわからない。そもそもうまく言語化できない」とのお声を実際のところよくお聞きします。
では、ビジョンを自分の言葉で表現し、社員と共有するにはどうすればよいのでしょうか。
そこで今回は、ビジョンを明確化するアプローチについて詳しくみていきたいと思います。
社員のことを考えて社内制度を考えた。就業規則にもきちんと明記した。
もちろん社員説明会も開催した。けれど社員の顔はどこか冷めているようだ。せっかくの制度を利用する社員も出てこないまま月日が過ぎて・・・
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せっかく就業規則を作成したにも関わらず、ちょっと残念なことになってしまっています。「就業規則なんて作らなければよかった・・・」いえいえ、肩を落とさずに聞いてください。
それは、就業規則自体がいけないのではなくて、就業規則作成の本当の意図が社員に伝わっていないだけかもしれません。
実は、就業規則を活用して会社と社員の目標をひとつにして業績を伸ばしている会社は、就業規則が本当に意味するところをうまく伝えているのです。では、どのように伝えるといいのでしょうか?
そこで今回は、就業規則で社員へ本当に伝えたいことを伝えるコツについて、詳しく見ていきましょう。
さあ、みなさんの会社の就業規則を開いて1ページ目をみてみましょう。↓ こんな条文はありませんか?
「この就業規則はすべての社員に適用する」
もしあったとしたら、その就業規則は「作ってはいけない就業規則」である可能性がものすごく高いでしょう。
というのも、正社員向けの福利厚生、休職、退職金といった、パート社員には適用するつもりのない制度もパート社員に適用されることになるからです。
あとで「そんなつもりじゃなかった」と会社側が言い訳しても、「就業規則に書いてあるのに、なぜパートには適用されないのですか?」と、パート社員に不満を抱かせることになります。仕事に対するやる気を失わせてしまうかもしれません。
つまり、就業規則や諸規定は、誰に適用するために作成されているのかを確認することがとても大切なのです。
そこで今回は、作ってはいけない就業規則の内容を分析したうえで、本来とるべきであった対応について詳しくみていきたいと思います。
「就業規則を作成すると、この内容はいつまでもつのかな?」
”就業規則の賞味期限”(?)を疑問に思われたことはありませんか?
前回の改訂日付が20年以上前の平成ヒトケタ年、ガリ版刷りのインクが褪せた年代物の就業規則にお目にかかることがありますが、長年の放置は会社にデメリットをもたらしかねません。
なぜなら、就業規則は社員のやる気と行動を導き、会社を伸ばすための指針だからです。景気の波があるなかで社員に求める具体的な行動が、何十年前とまったく同じであるはずがないので、タイミングを逃さずに見直すことがとても重要です。
そこで今回は、就業規則を見直すべき3つのタイミングについて詳しく確認していきたいと思います。
「就業規則は自分で作れるものですか?」
経営を軌道に乗せるために何でも自分でこなされてきた、努力家の経営者から多い質問です。
「固い決意を持ってすれば、作れなくはありません。ですが何のために就業規則を作るのかをあらかじめよく考えておくことが大切です。」
私はこのようにお答えしますが、その理由は3つあります。
今回は、なぜ自力で就業規則を作成するには事前によく考えておかなければいけないのか、その3つの理由について詳しく確認していきたいと思います。