連絡がとれなくなった行方不明の社員、会社の対応はどうする?

パソコンのキーボード、スマホ、イヤホン、ダブルクリップ。コーヒーの入ったカップ&ソーサとストロベリーチョコ。無造作に置かれたピンクのバラの花。

「先日、社員がこれまで住んでいた寮から自分の荷物をまとめて、突然出て行ってしまいました。これはもう退職したものとして、社会保険などの手続きをしてもいいのでしょうか?」

 

数年おきに何度かのサイクルで、「居なくなった社員さん」についてご相談をいただくことがあります。

 

社員寮から荷物をまとめて居なくなった、というようにその会社で働く意思のないことを態度で表明した、と思われる場合には、「黙示の退職の意思表示として取り扱って問題ない」との旨が通達によって示されています。

 

ただ、「居なくなった社員さん」について問題なのは、連絡がとれず行方不明になった場合です。単に行方不明になっただけでは、前述のように取り扱うわけにはいかないからです。

そこで今回は、行方不明になった社員をどのように取り扱ってよいのか、詳しく確認していきましょう。

行方不明では解雇予告ができない

スケッチブックとピンクのカーネーションとチューリップ。

社員が「会社を辞める」との意思表示をするわけでもなく、何の連絡もないまま突然出社しなくなってしまった・・・このように単に行方不明になっただけでは、法律的に退職が成立しないので、会社として退職の手続きを進めるわけにはいきません。

 

そのため、無断欠勤などを理由として解雇することになりますが、ここで大きな問題に直面します。

 

それは、解雇の場合には、「あなたを解雇します」という会社の意思表示が相手方に到達しなければ効力が発生しない、ということです。ところが相手は行方不明なので、その意思表示は届きようがない・・・。

 

そこで、民法に定める「意思表示の公示送達」という手続きが必要となります。これは、意思表示を相手方に到達させたいけれど、相手方の住所が分からないので意思表示を到達させることができない場合に、その意思表示を到達させるための手続きです。

 

簡易裁判所に公示送達の申し立てをすることになりますが、もちろん手続きには手間と費用がかかります。

そのため、もっと穏便にできないか?そうだ、就業規則に「自動退職制度」を定めておこう、との発想が浮かんできます。

就業規則に自動退職制度を定める

デスクに広げられたノートとボールペン。パソコンのキーボード、スマホ、イヤホン。無造作に置かれたピンクのチューリップと白のバラ。

自動退職制度とは、たとえば「行方不明による欠勤が30日に及んでなお連絡がとれず、所在不明のときはその翌日をもって自動退職とする」といった旨を就業規則に定めて処理することです。

 

さて、こういった規定を定めることは、法律的に許されるのでしょうか?

 

ここで参考になるのが、休職期間満了による自動退職についての裁判例です。その内容を簡単にまとめると、休職期間満了による退職は定年による退職と同じように、あらかじめ定められた雇用契約の終了として取り扱うことができる、との旨が示されています。

 

このように、「“行方不明”という事由発生」→「一定期間の経過」→「雇用契約終了の事由が成立」という一連の流れによる自然退職制度も有効であり、不合理な制度とはいえないと解釈されます。

 

また、期間も30日~60日間程度であれば不合理とはいえず、また解雇予告期間の30日(労基法第20条)とのバランスを考えても不適当とはいえないでしょう。

 

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ある日突然、社員が出社してこなくなり、連絡もとれないとなると、本人の安否が心配ですし、会社としての対応をどうとるべきなのか、慌ててしまいますよね。

 

そういった事態が起こりうることを想定して、就業規則にあらかじめ規定しておくこと。いざというときにも冷静に対応できる、心の余裕が生まれると思います。

カーネーションとユリのブーケ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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