国民の祝日に社員を出勤させてもいいですか?

休日の食卓。コーヒーにクッキー、ピンクのチューリップをはじめ色とりどりの花が食卓を明るくしている。

3月後半に入っても寒の戻りで着る服に迷う日が続きましたが、春分の日を過ぎてようやく春らしい陽気になりました。

 

さて、春分の日は国民の祝日のひとつですが、「春分の日も社員に出勤してもらわないと、年度末の納期に間に合わない状況です。でも祝日を休日にしないで、出勤させてもいいのでしょうか?」との、まさにこの記事タイトルにあたる質問を以前いただいたことがあります。

 

祝日の取り扱いをどうすればいいのか、判断に迷うケースは実際によくあるかもしれません。

そこでよくいただく質問内容をもとに、祝日、また似たケースとして会社独自の特別休日(創立記念日など)の取り扱いについて整理してみましょう。

  1. 国民の祝日を必ず休日にしないといけない?
  2. 国民の祝日に出勤させると割増賃金はどうなる?
  3. 会社独自の特別休日(創立記念日など)に届出は必要か?

今回は、これらについて詳しくみていきたいと思います。

よくよく考えてみると、間もなくの(少し気が早い?)ゴールデンウィークには、国民の祝日が続きますよね。

この機会にぜひ確認しておきましょう。

国民の祝日を必ず休日にしないといけない?

休日の出勤模様。ガラガラの電車内のつり革。

国民の祝日に関する法律第3条では、

  1. 「国民の祝日」は、休日とする。
  2. 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
  3. その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

として、休日になっています。

そのため、「国民の祝日に出勤させていいのか?」と思われるのかもしれません。では、労基法第35条に定める「休日」との関係はどうなるのでしょうか。


労基法で定める「休日」とは、少なくとも週1回の休日のことをいいます。週1回または4週を通じて4日の休日さえ確保しておけば、同法の違反にはなりません。国民の祝日は、労基法上で会社に付与義務が課せられている休日以外の日です。

ですから、労基法上では国民の祝日を休日にすることが強制されていません。

 

国民の祝日を会社の特別休日にした場合、その日は労基法上決められた日数を上回る「休日」です。よって、その日に出勤させても労基法上の「休日労働」にはなりません。その日が出勤日となっても、それが時間外労働にあたらない限り、会社に割増賃金の支払い義務はありません。もちろん、「国民の祝日に出勤させていいのか?」といった問題も生じません。

国民の祝日に出勤させると割増賃金はどうなる?

電卓、パソコンで休日の割増賃金を計算。眼鏡をかけて計算していたのでコーヒーブレイク。

前述の通り、国民の祝日は週1日または4週4日という法定休日以外の休日ですから、その日に出勤して働いたとしても、会社には法律上の割増賃金(3割5分増)の支払い義務はありません。

 

自社の就業規則で「国民の祝日に働いた場合に、休日労働手当を支払う」と規定している場合は、これに従うことになります。また、1週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働として割増賃金を支払うことになります。なお、このときの休日労働手当または時間外割増賃金はいずれも2割5分増でかまいません。

 

まとめると、法定外の休日の労働は、「労基法上の休日労働」にはあたりませんが、その日に出勤して働いた結果、週法定労働時間を実際に働いた時間が超えると時間外労働にカウントされることになります。

タイムカードのチェックなど、勤怠管理で要注意のポイントです。

 

なお、「会社の任意制度として、国民の祝日に出勤するときの手当を設けてもいいのか?」との相談をいただくこともあります。

就業規則で国民の祝日を会社の休日と定めると、その日は労働義務のない休日となり、原則として社員は労働義務を負いません。けれど、「仕事の都合上出勤を命じることがあり、社員はそれに従うこと」と就業規則に定めている場合には、業務上の必要から命令があると社員に労働義務が発生します。正当な理由もなくこれを拒否すると、懲戒処分の対象になります。

相応の仕事への責任を社員に求めることになるので、その会社オリジナルの手当を設定することはあり得ることだと思います。

会社独自の特別休日(創立記念日など)に届出は必要か?

コーヒーカップを持ち、ほっと一息入れる女性社員。充実した仕事で満足げな笑顔。

労基法で定める休日や国民の祝日以外に、たとえば、「年末年始」や「創立記念日」など会社で独自に定める休日があります。これら会社独自の休日を法定の休日と区別して、特別休日と呼んでいます。

 

特別休日は、労基法の基準を超える会社オリジナルのものなので、会社がその取扱いを自由に決めることができます。

もし新設する場合には、特別休日も休日に違いなく、就業規則の必要記載事項とされていますから、就業規則の変更手続きをとって労働基準監督署への届出が必要です。

 

なお、法定休日(労基法上の休日)と特別休日(年末年始や創立記念日など)が重なった場合、どちらが優先されるのかというと、

 

 

 法定休日(法律で定められた会社の義務)>特別休日(会社が独自に決めたもの)

 

として、法定休日が優先されることになります。

重複した特別休日を別の日に繰り延べるかどうかは、会社が決めることになります。

 

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冒頭の「国民の祝日に出勤させてもいいのでしょうか?」との質問をいただいた経営者の方に、後日、社員さんは快く出勤してくれたのかを伺ってみました。すると、「取引先の会社さんに迷惑をかけられない」と率先して仕事に出てくれたそうです。取引先から大きな期待を持ってもらっていることを、多くの社員さんが日頃から感じていたのでしょう。

会社から無理やり言われての休日返上とは、まったく意味が違うのだなと思いました。

 

ポイントは、やらされ感のある仕事かどうかということ。

みなさんの会社では、充実した顔で仕事をしている社員さんが多いでしょうか?それとも・・・?

一度、オフィスでいっしょに働くメンバーの顔を振り返ってみるといいかもしれません。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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