残業前の腹ごしらえは労働時間になるのか休憩時間か?

デスクの上にサンドイッチが載った皿が置かれている

朝から夕方までずっと仕事に没頭、気がつけばもう終業時刻。けれど今日は迫った納期のために残業だ。ああ、でも小腹がすいて仕事に集中できない。コンビニでパンでも買って腹ごしらえしよう・・・

 

みなさんの職場では、残業前にこんなシチュエーションはみられませんか?

管理職や人事総務担当者の方々にとっては、この腹ごしらえの時間まで労働時間としてカウントするのか、それとも休憩時間として残業申請の時間から差し引くべきなのか、勤怠管理をするうえで対処に困ることもあるかもしれません。

 

残業前に小腹を満たしたい気持ちはとてもよくわかりますが、食べ物をつまむとホッとして、つい時間が過ぎてしまうのもよくあること。

それで帰る時間が遅くなるのなら、本末転倒ですよね。仕事のメリハリをつけるためにも、労働時間なのか休憩時間なのか、線引きをきちんとしたほうが時間を有効に活用できそうです。

 

そこで今回は、残業前の夕食時間は労働時間とするのか、休憩時間として扱うのか、またその線引きはどうすればいいのかについて、みていきたいと思います。

休憩時間とはどんな時間?

休憩室のテーブルにホットコーヒーとアイスコーヒー。

労基法に定められる休憩時間とは、社員が仕事から完全に解放されて、会社からの指揮命令下にない時間のことです。

休憩時間中の外出が所属長の許可制となっているなど、施設の管理上もしくは職場の秩序上の拘束はあるにしても、基本的に社員が自分の自由に利用できる時間ということになります。

 

休憩時間と似て非なるものに「手待ち時間」と「手あき時間」がありますが、それぞれを確認しておきましょう。

 

まず手待ち時間とは、実際には作業を行わずにいつでも次の作業にかかれるような態勢で待機している時間のことです。

たとえば、お店の店員がお客さんの来店を待っている時間や、作業現場で資材の到着を待っているような時間のことを指します。

これらは、仕事から完全に離れることを保障されてはいないので、休憩時間ではなく労働時間としてカウントされます。

 

次に手あき時間とは、一般的には手待ち時間よりもさらに仕事からの解放の度合いが高いものと考えられています。

ですからその時間が仕事から完全に解放され、社員の自由な利用が保障されているのなら、休憩時間として認められます。

ただし、具体的なケースごとに休憩時間かどうかを判断しなければなりません。

残業前の夕食時間はどうなる

残業前の腹ごしらえ用のサンドイッチとテイクアウトのコーヒー。

前段のとおり、労基法上の休憩時間というには、社員が仕事から離れて自由に使うことを保障されている時間でなくてはなりません。

 

ですから社員が自分勝手に仕事の合間に休息をとっていたとしても、それが職場での権利として会社から認められていないのであれば、それは休憩時間にはなりません。単に社員が恣意的に行った、仕事からの離脱行為となります。平たく言うと「サボった」ということですから、もちろん労働時間にもあたりません。

 

逆に、職場の不文律の慣行として、労働時間の途中に仕事から解放される時間が保障されているという事実があり、またそれが会社から認められるのであれば、その時間は慣行として労働条件のひとつとして確立されているので、休憩時間にあたります。

 

(※ただし、休憩時間の規定は就業規則の絶対的必要記載事項なので、労基法89条違反となることに注意が必要です。)

このように慣行による休憩時間は、

  1. 社内制度として確立されている
  2. 会社が承認している

これらのことがポイントとなります。

よって、終業時間後の残業に向けた腹ごしらえのための夕食時間は、ひとつの制度として社内で確立されていて、会社が承認しているのであれば労働慣行としての「休憩時間」に該当します。

実務的にどう対処するのか

仕事しながらドーナッツをつまむ女性社員。マニキュアが施された指先。

問題は、腹ごしらえの夕食時間が制度として確立されていなくて、腹ごしらえをする人もいればしない人もいるなど、なんとなくうやむやになってしまっているときです。仕事のメリハリをつけるためにも、会社としては線引きをしておきたいところです。

 

休憩時間については、労働時間の途中でさえあれば法律上の規制はなく、就業規則などで自由に定めることができます。職場の実態に応じて、たとえば午前中に15分、お昼(正午)に30分、午後中に15分といったように分割しても構いません(合計が45分なり、1時間以上になればOK)。

 

お昼の30分では「昼はどこの店も混雑するので、食事の時間が思うように取れない」「リフレッシュするには時間が短い」といった意見が社員から出るのであれば、たとえば前半を45分とし後半を15分とするなど、職場の実態にフィットした取り扱いを考えたいところです。

 

腹ごしらえの夕食時間の問題についていうと、たとえば1日の所定の就業時間が8時間を超えない職場の場合、お昼を45分休憩として、残業命令があるときは終業時刻後に15分休憩をとる、とのルールを決めるのもひとつでしょう。

 

実は、休憩時間を一日のうちどこに設定するかということは、人材マネジメントにおける重要な問題です。仕事の能率や、社員の疲労の蓄積に関わってくるからです。ですから、きちんと就業規則に明記しておくことが大切です。

すっきりリフレッシュができて、みんなのパフォーマンスがあがる休憩時間のあり方を考えたいですね。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

≫詳しいプロフィールはこちらから

伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。ノートパソコン、スマートフォン、ボールペン2本、ピンク色の付箋
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。パソコンに集中して打ち込む社員。
無料コンテンツ。ピンク色を基調としたメモ帳、ノート、ペン、コーヒーの入った赤いカップ&ソーサ―がデスクに並んでいる。
社労士事務所Extensionへのお問合せはこちらから