仕事中のインターネット閲覧をどこまで管理する?

パソコンのキーボードの前に置かれた白色の目覚まし時計とボールペン。傍らにシャクヤクの花。

インターネットは日常生活だけでなく、ビジネスにおいてもとても便利なツールです。仕事に役立つヒントが見つかることもあります。

 

ですが昼間はずっとSNSや仕事に関係のないサイトを見ていて、その分毎日遅くまで残業・・・そんな社員が周囲にいたらどうでしょう?

 

ネットに繋がるパソコンを職場に1台しか置かない、ネットに繋がるパソコンを使わせない、など接続環境を制限する会社もあります(もちろん仕事へ支障がないことが前提です)が、業務効率のため個人へタブレット端末を貸し出す会社もあります。

 

そのためどこまで制限をかけるべきなのか、悩まれる経営者や管理職の方はとても多いようです

 

そこで今回は、勤務時間中のインターネット閲覧を、会社はどこまで管理するべきなのかについて詳しく確認していきたいと思います。

アクセスログ調査の前に気をつけるべきこととは

パソコンのキーボードとマウス。メモ帳とダブルクリップ、鉛筆、消しゴム、ハサミ、タブレット。

インターネットは、出張のための新幹線の予約や調べもの、備品や資材の購入を検討するとき、ライバル製品の動向を探るなど、ビジネス上なくてはならないものです。

 

とはいえ、仕事に関係のないサイトを見てデータをダウンロードすると、システムがダウンしたり、ウイルスに感染する可能性があります。

 

そこで会社としては、アクセスログを管理したい、と考えることは当然あるでしょうが、社員のプライバシー権に留意することが必要です。

 

モニタリングを実施する際のトラブルを防止するため、経済産業省では「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」が発表されています。

 

※個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン (平成28年12月28日厚生労働省・経済産業省告示第2号)

 社員へのモニタリングについては40ページを参照してください。

http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/161228kojoguideline.pdf

 

ポイントは、あらかじめ就業規則等の社内規程で、「モニタリングの実施目的やその理由」「責任者や対象者の範囲」「モニタリングの方法」「モニタリングの実施時期」などの事項をルールづけしておくことです。

会社によるモニタリングは、私的な利用をしていないか企業秩序違反を調査するものであって必要性と合理性があれば適法、とする裁判例もありますが、「勝手に割り当てられたパソコンを調べるなんてプライバシーの侵害だ!」といった無用のトラブルを避けるため、就業規則の整備をあらかじめ行っておきましょう

 

たとえば「会社は、電子メール・インターネット等の利用の適性化を図る目的のため、従業員にその旨を通知したうえで、サーバーに保存されている情報を解析し、従業員ごとの電子メール・インターネット等の利用履歴、内容等を確認することができる」旨を記載しておくといいですね。

ペナルティーの程度をどう考えるか

テイクアウトコーヒーのプラカップ、メモ帳、ハサミ、マジックペン、サインペン、ゼムクリップが整然とデスクに並んでいる。

就業時間中であれば、社員は雇用契約に基づく職務専念義務を負っています。ですから、私的なインターネット閲覧は仕事をさぼっていることに他ならず、職務専念義務違反にあたります。

 

その私的利用の程度によっては、ペナルティーを検討する必要があるかもしれません。

 

ペナルティー処分が可能とはいっても、どんな処分であっても認められるわけではありません。その処分には客観的かつ合理的な理由が必要であり、一般的に誰がみても、もっともなものである必要があります。

 

なお裁判所は、インターネットの私的利用に対する解雇処分について、有効性を厳しく判断する傾向にあるようですので注意が必要です。

 

けれどやはり大切なのは、トラブルが発生して処分を検討するよりも前に、就業時間中は仕事に専念しなければならないこと、仕事に関係のないサイトでウイルスに感染すれば、システム障害で顧客に迷惑をかけること、などについて就業規則を通じて社員にしっかり伝えておくことです。

 

たとえば「コンピュータウイルス感染による業務停止を予防するため、電子メール・インターネット等は原則として業務利用に限るものとし、直接業務に関係のないホームページに意図的にアクセスしてはならない」旨を記載しておくといいですね。

「禁止」より「やらないこと」のメリットを伝えよう

丸形の壁時計が上下に並んでかけられている。

冒頭の例のように、「日がな一日ネットサーフィンで過ごして終業時刻を過ぎてから、やおら残業に勤しむなんて、さぼっていた分給料を減額したい!」と経営者や人事担当者の方からお聞きすることもあります。

 

確かにノーワーク・ノーペイの原則により、義務を怠っていた分の給料の減額等も考えられるでしょう。

 

ただ、そうすると「バレなければいい」と私的利用の隠ぺいを助長してしまい、情報流出など大きな事故を察知するのが遅れてしまうおそれがあります

 

また仕事が暇すぎるときほど、ネット閲覧をしたくなる向きもあるようです。忙しいときは余計なことをしているのがもったいない!となるものです。

 

よって、会社(上司)としては、仕事量、進捗や担当顧客の状況など、仕事のやり方に行き詰っていないかどうか、社員ひとり一人に目配りしてあげることがまず何よりも必要です。

 

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就業時間中にぼーっとインターネットを見てダラダラ時間を過ごすよりも、仕事をテキパキ終わらせることで、実はたくさんのメリットがもたらされます。

 

たとえば、友達とごはんができる、恋人とデートができる、家族とコミュニケーションの時間を持てる、習い事に通える、勉強の時間を確保できる、映画のレイトショーに行ける・・・などなど、1日がもっとカラフルに、ワクワクしたものになりそうです。

 

こういったプライベートで経験したことや、友達や家族とふと交わした会話から、仕事のアイデアがうまれることはよくあります。毎日遅くまで仕事ばっかりに取り組んでいると、煮詰まってしまいませんか?

カメラの望遠レンズ、カメラ、スマートフォン、眼鏡、白のスニーカー、ストローハット、スケートボードが並べられている。

本当に効率の良い仕事の取組みとはどういうことなのか、職場のメンバーで考えてみることができるといいですよね。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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