現場へ直行するときどこまで通勤、どこから労働時間?

ノートパソコン、観葉植物、カメラ、万年筆、眼鏡がデスクの上に並べられている。

前回の記事(「朝から応援勤務で他店舗へ行くのは出張?それとも通勤?」)では、朝に自宅から直接、他の店舗や事業場へ応援勤務に行くのは出張にあたるのか、それとも通勤時間にあたるのかについて詳しくみてきました。

 

これに関連して、「自宅から作業現場に直行直帰するような場合は、どのように考えるといいですか?」との質問もよくいただきます。

 

通常ならいったんオフィスに出勤して、上司の業務命令によって目的地へ出発するところですが、時間的なロスを省き効率的に仕事を進めることを考えて、自宅から上司の指示による目的地へ直接出かけるとき(またそこから自宅へ直帰するようなとき)。

 

よくあるシチュエーションだと思いますが、いざどこまでが通勤時間でどこから労働時間なのかを考えると、判断に迷うところではないでしょうか。

そこで今回は、よく質問をいただく

  1. 途中で集合して目的地へ行くとき
  2. 作業現場へ直行直帰するとき

いつものようにオフィスへ出勤しない、これらのシチュエーションで、「どこまでが通勤でどこから労働時間なのか?」について詳しくみていきたいと思います。

途中で集合して目的地へ行くとき

建築模型、図面、スケール、コンパスがデスク上に載っている。

出張の場合、会社の目の届かない場所で仕事をすることになり、その間の行動は社員の裁量に任されることになります。

具体的に何時間働いて、何時間休憩したか、会社は具体的なカウントをできないからです。

 

ですから法律上「所定労働時間労働したものとみなす」とされています。逆にいうと、社員の働く時間が客観的にカウントできるのであれば、当然カウントした労働時間となります。

 

では、チームで集合して目的の現場へ出かけるときはどうでしょうか。クライアント企業でお話を伺っていると、特に集合場所が会社の資材置き場や車庫などになっている場合、どこから労働時間と考えてよいのか、判断に迷われることが多いようです。

 

この場合、そこから業務に従事するのなら、その集合場所が出勤場所となります。

けれど、そこからさらに目的の現場など実際に仕事を行う場所へ出かける場合には、出勤途上の待ち合わせ場所と同じ、と考えられます。

 

つまり、「自宅―資材置き場(集合場所)―目的の作業現場」の往復時間は通勤となります。目的地までの途中に立ち寄る資材置き場(集合場所)は、通勤時間の延長と考えられ、労働時間にはあたりません。

 

ただし、「チームで集合」ということでチームの中に監督者がいて、集合した時点で監督者の指揮下に入るということなら、労働時間のカウントが可能ですから、そこから具体的な労働時間を算定することになります。

作業現場へ直行直帰するとき

作業現場。土を掘り起こすショベルカー。

では次に、自宅から実作業を行う現場へ直行し、作業終了後に自宅へ直帰するときをみていきましょう。

 

この場合、実作業を行う現場に到着するまでが通勤時間です。

その現場に到着し、メンバーが集まって、管理監督者の指揮命令下に置かれた時点から、労働時間を具体的にカウントすることが可能となるので、そこから労働時間がスタートすることになります。

 

このメンバーが集合して、「管理監督者の具体的な指揮命令下のもと作業に入った状態」と認められるには、次の要件をすべてクリアしなければなりません。

  1. 会社の指示によること
  2. 仕事のためにメンバーが集まり、業務が開始したこと
  3. 管理監督者の一定の指揮命令下にあること
  4. 集合してさらに移動するときは、その間も準備作業等が行われていること

それぞれを補足します。

1)について、単にメンバーが便宜上申し合わせて現場に集まった、ということではなくて、ちゃんと会社の指示によるものであることが必要です。

 

2)について、単なるおしゃべりで集まっただけ、また(実作業場所までの)送迎バスの乗り降りのため便宜的に集合しただけ、ではなくて、そこから直ちに仕事がスタートする、といったものでなければなりません。

 

3)について、メンバーが集合して、そのなかに「監督者」がただいる・・・というのではなく、メンバーがとるべき行動について、監督者からの具体的な指示命令があって、何かしらの拘束が発生するものであることです。

 

4)について、さらに実作業場所までメンバーのみんなで移動するときは、その移動中も監督者から仕事内容や注意事項の説明、打ち合わせなど、仕事にまつわる準備作業が行われるものでなければなりません。

 

1)から4)をまとめると、作業メンバーが集まって集団行動をとるうえで、作業の指揮をとる現場監督者や責任者が選任されており、一定の指揮命令系統のもとで拘束がある、という状態でなくてはならないということです(この状態でなければ、労働時間がスタートしたことになりません)。

 

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生産性の高い働き方とは、単に労働時間を短くするだけでは実現しません。

けれど無駄に長ければいいというものでは、決してありません。

 

もし、社内の労働時間がやたらと長い・・・ということであれば、もちろん仕事のやり方を見直し、効率化を図ることはとても大切ですが、もしかすると労働時間と通勤時間を混同してしまっている・・・ということはないでしょうか?

 

この観点から、いちど社内の労働時間を振り返ってみることで、改善に向けた新たな方向性がみえてくるかもしれませんね。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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