仕事後の後片付け・整理整頓、ダンドリに残業代はつきますか?

テイクアウト用のコーヒーカップ。Lサイズ、Mサイズ、Sサイズが並んでいる。

いよいよ年度末、この1年間で溜まった資料や書類などを片付けて、新たな気持ちで新年度を始めたいですね。

 

片付けや整理整頓といえば、以前にとある企業の管理職の方からこんなお話を伺いました。

 

「仕事場が整理されていると、翌朝出勤しても気持ちよく仕事にとりかかれます。その分効率よく仕事ができるので、部下たちには、仕事が終わったらしっかり片付けて、整理整頓された状態にして帰ってほしい。でも、あまりやかましく言うと『それって残業代がつきますか?』と返ってきたりします(苦笑)

 

そこで今回は、仕事が終わったあとの、翌日に向けた仕事のダンドリは労働時間としてカウントするのか、しないのかについてみていきたいと思います。

仕事後の整理整頓、後片付けの時間

パソコンのキーボード前のコーヒーカップ。なみなみとコーヒーが注がれている。

仕事が終わってからの整理整頓や後片付けの時間、その内容はさまざまです。

したがって、整理整頓や後片付けの時間が労働時間にあたるかどうかは具体的なケースに応じて判断しなければなりません。

 

ですが、大まかな判断基準を示すと次のようになります。


①その部署で行う本来の作業にとって通常必要とされている、付随的な作業である。よって通常は会社の指揮命令下にあるので、労働時間にカウントされる。

 

②作業に必要な補助具や装置について、後片付けが義務付けられているときは労働時間にカウントされる。

 

③終業時刻後の自発的で個々の社員の自由、任意に委ねられているものであれば、労働時間にカウントされない。

 

④作業服や制服などから私服へ着替える時間は、一般的には社員の労働義務の履行として、社員が負担すべき時間である。会社の具体的な指揮命令下にあるとはいえないので原則として労働時間にカウントしない。

(詳しくは、過去記事「制服通勤を禁止するとき注意したい労働時間マネジメント」をご覧ください)

以上のように、一般的に終業時刻後の整理整頓や後片付けの時間は、本来の作業時間と密接に関連した時間です。作業に必要不可欠であり、業務に付随する時間として考えられるケースも多いでしょう。

それが会社の直接的な指揮命令下で行われるようなときは、一般的に労働時間としてカウントされます。

 

一方、そもそも行うかどうかが自由任意とされているものを社員自身が「後片付けしておいたほうが翌日の作業がスムーズにいくから」といった理由により、自発的・任意的に行うときは労働時間にはカウントされません。

仕事が終わってからシャワーを浴びる時間

畳んだバスタオル、フェイスタオルが積まれている。

前段とあわせて、仕事が終わってからのシャワータイムはどう考えるとよいでしょうか。

 

作業で身体が汚れたり、汗をかいたりする場合には、オフィスに入浴設備を設けて、帰宅前にシャワーを浴びたりする場合もあるでしょう。

 

業務内容と入浴の関係が、社員の衛生保持のために特に必要だとする法令上の義務となっているような場合、会社には業務に従事させたことによる社員の健康侵害を防止する義務があります。

 

その義務のひとつとして、入浴やシャワーによる洗身により、社員に対する健康保持の責任を果たさなければなりません。

 

とはいえ、労働時間にカウントするかどうかの観点からみると、入浴まで会社の指揮命令が及んでいるとはいえません

リラックスして鼻歌まじりに入浴しようと、シャワーを浴びようと、それは社員本人の自由だからです。

ですから、このようなシャワータイムまでが労働時間にカウントされるわけではありません。

 

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法律上の解釈は以上のようになりますが、仕事の流れをつかむには、「段取り八分」の言葉通り、準備と後片付けをきちんとやることはとても大切です。

「残業がつかないならやらない」ではなく、自分のやった一日の仕事内容を振り返りながら、後片付けや翌日に向けたダンドリを行うことは、「明日の自分への投資」とも考えられるのではないでしょうか。

 

春からは新入社員がオフィスに入ってきます。上司、先輩社員として彼ら・彼女らのモチベーションが上がるようにアドバイスしてあげたいですね。

クローバーが一面に茂った野原。藤で編まれた三輪車。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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