職場では、社員同士が職場コミュニティをつくり、人間関係を築いています。あえてケンカしたいとは思わないまでも、やはり人間同士の集まり、人間関係上の軋轢、ハラスメント、もめごと、トラブルetc.・・・が生じます。
会社には職場環境配慮義務があり、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど職場でのいやがらせ防止等などが求められています。
「法律で決まっているから会社がやらないといけないのか」
・・・と思われるかもしれませんが、ハラスメントによる社員の意欲ダウン、優秀な人材流出、訴訟リスク・・・といったことを考えると、経営に与える影響は甚大です。
そこで今回は、会社が気をつけたい「職場のハラスメント」対策について、詳しく確認していきたいと思います。
会社に対策が課せられるハラスメント行為とは
会社に対して職場環境配慮義務が課せられる、職場におけるハラスメント行為は下記のとおりです。
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- 妊娠・出産等に関するハラスメント ※マタニティハラスメント(マタハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)、ケアハラスメント(ケアハラ)と言われることもある
- 育児休業等に関するハラスメント
「会社は“職場におけるハラスメント”に対応しないといけない、ということなら飲み会での発言なんかは不問だな(飲みの席でいちいち気をつかっていられない)"(-""-)"」
・・・このような認識をされているのなら注意が必要です。
ここでいう職場とは、会社が雇用する社員が仕事を行う場所を指し、社員が通常働いている場所以外の場所であっても、社員が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれるからです。
勤務時間外の「宴会」「懇親の場」などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当します。とはいえ、その判断にあたっては、職務との関連性、参加者、参加が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
また対象となる社員は、正規雇用だけでなく、パート社員、契約社員なども含み、会社が雇用するすべての社員です。派遣社員については、派遣元だけでなく派遣先も対応措置を講じなくてはいけません。
ハラスメント対応は人事施策のひとつ
職場におけるハラスメントは、セクハラに限らずパワハラ、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児休業・介護休業に関するハラスメントなどと複合的に発生することも予想されます。
そのため、会社は一元的に相談に応じられる体制を整備し、社員に明らかにすることが望ましいとされています。
また、ハラスメントは社内だけでなく取引先や協力先といった社外からも受ける可能性があります(カスタマーハラスメント)。
逆に、自社の社員が他社の社員に行う場合もあり得ます。いずれも、一方的な決めつけをせずに事実確認を行い、再発防止策を講じることが必要です。
ハラスメントによる社員の意欲低下や(直接ハラスメントを受けていない社員の士気も下がります)健康状態の悪化は、職場環境の悪化、生産性の低下につながります。
それだけでなく、裁判によって違法と判断されて企業や加害者の損害賠償責任が問われることになれば、経営的にも大きなマイナスとなります。
会社にとっては、ハラスメント防止に取り組む必要性が高まってきており、今後はハラスメント対策を「特別なこと」としてではなく、人材マネジメントの一環としてとらえていくことが求められます。
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パワハラについては、セクハラと異なって仕事上の指導・教育と区別しづらいところがあります。
日本では、会社(上司)に社員に対する指導教育、態度や言動が社会人として不適格な場合には改善努力するべきことが求められているからです。
苦情への対応については、公平なヒアリングなどから慎重に行うことが大切です。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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