36協定の有効期限は、担当者にとって地味にプレッシャー。協定の締結はもちろんだけど、労基署への届出を忘れていたらアウト(゚д゚)!時間外・休日労働は違法労働になっちゃう・・・毎年、毎年ほぼ同じ内容なら、有効期限を3年くらいにしてもいいんじゃないの?
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36協定の有効期限が1年ではなくて3年に延長されると、少しはプレッシャーから解放されるのでは・・・と思う人事部のBさんです。
36協定を締結して、所轄の労働基準監督署に届け出るという手続きを毎年行うのは煩雑なので、「業務の効率化」のため有効期限を3年とすることを上司に提案してみようと考えています。果たして、これは事務処理の向上に有用なのでしょうか?
そこで今回は、36協定の有効期限について詳しく確認していきたいと思います。
36協定の有効期限
法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて社員に時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結と労基署への届け出が必要となります(←実際に文書化し、届け出ていない限り効力はありませんので要注意!)。
36協定には、労働協約として定める場合を除いて、必ず有効期限を定めなければなりません。
労働協約による36協定とは、労働組合が当事者となって、会社と労働組合の署名または記名押印がなされて36協定の書面が作成されることをいいます。
この場合、3年を超える有効期限の定めをすることはできず、3年を超える有効期限の定めをした労働協約は、3年の有効期限の定めをした労働協約とみなされます。
有効期限の定めのない労働協約は、当事者の一方の予告により解約することができます(←労働協約としての36協定に有効期限の定めが不要なのはこのため)。
有効期限を3年としてもいいの?
労働協約によらない36協定は、有効期間の長さについて制限はありません(←36協定では、「1日、1か月、1年あたりの時間外労働の上限」を決めなければならないので、1年あたりの時間外労働の上限を定めるときには有効期限は最短でも1年間となります)。
よって、労働協約によらない36協定についても、有効期限を3年とする36協定の締結は法的には可能ということになります。
とはいえ、たとえば有効期限を3年とし、時間外労働の上限を短く設定した36協定を締結したとします。1、2年目までは36協定で定めた時間外労働の上限を守ることができていたけれど、仕事の受注量が予想外に急増して3年目には上限を超えることになってしまった・・・この場合、36協定違反となってしまいます。
このとき、36協定の内容を一方的に変更しようとしても、36協定の会社側または社員からの一方的な破棄は無効とされています。
そのため、時間外労働の上限を社員が働く現場の実態に応じて設定するため、有効期限は1年間とすることが実務上望ましいといえます。
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36協定の有効期限について、自動更新とする旨が定めてあっても、36協定を更新するにあたっては、会社側からも社員からも異議の申出がなかった事実を証明する書面を所轄の労基署署長に届け出る必要があります。
念のためご注意くださいね('ω')
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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