![日差しが影を落とすテーブルに無造作に置かれた紫色とピンク色のチューリップ。傍らにコーヒーの入ったカップ&ソーサ。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=536x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i50085c52a191e387/version/1714032149/%E6%97%A5%E5%B7%AE%E3%81%97%E3%81%8C%E5%BD%B1%E3%82%92%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%99%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E3%81%AB%E7%84%A1%E9%80%A0%E4%BD%9C%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%B4%AB%E8%89%B2%E3%81%A8%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AF%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-%E5%82%8D%E3%82%89%E3%81%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B5.png)
欠勤や遅刻なんかを頻繁に繰り返す部下がいる。そのたびに注意しても、「遅刻した分給与から引かれてるんで(ノーワーク・ノーペイ)、何か問題あります?」と悪びれる様子がない。遅刻ぐらいで解雇なんてできない、とは聞くけれどどのくらいまで許容しないとダメなの?
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正当な理由もなく、欠勤・遅刻・早退を繰り返し、やたらと仕事から離れる(私用外出)部下に、いまにも堪忍袋の緒がブチッと切れそうな上司です。
とはいえ、解雇は社員の生活に与える影響が大きいので、会社の解雇権の行使には法的な規制があります。勤怠不良による解雇が、直ちに有効となるわけではありません。
そこで今回は、社員の勤怠不良にまつわる解雇問題について詳しく確認していきたいと思います。
勤怠不良を理由に社員を解雇できるの?
![ページが半分に折られたグラフィック誌。コーヒーサーバーとマグカップ。半分にカットされたいちごがのったお皿。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=536x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i960284b4624a9a81/version/1714032094/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%8C%E5%8D%8A%E5%88%86%E3%81%AB%E6%8A%98%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E8%AA%8C-%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E5%8D%8A%E5%88%86%E3%81%AB%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%94%E3%81%8C%E3%81%AE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8A%E7%9A%BF.png)
会社で働く社員には、労働契約で約束された労務を提供する義務があります(労働義務)。会社の指示に従い、仕事を完全にこなすことができる心身の状態で出勤しなければならない、ということです。
欠勤はもちろんのこと、遅刻・早退・私用外出といった勤怠不良は、労働契約に定める時間に労務を提供しなければならない、という約束に違反します(債務不履行)。普通解雇事由となりますし、職場の規律、ルールを乱すということで、正当な理由のない勤怠不良は懲戒解雇事由ともなります。
社員に欠勤、遅刻、早退、私用外出の権利があるわけではありませんし、一緒に働く同僚にとっても、共同作業ができないことから業務の停滞を招いてしまうこともあるからです。
ただし、相当な理由(普通だれがみてもやむを得ないと考えられる理由)のない解雇は、解雇権の濫用として無効とされます。勤怠不良による解雇が直ちに有効となるわけではなく、下記のような要素から解雇の有効性(解雇が過酷ではないか?)が判断されます。
- 勤怠不良の回数、程度、期間、やむを得ない理由の有無
- 業務に及ぼした影響
- 会社からの注意・指導はあったか、その社員の改善の見込みはあるか、本人の反省の度合い
- その社員の過去の非行歴や勤務成績
- 過去に勤怠不良で解雇になった者はいたか(先例があるか) 等
実務的にどうなる?
![ページが開かれた本に挟まれた桜の小枝。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=536x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i7180be73558c35c9/version/1714032036/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%8C%E9%96%8B%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC%E3%81%AB%E6%8C%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%A1%9C%E3%81%AE%E5%B0%8F%E6%9E%9D.png)
前段でもお伝えしましたが、欠勤等を理由とする解雇の場合、その理由、原因、回数、程度、業務に与えた影響、改善の見込みがあるか等が問われることになります。
正当な理由のない欠勤等に対し、けん責(始末書を提出させて警告を行い、将来を戒める)などの処分を重ねて、本人に態度を改めるチャンスを与えることが必要です。
これらの事実を証明できるよう、始末書をとって反省を促す一方で、日々の出退勤、勤務態度(勤怠不良含む)の記録をとっておくとよいでしょう。
ご参考までに、勤怠不良による解雇を有効とした裁判例では、下記のような旨を示しています。
- 入社して1年あまりの間に欠勤日数が約70日に及ぶ。いずれも具体的な理由を明らかにせず、個人的な事情によると言うだけ。会社が再三注意し、警告書で就業状況の改善を求めたが、これにも応じなかったために行った解雇を有効としたもの。
- 約4年間、遅刻・私用外出、早退を繰り返し、その回数は1か月あたり平均約2回(他の社員の遅刻等の回数は1か月あたり平均0.02回)に及んだ。理由をきいても「自己都合」「賃金カットでも何でもしろ」と開き直り、注意した上司を誹謗するような文書を送ったりする等の反抗的な態度をとったことを理由に解雇とした。遅刻の理由も本当にやむを得ないものであったか疑わしく、遅刻等が多いことについて他の社員に迷惑をかけているという認識もなく、賃金カットさえ受ければ遅刻等は自由と考えていたことがうかがわれること等から、この社員には誠実に働こうとする意欲が著しく欠けていたということで、解雇を有効としたもの。
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正当な理由なく欠勤・遅刻・私用外出を頻繁に繰り返し、反省や改める様子がみられない冒頭の例のような場合、その社員を解雇しうると考えられます。
ただ、もしメンタルの不調や隠れた病気が原因だった場合には、治療をはじめとする早期の対応が必要となってきます。
まずは遅刻の理由を聞いたうえで、注意指導の対応を考えることが会社(上司)に求められるでしょう。手順を踏まずにいきなり重いペナルティーを適用しないことが大切です。
![クロワッサンとコーヒーの入ったマグカップ。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=395x10000:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/id505aa3b22df607d/version/1714032013/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97.png)
![社会保険労務士高島あゆみ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=120x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i5072bbfabebed534/version/1714031998/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%A3%AB%E9%AB%98%E5%B3%B6%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF.jpg)
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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