「正社員と契約社員って何がどう違うのですか?“そもそも論”かもしれませんが・・・」
コンサルティングをしていると、実はよくいただくご質問なのですが、「正社員と契約社員は違うもの」と感覚的にはわかっていても、「では具体的に何がどう違うのか?」とふと疑問に思われることは多いのかもしれません。
日本の雇用形態は、従来から大別して終身雇用制と期間雇用性に分けられていました。景気変動に対応していくため、雇用調整的な意味合いを含め、有期労働契約による「not正社員」の雇用はやむかたなしとして、法的にも認められてきたからです。
いまでは、キャリアに対する考え方、(育児や介護などによる)労働時間の制約の有無など、人材の多様化が進んでいます。そのなかで安定的に人材を確保していくには、「正社員」と「契約社員」の違いをきちんと理解し、人材マネジメントにおける柔軟な発想が必要です。
そこで、今回はまずは基本のキの字、いわゆる「正社員」と「契約社員(not正社員)」はどう違うのか、詳しく確認していきたいと思います。
「パート社員用の就業規則は、パート社員の代表に意見を聴取するだけでいいですよね?正社員にも聴かないとダメなのですか?」
就業規則を作成・変更する権限と義務は会社側にありますが、社員の過半数で組織する労働組合もしくは社員の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないことが、労基法によって定められています。
そのプロセスで就業規則を社員に周知するとともに、就業規則の内容を合理的なものにしようとするのが目的です。
いまの時代では、さまざまな雇用形態の社員が同じ会社で働くのはごく当たり前のことです。労働契約の内容の多様化に対応するため、就業規則を雇用形態別に作成することもあるでしょう。そのため、冒頭のような質問をいただくことがあります。
そこで今回は、パート社員の就業規則はパート社員の意見を聴くだけでいいのか、詳しく確認していきましょう。
「正社員以外の社員には、パートやアルバイト、契約社員などがありますよね。これらにはどんな違いがあるのですか?法律上の区別はありますか?」
社会構造の移り変わりから、現在は働き方が多様化しています。
いまでは、さまざまな雇用形態の社員がひとつの会社で働くことは、ごく一般的なことです。
そのため、パートやアルバイトなど、いろいろな名称で呼ばれる「期間雇用の社員(=not正社員)の定義が知りたい」とのご質問をいただくことがあります。求人広告を出そうとするときに、ふと疑問に思われることが多いようです。
それぞれの企業における雇用戦略と業務内容に応じて、正社員やパート社員などを適切に組み合わせて連携を図っていくことは、これからの時代の人材マネジメントの課題のひとつといえます。
そこで今回は、期間雇用の社員の雇用形態はどのように違うのか、について詳しくみていきたいと思います。
育児や家族の介護、大学院への通学、通院による治療・・・などの事情がある場合、一定時間以上の勤務は難しくなります。そんな社員の事情に対応するため、短時間勤務制度を導入する企業もあります。
短時間社員は、同じ企業の他の社員と比べて所定労働時間が短いわけですが、そのため年休の適用で問題となることがあります。それは、年休の発生要件である出勤率についてです。
年休の発生要件として「全労働日の8割以上の出勤」が求められます。この出勤率を算定するにあたって、「労働日」とは、まる一日(通常の所定労働時間)の出勤のことを指すのでしょうか?
そうだとすると、短時間社員の場合、8割出勤はかなりキビシイのではないでしょうか。
(これは、短時間社員だけでなくパート社員、嘱託社員など、働く労働時間数が少ない社員すべてにかかわってくる問題です。)
そこで今回は、短時間社員をはじめ労働時間の短い社員の出勤率をどのように計算するのか?について確認していきましょう。
年次有給休暇は、文字通り「有給休暇」なので、年休の取得日にはもちろん給料が支払われることになります。「そんなの当たり前だ」と思われる人がほとんどでしょう。
ですが、「年休で休んだ日あたりの給料の額は?」と聞かれると、即答できる人はそう多くないかもしれません。特に月給制で給料を支払っている企業、またそこで働いている人の場合はそうだと思います(その理由は後述しますね)。
そこで問題となるのが、時給制で働くパートさんの場合です。「年休で休んだ日の給料はいくらになりますか?」とパートさんに聞かれて、はじめて疑問に思った、というお話を実際に経営者や管理職の方からよくお伺いします。
そこで今回は、パート社員の年休日の給料はどう計算するのか?について、確認していきたいと思います。
複数の店舗を運営している企業では、人手不足の対応策として営業時間を短縮する動きがみられます。労働時間の短縮につなげるため、変形労働時間制を導入する職場もあるでしょう。
変形労働時間制のなかでも特に一年単位の変形労働時間制をとる場合には、月によって所定労働時間が大きく異なってきます。そのため「月間の労働時間の長短によって、賃金単価が変動するのでは?」とのご質問をいただくこともあります。
結論から申し上げると、月給制の社員にとって、月間の所定労働時間が異なったとしても賃金に影響しません。けれど日給や時給で賃金が計算されることの多いパートにとって、影響は少なくありません。
そこで今回は、労働時間(営業時間)が短くなることによって、パートの賃金(日給・時給)はどのような影響を受けるのかについてみていきましょう。
今日はクリスマスですが、これから年末に向かってサービス業においては、一年のうちでもっとも忙しい時期です。短期パート・アルバイトの増員を図る場合もあるでしょう。
雇用期間の定めのあるパートタイマーであっても、採用してから6ヵ月間継続して勤務し、その間8割以上の出勤率であった場合には、年休請求権が発生します。
そこでよく問題となるのが、パートの契約更新が行われると思って年休を取得しなかったものの、会社の経営上の都合や仕事量の減少によって実際には更新がなされなかった、というような場合です。
このようなときに、たとえば「年休を買い上げてほしい」という申出がパートタイマーからあったとしたら、会社としてはどのように対応するべきでしょうか。
今回は、パートの契約終了の際に残った年休についての取り扱いを会社としてはどのように考えるとよいか、詳しくみていきましょう。
人材活用の多様化を背景に、今や短時間勤務のパート社員の活用は、小売業やサービス業だけでなくさまざまな業種で広がっています。
パート社員にとっては家事や育児との両立のために、企業にとっては経営上の事情や業務量の増減といった理由から、パートの雇用契約を継続もしくはいったん中断と、柔軟な対応をとるケースも多いと思います。
そこで判断に迷うということで、よく質問をいただくのがパートの年休管理についてです。
これらをよくよく考えると、「そういえばこんな場合はどうするのか・・・」と、頭にクエスチョンマークが飛び交いませんか・・・?
下半期が始まる10月、パート契約の更新時期にもあたるこのタイミングに、先の2点についてぜひ確認しておきましょう。
3月も折り返し地点に差し掛かりました。いよいよ新年度の準備で、総務・人事部門においては大忙しの毎日ではないでしょうか。
特にたくさんのパートタイマーが働くオフィスでは、契約更新の手続きが大変、との声をよく伺います。
新年度からの勤務体制や本人の私生活とのバランスを考慮したうえで、勤務日数を変更することもあるでしょう。
週所定労働時間が30時間未満のパートタイマーの年次有給休暇の日数は、その勤務日数(週所定労働日数)に応じて比例付与されます。
ですから契約変更があると、年休管理に煩雑さを感じられることも多いようです。
そこでパートの年休管理について、質問をいただくことがあります。
よくいただく質問の内容は次の2点です。
今回はこれらを詳しくみていきましょう。
前回の記事(これからの正社員とパートの賃金体系のあり方とは)で、正社員とパートの賃金体系を考えるにあたって、賃金差が単なる「年齢や勤続年数によるもの」という理由しかないのであれば、合理的な説明をもって会社の説明義務を果たすことは難しくなる、ということをお伝えしました。
そこで、「合理的な説明になっていない事例は、他にどんなものがありますか?」との感想をいただきました。 合理的な説明ができていないケースがよくみられるのは、賞与や手当についてです。
確かにこれから同一労働同一賃金の議論が高まってくるなかで、正社員とパートの賞与や諸手当も含めた賃金のあり方について、どのように対応するかを考えておく必要があるでしょう。現実的かどうは別として、無期雇用フルタイム社員と有期・パート社員の会社への貢献度が同一の場合、賞与も同一に支給するべき、との議論もあります。
ですから、両者の役割や貢献度がどのように違うかについて、明確な説明をできるようにしておきたいですね。
今回は、具体的な事例を交えながら、これからの正社員とパートの賞与や諸手当のあり方についてみていきましょう。
政府では、「日本の非正規雇用労働者の賃金水準は欧州諸国と比べて低い」「不合理な待遇差の解消は重要な政策課題」として、同一労働同一賃金の実現に向けた立法化が検討されています。
政府が同一労働同一賃金の目標にあげるヨーロッパ諸国では、職務評価制度が確立されています。
産業別労働組合と経営者の間で賃金が決定され、たとえば「受付」という職務について、同じ地域であればどこの企業でも同じ賃金となります。「技能」「努力」「責任」「作業条件」・・・といった職務評価基準がしっかりと運用されているのです。
そのため定期昇給はなく、賃金を上げるには職務間の移動(「受付」から「秘書」などへ職務を変更する)を行うことになります。
一方、日本ではこのような企業を問わない、横断的な賃金制度は確立されていません。企業ごとに年齢、勤続年数、仕事の内容、学歴、会社への貢献度といったさまざまな要素で、賃金が決定されています。職務別にではなく、新卒を一括採用するケースが多いからです。
また、日本では職務評価基準が確立していないので同一労働同一賃金の原則の適用はない、との判例もあります。
では現在、検討されている同一労働同一賃金とはいったいどのようなもので、企業はどう対応していくといいのでしょうか。
労働契約法に基づく無期転換制度が来年(2018年)4月からスタートします。新しい制度の開始まで半年を切りましたが、みなさんの会社で対策は決められているでしょうか?
無期転換とは、同じ企業において有期労働契約が反復更新されて、通算5年を超えたときに、社員の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのことです。
「うちは契約社員が多いが、具体的に何をしないといけないのかわからない」
「法律が変わったからといって、うちのような小規模事業所にどんな影響があるのか」
「正社員しかいないのでうちは関係ない」
・・・などなど様々な事情が聞こえてきそうです。確かに企業規模によって、無期転換への対応は変わってくるのではないでしょうか。
けれど、これからの人手不足時代において、会社を伸ばすために人材をどのように活用していくのかを考えることは、どの企業にも共通する大切なことだと思います。制度がかわるタイミングを活かせるよう、今回は企業が考えるべき無期転換への対応についてみていきましょう。
前回の記事(「理想的な配分を実現する賞与制度とは」)では、これからは右肩上がりで賞与や賃金を用意することが難しいため、お金によらないインセンティブを考える必要があることをお伝えしました。
なかでもやりたい仕事に就かせる(異動希望を実現させる)のは、社員の仕事へのモチベーションをグッと引き上げます。
そこで会社としては、社員の働きがいのために中長期的な視点で人事異動を考えていかなくてはなりません。ちょうど今年の下半期を見据えて、10月から新しい人事体制をスタートされる企業もあるかもしれませんね。
人事異動とは、社員の力を活かして会社を伸ばしていくために、どのように人材の配置や役割を考えるか?ということです。
そのため会社には人事異動についての裁量が広く認められていますが、事前によく考えておかないと、「なぜ今の部署で頑張っている私が異動になるのか」「経験のない仕事を一から始めるのは無理だ」と逆に社員のやる気を削ぎかねません。
そこで今回は、社員のやる気を引き出す人事異動のポイントについて、確認していくことにしましょう。
いまは、顧客の課題がますます複雑で高度なものになってきています。企業にはそれらのニーズに的確に応え、課題解決の質とスピードを上げることが、従来よりも求められます。
そんななか、「社員全員を一定水準のプロに育てたい」「高度なプロを一人でも多く育てたい」と人材育成を考えるケースも多いようです。
そこで過去記事「出世したくないベテラン社員のモチベーションを上げる方法」でもお伝えしましたが、社内でのキャリアのひとつに「専門職」を設けることもひとつの方法です。
けれど次のような理由から専門職を設置すると、プロをめざす社員を育てる仕組みづくりとは程遠くなってしまいます。
今回は、社員のやる気を引き出し、会社の業績を伸ばす専門職コースの活用法についてみていきましょう。
新人として入社した時には、作業現場のことなんて右も左もわからなかったが、先輩・上司の指導や本人の努力もあって徐々に力をつけてきた。経験を積むことで、イレギュラー事態の対応や取引先とのやり取りも難なくこなせるようになった。
後輩も入社してきたが、面倒見がよいので現場でも彼らに慕われていて、うまくやっているようだ。
入社してはや10年目。平均的な昇格を考えると、そろそろ管理職に昇格して責任を担ってほしい。
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頼りになるベテラン社員、コツコツとした働きぶりで周囲からの人望も厚いようです。けれど、そんな社員が管理職へのステップアップを拒んできた。さあ、思いもよらない事態が発生してしまいました。
最近、その理由はさまざまですが、昇進への打診を断る中堅・ベテラン社員もよくみられるようです。
こんなとき、会社は対象者の処遇をどのように考えればいいのでしょうか。
「人手が足りないので数人まとめて正社員として採用しましたが、パートにしておけばよかったな、と後悔しています」
正社員にすればやる気をだして働いてくれるはず、とのねらいが期待はずれになってしまった・・・
実はこのようなエピソードをよく伺います。
これは正社員、パートタイマーそれぞれにどんな働き方をしてほしいのか、役割分担をあらかじめきちんと考えておかなかったために起きる問題です。
今回は、正社員とパートタイマーの役割と働き方について考えてみましょう。
たとえば正社員とパートタイマーのように雇用形態の違いによって、社員をいくつかのグループに分ける仕組みのことを雇用区分といいます。
将来にわたって会社が伸びていくために、社員をどのようにグループ化するかは、人材マネジメントの基本構造を決めることになります。
そこで、自社における正社員とパートタイマーのそれぞれの定義を説明できるでしょうか。
説明できるような定義がなければ、「パートタイマーを正社員に登用しても思ったような働きをしない、人件費が上がっただけだ」と本来なら必要のない悩みが生じることもあります。
一方、きちんと定義を説明できると、「あなたの役割はこれこれで求める成果はこうだから」と社員に対して具体的な行動を促しやすくなり、仕事がスムーズに運ぶようになります。
そこで今回は、自社における正社員とパートの役割の違いについて、改めて考えていきましょう。