![ベリーとラズベリーのタルトケーキのお皿。フォーク。キッチンクロス。隣にピンク色の背表紙の本。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/iae19ab704f8b8dd1/version/1712123495/%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%82%BA%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9A%BF-%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF-%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9-%E9%9A%A3%E3%81%AB%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AF%E8%89%B2%E3%81%AE%E8%83%8C%E8%A1%A8%E7%B4%99%E3%81%AE%E6%9C%AC.png)
「会社が社員を解雇しようとするときには、30日の解雇予告期間が必要なのに、社員が無断で会社を辞めるのはいいの?」
社員が会社を辞めるときには、上司(会社)に申し出る→仕事の引継ぎをしっかり行い、会社からの承諾を得る→退職日を迎える・・・という流れが原則です。
ただ、そのようなプロセスを踏まないで、突然「いついつに会社を辞めます」と社員が一方的に宣言したり、断りなく退職して他社で勤務する・・・といったケースも時として見られます。
社員が無断で退職したことによって、大わらわになった上司、同僚、人事部の方々が冒頭のような疑問を持つのも当然といえます。
そこで今回は、社員が一方的に無断で会社を辞めるといったことは、法律的に有効なのかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
社員は自由に退職できる
![セットの重ねられたカップ&ソーサ。の横に積まれた本。クッキーがのったお皿。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i5adc2b869fcf55fd/version/1712212393/%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E9%87%8D%E3%81%AD%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B5-%E3%81%AE%E6%A8%AA%E3%81%AB%E7%A9%8D%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC-%E3%82%AF%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%81%8C%E3%81%AE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8A%E7%9A%BF.png)
会社から社員に対して、労働契約の解約を一方的に通告して辞めさせる「解雇」については、法律上の厳格な規制があるのは、みなさんご存じの通りです。
ところが、社員の方から一方的に辞めることについては、法律上規制がありません。期間の定めのない契約はいつでも退職を申し出ることができます。
民法によれば、社員が退職を申し出た(解約の申入れ)日から2週間を経過することによって、労働契約は解除されるとしており、会社の「承認」や「許可」を要件としていません。
それでは、就業規則にたとえば次のような旨を規定するのはどうでしょうか?
「社員が自己都合で退職するときは、原則として退職予定日の1か月までに、会社に申し出なければならない。」
これについては結果として、たとえ1か月前までの申出を定めたとしても、本人の退職の意思が固ければ、会社の承諾がなくても原則として、2週間(14日)経過後に労働契約は終了することとなります。
就業規則で突然の退職を予防する
![ページが開かれた本の上に置かれたパンジーとラベンダーのミニブーケとコーヒーの入ったマグカップ。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/ic078fdbc1646625c/version/1712212393/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%8C%E9%96%8B%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97.jpg)
それでは、先のような規定を就業規則に定めるのは、無駄なのか?というと、そうではありません。
就業規則に1か月前までの退職の申出を定めることの趣旨は、むしろ急な退職の申出(辞職)を抑制することにあります。
会社としては、後任者に仕事の引継ぎをきちんと行ってくれるかどうかが、最も気がかりです。引継ぎがないまま突然退職されると、残されたメンバーに過度の負担をかけることになってしまうからです。
そこで退職が合意解約の結果であるなら、その退職の時期は、会社とその社員本人の合意で定めることができます。この場合の退職日は、「会社が承認した日」とすることもできます。
また、退職の申出(退職願の提出)を14日より前に求めることや、退職時期をたとえば1か月後とすることも問題ありません。
ただし、あまりに長い予告期間を設けることは、社員の退職の自由が極度に制限されることになり、不当に拘束することにつながりかねないので、注意する必要があります。
※上記の内容において、用語について簡単に補足します※
- 辞職→社員が一方的に退職を通告するもの(退職日は退職を申し出て2週間を経過した日)
- 合意解約→退職の時期を願い出るもの(退職日は会社が承認した日、もしくは会社と社員の合意で決定した日)
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社員の退職に際して、会社と後任者にとって気がかりなのは業務の引継ぎです。そのため、社員の退職が決まった場合でも、業務の引継ぎをきちんと行い、退職日を迎えるまで誠実に勤務する旨を就業規則に定めておきたいところです。
退職日までは、同じ職場で同じ目標に向かって仕事を行う仲間です。「自分の大切な仕事を次の人へバトンタッチする(しかもできるだけスムーズに!)」ということをみんなで共有しておきたいですね。
![真っ赤ないちごがたくさん盛り付けられたガラスの器。アイスラテのグラス。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=418x10000:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i1d1b1c9b612b9cf5/version/1712037993/%E7%9C%9F%E3%81%A3%E8%B5%A4%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%94%E3%81%8C%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%95%E3%82%93%E7%9B%9B%E3%82%8A%E4%BB%98%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%99%A8-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%86%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9.png)
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■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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