メタボ社員をダイエットさせなければいけないですか?

ヘルスメーターの前に赤いリンゴ、黄色いパプリカ、セロリの緑色の葉が並んでいる。

GWも明けた5月。新年度が始まってからの慌ただしさを乗り越えて、気持ちもようやく落ち着く頃ですね。

 

この季節、以前なら新入社員に多くみられる5月病についてのご相談をよく受けたものでした。会社には社員への安全配慮義務があるので、人事部門や総務部門では社員の健康問題に頭を悩まされることも多いかもしれません。

 

この社員の健康問題で、最近ご相談をお受けすることが増えたなあ、と思うトピックは「メタボ社員の健康管理」です。

製造業の経営者から、現場社員についてこんなご相談がありました。

 

「入社5年目の社員がメタボ気味なんです。入社してきた頃は比較的スリムだったんですが・・・。体形がデカくなった分作業スペースも狭いようで、効率も落ちている。真夏の工場は暑いので、他の社員よりバテやすくて体力の消耗が激しい。もし作業中に倒れたりしたら、事故やケガにつながります。体形のことだけになかなか本人にも言いづらいですが、強制的に痩せさせる必要がありますよね?」

 

今回は、メタボ社員の健康管理についてみていきましょう。

健康管理には本人の努力も必要

赤いリンゴに巻き尺が巻かれている。メタボ測定のイメージ。リンゴ型体形。

会社には毎年健康診断を実施して、社員の健康に配慮する必要があるので、メタボ社員への対応は悩ましいところです。

 

冒頭の相談内容にもあったように、メタボ社員が体調を悪化させて現場で倒れ、事故が発生すれば大変です。労災認定されれば、会社側に社員への安全配慮義務が欠けていたとして、損害賠償を求められるリスクもあります。

 

けれどメタボ社員の健康診断の結果が悪く、必要とされる再検査も受けていない状態で起きた事故だったとしたら。会社には安全配慮義務があるといっても、同時に本人も自己保健義務を負っています。これを忘れてはいけません。

 

ですから社員の健康について、会社がすべて責任を負うのではなく、本人にも自覚を促すために「日頃から自らの健康を保持、増進、傷病予防に努めること」と就業規則に自己保健義務を規定しておきたいですね。

再検査を強制させたい

診断書のうえに聴診器が置かれている。

「ではメタボ社員に強く自覚してもらうためにも、健康診断で再検査や精密検査が必要とされた場合、受診を強制しないと。受診しなかったらペナルティーを課すことぐらいしたほうがいいんじゃないのか?」

 

メタボ社員に自己保健義務を常に意識してもらうため、このように思われた方もいらっしゃるかもしれません。

 

健康診断の結果、社員に異常の所見がある場合、会社は仕事の軽減や配置転換などしかるべき措置をとらなければなりません。そのためにはできるだけ詳しい情報があったほうが、より適切な対応ができます。その情報を収集するために、再検査や精密検査が行われることになります。

 

再検査や精密検査は法的にこのように位置づけられるので、受診の強制やそれに違反した場合のペナルティー発動は、慎重になったほうがいいと思います。

もちろん就業規則において、受診義務を規定すること自体はOKです。

メタボ社員の健康づくりを応援する方法

色とりどりの新鮮な野菜たち。キャベツ、小松菜、人参、なすび、じゃがいも、トマト、たまねぎ、さやえんどう、きゅうり。

このようにメタボ社員の健康管理は、会社にとっても手のかかることです。

 

そこで「社員を縛る就業規則」を採用する会社では、「(事故を含む仕事上の問題が発生しても)一切会社には請求しません」との誓約書を書かせることも多いようです。

けれどこのような誓約書を会社へ提出させても、会社の社員への安全配慮義務が免責されるわけではありません。

 

「1か月以内に5㎏減量できなかったら、来月の給料を減額する」といったルールを定めるのはどうでしょうか?

こんなルールをつくれば、人手不足の時代に貴重な人材(メタボ社員)が辞めてしまうかもしれません(もちろん法的にもNGなルールです)。問題の解決にはつながりませんよね。

 

一方、「社員が動く就業規則」を採用する会社では、「どうやったら自分から行動するようになるだろう?(メタボ社員なら、どうすれば自分からダイエットするようになるか)」との発想で問題解決の方法を考えています。

たとえば会社周辺の、社員が昼食時によく利用する飲食店の主なメニューのカロリーを公表したり、社員向けに野菜の多いお弁当を手配することも方法のうちとして考えられますよね。

 

インターネットで調べるだけでも、企業のメタボ社員対策が見つかります。例えば以下の通り。

 

  • ダラダラ歩きではせっかくのウォーキングもメタボ対策には効果が低い、とのことで廊下に歩幅の目安となる輪(ピッチサークル)を描いている企業
  • メタボ社員(とその予備軍社員)を対象に宴会での適正な飲み方や食べ方、運動のコツを教える「メタボ合宿」を実施する大手飲食品企業

 

解決に向かうアイデアの参考になりそうですね。

問題解決をルールやペナルティーによって考えると、一時的な効果は高いでしょうが、規制が多いので中長期的には息苦しい職場になってしまいます。自発的な行動を促す方法は、少々頭をひねってアイデアを考える必要がありますが、結果として前向きな解決につながることが多いです。

 

あなたの会社では、メタボ社員の健康づくりをどちらの方法で応援したいでしょうか?

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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