パートの契約終了、残った年休を買い上げないとダメ?

パン屋さん。焼きあがった色々なパンがかごに盛られている。ギンガムチェックのキッチンクロス。

今年の年末年始は、カレンダーの並びから長めの連休を予定されている企業も多いかもしれませんね。

とはいえサービス業においては一年のうちでもっとも忙しい時期、短期パート・アルバイトの増員を図る場合もあることでしょう。

 

雇用期間の定めのあるパートタイマーであっても、採用してから6ヵ月間継続して勤務し、その間8割以上の出勤率であった場合には、年休請求権が発生します。

 

そこでよく問題となるのが、パートの契約更新が行われると思って年休を取得しなかったものの、会社の経営上の都合や仕事量の減少によって実際には更新がなされなかった、というような場合です。

 

このようなときに、たとえば「年休を買い上げてほしい」という申出がパートタイマーからあったとしたら、会社としてはどのように対応するべきでしょうか。

今回は、パートの契約終了の際に残った年休についての取り扱いを会社としてはどのように考えるとよいか、詳しくみていきましょう。

年休を買い上げなければならないか

焼きあがったバゲットがカットされている。

たとえば1年間契約のパートタイマーであっても、6ヵ月継続勤務すると年休請求権が発生しますが、この年休は1年間の契約期間中に取得しなければなりません。

 

週所定労働時間が30時間未満のパートタイマーの年次有給休暇の日数は、その勤務日数(週所定労働日数)に応じて比例付与されることになりますが、これについても同様です。

 

また、解雇予告を受けている者についても「年次有給休暇の権利は解雇予告期間中に行使しなければ消滅する」旨が通達されています。

 

そこで、冒頭のようなパートの契約更新を期待していたが、実際は会社の経営上の事情や業務量の減少により契約更新がかなわなかったようなケースについて考えてみましょう。

 

もし、パートから「今までのように契約更新されると思っていたので年休を使わずにとっておいたのに、契約更新されないのなら年休を買い上げてほしい」との申し入れがあったとしたら、どう考えるとよいでしょうか。

 

これについては通達において、「年次有給休暇の買い上げを予約し、(そのために本来であれば)請求できる年次有給休暇の日数を減らしたり、年次有給休暇を与えないことは違法」との旨が示されています。

つまり、あらかじめ年休買い上げの予約をしていなくても、期間中に消化されなかった年休が残ってしまった場合、結果的に買い上げて賃金を支給することは法の趣旨に反します。

 

ですから、前述のような事情により年休を取得しなかったパートタイマーは、自分の思惑で取得しなかったわけなので、年休の買い上げを会社に求めることはできません。

パートのやる気を上げる年休の取扱いとは

パンをつくるプロセス。泡だて器、たまご、バター、小麦粉、牛乳。

「仕事がうまく回るように考えて年休を取らなかったわけなので、何とかしてあげたい。

そもそも会社にとっては経営上の事情や業務量の減少などから、パートの雇用契約は継続もしくはいったん中断と、柔軟な対応をとるケースも多いので、こんなことにならないようにしたい。

パートのやる気にも影響するから。」

 

コンサルティングをしていると、このようなことをお伺いするときもあります。

 

社員の退職時に消化できなかった年休がある場合、会社が何らかの手当を支払って買い上げることは違法ではありません。

 

それは、退職した後は当然ながら年休を取得することができないので、事前に買い上げることを予約していない限り、違法性がないからです。

 

とはいえ、パートタイマーの雇用期間中にできるだけ年休の完全消化を図りたいもの。パートのやる気に大きく関わってくるからです。

そのためには、たとえば次のような方法が考えられます。

  • 労使協定による計画休暇制度をとり、発生した年休をたとえば2ヵ月ごとに〇〇日取得してください、と指示する。
  • (6ヵ月継続勤務を待たずに)雇用期間の当初から「前渡し」的に年休を付与する。

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短時間勤務のパート社員の活用は、小売業やサービス業だけでなくさまざまな業種で広がっているため、どのように人材のやる気を引き出し、活かすかが会社を伸ばすポイントです。

 

直面している新たな課題や状況において何が適切かを見極め、新しいスタイルを試してみることは今の状況を変える第一歩になります。

食パン一斤。麦の穂。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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