休職期間の満了で自然退職とするのは有効ですか

パソコンのキーボード、スマートフォン、イヤフォン、電卓、マウス。

「現在の就業規則では、“休職期間の満了時になお休職事由があるときは退職とする”とあるのですが、そんなことしてもいいのですか?(かわいそうじゃないですか?)」

 

就業規則を見直すためのコンサルティングで、このようなご質問をいただくことがあります。休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然休職が解除されて復職となりますが、問題は休職期間が満了しても復職できない場合です。

 

結論からお伝えしますと、そもそも休職とは解雇を猶予する措置をとる制度ですから、休職期間が満了しても復職できない場合について、冒頭の例のようにあらかじめ就業規則に明記しておくのが望ましいといえます。

 

とはいえ、休職制度の趣旨についてあいまいな理解でいると、休職中の社員に適切ではない、あやふやな態度をとってしまいがちです(のちのちのいざこざの原因になります)。

そこで今回は、休職期間満了による自然退職は有効なのかについて、詳しく確認していきたいと思います。

休職制度の本来の趣旨

木製のデスクに置かれたリングノート、手帳、ボールペン。観葉植物のグリーンの小枝。

休職とは、社員側の事情によって仕事に従事させることができない、または不適当な状況が発生した場合に、会社がその社員に対して労働契約関係そのものは維持させながら、一定期間の就労義務を免除することをいいます。

 

たとえば、就業規則の規定から、私傷病(業務外で発生したケガや病気)によって欠勤が長期間にわたる場合に「休職」処分にする、といったケースがあります。

 

この場合、「休職期間中に休職事由が消滅せず復職しないときは自然退職とする」との旨を定めることはできるのか、というのが今回のテーマです。

(なお、自然退職とはあらかじめ定められた契約内容にもとづく退職のことです。定年による退職と同じです。)

 

これについて、一般的に休職は「解雇猶予の制度」と解釈されていることがポイントとなります。というのも、もし正常な勤務ができない状態にあるなら、労働契約で約束した労務提供ができないということであり、社員の債務不履行になるからです。

 

つまり本来なら、普通解雇事由の「傷病により長期にわたり業務に耐えられないとき」に該当するところを、休職期間に療養して将来的に労務提供できる状態に治ゆすることを期待して、解雇を猶予するものです。

就業規則の規定の意味

テーブルに広げられた洋書と色とりどりの花たち。

本来は、直ちに解雇事由となるべきところを一定の猶予期間を置いて、回復状態を待つというのが休職制度ですから、休職期間が満了しても復職できないときは、解雇または退職の猶予期間が経過したので、期間満了時に退職または解雇となります

 

就業規則で私傷病による欠勤が長期にわたる場合、「休職」とし、「休職期間中に休職事由が消滅せず復職しないときは自然退職とする」旨を定めるのは、これらのことを規定しているというわけです。

 

法律的には、下記のような取扱いが行われているならば、定年と同じように終期の到来による労働契約の終了ということで、解雇の問題は生じないと解釈されています。

  1. 期間満了の翌日など、一定の日に雇用契約が自動終了することを、就業規則に明記している
  2. かつ、その取扱いについて就業規則どおり実施し、例外的な運用や裁量がなされていない

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休職は法定事項ではないので、その制度の内容や対象者などは会社が独自に決定できます(たとえば、試用期間中の社員やパート社員など、長期雇用を前提としてない社員を適用除外とすることも可能)。

 

会社にとっては、休職は単に職場復帰を待つだけではなく、職場復帰後も継続して雇用するための制度です。そのため、社員には解雇を猶予される代わりにきちんと療養に専念する義務があるといえます。

 

会社と社員の間で制度の趣旨について、しっかり共有して前向きな職場復帰策を考えたいですね。

パリブレストがのったお皿と紅茶の入ったティーカップ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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