仕事前の机ふき・湯茶準備で気をつけたい男女の扱いと労働時間

オフィスの給湯室。茶瓶とマグカップが並んでいる。

毎朝、仕事が始まる前に女性社員がみんなのデスクの上を水拭きして、給茶機をセットしてお茶の準備をする・・・ひと昔前では見慣れた朝のオフィス風景かもしれません。

最近では次のような質問をいただくことがあります。

 

「なんとなく昔からの慣例で、以前は女性社員が始業時刻前に簡単な掃除をしたり、お茶の準備をしてくれていました。時代が変わって、男女差別ではないか、との声が聞こえてからはその習慣もなくなりました。そうすると今や、オフィスの机には書類の山が積み上がり、キャビネットの周りも文房具やらがとっ散らかっている状態で、なんとかしたいと思っています。今は、ハラスメントやコンプライアンスをきちんと考えておかないといけない時代なので、そのあたりを確認しておきたいのですが・・・」

 

このお話のなかでハラスメントやコンプライアンスの問題として、整理・確認しておくべきは次の2つです。

  1. 仕事前の机ふき・湯茶準備でハラスメントについて気をつけるべき点は?
  2. その時間は労働時間としてカウントするか?

今回は、これらをしっかりチェックしていきましょう。

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法内残業の命令を拒否する部下と仕事を抱え込むリーダー

蔦がつたえう建物の壁面前に自転車が停められている。建物の窓には白いロールカーテンがかかっており、「work」の文字が印刷されている。

最近の働き方改革の流れから、労働時間マネジメントに関するご相談をいただきます。

 

ある時刻以降の残業を禁止して次の始業時刻以前の勤務を認めない、といったいわゆる勤務間インターバルを設けるなど、健康、仕事、プライベートのバランスをうまくとれるよう知恵をしぼる職場もあることでしょう。

 

そんな長時間労働の見直し策が求められるなか、仕事の采配、スケジュールのやりくりに頭を悩ますチームリーダーもいるようです。

先日もある企業で、リーダー職の方からそのようなお話を伺いました。

 

「会社から労働時間短縮のお達しがあるのはわかっていますが、やらなくてはいけない仕事が終わらないのに帰ることはできません。チームメンバーに残業をお願いしても、いい顔をしてくれません。

早く帰りなさい、と会社からも言われているので強くも言えず、リーダーとして手一杯です・・・そもそもうちの会社は、所定労働時間が7時間なので、1時間残業しても他の企業とかわらないんじゃないかと思います。それなのに残業を嫌がるなんて、どうかと思います。

そのあたり法律的にどうなんですか?」

 

この話での法律的なポイントは、いわゆる法内残業の場合の、残業命令を拒否することに正当性はあるのかどうか、ということです。

今回はこのあたりについて詳しくみていきましょう。

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残業前の腹ごしらえは労働時間になるのか休憩時間か?

デスクの上にサンドイッチが載った皿が置かれている

朝から夕方までずっと仕事に没頭、気がつけばもう終業時刻。けれど今日は迫った納期のために残業だ。ああ、でも小腹がすいて仕事に集中できない。コンビニでパンでも買って腹ごしらえしよう・・・

 

みなさんの職場では、残業前にこんなシチュエーションはみられませんか?

管理職や人事総務担当者の方々にとっては、この腹ごしらえの時間まで労働時間としてカウントするのか、それとも休憩時間として残業申請の時間から差し引くべきなのか、勤怠管理をするうえで対処に困ることもあるかもしれません。

 

残業前に小腹を満たしたい気持ちはとてもよくわかりますが、食べ物をつまむとホッとして、つい時間が過ぎてしまうのもよくあること。

それで帰る時間が遅くなるのなら、本末転倒ですよね。仕事のメリハリをつけるためにも、労働時間なのか休憩時間なのか、線引きをきちんとしたほうが時間を有効に活用できそうです。

 

そこで今回は、残業前の夕食時間は労働時間とするのか、休憩時間として扱うのか、またその線引きはどうすればいいのかについて、みていきたいと思います。

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仕事が終わってからの健康診断は残業代の対象?

お皿に色とりどりの果物が並べられている。ハート形にくり抜かれたすいか、ラズベリー、ブルーベリー、ミントの葉。

ここ一か月の間に地震や台風、局地的な豪雨が相次いで発生しました。雨が上がると今度は照り付けるような太陽の日差しで猛暑の日々・・・。会社としては、社員の健康管理がとても気にかかるところではないでしょうか。

 

社員の健康維持のために、会社には一定の健康診断を行う法律上の義務があります。この健康診断について、

 

「就業時間中に健康診断を受けることができる社員もいるのですが、業務の都合でどうしても時間外に受けたいという社員がいます。これは時間外労働として残業代の対象となるのでしょうか?残業代が出るなら、就業時間中は仕事をして、時間外に健康診断を受けたいと言い出す社員が出てきそうで、悩みます・・・」

 

とのご相談をいただくことがあります。

労働時間とは、社員が会社の指揮命令下のもとで仕事を行う、拘束された時間のこと。

とすれば健康診断は、残業代の対象になるかどうかの前に、そもそも労働時間としてカウントされるもの??との疑問も浮かんできませんか。

そこで今回は、健康診断義務にかかる法的な性質を踏まえながら、このあたりについて詳しくみていきたいと思います。

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ゲリラ豪雨で帰りが遅くなった社員の労働時間はどうなる?

大雨の中で傘をさす。

夏になると、梅雨や台風の影響でしばしば大雨になります。

ゲリラ豪雨の影響で立ち往生となり、商品の配達に出かけた社員の帰社がいつもより遅く、終業時刻をとっくに過ぎていたとき。

この場合、配達員の社員の労働時間をどうカウントすればいいのでしょうか。

 

このような、帰社が遅くなった社員の労働時間についての質問をよくいただきます。お聞きしていると、営業社員の事業場外みなし労働時間の場合とごっちゃになっていることも多いようです。

 

またゲリラ豪雨などではなく、会社に戻る途中で私用を済ませていたがためにどうやら遅くなったようだ・・・という場合はどうカウントするといいのか悩ましい・・・とのお話を伺うこともあります。

 

そこで今回は、

  • ゲリラ豪雨等による交通渋滞、交通事故、道に迷うなどで遅くなった場合
  • 配達や帰社の途中、私用やサボリで遅くなったと推定される場合

これらのケースで、配達担当の社員の労働時間をどうカウントするのかについて、みていきたいと思います。

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現場へ直行するときどこまで通勤、どこから労働時間?

ノートパソコン、観葉植物、カメラ、万年筆、眼鏡がデスクの上に並べられている。

前回の記事(「朝から応援勤務で他店舗へ行くのは出張?それとも通勤?」)では、朝に自宅から直接、他の店舗や事業場へ応援勤務に行くのは出張にあたるのか、それとも通勤時間にあたるのかについて詳しくみてきました。

 

これに関連して、「自宅から作業現場に直行直帰するような場合は、どのように考えるといいですか?」との質問もよくいただきます。

 

通常ならいったんオフィスに出勤して、上司の業務命令によって目的地へ出発するところですが、時間的なロスを省き効率的に仕事を進めることを考えて、自宅から上司の指示による目的地へ直接出かけるとき(またそこから自宅へ直帰するようなとき)。

 

よくあるシチュエーションだと思いますが、いざどこまでが通勤時間でどこから労働時間なのかを考えると、判断に迷うところではないでしょうか。

そこで今回は、よく質問をいただく

  1. 途中で集合して目的地へ行くとき
  2. 作業現場へ直行直帰するとき

いつものようにオフィスへ出勤しない、これらのシチュエーションで、「どこまでが通勤でどこから労働時間なのか?」について詳しくみていきたいと思います。

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朝から応援勤務で他店舗へ行くのは出張?それとも通勤?

坂道にある花屋さんの店舗。ピンクと白のストライプのファサード。

複数の店舗や事業所を運営している企業では、人手が足りないときや、緊急事態が発生したときには、臨時の対応を行わなければなりません。

 

社員にいつもの勤務先とは異なる場所へ応援勤務を命じて、駆けつけてもらわないといけないこともあると思います。

トラブル等ではなくても、遠隔地の現場へ作業に行く必要のある企業では、同様のシチュエーションが考えられるでしょう。

 

そんないつもと違う場所へ直接出勤するとき、そこまでの往復の移動時間は、「通勤時間」にあたるのか、「出張としての労働時間」にあたるのか、という質問をいただくことがあります。

 

特に「いつもと違う場所」が遠方にあると、社員さんに通常よりも早起きして自宅から出かけてもらわなければなりません。そこで、どのように勤怠管理をして、どんな説明をすれば社員に納得してもらえるのか・・・と悩まれているようです。

 

そこで今回は、朝に自宅から直接、他の店舗や事業場へ応援勤務に行くのは出張にあたるのか、それとも通勤時間にあたるのか、詳しくみていきたいと思います。

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研修・セミナーが労働時間になるとき、ならないとき

デスクの上に、花束、メモ帳とペン、ペーパーバック、眼鏡、ワッフルが添えられたカップ&ソーサ―が置かれている。

「これから社員には、スキルアップのためにうちの会社内部で企画したものだけではなくて、外部の機関が実施しているセミナーやビジネス・スクールにどんどん参加してもらおうと思っています。ただ、そのセミナー受講中は労働時間になるのですか、ならないのですか?」

 

今いる社員に能力をのびのび発揮してもらうため、セミナーや研修、講習の受講を企画・検討されることもあると思います。

 

そこで、社員が参加する研修や講習は、どんな内容のものでも労働時間になるのか、ならないのか、その判断のポイントを知りたい、との質問をよくいただきます。

 

また、終業時間後に実施されるセミナーであれば、残業代の支払いの有無など勤怠管理で頭を悩ませる、との声をお聞きすることもあります。

労働時間になるかどうか、判断のポイントは大きく分けて2つあります。

  • セミナーの内容(担当業務に関連するものなのか?)
  • 業務命令か否か(自由任意参加なのか?)

今回はこれらを詳しくみていきましょう。

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どのくらいの役職につくと管理職扱いになりますか

並んで出勤する男性管理職と女性管理職

会社組織において一定の管理監督的地位にある社員については、労働時間や休日・休憩等の適用が除外されるので、会社に残業代(割増賃金)の支払い義務はありません。

 

コンサルティングで企業の方とお話ししていると、

「A社では課長になると管理職扱いになって残業手当の支給がなくなるそうですが、B社では主任になると管理職扱いになると聞きます。管理職にあたる、あたらない、の基準がよくわかりません。一体どのくらいのポジションに就くと、管理職扱いになるのですか?」

といった質問をよくいただきます。

 

残業代等の支給の有無が判断される「一定の管理監督的地位」とは、その職務権限と実際の処遇によって決まることになります。

そこで今回は、

  • 労働時間等が適用除外される管理職とは?
  • 管理職にあたる、あたらない、の具体的な判断基準

これらについて詳しくみていきたいと思います。

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労働時間の効率化で残業代が少なくなるのは不利益変更?

赤色の目覚まし時計、額縁、本、観葉植物の鉢植えが壁際に並べられている。

五月晴れの空が心地よいゴールデンウィーク前半ですね。まとまったお休みを設定している企業もあるかもしれません。

労働時間を社員が勤務する労働日数でみると、労働日数は休日数を決めることになります。

 

このように会社における労働時間制度とは、労働時間の配分を決める仕組みのことです。つまり、社員の働きによる労働力の「量」と「タイミング」を決めることになります。

社員にとっても、自分の生活のために使える時間を左右するので、業務の繁閑に応じた適正な労働時間の設定は、基本的に生活と仕事の両立のしやすさを決めるものといえます。

 

実は、コンサルティングをしていると、次のような質問をいただくことがあります。

 

「変形労働時間制の導入で労働時間の短縮につながるとはいえ、残業時間が減るとその分残業代も減りますよね。そこで社員から残業代が減るのは自分たちにとって不利益じゃないのか?との質問がありました。これは労働条件の不利益変更にあたるのでしょうか?」

 

労働力の需要の変動に応じて年間の労働時間の配分をあらかじめ決めておく変形労働時間制や、社員自身が仕事の進捗に応じて出勤時間を選ぶフレックスタイム制などの導入で効率良く働くことができる。けれど残業時間が減少すると、それに伴って残業代も減少するのは確かです。

 

そこで今回は、労働時間の合理化が進むことで、残業代が減少することは不利益変更にあたるのかどうかについてみていくことにしましょう。

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国民の祝日に社員を出勤させてもいいですか?

休日の食卓。コーヒーにクッキー、ピンクのチューリップをはじめ色とりどりの花が食卓を明るくしている。

3月後半に入っても寒の戻りで着る服に迷う日が続きましたが、春分の日を過ぎてようやく春らしい陽気になりました。

 

さて、春分の日は国民の祝日のひとつですが、「春分の日も社員に出勤してもらわないと、年度末の納期に間に合わない状況です。でも祝日を休日にしないで、出勤させてもいいのでしょうか?」との、まさにこの記事タイトルにあたる質問を以前いただいたことがあります。

 

祝日の取り扱いをどうすればいいのか、判断に迷うケースは実際によくあるかもしれません。

そこでよくいただく質問内容をもとに、祝日、また似たケースとして会社独自の特別休日(創立記念日など)の取り扱いについて整理してみましょう。

  1. 国民の祝日を必ず休日にしないといけない?
  2. 国民の祝日に出勤させると割増賃金はどうなる?
  3. 会社独自の特別休日(創立記念日など)に届出は必要か?

今回は、これらについて詳しくみていきたいと思います。

よくよく考えてみると、間もなくの(少し気が早い?)ゴールデンウィークには、国民の祝日が続きますよね。

この機会にぜひ確認しておきましょう。

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休日の接待ゴルフは休日労働?単なるプレー?

グリーンのホール際のゴルフボール。ホールインワンならず。

長かった冬が終わり、春らしい暖かな陽気に誘われて、お出掛け気分も高まります。

そんな春は、ゴルフのベストシーズンなのだそうですね。

 

たとえば休日に、取引先との接待ゴルフ大会が開催されることもあるかもしれません。

日本の企業社会において、いわゆる社用ゴルフは、取引先との関係性をスムーズにする社交として慣行になっています。

 

実際にこの場が、新規得意先を開拓したり、受注アップなどの販売促進や営業取引の継続など、ビジネスにおける重要な役割を果たしている面もあるでしょう。

 

 

「ゴルフコンペ開催の費用は、会社の交際費として会社側が負担している。だからそのコンペが休日に行われた場合、休日労働になるのでは?」

 

このような質問を、今の季節になるとよくいただきます。

そこで今回は、休日に開催される接待ゴルフ大会に参加するとき、労働時間にカウントされるのかどうかについてみていきましょう。

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休日の社内行事が労働時間になる人、ならない人

旅先のマップ。トランク、バス、ハイビスカスのクレイアートが載っている。

日差しが和らぎ、ようやく春の兆しが感じられる今日この頃です。

経営計画発表会やキックオフミーティングを兼ねて、春に社員旅行などのレクリエーションを計画されるエピソードを、お伺いすることがあります。

 

業務上スケジュールを調整していると、これらの社内行事を休日に開催せざるを得ないことも。

そこで次のような質問をいただきます。

 

「全員参加としたいのですが、休日に行事を実施するとこれも休日労働になるのですか?」

 

つまるところ、社内行事は労働時間としてカウントされるのか?それともされないのか?ということに行きつきますが、その判断には、次の3点がポイントになります。

  1. 仕事と認められるものなのか
  2. 単に参加するだけなのか
  3. 準備、運営、後始末などを担当するのか

今回は、それぞれについて詳しくみていきましょう。

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終業後のミーティングや飲みニケーションは労働時間?

レモンを浮かべたグラスジョッキ2つ。ハイボール。飲み会。

2月も折り返し地点を過ぎ、年度末が近づいてきました。

今季の目標達成に向けて、終業時刻後に振り返りのミーティングが行われる様子もオフィスで見られるのではないでしょうか。

 

このように「反省会」「懇談会」「会議」などいろいろなネーミングによる会合で、社員が職場に居残ってディスカッションするといったことは通常よくあると思います。

 

けれどそれらにかかる勤怠管理を考えると、

「どちらかというと、自主的な打ち合わせに近い雰囲気だ」

「会議はいつもお菓子を食べながら、まったりと進行する」

など、よくよく振り返ってみると、終業後のこれらの活動は労働時間にあたるのか?と、判断に迷うことはありませんか。

 

またこれらの活動が終わったあとに懇親会が開かれるのもよくあるケース。

これは労働時間になるのか?、それでは得意先の接待の場合はどうなるのか?

・・・考え出すとますますわからなくなってきますよね。そこで今回は、

  1. 終業後の打ち合わせやミーティングは労働時間になるのか?
  2. 接待や宴会をはじめ終業後のいわゆる飲みニケーションは労働時間になるのか?

この2点について整理していきたいと思います。

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社員が在宅勤務を選んだときの労働時間マネジメント

自宅の部屋。アンティーク調の椅子にひざ掛けがかかっている。観葉植物が癒し。

記録的な大雪から、列車や車の立ち往生が各地でみられますね。

鉄道ダイヤが乱れると、通勤ラッシュに影響が出ることもあるかもしれません。

 

交通機関の混雑で通勤への支障が予想されるとき、オフィスへ出勤せずに、自宅で仕事をする「在宅勤務」の制度があるといい、と考える企業も増えてきているようです。

大雪や台風のとき、また家庭や業務の事情など、都合に応じて勤務先へ行かずに働ける選択ができれば、時間を有効活用でき、非常時でも仕事を継続できるなど、社員と企業の双方に大きなメリットがあります。

 

とは言え、在宅勤務をはじめとするテレワークを導入するには、セキュリティや労務管理の面でハードルが高いと思われることも多いのではないでしょうか。

最近、「テレワークでの情報漏洩に備える損害保険」がプレスリリースされていましたが、働き方改革推進の流れを受けて、多方面から対策が進むかもしれませんね。

 

そこで今回は、テレワークにおける在宅勤務の労務管理、特に頭を悩ませがちな労働時間マネジメントについて、詳しくみていきたいと思います。

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出張中はどこまで労働時間にカウントするか?

キャリーバックをひいて、新幹線の改札を抜ける男性社員。

年明け早々、取引先へ新年のあいさつ回りを兼ねて、遠方へ出張に出かける機会も多いかもしれません。

 

出張期間は会社の業務命令に基づくものであっても、法律上の労働時間という観点からみると、「拘束時間=労働時間」とは一概にいえません。

オフィス内で仕事をしている時のように、上司が直接的に労働時間マネジメントをできる状況にはなく、会社の業務命令による拘束時間とはいえ抽象的なものだからです。たとえば新幹線の座席で小説を読んだり、ウトウト居眠りをしたり、駅弁を食べたりすることは普通に想像できるシチュエーションですよね。

 

けれど、これらは果たして労働時間と言えるのだろうか・・・と考え出すと、頭の中でクエスチョンマークが飛び交いませんか?

特に出張中の勤怠管理や残業計算で「どこまでが労働時間?」と、頭を悩ませることはありませんか?

実際に次のような質問をいただくこともあります。

  • 出張の往復で新幹線や飛行機に乗っている時間は、労働時間なのか?
  • 出張期間中の休日はどう対応すればいいのか?
  • 休日に出張の場合は休日労働になるのか?

今回は、これらについて詳しくみていくことにしましょう。

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残業命令VS社員のプライベート、優先されるのはどっち?

楽しい海外旅行の準備。白いスニーカー、カメラ、現地のマップ、パスポート、サングラス、現地の紙幣、財布、スマートフォンを並べている。

2018年の幕が開けました。今日あたりから、本格的に仕事を開始される会社さんも多いのではないでしょうか。

その分年末年始のスケジュールがタイトで、仕事納めまで忙しい日々を送られていたかもしれませんね。

 

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そんな仕事が目いっぱい詰まった、とあるメーカーのA社さん。そこへ取引先から緊急のオーダーが入りました。残業で対応すれば、なんとか先方の要望に応えることができそうです。

そこで営業課長がある社員に残業を指示したところ、「仕事帰りに空港で家族と待ち合わせして、今夜の便で海外旅行に行くんです。だから残業は無理です。」とのこと。「お先に失礼します!」と終業時刻と同時に、笑顔で退社してしまいました。

 

当社の就業規則には、「社員は、業務命令として、所定外労働及び休日出勤を命じられたときは、正当な理由なくこれを拒否することはできない」とあります。

「就業規則に書いてあるのに!仕事を残してさっさと帰るなんて!本来なら懲戒処分にあたるんじゃないのか?!」と、緊急の仕事を前に課長は渋い顔です。

**

 

さてこんなとき、残業命令と社員の私用はどちらが優先されるのでしょうか。また社員の主張する「海外旅行」は、就業規則に規定される「正当な理由」にあたり、残業を拒否できるのでしょうか。それとも懲戒処分の対象となるのでしょうか。

次から詳しく見ていきましょう。

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労働時間マネジメントは上司の責任

パソコンのキーボード前に電卓やノートなどビジネスツールが並んでいる。観葉植物のグリーンが癒し。

新入社員の過労自殺に端を発した電通の違法残業事件は、2017年10月6日、罰金50万円の有罪判決となりました。判決では、長時間労働が常態化していたにも関わらず、抜本的な対策を講じないで、労働時間の削減を現場まかせにしていたことが指摘されています。

「残業管理は上司の責任」との見方が明確に示されたと言うこともできるでしょう。

 

近年は、上司の指示に従わずに残業していた社員への会社の対応義務が問われる裁判例もみられます。ただしそうは言っても、

「作業に時間がかかるのは本人の力不足で、どこまで対応しなければいけないのか」

「残業しているのは本人の勝手ではないのか」

「毎晩ダラダラやっているようだが、何をやっているのかわからない」

 

と頭を抱えるマネジャーの方も多いかもしれません。

そこで今回は、社員(部下)の残業にかかる上司の責任について、詳しくみていきましょう。

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タイムレコーダーで時間管理するときの留意点

方眼ノートの上にグリーンの電卓と鉛筆が置かれている。

会社には、社員の労働時間をマネジメントする責任があります。そこでタイムレコーダーの必要性は言うまでもなく、この取扱いについてたびたびご相談を受けます。

 

多くの会社の就業規則には「始業時刻9時、終業時刻18時、うち休憩時間12時から13時の1時間」などと規定されていると思いますが、9時に職場のどこにいなければ遅刻扱いになる、とまでは定められていません。けれど具体的な規定がないからといって、毎日の勤怠管理で大きな混乱が起きているかといえば特にそんなこともなく、ごく普通に出勤が行われていると思います。

 

とはいえ毎月の給料計算でタイムカードをチェックしていると、「これは遅刻になるのか、ならないのか?」など、いざ真剣に考え始めると判断に迷うことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、タイムレコーダーの打刻と労働時間のカウント方法についてみていきたいと思います。

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接待や夜間対応は労働時間になるか?

商談中のビジネスマン2人。

日本ではサービス産業のGDP、雇用のシェアは7割程度を占めています。これを言い換えると、働いている人のなかで顧客と直接やりとりする人の割合が高いということになります。

 

顧客とのやりとりの中で、サービスの改善点が発見される。どうすれば顧客に喜んでもらえるかを考えることで、営業パーソンが一人前に育つ。このように顧客が商品開発や人材育成へ与える影響は大きいため、顧客満足に価値を置いている企業も多いと思います。

 

そこで継続的な関係性を構築するために、会社の方針として「接待」を行ったり、「問い合せには即回答」とすることもあるでしょう。

とはいえそんな顧客対応について、メンバーのマネジメントを行う立場からすると、「これは仕事(労働時間)と言えるのだろうか?」と判断に迷うこともあるのではないでしょうか。私がよくご相談を受けるのは、営業パーソンの顧客対応に関する次の2点。

  1. 接待での飲食や宴会はどう考える?
  2. 携帯電話を常時ONにさせておくのはOK?

今回はこれらを確認していきましょう!

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チームの余裕を生み出し年休取得率を上げる方法

手を重ねて士気を高めるチームメンバーたち

以前の記事(「計画年休で夏休みを大型連休にするときの注意点」)で、計画年休制度を「4人体制チームなら1人休んでも3人で回るチームにする機会」として、仕事のやり方を見直すチャンスにすることをお伝えしました。そこで、

 

「チーム全体の仕事をこなすのに、そもそも何人必要なのかわかっていません。チームには子育て中のメンバーがいるので、不在の時でもみんなでやり繰りしたいのですが、具体的に何から手をつけるといいですか?」

 

との質問をいただきました。

 

仕事をみんなで把握して、お休みや時短のメンバーがいても、残りのメンバーで主体的に仕事をこなそうとするチームは、とても理想的ですね。

具体的にはどうしていくと、そんなチームが実現するのでしょうか?次の3つのポイントが挙げられます。

  1. チームの仕事量を把握する
  2. かかる労働時間から必要な人数を割り出す
  3. IT化・外注化・パート・アルバイトを検討する

今回は、これらを詳しくみていきましょう。

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オンライン研修の自宅学習は労働時間になるか

自宅でオンライン研修中。ノートパソコンのキーボードを操作する手。

社員の能力を効果的に高める方法は、経験から学ばせるとともに、上司からのフィードバックや研修の機会を設けることです。

そこで終身雇用制を前提としていた時代には、経験と教育をセットにした人材育成のプログラムとして、OJTが多くの企業で実施されていました。

 

けれど今は指導する人材の不足といった理由から、実際にはOJTがやりたくてもできない職場もあるようです。

また企業が雇用する人材のなかで、有期雇用者の割合が増えてきています。有期雇用の場合、一般的な無期雇用者と比べると短期間で戦力化する必要があります。とはいえサービス業の店舗のように、メンバーのほとんどがシフト制の有期雇用者という状況で、集合研修を行うことが難しい場合もあるかもしれません。

 

そこで最近は、オンライン学習(eラーニング)を導入する企業も増えてきているようです。

オンライン学習は、全員が同じ時間、同じ場所にいる必要がない個人教育で、研修施設での講義や討議がない自宅学習がメインの学習スタイルです。

 

ではオンライン講座の自宅学習は、労働時間となるのでしょうか。

詳しくみていきましょう。

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労働時間にカウントするとき、しないとき

ベーカリーショップの外観。ウィンドーから焼きあがったパンがところ狭しと並んでいる。

たとえばお店に「営業中」の札を掲げていても、常にお客さんが来るとは限りません。

けれど「営業中」としているだけに、接客自体はしていなくても、こまごまとした準備や店番などは必要です。お客さんがいないと、経営者としては「仕事をやっていない」という感覚になってしまいがちですが、これが社員ではどうでしょうか?

 

店番などはたしかに立っているだけかもしれませんが、休憩している状態でもありません。このような時間のことを「手待ち時間」といい、会社の指揮命令下に置かれている状態、つまり労働から完全に解放されていないとの見解から、労働時間になります。

 

このように労働時間が、必ずしも実際の作業時間と一致しないことも少なくありません。

労働時間としてカウントするのかどうか判断に迷う、とよくご質問を受ける事例をもとに、具体的にみていきましょう。

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給与計算のアウトソーシングで気をつけるべきこととは?

USBからデータを取り込み中のノートパソコン。傍らにコーヒーの入ったマグカップ、スマートフォン、黒のペン。

私がよく経営者の方からお聞きするのは、社長自身が給与計算を行っていて、経営者としての本来業務に割くべき時間が削られて悩んでいる、ということです。正しく給与計算を行うための教育コストがかかるので適任者がいない、また小規模の企業では事務方の社員数が少ないため、社長自らが実務を行わざるを得ない事情があるようです。

 

けれどやはり社長が本来業務に専念するためには、自社で行うよりも低コストなのであれば、アウトソーシングの検討を行うことをお勧めします。アウトソーシング先の候補としてオススメしたいものの1つがクラウドサービス。

 

クラウド型給与計算ソフトもあることを聞いたので、実際に私も試しに使ってみました。

給与計算の業務フローには、労働時間の集計や社会保険料の計算など、人事に関する業務が多岐に渡って含まれていますが、それらがとてもわかりやすく管理されていることに驚きました。

 

従来なら給与担当者1名で行っていた作業も、クラウド型なので他の社員との分業もやりやすく、スピーディーに終わらせることができそうです。

何より給与計算の専門的な知識がなくてもできることが大きなメリットですね。

社労士業務のうちのひとつに給与計算がありますが、このようにとても便利な世の中になってきているので、私も社労士としての付加価値を考え直す良い機会になりました(笑)

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仕事中のインターネット閲覧をどこまで管理する?

パソコンのキーボードとスマートフォン。

インターネットは日常生活でとても便利なツールですね。

 

仕事のうえでも新幹線の予約や調べもの、商品購入を検討するとき、ライバル製品の動向を探るなど、なくてはならないものです。

たまたま見ていたサイトから、仕事に役立つヒントが見つかることもあるかもしれません。

 

けれど昼間はずっとSNSや仕事に関係のないサイトを見ていて、その分毎日遅くまで残業。

そんな社員がいたら、いい加減にしろ!と言いたくなってしまいますね。

そこで、インターネットに繋がるパソコンを職場に1台しか置かない、ネットにつながるパソコンを割り当てない、などもちろん仕事へ支障がないことが前提となりますが、接続環境を制限する会社もみられます。

一方で、業務効率のため個人へタブレット端末を貸し出す会社もあり、使いやすい分どこまで制限をかけるべきなのか悩む、と経営者や管理職の方からよくお伺いします。

勤務時間中のインターネット閲覧を、会社はどこまで管理するべきなのでしょうか。

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マイルール社員に生産性を上げさせる方法

遅くまで残って残業する部下を腕組みして、苦々しく思っている男性上司。

「なんで彼(彼女)は毎日遅くまで仕事しているんだろう?」

そんな疑問が頭によぎるような社員、あなたの職場にいませんか?

そんな彼(彼女)は自分の仕事のやり方、自分だけの「マイルール」に縛られているのかもしれません。

 

連日の残業は、本人にとっても楽しいことではないでしょうし、じわじわと健康が害されるのも心配です。

もちろん会社にとっては、残業代、光熱費などコスト面で問題があります。

 

マイルール社員に生産性を上げて仕事をしてもらうには、どうすればよいのでしょうか。


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残業を減らすためにしたい3つのポイント

パソコンのキーボードを打ち込む女性社員の指先

コンサルティングの現場で、月々の残業時間の記録を拝見することがあります。

各部署で他の人よりも残業時間が多い人について、その理由を伺ってみると、

 

「この人は本当に優秀で、他の人に頼むよりものすごく仕事がはけるんです」

「この人はなんか手が遅くて、いつも時間がかかります」

「この人しかできない仕事に取り組んでもらっているので」

 

というような回答がよくあります。

 

前回の記事で、「残業の削減は管理職のマネジメントにかかっている」ことをお伝えしました。

つまり、「できる人に仕事が偏っていないか」「優先順位をたてず無計画に仕事していないか」「チームで仕事が共有できているか」の視点から、自分のチームメンバーの残業状況がどうなっているのか、実態を把握することが大切です。

今回は、具体的にはどうすればいいのか、詳しくみていきましょう。

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残業削減の特効薬はあるか

ベンチに置かれた鉢植えと雑誌、コーヒーカップ。

年の瀬が迫ってきました。今年の仕事は年内に目途をつけたいので、「本当に終わるのか?」とここ最近はドキドキしながら仕事をしていますが(笑)、みなさんにおかれましてはいかがでしょうか。

 

年末の納期など、どうしても仕事を終わらせなければならないので、期間限定的に残業が続くことはありますよね。

けれどそれが毎度いつものことになっていたとしたら。

 

「残業禁止」やそれに伴う「ペナルティー」で解決する問題ではないかもしれません。けれど、ともすれば「残業削減に効く特効薬があるのではないか?」と手早く問題解決ができる手段を求めてしまいがちです。

 

今回は、残業削減の取り組みについて詳しくみていきたいと思います。

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社外研修でやってはいけない扱いとは

鉢植えの観葉植物に、卓上カレンダーがもたれかかっている。

社員を外部の教育機関へ研修に行かせることもあるかと思います。

 

研修カリキュラムが終日行われる場合、出張扱いにしてもよいのか?

またそれが休日に行われる場合、休日労働にするべきなのか?

よくよく考えてみると判断に迷いますよね。

 

詳しくみていきましょう。


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休日の研修は出勤日としてカウントするか

ノート型パソコンとページが開かれた研修のテキスト

新しく採用した社員を職場に配置しても、すぐに能力を発揮して会社に貢献する人材にはなりません。そもそも本人がやる気にならなければ、能力を伸ばすことは難しいので、会社としてはやる気にさせて育てることが必要です。

 

そこでスキルアップのため、社員に資格の取得や研修の受講を勧めたいが、労働時間などの扱いをどうすればいいか悩む、とのご相談をお聞きする機会が最近増えました。

「学びの秋」でもあるので、次年度の資格試験に向けて研修などの実施を考えている会社も多いようです。

 

研修期間の勤務時間や休日などの扱いについて、これから数回に分けて考えてみます。


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残業禁止命令の効果を高めるには

デスクの上に、パソコンのキーボード、マウス、手帳、眼鏡、ペン、コーヒーの入ったマグカップ、観葉植物が並べられている。

毎日遅くまで終わらない残業。社員は一生懸命なのかもしれないが、残業代が高くなるのはもちろんのこと、オフィスの光熱水費などを考えると・・・

そして何より連日の残業で、社員の健康がどうにかなってしまわないか心配だ。

 

経費削減の対策として、また社員の健康管理の一環として、たとえば18時になると強制消灯して退社を命じる会社もあります。

残業禁止命令の効果や法律的に問題があるのかどうか、みていきましょう。


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外回り営業社員の労働時間をどうカウントする?

顧客とオープンテラスで商談を行う営業社員。パソコンのグラフで説明している。

いまや顧客のニーズは多様化しているので、さまざまな要望にどれだけ柔軟に応えて、適切なフォローができるかが営業社員には求められています。

そこで外回り営業社員の労働時間について、次のような悩みをよくお聞きします。

 

「顧客に寄り添い、細やかな提案を行う必要があるため、営業社員の労働時間がやたら長くなる傾向にある」

「とはいえ、外回り営業ならちょっと休憩にはいっていても、こちら(オフィス)からはわからない」

「それなのにその分も労働時間としてカウントして、残業代を支払わないといけないのか?内勤社員から疑問視する声もあって悩んでいる」

 

外回り営業社員の労働時間カウントを、どのように考えていけば本人も周りの社員も納得できるのでしょうか。

今回はこのあたりを詳しくみていきましょう。

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