「これから注力したい商品づくりのための資材が、供給元の都合でどうしても当社の終業時刻間際になってしまうとのこと。資材搬入のたびに残業になってしまうのも何なので、昼休みを2時間にして対応するのは問題ありませんか?」
つまり、終業時刻を1時間今よりも後ろにずらして業務に対応するため、現行の休憩時間1時間を2時間にしたいということですね。
勤務時間の途中でわりと長い時間の手空き時間がある業務形態では、同じようなお悩みをお持ちかもしれません。
労基法では、与えるべき休憩時間の長さの最低ラインを規定しているので、最長の長さについては規制していません。ただし、考えないといけないのは、途中の休憩時間が長くなると必然的に拘束時間が長くなってしまうという点です。
そこで今回は、休憩時間を2時間に設定するにあたって検討しておくべきことについて確認していきたいと思います。
今年のゴールデンウィークは、最大で10連休にもなるようなカレンダーの並びですね。これだけ長い期間ともなると、合間に商談などのため、出張に出かけなくてはならない場合もあるかもしれません。
そこでよくいただくのが、「出張期間中に休日があった場合はどう取り扱えばいいですか?」というご相談です。
たとえば、出張期間の中日に日曜日があるような場合は休ませないといけないのか(それなら出張に来た意味なくない?)、ただでさえ出張スケジュールをたてるのは大変なのに、頭がぐるぐるします・・・といったことを経営者や管理職の方からお聞きします。
そこで今回は、出張期間中であっても休日には社員を休ませないといけないのか、その取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
「退社時に『俺のも押しといて』と、同僚にタイムカードを押させる社員を見かけては注意しています。他人に自分のタイムカードを押させるなんて許されないですよね?」
同僚と同じタイミングで退社するときに、ズボラして自分のタイムカードも一緒に押してもらう・・・というのは容易に想像できますが、違法行為とまでは言わないにしても、決してよい行動とは言えませんよね(^^;)
というのも、労働時間マネジメントのためタイムカードの打刻は正確に行われないといけないので、不正打刻は許されないからです。単なるズボラというのではなく、他人による不正なタイムカードの打刻は完全にアウトです。
そこで今回は、タイムカードの不正打刻の問題について詳しく確認していきたいと思います。
この記事のタイトルをご覧になって、どうも腑に落ちない、なんだかひっかかると思われる方もいらっしゃるかもしれません。
「ワークとライフ、仕事とプライベートのどちらかなんて選べない、そんなのどっちも大切に決まっているよ!」といった意見は、いまの時代ではとても多いでしょう。
とはいえ、会社の残業命令(ワーク)に社員が「NO」を突き付け、自分の都合(ライフ)を優先させる・・・なんていうことはできるのでしょうか?
なぜなら、就業規則に時間外労働のあることが規定されており、かつ、36協定が結ばれていれば、原則として社員はこれに応じないといけない義務があるからです。
そこで今回は、仕事と私用のどちらが優先するのか、詳しく確認していきたいと思います。
「ヤバっっ!新年度のバタバタで36協定の手続きをスッカリ忘れていた!!気がついたら有効期間(←いつも締結している日付)をだいぶ過ぎている!!((((;゚Д゚))))
・・・36協定って日付をさかのぼってもいいのかな?」
企業の総務部や人事部の担当者にとって、背筋が凍りつく瞬間です。なぜなら、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて社員に時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結と労基署への届け出が必要だからです。
冒頭のような事態が発生しないに越したことはないのはもちろんですが、あとでカバーすることが可能なのかどうかは、気になるところではないでしょうか。
そこで今回は、36協定の日付を遡及しても有効になるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社の就業規則には“法定労働時間”と“所定労働時間”というワードが出てくるのですが、どう違うのですか?」
言葉は似ていても、“法定労働時間”と“所定労働時間”の意味合いは全く異なります。
36協定の時間外労働の制限の適用も、法定労働時間を超えた時間が対象なのであって、所定労働時間を超えた時間ではありません。
長時間労働は社会的な問題(過労死など)ですし、ココロとカラダの健康管理やワーク・ライフ・バランスの観点からみても、労働時間マネジメントの基礎的事項を押さえることは、ビジネスパーソンとしての必須課題といえます。
そこで今回は、“法定労働時間”と“所定労働時間”の違いとはどんなことなのか、詳しく確認していきたいと思います。
「勤務時間について自己申告制をとっている部署がありますが、実際は記録よりも遅くまで働いているようです。会社として正確な労働時間を把握するために、社員のパソコンの起動・終了時刻をチェックしようと思うのですが、本人らに断りなくやって問題ありませんか?」
労働時間の「自己申告制」は、社員に労働時間を自主的に記録させて、どれだけ働いたのかを自己管理させる方法です。ただ、いつの間にか労働時間が長くなる傾向があり、管理職や人事担当者には、本人にまかせっきりにしないで労働時間をきちんと把握することが求められます。
そのため、冒頭のようなご相談をいただくわけですが、「プライバシーの問題が発生するのでは?」と、みなさん不安に思われるようです。
そこで今回は、社員の労働時間の把握をしっかり行うため、会社側が社員のパソコンを無断でチェックしてもいいのか問題について、確認していきたいと思います。
商品到着の遅延で売り場に陳列できない。待っているだけで何もすることがない。なのに、やっと商品が搬入されてきたら、「昼休憩の時間だから」とパートさんもアルバイトくんもランチに行ってしまった。
午前中は何もすることがなかったのだから、休憩しているのと一緒じゃないの。私ひとりで陳列作業するハメになって・・・"(-""-)"
(小売業 リーダー職26歳 談)
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店舗へ商品が到着しないのでそれを待っている時間は、休憩時間と同じようなものなのだから、その分ランチ休憩を削って商品の陳列を優先してほしい・・・というのが、リーダー社員の心の叫びです。
その気持ちはよく分かるのですが、注意しないといけないのは、休憩時間かどうかの判断基準についてです。
というも、休憩時間とは単に作業に従事しない時間をいうのではないからです。そこで今回は、商品の到着を待つ時間を休憩時間としていいのか、ダメなのか、休憩時間かどうかの判断基準について詳しく確認していきたいと思います。
「仕事が終わっているのに同僚らとおしゃべりでもしているのか、タイムカードの打刻時が終業時刻よりだいぶ後の社員がいて、対応に困っています」
コンサルティングをしていると、タイムカードの打刻にまつわるお悩みを伺うことがありますが、実は、これは注意してあたらないといけない案件です。
というのも、「部署の懇親会のため(タイムカードの打刻が遅くなった)」「社内の部活動のため」「本人の私用によるため」といったことを会社側が立証しない限り、タイムカードの打刻時近くまで働いていたものとして取り扱わなければならないからです。
このことから会社は、社員の労働時間マネジメントをしっかり行わないといけないことがわかりますね。そこで今回は、タイムカードの取扱いで問われる会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「顧客の都合でどうしても当社のフレキシブルタイムに重要案件の打ち合わせが入ってしまったが、法的にいいのだろうか?」
フレックスタイム制には通常、コアタイムとフレキシブルタイムの時間帯があります。コアタイムは必ず勤務しなければならない時間帯ですから、この時間帯に会議や打ち合わせを予定することには問題なしです。
ただ、フレキシブルタイムは社員が自由に出勤・退勤の時刻を選択できる時間帯なので、会社側が「会議や打ち合わせに参加しなさい」と、時刻を指定しての勤務命令はできないのでは?との疑問が浮かんできます。判断に迷われる管理職の方も多いでしょう。
とはいえ、仕事上どうしても取引先が来社することはありえますし、その時間帯がフレキシブルタイムだから担当者は不在、というのでは会社の対応として不合理ですよね。
そこで今回は、フレキシブルタイムに会議や打ち合わせを予定することに問題はないのか、会社がとるべき対応についてみていきたいと思います。
「新幹線や在来線を使う地方への出張が社員から敬遠されがちです。日帰り出張では帰宅時間が遅くなるのに残業代も出ない、といった不満を聞きます。訪問先の都合から時刻指定で乗車してもらうこともあるので、移動も労働時間としてカウントするべきでしょうか」
交通機関に乗っている時間を労働時間としてカウントするのか?というご相談はよくいただきます。出張で遅い時間に帰ってくるのに、残業代を出さなくていいのだろうか・・・と後ろめたく思われる管理職や人事担当の方もなかにはいらっしゃるようです。
出張の疲れによる社員さんの愚痴を聞くと、どうしてもそう感じてしまうのが人情というものですよね。ですが、まず大切なのは労基法上ではどのように取り扱うのか?について正確に把握することです。
そこで今回は、出張中において単に交通機関に乗っているだけの時間は労働時間としてカウントされるのか、確認していきたいと思います。
「自分の生活スタイルを崩したくない、との理由から変形労働時間制で働きたくないという社員がいます。プライベートを持ち出されると強く言えず、これを認めないといけないのでしょうか?」
感染症対策と経済活動の両立を図るため、法定労働時間の柔軟な枠組みをめざす変形労働時間制を職場に導入するケースもあるでしょう。
業務の繁閑にあわせて労働時間の効率的な配分を行い、全体として労働時間を短縮することができるからです。
そんな会社側の思いとは裏腹に、変形労働時間制のもとで働きたくない社員が出現すると、対応に戸惑ってしまいますよね。その理由を真摯に聞けば聞くほど、「会社として何か配慮が必要なのか?」と悩まれる人事担当者の方もいらっしゃるようです。
そこで今回は、変形労働時間制で働きたくない社員を会社は認めないといけないのか、その対応について詳しく確認していきたいと思います。
「ランチは、午前の仕事をあらかた片付けてから、自分のペースでとりたい」
「平日に出勤するよりも、休日のオフィスの方が落ち着いて仕事ができるので、休日に出勤して仕事したい」
フレックスタイム制が導入された職場では、このように“休憩も休日も自由に自分で決めたい”との声が上がることは想像に難くありません。
ですが、フレックスタイム制は、始業・終業時刻のみを社員が自分で決める労働時間制なのであって、休憩や休日についてはフレックス制とはなっていません。
とはいえ、たとえば11時30分に出勤してきたフレックスタイム社員に対して、ほんの30分後に「昼休憩は12時から1時間と決まっているので必ずランチにしてください」というのも現実的ではなく、柔軟性に欠けますよね。
そこで今回は、フレックスタイム制で休憩時間や休日をどのように運用すると、フレックス制のメリットを活かすことができるのかについて、みていきたいと思います。
「会社に社員の労働時間を把握する義務があるとはいえ、みなし労働時間制でも把握しないといけないなら、みなし制にする意味ってなくないですか?」
コンサルティングのなかで、なかなか鋭いごもっともな質問をいただきました。
会社に課せられた、労働時間にまつわる法律の規定に違反することのないよう、会社は常に労働時間を把握して、社員にいま何時間働かせているのか、法律上で許容されるタイムリミットまであと何時間なのかを知っておく必要があります。
とはいえ、オフィスを出てセールスする営業職などでは、労働時間の算定が一般的に難しいため「みなし労働時間制」をとるわけであって、前述の内容と矛盾しますから“なんのこっちゃ?”となりますよね。
そこで今回は、みなし労働時間制をとっている場合でも、会社には労働時間を把握する義務があるのかどうか、詳しく確認していきましょう。
社員の勤務する場所が、本社や店舗、あるいは工場など、それぞれ別拠点にある場合も多いでしょう。そこで気をつけておきたいのが、36協定の締結単位です。
社員の勤務地が本社と店舗で分かれているけれど、「(36協定を)本社で締結しているからバッチリ、手続きに不備ナシ♪」と安心している・・・というケースはないでしょうか?
「本社も店舗も締結しているから問題ナシ・・・あっ、今年の春に新店舗がオープンしたが、バタバタしていて忘れていた・・・」といったケースも要注意です。
というのも、36協定は本社だけでなく、支店、店舗、工場、営業所などそれぞれの事業場において締結しなければならないからです。
こういったうっかりミスは、よくやってしまいがちですから、今回は、36協定の締結単位をどう考えるべきなのか、そもそもについて詳しく確認していきたいと思います。
当社では限定した部署でフレックスタイム制を始めたが、問題が発生している。それは深夜業の取扱いだ。遅い時間から仕事を始めるせいで、深夜に及んでいるらしい。「深夜業が当たり前」といった雰囲気が広がるのは避けたいし、やはり防犯上まずいのではないだろうか。
いくらフレックスタイム制だからといって、社員の自己責任として片づけていいものなのだろうか?
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フレックスタイム制は、始業・終業時刻を社員本人による自主的な決定にゆだねる制度です。ですが、これは労働時間についてのみ適用があり、休憩時間・休日・深夜業については適用されません。
とはいえ、(会社が命令していないのに)本人の都合で深夜になり、深夜労働に対する割増賃金を支払うのはちょっと疑問が・・・というのが人間の心情でもありますよね。加えて、頻繁に深夜のオフィスで仕事をするというのは、社員の防犯・健康面での安全が心配でもあります。
そこで今回は、フレックスタイム制における深夜業の取扱いについて、詳しく確認していきたいと思います。
「社員が習い事をしている時間は労働時間にカウントされますか?」
社員のスキルアップのための「学びの時間」に対する費用補助など、福利厚生制度を作る際にこのようなご質問をコンサルティングのなかでいただくことがあります。
詳しくお聞きすると、社内で茶道や華道、書道の「部活」があり、社外から講師を招いて活動を行っているそうで、その「部活動」の時間が労働時間にカウントされるのか、カウントされるのなら残業代を支払う必要があるのか?と思われたとのことでした。
また、仕事に役立てようと終業時刻後に英会話スクールに通う社員さんから、残業代の対象にならないのか?との質問を受けることもあったそうです。
社員の前向きな姿勢に水を差すことのないよう、法律面のことをクリアにしておきたいとお考えでした。このような悩みをお持ちの経営者、人事担当者の方は少なからずいらっしゃるのでは、と思います。
そこで今回は、社内・社外における「習い事」が労働時間にあたるのかどうかについて、詳しく確認していきましょう。
新型コロナウィルスの予防対策から、オフィスにおける社員同士の接触を減らすために、(通常はお休みの日である)土曜日や日曜日も出勤日にあて、1日あたりの出勤率を削減しようとするケースもあるのではないでしょうか。
とはいえ、休日は毎週1日の週休制が原則であり(例外として4週4日休日制)、労基法上も「会社は社員に対して毎週少なくとも1回の休日を与えないとダメ」とされています。
そのため、“通常の「お休みの日」と「出勤日」を入れ替えながら、週1日の休日を確保・・・”と考えに考えて、職場のメンバーの出勤表を作成することになります。
そこでよく問題となるのが、休日の振替と代休の違いについてです。
特に取引先の緊急対応などで、せっかく考えた出勤表とは異なる「イレギュラー出勤」が発生すると、これらはややこしくなりがちです。
さっそく詳しく確認していきましょう。
新型コロナウィルスの感染拡大から、今は出勤率の削減やオフィスにおける社員同士の接触を減らすなどの対策が企業の課題になっています。
とはいえ、パソコンの配備、個人情報の取扱いなどの点で、テレワークを実施するにはハードルの高い職種もあるでしょう。テレワークが通常モードになっている職種でも、取引先との関係からオフィスに出社しなければならないときも、やはりあるのではないでしょうか。
そんなとき会社として心配なのは、混雑した電車等での通勤によって社員に負担がかかることです。
できるかぎりの感染症の予防対策を行いながら、社員の負担を軽減し、仕事を続けていくには、今までは“当たり前”とされてきた勤務体制を状況に応じて見直し、選択肢を増やすことがポイントになってきます。
そこで今回は、ウィズコロナ時代に分散勤務を実現させる3つの方法についてご紹介したいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、フレックスタイム制を導入したり、検討中の企業も多いのではないでしょうか。
ただ、フレックスタイム制は“始業・終業時刻をいつにするかを社員が決めてもよい”労働時間制度のため、「フレックスタイム制ではスケジュールが確定した出張を命じてはダメなのか?」と悩まれる上司の方もいらっしゃるようです。
フレックスタイム制が適用される社員に対して、コアタイム(必ず働かなくてはいけない時間帯)は別として、フレキシブルな時間帯について「〇〇時に出勤しなさい」や「〇〇時まで働きなさい」と、始業・終業時刻を指定する業務命令は原則できないからです。
そこで今回は、フレックスタイム制の対象社員にはスケジュール指定の出張命令を出していいのか?それともダメなのか?について、確認していきたいと思います。
うちの会社の営業部では、会社の営業車を使って取引先を訪問している。1日の予定業務が終わってからは会社に戻り、営業日報を作成して上司に報告するのがお決まりとなっている。
営業社員はみなし労働時間制の対象となっているものの、この状況では労働時間をカウントできるのでは・・・?実は、みなし規定の適用を受けないのではないだろうか??
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オフィス外での仕事では、何時から何時までが休憩時間なのか、手待ち時間なのか、といったことが具体的には把握できません。そのため事業場外において行う仕事であって、実労働時間がつかめない場合には、会社からあらかじめ別段の指示がない限り、「通常の労働時間働いたものとみなして処理する」というみなし制が認められています。
とはいえ、冒頭のような例はよくあるシチュエーションであり、判断に迷うところではないでしょうか。
そこで今回は、営業社員のタイムマネジメントについて、会社の営業車を使っての営業活動や営業結果の報告の義務付けがみなし労働時間制の対象になるのかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
社員がタイムレコーダーを打ち忘れることが頻繁にあると、「どうして会社は、社員の労働時間をいちいち把握しておかないといけないのか・・・」とため息交じりについこのようなことを考えてしまう・・・これは、人事担当者にとってよくある話ではないでしょうか。
社員がタイムレコーダーを打刻している、していないにかかわらず、実際に社員がその日に仕事をこなして働いているのなら、会社は労働時間を把握してタイムマネジメントを行わないといけないからです。
言い換えると、「タイムレコーダーの打ち忘れは本人のミス」という理由で、欠勤扱い(労働時間はゼロカウント)にすることはできない、ということになります。
そのため、上司や人事担当の方にとっては少々「モヤッ」としてしまうかもしれません。また、社員にとっても「毎朝タイムカードを押すのは面倒だ」との思いがあるかもしれません。
そこで今回は、なぜ会社は社員の労働時間を把握しなければダメなのか、またその根拠はどんなところにあるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「会社に着いてからの制服や作業服への着替え、朝の掃除や整理整頓、仕事が終わってからの片づけは労働時間にカウントされますか?」
実際に作業をしている時間(会社の指揮命令下にある時間)が労働時間にカウントされるのは、誰もが頷けると思います。
でも、それらに付随する前後の時間については・・・・??
判断に迷うことは多いのではないでしょうか。コンサルティングのなかでも、冒頭のようなご質問をよくいただきます。
「〇〇〇の場合は労働時間にあたらないけれど、×××なら労働時間になる」というような覚え方をしていると非常に煩雑ですし、「じゃあ△△△のときはどうなるの?」と、イレギュラーなケースに対応できませんよね。
そこで今回は、実作業に付帯する作業時間が労働時間になるのはどんなときなのか、その「判断基準」について確認していきたいと思います。
「フレックスタイム制は社員の自主性にまかせるものなので、アバウトな管理でよいと聞きました。会社として社員の時間管理をしなくてもよい、ということですか?」
最近は、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために時差出勤や、マイカーでの通勤を勧める場合もあるでしょう。また、台風や大雨などで悪天候になると、公共交通機関の遅延によって、始業時刻を過ぎても出勤できないこともあるかもしれません。
そのため、業務効率を考えるとフレックスタイム制を導入しようか・・・と検討されている経営者や人事担当の方もみられます。時間に対する社員の自己管理意識を向上させるという点でも、フレックスタイム制にはプラス効果があります。
そのため冒頭のようなご相談をいただいたりするのですが、結論からお伝えすると、フレックスタイム制の場合であっても、会社には社員の労働時間を把握する義務があります。
そこで今回は、フレックスタイム制と時間管理の関係について、詳しくみていきたいと思います。
今日も定時を過ぎてから、30分も残業した。単純に計算して1か月(の営業日が)20日だとしても、毎日ならトータルで10時間にもなる。10時間といったら、結構な時間じゃないか。それなのに、18時までの残業は申請しないのがうちの会社では常識のようだ。これがザ・「サービス残業」ってやつな。マジでやってられない・・・
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この春、学校を卒業して入社したばかりの新入社員Aさん。慣例になっている「サービス残業」に不満を抱いているようです。Aさんの会社の就業時間は、朝の9時に始まって、途中1時間の昼休憩を挟み、夕方17時半で終わりの7時間30分労働です。
つまり、「17時半から18時までの所定時間外の働きに対して賃金が支払われない」というのがAさんの認識です。・・・ですが、これは正しい認識ではありません。
では、いわゆる「サービス残業」とはどのような状態のことをいうのでしょうか。さっそく詳しく確認していきましょう。
「時間外労働の上限は原則、月45時間、年360時間ということですが、この時間外労働時間のなかに休日労働も含まれるのですか?」
法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて社員に時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結(+労基署への届け出)が必要です。
36協定を結ぶにあたって、その内容についてよくご質問をいただくのが、「時間外労働時間」と「休日労働」の関係です。
特に今年は、4月から時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるので、「休日労働が時間外労働に含まれるなら、月45時間の上限を超えてしまうかもしれない」と、心配される経営者、管理職の方からの声をたびたびお聞きしました。
そこで今回は、36協定において「休日労働」は時間外労働時間に含まれるのかどうかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「納期に間に合わないので社員を日曜日に働かせるなら、3割5分増しで給料を計算しないといけないのですよね?」
この問いに対する正誤判定としては、「惜しい!(8割がた正解?)」という回答になるでしょうか。なぜなら週休2日制によって、週2日の休日がある場合には、そのうち1日分の休日に社員を働かせても、もう1日分の休日が確保されている限り、法律上の休日労働にあたらず、割増賃金を支払う必要もないからです。
このように時間外労働や休日労働の割増賃金について、コンサルティングのなかで質問をいただくことはわりと多くあります。「休日労働の日に徹夜勤務をさせるときはどう考えるといいのか?」など、特に休日労働の取扱いがよくわからない、というお声をよくお聞きします。
そこで今回は、3割5分増で割増賃金を計算することになる休日労働とは、いったいどんな日なのかを確認していきたいと思います。また、あわせて休日に徹夜勤務となる場合についてもみていきましょう。
上司が時間外労働を命令していなくても、部下の社員が居残り残業をしている・・・職場でわりと見られる光景ではないでしょうか。
ちょうどいまなら、新型コロナウィルスの影響で平常通りに行かなかった雑務の処理や担当業務の整理、諸々の連絡などのため、終業時刻後もデスクに向かう・・・という姿もあるかもしれません。
上司が部下の居残りを知りながらも、残業を中止させずにほったらかしにしていた場合、残業命令があったものとみなされるのでしょうか。つまり、労働時間としてカウントされるのかが問題です。
この状況が恒常的なものであれば、法律にもとづく時間管理が問題になるだけでなく、社員の健康状態が心配です。特にいまは、遅くまでの仕事による疲労で、身体の免疫力を落とすようなことは避けるべきですよね。
今回は、社員の自主的な残業を放置した場合、法律的に労働時間マネジメントはどのように考えられているのか、確認していきたいと思います。
新年度がスタートすると、メンバーの能力を伸ばすために、社内で勉強会や研修を実施する機会がこれから増えてくるのではないでしょうか。
仕事に必要な知識や新しいスキルを、一定の期間内でかつ効率よく身につけてもらうことを目的とされているのだと思います。
こういったグループ活動が自主的に行われている企業もあるでしょう。部署の課長や部長をはじめとする、管理職が勉強会のリーダーとなって、開催の音頭をとるケースもあるかもしれません。こんなとき、「勉強会は課長からの業務命令?」「あくまで社内の同好会レベルの話?」と判断に迷いませんか?
つまり、問題となるのは「労働時間にカウントされるのかどうか」ということです。
そこで今回は、課長など管理職が主催する勉強会は労働時間にカウントされるのか、されないのか、しっかり確認していきたいと思います。
2019年末から2020年初にかけては、年末年始6日間の前後の土日も休みになるので、お正月休みは通常より3日多い企業も多かったのではないでしょうか。
とはいえ長めの9連休ということで、やむを得ずこの期間に社員へ出勤を命じなければならないケースもあったかもしれません。
たとえば得意先や顧客のもとを訪問するなどの販促活動やPR活動、マーケティングのための調査やデータの収集活動、メディアの取材、月末の集金・・・など、いろいろ具体的な業務が考えられます。
これらの業務は通常のオフィス外で行われるものですが、お正月休みに社員に従事してもらった場合、休日労働と事業場外労働のみなし労働時間は適用されるのか?という問題があります。
そこで今回は、休日に社員が事業場外業務に従事した場合の取扱いについて確認していきましょう。
仕事をするうえで、営業先や取引先と良好な関係を築くことは大切です。そのため、クリスマスを過ぎたあたりから挨拶回りをされる企業も多いことでしょう。
年末年始の挨拶回りに社有車で出かけるとき、特に運転者には盗難防止のため、車両を監視する義務が生じます。もし、社員が管理を怠って社有車を盗まれでもしたら大変だからです。
(盗難された車両により交通事故が起きた場合、車が会社の所有物であることから、会社は多大な損害を被るおそれがある)。
この場合、人材マネジメントの観点から問題となるのは、盗難防止などのために車両を監視している時間を果たして休憩時間といえるかどうかです。
そこで今回は、年末年始の挨拶回りなど社有車での外出において、車両の監視義務と休憩時間の関係をどう考えるとよいのかについて、詳しく確認していきましょう。
「職場では、疲労困憊で毎日がいっぱいいっぱいの様子の子育て社員がいます。このままだと体調が心配なので、無理せずに働けるようにしたい。子育て社員の労働時間をどのように設定するといいですか?」
労働時間の設定は、今いる人に少しでも長く勤めてもらい、優秀な人材を確保するために、企業経営にとって重要なテーマだといえます。
そこで、子育て中の社員が抱える「仕事と家事を両立させないといけない」とのプレッシャーを和らげ、前向きに仕事に取り組んでもらい、そして健康的に毎日を送ることができるよう、子育て社員の労働時間マネジメントについてご相談をいただくことがあります。
子育て社員への対応には、「育児のための所定労働時間の短縮措置」と「育児時間」について理解しておく必要があります。
今回は、育児のための所定労働時間の短縮措置と育児時間、この2つの関係について詳しく確認していきたいと思います。
朝の冷え込みでふとんから出たくなくなる季節になってきました。あと1時間ふとんの中にいたいけれど仕事があるし・・・誰もが抱える寒い季節の葛藤ですよね。
だからというわけではないと思いますが、コンサルティングのなかで次のようなご相談をいただくことがあります。
「毎日の出社や退社の時刻を社員本人に、自由に決めてもらうことはできますか?」
始業・終業時刻を社員本人の自己選択によるものにするには、「1日単位のフレックスタイム制」という方法があります。
これは、法律上のフレックスタイム制にはあたらず、社員本人の自己選択による自動的な始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ制度です。
ただし、これを運用するには注意しなければならない点がありますので、さっそく詳しく確認していきましょう。
「法定休日に働くと割増賃金率が高くなりますよね?そのため社員から『休日出勤するなら同じ休みでも、土曜日より日曜日に出たほうがトクだ(土曜日に出るとソンをする)』という声があがっていて対応に困っています」
土・日曜日の週休二日制をとっている企業は多いと思われます。そこで、日曜日を法定休日として就業規則で特定していたとき、このようなお話をコンサルティングのなかでお伺いすることがあります。
1週1日の労基法で定める休日を付与しながらも、特定された法定休日に働かせたばかりに3割5分増の割増賃金を支払わなければならない・・・というのは、なんとなく腑に落ちませんよね?
そこで今回は、日曜日に働かせると、土曜日の会社で定めた所定休日に休みを与えていたとしても労基法上の休日労働になるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。はたして法定休日の日曜日に出勤すると、社員にとっておトクになるのでしょうか?
代休(代償休日)とは、休日労働の事実が生じた後に、その代償として休日を与えることです。
いったん発生した休日労働の事実は消し去ることはできませんが、社員に休息の機会を与えることで、社員の健康を守ることができます。
この代休と似たものとして「振替休日の社員による指定制」があります。法律上は、振替休日と代休の両者では明らかに異なりますが、一般的に同じものとみられがちです。
そのため企業における実務でも、振替休日の社員による指定制と代休は厳密には区別されておらず、ごちゃまぜになっているケースも多いようです。結果として、その企業の慣行的な取り扱いによって処理されることがほとんどでしょう。
そこで今回は、振替休日の社員による指定制と代休の違いについて改めて確認していきたいと思います。
労基法において休日は、週1日を原則としています(例外として4週4日休日制)。よって、この法定休日を上回った、会社が決めた法定外の休日に働いたとしても、労基法上の休日労働にはなりません。
「ええっ!じゃあ、うちの会社は週休2日制なので、土曜日に出勤してもらっても休日労働にはならないんですね・・・休日労働の割増賃金(3割5分増)で給料計算していました・・・」
コンサルティングのなかで、休日と休日労働の関係についてお伝えすると、企業のご担当者からこのようなリアクションをいただくことがよくあります。
テレビドラマなどでは、がらんとした休みの日のオフィスに出勤して「あ~こんないい天気の日に【休日出勤】か・・・」といったボヤキのシーンはよくみられますから、労基法上の扱いと混同してしまうのも無理はありません。
そこで今回は、週休2日制における休日労働の取扱いについて、詳しく確認していきましょう。
「うちの会社の今の就業規則をみると、昼休み休憩の外出は許可制にしています。社内に食堂があるので、昼食を買いにわざわざ外へ出かける必要性はないのですが、これで問題はないのでしょうか?」
昼のランチタイムなどの休憩時間とは、社員が労働時間の途中に権利として、仕事から離れることを保障されている時間のことです。
したがって、社員は休憩時間中においては仕事から離れて、自由にその時間を利用できるのは当然だといえます。
そのため、会社が社員の当然の権利を侵害していることになってはいないか?と、疑問をお持ちになった経営者や人事担当者の方から、コンサルティングのなかで、休憩時間にまつわるご質問をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、休憩時間の利用について、「職場の規律を守るために必要な制限」を設けることは、休憩本来の目的を妨げない限り問題ありません。そこで今回は、休憩時間の自由利用を制限できるときとは、どんなときなのかについて詳しくみていきましょう。
「妊娠した女性社員から『出産後、1日2回の育児時間を連続してとれますか』と質問されて、そんな制度があるのかとびっくりした」
就業規則のコンサルティングのなかで、「育児時間」の項目にさしかかると、このようなお話を男性の経営者や管理職の方からお伺いすることがあります。
かつては結婚・出産などのライフイベントを迎えても、働き続ける女性社員は多くありませんでした。そのため、育児時間に関する質問を受けることもなくその存在を知らずにいた、というケースは多いようです。
「育児時間」とは、1歳未満の子どもを育てる女性社員が、昼休みなどの休憩時間のほかに1日2回それぞれ少なくとも30分、授乳など育児のための時間を会社に請求できる、というものです。
では、冒頭のような質問を受けたとき、「1日2回を連続してとるのはダメだ」「この時間帯にとってはダメだ」など制限を会社が設けることはできるのでしょうか。今回は、会社の育児時間の与え方について詳しくみていきましょう。
「台風の影響などで悪天候になると、列車やバスが遅れたり、運休になることもたびたびです。始業時刻からだいぶ経ってからでないと、社員がオフィスに出勤できないこともあります。
とはいえ、仕事の納期が迫っている場合もあるので、そんなときは始業・終業時刻を後ろにずらせないのでしょうか?うちの会社ではフレックスタイム制をとっていないのでダメでしょうか?」
最近、コンサルティングでよくいただくご相談です。職場にフレックス制を導入していないと、始業・終業時刻を動かすことはできないのでしょうか?
結論からお伝えすると、就業規則に規定すれば、いわゆる就業時間帯の繰上げ・繰下げを実施することができます。これは、変形労働時間制やフレックスタイム制にはあたらないからです。
そこで今回は、就業時間帯の繰上げ・繰下げとはどういったものなのか、詳しくみていくことにしましょう。
「テレビドラマで会社の飲み会を勤務時間として申請しているシーンをみた社員から、”うちの会社ではダメなんですか?”と質問されて、しどろもどろになってしまいました。法律的にはどうなるのでしょうか?社員が納得するような根拠はありますか?」
今の季節は社内や仕事関係者で暑気払いの会を催す機会も多いのではないでしょうか。そのためか、コンサルティングの中でも「飲み会」にまつわるご質問をいただくことがあります。
「飲み会」とひとくちにいっても、仕事にまつわる飲食の機会といえば、得意先の接待、会食付きの打合せ、取引先の開店パーティ、社内の送別会や忘年会・・・などなど、いろいろなものがあります。
そこで今回は、これらの飲み会(仕事関係の飲食の機会)が労働時間になるとき、ならないときについて整理していきたいと思います。
限られた時間のお昼休みにオフィスの外に出るよりも、コンビニやファストフード店でランチを購入して、オフィス内で食べる社員さんも増えているようです。
コンサルティング中の雑談で、こんなお話を伺ったことがあります。その話の流れで、次のようなご質問をいただきました。
「昼休み中に取引先から電話がかかってくることはあまりないのですが、電話が鳴ったときには、オフィスのデスクで弁当を食べている社員が出てくれます。こちらとしては助かるのですが、これは実は労働時間にあたって、残業代計算などに入れないといけないのでしょうか?」
お昼休みは貴重なリフレッシュタイムであり、本来ならおいしくお弁当をパクついているだけでいいはずなのに・・・と人事担当者として懸念されているご様子でした。
これは、みなさんの職場でもよく見られる光景かもしれません。
そこで今回は、ランチタイム中の電話応対は労働時間にあたるのかどうかについて確認してみましょう。
この春から働き方改革関連法が施行されたこともあり、柔軟な職場環境づくりに尽力される企業は多いのではないでしょうか。
社員がライフスタイルに合わせて働けるよう、その選択肢を提供するべくみなさん知恵を絞られているなか、次のようなご質問をいただくこともあります。
「緊急の案件を打ち合わせるため、部署全体のミーティングを早朝に行わないといけないこともあります。そんなとき、フレックスタイム制が適用される社員には、早朝会議への招集をかけてもいいのでしょうか?」
フレックスタイム制においては、始業・終業時刻をいつにするかを社員の自由に委ねられるので、早朝の会議に出なくていい?いや、そもそも招集してはいけない?と悩まれるのでしょう。
そこで今回は、フレックスタイム社員に対する早朝の会議への出席要請の可否について詳しくみていきましょう。
春らんまんの美しい季節です。ワクワク、ウキウキ活動的な気持ちになり、何かを始めたくなりますね。
仕事に必要な資格の試験勉強をスタートさせるにもよいときです。
「当社の仕事に必要な資格を、できるだけ多くの社員に取得してもらいたいと考えています。『会社がとれというなら試験勉強しますが、その時間に残業代はつきますか』という社員からの質問には、どう対応するべきですか」
実は、これは経営者や管理職の方からよくいただくご相談内容です。
仕事への意欲を高めるために、資格試験へのチャレンジをすすめる会社と、資格試験へのチャレンジを対価でもって認めて欲しい社員。
心情的にはどちらも理解できるのですが、法律上ではどう考えるといいのでしょうか。
今回は、資格試験の勉強が労働時間にカウントされるのかどうかについてみていきましょう。
いよいよ年度末、この1年間で溜まった資料や書類などを片付けて、新たな気持ちで新年度を始めたいですね。
片付けや整理整頓といえば、以前にとある企業の管理職の方からこんなお話を伺いました。
「仕事場が整理されていると、翌朝出勤しても気持ちよく仕事にとりかかれます。その分効率よく仕事ができるので、部下たちには、仕事が終わったらしっかり片付けて、整理整頓された状態にして帰ってほしい。でも、あまりやかましく言うと『それって残業代がつきますか?』と返ってきたりします(苦笑)」
そこで今回は、仕事が終わったあとの、翌日に向けた仕事のダンドリは労働時間としてカウントするのか、しないのかについてみていきたいと思います。
3月も半ばを過ぎ、街中ではスプリングコート姿をよく見かけます。
個人的には、朝晩の寒さに冬物のコートが活躍中ですが・・・
さてコートといえば、「コートの下に制服を着ていくので、コートの季節は一本遅くの電車で通勤できる」という話を聞いたことがあります。
以前、この制服通勤について人事部の管理職の方からご質問をいただきました。
「会社に着たら仕事をする、仕事が終わったらダラダラ居残っていないで帰る。オンとオフをしっかり切り替えるため、制服通勤を禁止しようと考えています。マネジメント上で注意する点はありますか?」
制服での通勤を認めないとなると、当然会社で制服に着替えることになります。そこで問題となるのは、会社で制服に着替える更衣時間をどう考えるかです。
今回は、この更衣時間を労働時間にカウントするのか、しないのかについてみていきたいと思います。
とある職場のAさん、今日は朝から少し落ち着きがありません。どうやら、放置していた親知らずがズキンズキン痛むようです。
パソコンに向かうも時間を追うごとに痛みが強くなり、仕事はおろか、居ても立っても居られなくなりました。
そこで上司と同僚に事情を話して許可をもらい、仕事を抜け出して歯医者さんに向かうことにしました。
歯医者さんから戻ってきたAさん、応急処置をほどこしてもらって落ち着きを取り戻したようです。
「さあ、歯医者さんに行った分の仕事の遅れを取り戻さなくっちゃ!」
張り切って終業時刻後も仕事に取り組む様子です。
このように私用外出から戻ったあとで残業した場合、1日の労働時間としてはどのようにカウントするとよいのでしょうか。今回はこの件について、詳しく確認していきましょう。
2019年が明け、今日からいよいよ通常モードで仕事開始。さっそくエンジンをかけて仕事に取り掛かるも、夕方近くに地方の営業所から緊急トラブル発生の報告が入った。適切に対応するため現地入りしなくてはならないようだ。現地で朝イチから対応にあたるには、前日入りが必要だ。担当者には定時後に新幹線で現地へ向かってもらうしかない・・・
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思いがけない緊急事態が発生、ピンチをチャンスに変えるためにも素早い対応が求められます。そこで新年早々ではありますが、担当社員にはこちらの仕事を片付けてから、前乗り出張のため終業時刻後に新幹線で現地へ向かってもらうことにしました。
さて、このように終業時刻後の出張旅行は労働時間にカウントされ、また残業代の対象となるのでしょうか?
経営者や管理職の方におかれては、終業時刻後に新幹線で遠方に向かう社員の心情を考えると、ますます判断に迷われるのではないでしょうか。
今回はこのシチュエーションについて確認していきたいと思います。
会社には、社員がどのくらい働いたのか、労働時間を把握する義務があります。
会社の労働時間を把握する義務について、実はとてもよくいただく質問に次のようなものがあります。
「社員がいつ出勤してきて、またいつ帰ったのか、労働時間を把握して管理するのは、タイムカードでしか認められていないのですよね?そんな風に法律で決まっているのですよね?」
・・・ちょっとした誤解もあるようです。
そこで今回は、労働時間の把握や管理はタイムカードで行わないといけないのか、について詳しく確認していくことにしましょう。
一カ月単位の変形労働時間制を職場で採用するときの要件は、就業規則に定めることです。
けれど就業規則に一カ月単位の変形労働時間制のことが書かれておらず、記載なしのままで実施されていて、しかも慣例的に長年にわたって行われている・・・また社員の方からも特に異議が上がっていない・・・。
このようにいわゆる労働慣行として変形労働時間制が実施されているケースも、時にはあることでしょう。
就業規則に記載がないまま実施してきた変形労働時間制に関して、次の2点についてご相談がよくあります。
今回はこれらについて確認していきたいと思います。
事務職をはじめとするホワイトカラーの仕事は、その成果が必ずしも時間に比例するものではありません。ここが工場でものを製造する仕事とは異なる点でしょう。よって、もともと労働時間の厳格な管理になじまないという性質があります。
そのためホワイトカラーの職場では、残業時間の管理について「自己申告制」をとるケースがあります。
けれどこの自己申告制という、残業時間を把握する方法について、
「自己申告制をとっているのはいいものなのか?」
「うちでやっているのは実は有効な方法ではないのでは?」
と、不安げな面持ちで質問をされる管理職の方も、実は多くいらっしゃいます。
そこで今回は、
この2点にフォーカスして、残業の自己申告制についてみていきたいと思います。
来年のGWは10連休となる見通しなので、ニュースなどで話題になっています。確かに1か月の3分の1がお休みになるのはインパクトがありますね。
休日といえば、振替休日にまつわる質問をとてもよくいただきます。ご質問で多いトピックには、
といったものがあります。
前述のとおり、来年のGWは10連休となる見通しなので、たとえ随分前から仕事の段取りをつけていたとしても、突発的な何らかの事情で社員が出勤せざるを得ないこともあるかもしれませんよね。
そんなときにはどのように対応するとよいのでしょうか。そこで今回は、上記の2点について確認していきたいと思います。
台風や大雪という悪天候時には、事業を継続させるための現場での対応が必要となってきます。突発的な災害の復旧や支援などの場合だけでなく、サーバー攻撃によるシステムダウンへの対応や大規模なリコールなどの場合も同様です。
事前に想定しえない事象の発生時には緊急対応の業務が増え、刻一刻と変わる状況のもと調査や情報伝達などが求められます。業務の停滞が許されない状況であると、夜通しで作業を行わなければならないこともあるかと思います。
そんな徹夜で現場対応にあたらなければならないとき、勤怠管理において労働時間をどうカウントすればいいのか?と取り扱いに迷われることはないでしょうか。
徹夜での継続勤務については、次の2パターンに分けて考えると、勤怠管理がスムーズになります。
では、さっそく詳しくみていきましょう。
「社員の健康面が心配なので、副業での勤務日数や労働時間をある程度制限したり、どんな仕事を副業にするのか、仕事内容や勤務先を届けてもらうことを考えています。何か問題はありますか?」
最近の副業の流れから、コンサルティングのなかでこのようなご質問をいただくことがあります。
社員は、基本的には、労働時間以外のプライベート時間を自由に使うことができます。そのため最近では、裁判例をみても副業自体を一方的に禁止することはできないとの考え方が主流を占めます。
けれど限りなく副業を認めた場合、オーバーワークで本業の最中に居眠りをしたり、集中力を欠いてミスを連発するなどの不都合が生じることがあります。
また、ライバル企業での副業によって、自社の重要な機密情報が漏えいすると会社に大きな損害を与えることになりかねません。
そこで今回は、次の2点について、詳しくみていきたいと思います。
働き方改革が注目されるなか、長時間労働の見直し策が世間的に求められています。そのため、仕事の采配、スケジュールのやりくりに頭を悩ますチームリーダーもいるようです。
【チームリーダーの主張と悩み】
「会社から早く帰りなさいと、お達しがあるのは理解しています。でも、やらなくてはいけない仕事があるのに帰れません。チームメンバーに残業をお願いしても、いい顔をしてくれません。早く帰りなさい、と会社からも言われているので強くも言えず、リーダーとして手一杯です・・・うちの会社は、所定労働時間が7時間なので、1時間残業しても他の企業では普通のことです。それなのに残業を嫌がるなんて、社会人としてどうかと思います。」
この話での法律的なポイントは、いわゆる法内残業の場合の、残業命令を拒否することに正当性はあるのかどうか、ということです。
今回はこのあたりについて詳しくみていきましょう。
朝から夕方までずっと仕事に没頭、気がつけばもう終業時刻。けれど今日は迫った納期のために残業だ。ああ、でも小腹がすいて仕事に集中できない。コンビニでパンでも買って腹ごしらえしよう・・・
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みなさんの職場では、残業前にこのようなシチュエーションはみられませんか?
管理職や人事総務担当者の方々にとっては、この腹ごしらえの時間まで労働時間としてカウントするのか、それとも休憩時間として残業申請の時間から差し引くべきなのか、勤怠管理をするうえで対処に困ることもあるかもしれません。
残業前に小腹を満たしたい気持ちはとてもよくわかりますが、おいしいおやつをつまむとホッとして、つい時間が過ぎてしまうのもよくあること・・・それで帰る時間が遅くなるのなら、本末転倒ですよね。
仕事のメリハリをつけるためにも、労働時間なのか休憩時間なのか、線引きをきちんとしたほうが時間を有効に活用できそうです。
そこで今回は、残業前の夕食時間は労働時間とするのか、休憩時間として扱うのか、またその線引きはどうすればいいのかについて、みていきたいと思います。
「仕事の都合で、どうしても就業時間外に健康診断を受けたい、という社員がいます。これは時間外労働として残業代の対象となるのでしょうか?残業代が出るなら、就業時間中は仕事をして、時間外に健康診断を受けたいと言い出す社員がたくさん出てきそうで、困っています」
社員の健康維持のために、会社には一定の健康診断を行う法律上の義務があります。そのため、このようなご相談をいただくことがあります。
長い梅雨の期間が明けたと思いきや、今度はジリジリ照り付けるような猛暑で、会社として社員の健康管理がとても心配ですよね。
労働時間とは、社員が会社の指揮命令下のもとで仕事を行う、拘束された時間のことです。健康診断が残業代の対象になるかどうかの前に、そもそも労働時間としてカウントされるものなのでしょうか。
そこで今回は、健康診断義務にかかる法的な性質を踏まえながら、このあたりについて詳しくみていきたいと思います。
「配達員が定時を過ぎてもなかなか帰ってこないことがあります。帰り道に大雨にあって立ち往生していたようですが、労働時間をどうカウントすればいいですか?」
帰社が遅くなった配達員の労働時間マネジメントについて、お話を伺っていると、営業社員の事業場外みなし労働時間の場合と混同されていることも多いようです。
また、帰りが遅くなったのは天候のせいではなく、会社に戻る途中で私用を済ませていたために遅くなった模様・・・この場合はどう対応すればいいのか?とのご相談を伺うこともあります。
つまり、お悩みの内容は次の2つに集約されます。
ではさっそく、この2パターンにおいて配達員の労働時間をどうカウントするのか、詳しく確認していきましょう。
前回の記事(「朝から応援勤務で他店舗へ行くのは出張?それとも通勤?」)では、朝に自宅から直接、他の店舗や事業場へ応援勤務に行くのは出張にあたるのか、それとも通勤時間にあたるのかについて詳しくみてきました。
これに関連して、「自宅から作業現場に直行直帰するような場合は、どのように考えるといいですか?」との質問もよくいただきます。
通常ならいったんオフィスに出勤して、上司の業務命令によって目的地へ出発します。ただ、時間的なロスを省き効率的に仕事を進めることを考えると、自宅から上司の指示による目的地へ直接出かけるようなとき(またそこから自宅へ直帰するようなとき)もあるでしょう。
これはよくあるシチュエーションだと思いますが、いざどこまでが通勤時間でどこから労働時間なのかを考えると、判断に迷うところではないでしょうか。そこで今回は次の2点のようなシチュエーションにおいて、「どこまでが通勤でどこから労働時間なのか?」について詳しくみていきたいと思います。
複数の店舗や事業所を運営している企業では、人手が足りないときや、緊急事態が発生したときには、臨時の対応を行わなければなりません。
社員にいつもの勤務先とは異なる場所へ応援勤務を命じて、駆けつけてもらわないといけないこともあると思います。
トラブル等ではなくても、遠隔地の現場へ作業に行く必要のある企業では、同様のシチュエーションが考えられるでしょう。
そんないつもと違う場所へ直接出勤するとき、そこまでの往復の移動時間は、「通勤時間」にあたるのか、「出張としての労働時間」にあたるのか、という質問をいただくことがあります。
特に「いつもと違う場所」が遠方にあると、社員さんに通常よりも早起きして自宅から出かけてもらわなければなりません。
そこで、どのように勤怠管理をして、どんな説明をすれば社員に納得してもらえるのか・・・と悩まれているようです。
そこで今回は、朝に自宅から直接、他の店舗や事業場へ応援勤務に行くのは出張にあたるのか、それとも通勤時間にあたるのか、詳しくみていきたいと思います。
「これから社員には、スキルアップのためにうちの会社内部で企画したものだけではなくて、外部の機関が実施しているセミナーやビジネス・スクールにどんどん参加してもらおうと思っています。ただ、そのセミナー受講中は労働時間になるのですか、ならないのですか?」
今いる社員に能力をのびのび発揮してもらうため、セミナーや研修、講習の受講を企画・検討されることもあるでしょう。
そこで、社員が参加する研修や講習は、どんな内容のものでも労働時間になるのか、ならないのか、その判断のポイントを知りたい、との質問をよくいただきます。
また、終業時間後に実施されるセミナーであれば、残業代の支払いの有無など勤怠管理で頭を悩ませる、との声をお聞きすることもあります。
労働時間になるかどうか、判断のポイントは次のように大きく分けて2つあります。
今回はこれら2つについて詳しくみていきましょう。
会社組織において一定の管理監督的地位にある社員については、労働時間や休日・休憩等の適用が除外されるので、会社に残業代(割増賃金)の支払い義務はありません。
コンサルティングで企業の方とお話ししていると、
「A社では課長になると管理職扱いになって残業手当の支給がなくなるそうですが、B社では主任になると管理職扱いになると聞きます。管理職にあたる、あたらない、の基準がよくわかりません。一体どのくらいのポジションに就くと、管理職扱いになるのですか?」
といった質問をよくいただきます。
残業代等の支給の有無が判断される「一定の管理監督的地位」とは、その職務権限と実際の処遇によって決まることになります。
そこで今回は、よくご質問をいただく次の2点について詳しくみていきたいと思います。
「労働時間の短縮につながるとはいえ、変形労働時間制の導入で残業時間が減るとその分残業代も減ります。そこで社員から、残業代が減るのは自分たちにとって不利益じゃないのか?との質問がありました。これは労働条件の不利益変更にあたるのでしょうか?」
世の中的に働き方改革が推し進められるなか、このようなお話を企業の人事ご担当者から伺うことは、実はよくあります。
労働力の需要の変動に応じて年間の労働時間の配分をあらかじめ決めておく変形労働時間制や、社員自身が仕事の進捗に応じて出勤時間を選ぶフレックスタイム制などの導入で効率良く働くことができる。その分残業時間が減少すると、それに伴って残業代も減少するのは事実です。
会社における労働時間制度とは、労働時間の配分を決める仕組みのことです。つまり、社員の働きによる労働力の「量」と「タイミング」を決めることになります。社員にとっても、自分の生活のために使える時間を左右するので、業務の繁閑に応じた適正な労働時間の設定は、基本的に生活と仕事の両立のしやすさを決めるものといえます。
そこで今回は、労働時間の合理化が進むことで、残業代が減少することは不利益変更にあたるのかどうかについてみていくことにしましょう。
3月後半に入っても寒の戻りで着る服に迷う日が続きましたが、春分の日を過ぎてようやく春らしい陽気になりました。
さて、春分の日は国民の祝日のひとつですが、「春分の日も社員に出勤してもらわないと、年度末の納期に間に合わない状況です。でも祝日を休日にしないで、出勤させてもいいのでしょうか?」との、まさにこの記事タイトルにあたる質問を以前いただいたことがあります。
祝日の取り扱いをどうすればいいのか、判断に迷うケースは実際によくあるかもしれません。そこでよくいただく質問内容をもとに、祝日、また似たケースとして会社独自の特別休日(創立記念日など)の取り扱いについて整理してみましょう。
今回は、これらについて詳しくみていきたいと思います。よくよく考えてみると、間もなくの(少し気が早い?)ゴールデンウィークには、国民の祝日が続きますよね。この機会にぜひ確認しておきましょう。
長かった冬が終わり、春らしい暖かな陽気に誘われて、お出掛け気分も高まります。そんな春は、ゴルフのベストシーズンなのだそうですね。
たとえば休日に、取引先との接待ゴルフ大会が開催されることもあるかもしれません。
日本の企業社会において、いわゆる社用ゴルフは、取引先との関係性をスムーズにする社交として慣行になっています。
実際にこの場が、新規得意先を開拓したり、受注アップなどの販売促進や営業取引の継続など、ビジネスにおける重要な役割を果たしている面もあるでしょう。
「ゴルフコンペ開催の費用は、会社の交際費として会社側が負担している。だからコンペが休日に行われた場合、休日労働になるのでは?」
このような質問を、今の季節になるとよくいただきます。
そこで今回は、休日に開催される接待ゴルフ大会に参加するとき、労働時間にカウントされるのかどうかについてみていきましょう。
日差しが和らぎ、ようやく春の兆しが感じられる今日この頃です。
経営計画発表会やキックオフミーティングを兼ねて、春に社員旅行などのレクリエーションを計画されるエピソードを、お伺いすることがあります。
業務上スケジュールを調整していると、これらの社内行事を休日に開催せざるを得ないこともあるでしょう。
そこで次のような質問をいただきます。
「全員参加としたいのですが、休日に行事を実施するとこれも休日労働になるのですか?」
つまるところ、社内行事は労働時間としてカウントされるのか?それともされないのか?ということに行きつきますが、その判断には、次の3点がポイントになります。
今回は、それぞれについて詳しくみていきましょう。
2月も折り返し地点を過ぎ、年度末が近づいてきました。今季の目標達成に向けて、終業時刻後に振り返りのミーティングが行われる様子も職場で見られるのではないでしょうか。
このように「反省会」「懇談会」「会議」などいろいろな名称による会合において社員が職場に居残って議論する、といったことは通常よくあると思います。
とはいえ、それらの労働時間マネジメントを考えるときに、その光景を振り返ってみると、「どちらかというと、自主的な打ち合わせに近い雰囲気だ」「会議はいつもお菓子を食べながら、まったりと進行する」・・・終業後のこれらの活動は労働時間にあたるのか?と、判断に迷うことはありませんか。
またこれらの活動が終わったあとに懇親会が開かれるのもよくあるケース。これは労働時間になるのか?得意先の接待の場合とは違うのか?・・・考え出すと「沼」にはまってしまいます。そこで今回は、次の2点について整理していきましょう。
記録的な大雪から、列車や車の立ち往生が各地でみられますね。
鉄道ダイヤが乱れると、通勤ラッシュに影響が出ることもあるかもしれません。
交通機関の混雑で通勤への支障が予想されるとき、オフィスへ出勤せずに、自宅で仕事をする「在宅勤務」の制度があるといい、と考える企業も増えてきているようです。
大雪や台風のとき、また家庭や業務の事情など、都合に応じて勤務先へ行かずに働ける選択ができれば、時間を有効活用でき、非常時でも仕事を継続できるなど、社員と企業の双方に大きなメリットがあります。
とは言え、在宅勤務をはじめとするテレワークを導入するには、セキュリティや労務管理の面でハードルが高いと思われることも多いのではないでしょうか。最近、「テレワークでの情報漏洩に備える損害保険」がプレスリリースされていましたが、働き方改革推進の流れを受けて、多方面から対策が進むかもしれませんね。
そこで今回は、テレワークにおける在宅勤務の労務管理、特に頭を悩ませがちな労働時間マネジメントについて、詳しくみていきたいと思います。
年明け早々、取引先へ新年のあいさつ回りを兼ねて、遠方へ出張に出かける機会も多いのではないでしょうか。
出張期間は会社の業務命令に基づくものであっても、法律上の労働時間という観点からみると「拘束時間=労働時間」とは一概にいえません。
オフィス内で仕事をしている時のように、上司が直接的に労働時間マネジメントをできる状況にはなく、会社の業務命令による拘束時間とはいえ抽象的なものだからです。たとえば新幹線の座席で小説を読んだり、ウトウト居眠りをしたり、駅弁を食べたりすることは普通に想像できるシチュエーションですよね。
けれど、これらは果たして労働時間と言えるのだろうか・・・と考え出すと、頭の中でクエスチョンマークが飛び交いませんか?特に出張中の勤怠管理や残業計算で「どこまでが労働時間?」と、頭を悩ませることは多いのではないでしょうか。
実際に次のような質問をいただくこともあります。今回は、次の3点について詳しくみていくことにしましょう。
2018年の幕が開けました。今日あたりから、本格的に仕事を開始される会社さんも多いのではないでしょうか。
その分年末年始のスケジュールがタイトで、仕事納めまで忙しい日々を送られていたかもしれませんね。
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そんな仕事が目いっぱい詰まった、とあるメーカーのA社さん。そこへ取引先から緊急のオーダーが入りました。残業で対応すれば、なんとか先方の要望に応えることができそうです。
そこで営業課長がある社員に残業を指示したところ、「仕事帰りに空港で家族と待ち合わせして、今夜の便で海外旅行に行くんです。だから残業は無理です。」とのこと。「お先に失礼します!」と終業時刻と同時に、笑顔で退社してしまいました。
当社の就業規則には、「社員は、業務命令として、所定外労働及び休日出勤を命じられたときは、正当な理由なくこれを拒否することはできない」とあります。「就業規則に書いてあるのに!仕事を残してさっさと帰るなんて!本来なら懲戒処分にあたるんじゃないのか?!」と、緊急の仕事を前に課長は渋い顔です。
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さてこんなとき、残業命令と社員の私用はどちらが優先されるのでしょうか。また社員の主張する「海外旅行」は、就業規則に規定される「正当な理由」にあたり、残業を拒否できるのでしょうか。それとも懲戒処分の対象となるのでしょうか。
次から詳しく見ていきましょう。
新入社員の過労自殺に端を発した電通の違法残業事件は、2017年10月6日、罰金50万円の有罪判決となりました。
判決では、長時間労働が常態化していたにも関わらず、抜本的な対策を講じないで、労働時間の削減を現場まかせにしていたことが指摘されています。「残業管理は上司の責任」との見方が明確に示されたと言うこともできるでしょう。
近年は、上司の指示に従わずに残業していた社員への会社の対応義務が問われる裁判例もみられます。ただしそうは言っても、
「作業に時間がかかるのは本人の力不足で、どこまで対応しなければいけないのか」
「残業しているのは本人の勝手ではないのか」
「部下が毎晩ダラダラやっているようだが、実際は何をしているのかわからない」
・・・と、頭を抱える管理職の方も多いかもしれません。
そこで今回は、社員(部下)の残業にかかる上司の責任について、詳しくみていきましょう。
会社には、社員の労働時間をマネジメントする責任があります。そこでタイムレコーダーの必要性は言うまでもなく、この取扱いについてたびたびご相談を受けます。
多くの会社の就業規則には「始業時刻9時、終業時刻18時、うち休憩時間12時から13時の1時間」などと規定されていることでしょう。けれど、9時に職場のどこにいなければ遅刻扱いになる、とまでは定められていません。
けれど具体的な規定がないからといって、毎日の勤怠管理で大きな混乱が起きているかといえば特にそんなこともなく、ごく普通に出勤が行われていると思います。
とはいえ、毎月の給料計算でタイムカードをチェックしていると「これは遅刻になるのか、ならないのか?」など、いざ真剣に考え始めると判断に迷うことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、タイムレコーダーの打刻と労働時間のカウント方法についてみていきたいと思います。
オンライン、オフライン、業種、業態、を問わず、日常業務のなかで顧客と直接やりとりを交わす機会は多くあります。
そこで、顧客との良好な関係性を継続的なものにするために、「定期的なご接待」や「いつでもクイックレスポンス」を会社の方針に据えることもあるでしょう。
とはいえ、マネジメントの立場からすると、「この顧客対応は労働時間になるのか?」と判断に迷うことはありませんか?
顧客対応にまつわる労働時間マネジメントは、顧客が商品開発や人材育成へ与える影響は大きいため、顧客満足に価値を置いている企業ほどよく抱える悩みです。
そこで今回は、コンサルティングの中でよくご相談を受ける顧客対応にまつわる次の2点について、詳しく確認していきましょう。
社員の能力を効果的に高める方法は、経験から学ばせるとともに、上司からのフィードバックや研修の機会を設けることです。
そこで終身雇用制を前提としていた時代には、経験と教育をセットにした人材育成のプログラムとして、OJTが多くの企業で実施されていました。けれど今は指導する人材の不足といった理由から、実際にはOJTがやりたくてもできない職場もあるようです。
また企業が雇用する人材のなかで、有期雇用者の割合が増えてきています。有期雇用の場合、一般的な無期雇用者と比べると短期間で戦力化する必要があります。とはいえサービス業の店舗のように、メンバーのほとんどがシフト制の有期雇用者という状況で、集合研修を行うことが難しい場合もあるかもしれません。
そこで最近は、オンライン学習(eラーニング)を導入する企業も増えてきているようです。オンライン学習は、全員が同じ時間、同じ場所にいる必要がない個人教育で、研修施設での講義や討議がない自宅学習がメインの学習スタイルです。
ではオンライン講座の自宅学習(オンライン研修)は、労働時間となるのでしょうか?詳しくみていきましょう。
たとえばお店に「営業中」の札を掲げていても、常にお客さんが来るとは限りません。けれど「営業中」としているだけに、接客自体はしていなくても、こまごまとした準備や店番などは必要です。お客さんがいないと、経営者としては「仕事をやっていない」という感覚になってしまいがちですが、これが社員ではどうでしょうか?
店番などはたしかに立っているだけかもしれませんが、休憩している状態でもありません。このような時間のことを「手待ち時間」といい、会社の指揮命令下に置かれている状態、つまり労働から完全に解放されていないとの見解から、労働時間になります。
このように労働時間が、必ずしも実際の作業時間と一致しないことも少なくありません。そのため「こういった場合は労働時間としてカウントしなければいけないのか?」とご相談をいただくこともよくあります。
そこで今回は、労働時間にカウントすべきなのか判断に迷いがちな「あるある事例」をもとに、具体的に確認していきたいと思います。
「優秀な社員なので、仕事をさばくのがとても速いので、ついつい毎度この人に仕事を頼んでしまいます」
「彼(彼女)はどんな仕事にもいつも時間がかかります」
「彼女(彼)しかできない仕事をやってもらっています」
コンサルティングの現場で、月々の残業時間の記録を拝見することがあります。各部署で他の人よりも突出して残業時間が多い人について、その理由を伺ってみると、このようなことをお聞きすることがあります。
前回の記事で、「残業の削減は管理職のマネジメントにかかっている」ことをお伝えしましたが、ポイントとなるのは次の3つの視点です。
これらの視点から、自分のチームメンバーの残業状況がどうなっているのか、実態を把握することが大切です。では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。さっそく3つの視点に基づいて、それぞれの実践ポイントを確認していきましょう。
「社員の残業時間が一向に減らない。残業する社員にはペナルティーを与える、ということにすればさすがにみんな残業しなくなるのでは?」
ビジネスを行う上でコスト感覚はとても大事です。ところが、コスト意識が強すぎると、ともすれば私たちは手早く問題解決ができる手段を求めてしまいがちになります。
一言でいうと「残業削減に効く特効薬があるはず」と考えがちです。
年末の納期など、どうしても仕事を終わらせなければならないので、期間限定的に残業が続くことはあると思います。けれど、それが毎度いつものことになっていたとしたらどうでしょうか?
「残業禁止」やそれに伴う「ペナルティー」で解決する問題ではないかもしれません。そこで今回は、社員が残業を手放すのに効果的な残業削減の取り組みとはどういうものなのか、詳しくみていきたいと思います。
社員のチカラを伸ばし、育てることはどの企業にとっても必要不可欠なことです。毎日の業務の傍ら、一定の期間でスキルアップを図るため、研修の実施を検討することもあるでしょう。
企業における研修は、大きく分けて2つあります。ひとつは、社内で用意した研修プログラム等を実施する「社内研修」。もうひとつは、外部の専門家や企業に委託して実施する「社外研修」です。
今回は、社員を外部の教育機関へ研修に行かせる「社外研修」にまつわる、よくある疑問についてみていきたいと思います。
研修カリキュラムが終日行われる場合、「出張扱いにしてもよいのか?」またそれが休日に行われる場合、「休日労働扱いにするべきなのか?」・・・よくよく考えてみると、判断に迷いますよね。
実際に、社外研修に出席する予定の社員さんから質問があって即答できなかった・・・とのお声も企業のご担当者から伺います。
それでは、さっそく詳しく確認していきましょう。
「社員に仕事に必要な資格の取得をもっと頑張ってほしいし、積極的に研修の受講を勧めたい。しかし、研修などが会社の休日にあった場合、労働時間などの扱いをどうすればいいのか・・・?」
新しく採用した社員を職場に配置しても、すぐに能力を発揮して会社に貢献する人材にはなりません。
そもそも本人がやる気にならなければ、能力を伸ばすことは難しいので、会社としては社員のやる気を引き出して育てることが必要です。
そこで、社員のスキルアップに意欲的な経営者、管理職の方からご相談をいただくことがあります。
「学びの秋」でもあるので、次年度の資格試験に向けて、研修などの実施を考えている企業も多いようです。社員のステップアップを応援したいので、会社として社員に不利益の内容にしたい、とのお話をよく伺います。
そこで今回は、研修を休日に行った場合に休日出勤としてみるのかどうか、詳しく確認していきましょう。
毎日遅くまで部屋に煌々と明かりが灯っている。残業するのが当たり前、といった空気が社内にあるのは事実。社員はそれぞれ一生懸命なのはありがたいが、残業代が高くなるのはもちろんのこと、深夜までのオフィスの光熱水費を含めてコスト増は必至だ。だが、予算には限りがある。何よりも連日の残業で、社員の健康がどうにかなってしまわないか心配だ・・・
**
コスト増の対策と社員の健康管理が急務だとお考えの経営者、管理職の方はたくさんいらっしゃると思います。そこで、たとえば18時になると強制消灯して退社を命じる会社もあります。
とはいえ、「強制的に帰らされるなんて横暴だ(もう仕事のことなんて知りませんよ)」と社員から抗議があがると、どう対応していいのか判断に迷う、との声をお聞きすることもあります。
そこで今回は、残業禁止命令の効果や法律的に問題があるのかどうかについてみていきたいと思います。
いまや顧客のニーズは多様化しているので、さまざまな要望にどれだけ柔軟に応えて、適切なフォローができるかが営業社員には求められています。
そこで外回り営業社員の労働時間について、次のような悩みを企業の人事担当者からよくお聞きします。
「顧客に寄り添い、細やかな提案を行う必要があるため、営業社員の労働時間がやたら長くなる傾向にある」
「とはいえ、外回り営業ならちょっと休憩にはいっていても、こちら(オフィス)からはわからない」
「それなのにその分も労働時間としてカウントして、残業代を支払わないといけないのか?内勤社員から疑問視する声もあって悩んでいる」
外回り営業社員の労働時間カウントをどのように考えていけば本人も周りの社員も納得できるのでしょうか。
今回はこのあたりを詳しくみていきましょう。