就業規則を作って終わる会社、作って活かす会社

パソコンのキーボードの前に文房具が少々散らかっておかれている。メモ、付箋、ペン、クリップ、コーヒーの入ったマグカップ。

10人以上の社員を抱える会社には、就業規則の作成義務があることは、みなさんご周知の通りです。けれど就業規則を作成しても、「作って終わる会社」と「作って活かす会社」があるのは知っていますか?

 

忙しい合間を縫って、やっと就業規則を完成させた。社員にしっかり説明しなければ、と思いつつもすでに手帳は取引先からのアポでいっぱい。ここ最近は就業規則の完成を優先させていたから仕方がない。「これみんなで読んでおいてな」とりあえず職場のフロアに就業規則を置いておこう…。

後日、就業規則を読んだ社員から突然「明日休みます。年休とっていいんですよね!」との申し出。

忙しいときに社員に権利主張されて、こんなことなら作らなければ良かった・・・と、就業規則の作成にかけた時間や労力、コストを悔やむ会社。

 

一方、就業規則の作成をきっかけに「こういう理由があるから年休取得のルールがあるんですね」「だったらみんなが年休をとれるように、あの仕事はこうしたらどうでしょう」など、社員からの理解やアイデアを得て、仕事のやり方を見直して生産性がアップした会社。

 

この2つの会社の違いはどこにあるのでしょうか。

就業規則を作って終わる会社

就業規則を広げて、読み進める女性社員。難解なところがあるのか、首をかしげて思案している様子。

会社と社員の間で、就業規則の定めるルールについて理解が食い違えば、当然ながら運用はうまくいきません。

「理解の差」ができやすいのは、日常的な社員の待遇へ直結する、年次有給休暇や残業代などについて。会社にとっては日々の忙しさに紛れて、なんとなくウヤムヤにしたいトピックスかもしれません。

 

なぜ会社がウヤムヤにしたいか、その大きな理由は、「社員みんなが年休をとって稼働率が下がると困る」「残業代の支払いで利益を食ってしまっては経営が立ち行かない」からです。

決して「社員に年休を取らせたくない」「残業代を支払いたくない」との理由ではないはずです。

ここに会社と社員の理解のギャップがあります。

けれど「好き放題に年休で休む社員➡日中の稼働率が下がり、その分深夜残業➡利益が残業代で食ってしまってボーナスが出ない」というような悪循環は、社員も望んでいないはずですよね。

 

「稼働率を下げずに年休をとるため」のルールや、「むやみな残業を見直しても、なお必要に迫られて行った残業に対してはきちんと残業代を支払う」との会社の意思を定めたものが就業規則であること。

就業規則を作って終わる会社は、これらを社員に十分理解させていないために、権利の主張が先に立つ残念な結果を招いてしまうのです。

就業規則を作って活かす会社

コーヒーブレイクしながら笑顔の女性社員。パソコン作業の途中。ブラインドから明るい日差しがオフィスに差し込んでいる。

就業規則を作って活かす会社は、社員の権利とともに、会社を伸ばすためにとるべき行動をしっかり社員へ伝えています。

 

「年休も当然取っていい。残業代もきちんと支払う。でもそれをいいことにみんなが好き放題に休んだり、ダラダラ残業ばかりやっていては会社の経営は成り立たない。経営不振になって、たとえば整理解雇なんてことは誰も望んでいないはずだ。

 

だから生産性を上げるには、どうしたらいいかをみんなで考えて欲しい。

年休をとるな、といっているのではなくて、年休を取るなら自分の仕事の引継ぎが必要だ。そのためには周りのスケジュールを考えながら代替要員がいる。その調整のための猶予として、年休の申請は1週間前にしてほしい。これを就業規則にルールとして定めている。

 

それだけでなく、仕事の引継ぎをスムーズに行うためにも、チームでそれぞれの仕事内容を日常的に共有してほしい。

残業にしても、スピーディーに仕事を終わらせることだけを考えるのではなくて、そもそもやる必要のある仕事なのか、ということを見直してほしい。」

 

そのため社員が理解できて、「こうすればもっと部署間のやりとりがスムーズになる」「ここをメンバー全員が押さえておけば誰でもできる仕事になる」など、会社全体で仕事のやり方を見直すチャンスを掴んでいます。その結果、生産性の高い働き方を実現できているのです。

作った就業規則を活かすには

就業規則を笑顔で読み進める女性社員。しっかり説明を受けているので理解がはやい様子。

このように会社と社員の理解のギャップを埋めるには、就業規則をしっかり社員へ説明することが大切です。

 

就業規則は、社員のやる気を引き出し、会社を伸ばすための行動を導くもの。就業規則への社員の理解がなければ、本来の目的を果たすことができません。

また就業規則に定めたルールや制度をうまく軌道に乗せるには、その背景や目的について社員をどれだけ納得させられるかにかかっています。

 

ですから忙しくても必ず時間をとって、就業規則の社員説明会を開催することをお勧めします。

そのための事前準備にはなるべく手間取らず、スムーズにサクサクと進めていただきたいとも思います。

 

そこで、「説明文書作成ワークシート」をご用意しました。

このワークシートを活用すれば、社員に説明するべきこと、また社員に伝えたい制度の背景や目的、想いなどを整理することができます。

また事例がついていますので、参考にしながらワークに取り組めます。

ぜひダウンロードして、活用してみてくださいね!

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

≫詳しいプロフィールはこちらから

伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。ノートパソコン、スマートフォン、ボールペン2本、ピンク色の付箋
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。パソコンに集中して打ち込む社員。
無料コンテンツ。デスク上にコーヒーカップと文房具。
社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみへのご依頼はこちらから