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年次有給休暇は、文字通り「有給休暇」なので、年休の取得日にはもちろん給料が支払われることになります。「そんなの当たり前だ」と思われる人がほとんどでしょう。
ですが、「年休で休んだ日あたりの給料の額は?」と聞かれると、即答できる人はそう多くないかもしれません。特に月給制で給料を支払っている企業、またそこで働いている人の場合はそうだと思います(その理由は後述しますね)。
そこで問題となるのが、時給制で働くパートさんの場合です。「年休で休んだ日の給料はいくらになりますか?」とパートさんに聞かれて、はじめて疑問に思った、というお話を実際に経営者や管理職の方からよくお伺いします。
そこで今回は、パート社員の年休日の給料はどう計算するのか?について、確認していきたいと思います。
年休日の給料はどう決まる?
![桜の小枝と水の入ったグラス。。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=539x10000:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i97b70a68bbbe935c/version/1716000692/%E6%A1%9C%E3%81%AE%E5%B0%8F%E6%9E%9D%E3%81%A8%E6%B0%B4%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9.png)
年次有給休暇中については、就業規則に定めることによって、「平均賃金」または「通常の賃金」を支払うことになります。ただし、労使協定によって健康保険の「標準報酬日額」に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによることになります。
【原則】就業規則の定めによる場合
①平均賃金
②(所定労働時間労働した場合に支払われる)通常の賃金
【例外】労使協定で定めた場合
③健康保険法定める標準報酬日額に相当する金額
年休日の給料は、就業規則の絶対必要記載事項(どんなときでも必ず書いておかないといけないこと)としての「賃金」に該当するため、上記の①~③のいずれを選んでも、これを就業規則に規定しておく必要があります。
実務上は、上記②によることが多いと思います。就業規則には、「年休日には、通常の賃金を支払うものとし、その日は通常の出勤をしたものとして取り扱う」などの旨を定めることになります。
パート社員と月給制社員の違い
![紅茶のカップに指を添える女性の手。ページがめくられた本。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/if1ec08c29d1c107a/version/1716039474/%E7%B4%85%E8%8C%B6%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AB%E6%8C%87%E3%82%92%E6%B7%BB%E3%81%88%E3%82%8B%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E6%89%8B-%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%8C%E3%82%81%E3%81%8F%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC.png)
前段でお伝えした年休日の給料②「(所定労働時間労働した場合に支払われる)通常の賃金」の場合、次の(A)~(C)の方法によって計算した金額となります。
(A)時給制の賃金については、その金額にその日の所定労働時間を乗じた金額
(B)日給制の賃金については、その金額
(C)月給制の賃金については、その金額をその月の所定労働日数で除した金額
月給制の社員の場合、通達では「(年休をとっても)通常の出勤をしたものとして取り扱えばOK」との内容が示されています。
たとえば月給制で月額20万円を支給されている社員には、年休を取得して休んだ日があっても、その月の給料はそのまま20万円となります。月給に特別にプラスして加算する、ということはありません。
このように月給制では、年休を取得しても、しなくても給料の額に変動がありません。「年休で休んだ日あたりの給料の額は?」と聞かれても、あまりピンとこないのはこのためです。
一方、時給制のパート社員の場合、本人の時給の金額にその日(年休を取った日)の所定労働時間数を乗じた金額が、パート社員の年休当日の給料となります。時給制では、働かなかった時間は給料に反映されない(ノーワーク・ノーペイの原則)ので、年休日のインパクトは月給制よりも大きいことがわかります。
なお、このときの所定労働時間とは、本人と会社との労働契約において定めた時間数のことをいいます。
時給制での年休日の給料の算定方法から、はじめに労働条件をきちんと決めておくことの大切さがわかります。ここでいう労働条件を簡単にいうと、「1日の勤務時間や週の勤務日数はどうするのか」「社会保険や雇用保険の適用のある基準まで働いてもらうのか」「希望年収(就業調整)をどのくらい聞き入れるのか」「どんな業務内容、職種にするのか」といったことです。これらを事前に考えておくことが、パート社員の戦力化を考えるうえで、めちゃめちゃ重要です。
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仕事の繁忙に波があって、働き手がほしいときに柔軟な対応ができるよう、パート社員を活用するのは合理的な判断です。フルタイムは無理だけれどスキマ時間に働きたい、という働き手のニーズに応えることもできます。
ただ、場当たり的にパート社員を活用していると思わぬ問題が発生します。年休日の扱い、年休日の給料を誤ったりするなど、逆に管理業務を増やすことになりかねません。そして最も心配なのは、パート社員の仕事へのやる気を下げることです。「時給が同じならまじめに働くと損をする」のような思いを抱かせることのないよう、正社員(月給制社員)とは異なるマネジメントを適切に行っていきたいですね。
![チェリーパイのお皿と薄紫色のチューリップの花たち。紫色のリボン。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=413x10000:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/ib56ec0018f8d17f3/version/1716000754/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%91%E3%82%A4%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9A%BF%E3%81%A8%E8%96%84%E7%B4%AB%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AE%E8%8A%B1%E3%81%9F%E3%81%A1-%E7%B4%AB%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%83%9C%E3%83%B3.png)
![社会保険労務士高島あゆみ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=117x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i7dbd42fee379272d/version/1589611413/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%A3%AB%E9%AB%98%E5%B3%B6%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF.jpg)
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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