社員に海外勤務を命じるとき注意するべき点とは

地球儀を指さす手。

海外支店の増員のため、社員に転勤命令を出す必要性が生じた。

海外との取引が頻繁に行われるようになり、数人の社員を現地へ派遣しなければならなくなった。

 

いざ業務上の都合で、社員に海外勤務を命じなくてはならなくなったとき、どのようなことに注意すればいいのか?と、戸惑われる経営者や管理職の方は多いのではないでしょうか。

 

海外で働くことに憧れや興味を持っている人の割合は、一般的にみても高いようですが、いざとなると「国内とは事情が違う海外転勤に社員が不安になり過ぎて、モチベーションが下がっていて困っている」といったお話を伺うこともあります。

 

そこで今回は、海外勤務を社員に命じるときに留意しなければならないことについて、①海外支店への転勤命令、②海外子会社への出向の2パターンに分けて確認していきたいと思います。

海外支店への転勤命令は有効?

海辺のテラス席。白のテーブルと椅子。テーブルの上にグリーンの鉢植え。

就業規則において、業務上の必要性によって転勤命令を出すことができる旨を、規定している会社は多いことでしょう。

 

ここで頭にクエスチョンマークが浮かぶのは、会社の転勤命令権が国内の事業所に限定されず、果たして海外支店にまで及ぶのか?という点ではないでしょうか。

 

海外への転勤命令によって、生活文化の異なる場所で社員に大きな負担を強いることになるからです。

こどもの教育や親の世話をはじめ、配偶者の仕事の都合等から単身赴任せざるを得ない場合など、国内の転勤と比べて負担アップは想像に難くありません。

 

もちろん、就業規則に海外支店への転勤命令を出すことができる旨の規定がある場合は、転勤命令を発令できます。

また、以前から海外に支店を設けており、海外との取引の頻度が高い企業では、社員にとっても海外支店への転勤や出張は珍しいことではなく、ある程度予測のつくところでしょう。

この場合は、海外支店への転勤も労働契約の範囲内であるとして、転勤命令の発令もできると考えられます。

 

けれど、就業規則に海外転勤の定めがなく、多くの社員も海外支店への転勤まで予測していないような企業においては、海外への転勤命令を出すには、その社員の個別的同意を得ておくことが、あとあとの無用なトラブルの回避につながるでしょう。

 

なお、語学力に不安のある人材を海外に派遣しても、会社のビジネス上の目的を達成することは難しいかもしれません。

人選の妥当性がない、として転勤命令が無効とされるおそれがないともいえないので、会社の費用負担により、事前に語学研修を受けさせる場合が多いようです。

海外出向への不安感を払しょくすること

砂浜のうえに放り出された赤のビーチサンダル。

海外子会社への出向は国内での出向と違って、言語、文化、習慣の異なる環境で日々生活して、仕事をこなすことになります。

いろいろな不都合や不自由があることでしょう。

 

いざ海外出向を命じてから、社員に不安感を与えることのないよう、あらかじめ就業規則に「業務上の必要があるときには、海外出向を命じることがある。この場合には正当な理由なく拒否することができない」旨を規定して、入社時から社員へ丁寧に説明しておくことが大切です。

 

また、就業規則とは別に「海外出向規程」を作成して(本則に入れると長くなり、別規程にするほうがわかりやすいので)、

  • 出向期間
  • 出向中の給与をはじめとする労働条件
  • 健康(医療)保険
  • 一時帰国に関する規定
  • 語学研修など出向前の研修内容

などといった、海外出向についての内容をしっかり規定することで、社員の不安感を払しょくすることです。

具体的な出向者を決定する場合には、適切な人材を選ぶことが大切です。それとともに、海外出向によって大きな不利益を受けるような人選を避けるよう、十分な配慮が求められます。

 

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海外支店への転勤、海外子会社への出向、いずれにしてもその目的は海外マーケットの需要を呼び起こして、ビジネスチャンスを掴むことにあります。

現地で派遣した社員に活躍してもらうためにも、まずはいらぬ不安感を払しょくすることからです。

さまざまなケースを想定して、労働条件など社員の現地での働き方を事前にしっかり考えておくことが、ひいてはビジネスの発展につながると思います。

ピンクのガーベラ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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