雇用契約の継続or中断でパートの年休日数はどう変わる?

窓際のデスクにノートパソコンとタブレットが並んでいる。ノートが広げられている。窓の外は緑がいっぱい。

人材活用の多様化を背景に、今や短時間勤務のパート社員の活用は、小売業やサービス業だけでなくさまざまな業種で広がっています。

 

パート社員にとっては家事や育児との両立のために、企業にとっては経営上の事情や業務量の減少などから、パートの雇用契約を継続もしくはいったん中断と、柔軟な対応をとるケースも多いと思います。

 

そこで判断に迷うということで、よく質問をいただくのがパートの年休管理についてです。

  1. パート契約の「継続」とはどんな場合のことを言うのか?
  2. パート契約を「中断」したとき、付与日数はどうなるのか?

 

これらをよくよく考えると、そういえばこんな場合は・・・と、頭にクエスチョンマークが飛び交いませんか・・・?

 

下半期が始まる10月、パート契約の更新時期にもあたるこのタイミングに、先の2点についてぜひ確認しておきましょう。

パート契約の「継続」とはどんな場合?

女性のパート社員がノートパソコンに向かっている。

所定労働日数の少ないパート社員の年休の発生要件も、「入社日から起算して6ヵ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合」となります。全労働日とは、本人と会社との雇用契約において勤務すべき日として定めている「所定労働日」のことです。

 

ですから、雇用期間が6ヵ月以下の場合や、たとえば2ヵ月の雇用期間を更新しても、入社後6ヵ月を超えて継続して勤務しない者には年休は発生しません。

一方、たとえば雇用期間を1年として入社したパート社員が6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合には、入社してから6ヵ月経過した日をもって年休が発生します。会社には、雇用期間中に年休を付与しなければならない義務が発生します。

 

パート社員の年休日数は「勤続年数」と「所定労働日の日数」によって決まります。ここで、「1年間継続して勤務した」「2年6ヵ月継続して働いた」など、「継続」して働いたとは、どういう状態のことを指すのかが問題となります。

これについては行政通達があり、内容は次のようになります。

  • 継続勤務とはその会社における在籍期間(雇用契約が存続する期間)のこと
  • 継続勤務かどうかは、勤務の実態に即して判断すること
  • 次の場合、実質的に雇用関係が継続しているなら勤続年数を通算すること
  1. 定年退職による退職者を引き続き嘱託社員として再雇用した場合(退職金を支給している場合を含む)*ただし、退職と再採用の間に相当の期間があり、雇用関係が途絶えている場合を除く*
  2. 日雇い労働、2ヵ月以内の期間労働、4か月以内の季節労働、試用期間中の労働、これらに従事する者でも、実態からみて引き続き雇用されている場合
  3. 臨時工が1ヵ月ごとに雇用契約を更新されて6ヵ月以上に及び、その実態からみて引き続き雇用されている場合
  4. 在籍出向の場合
  5. 休職から復職した場合
  6. パート社員などを正社員に切替えた場合
  7. 会社が解散し、社員の待遇を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合
  8. 社員全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部の社員を再採用したが、事業の実態は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業を継続していた場合

パート契約の「中断」で付与日数はどうなる?

パート社員も交えた会議で男性リーダー社員が眼鏡を外して発言している。

前段の行政通達の内容から、パート社員の年休の継続勤務の要件について、期間満了による契約終了と再雇用との間に相当な期間があり、客観的に雇用関係が断絶していると認められる場合には、継続勤務にあたらないことがわかります。

 

つまり、パート社員の雇用契約の更新にあたって相当な期間が空くと、「継続」勤務が「中断」されることになり、年休の付与日数にかかる勤続年数もリセットされるということです。

 

この「相当な期間」が果たしてどのくらいの期間のことをいうのかが問題になります。

 

これは、単に期間の長さだけでは決められず、

  • 再雇用の手続きがきちんとなされているか
  • (再雇用までの)期間の目的
  • 確実に再雇用されるのか
  • 再雇用の実態

などを総合的にみて判断することになり、一概に何日間なら中断と決められていません。

(30日〈解雇予告〉、14日〈民法の期間の定めのない雇用契約〉・・・など、法律の趣旨からさまざまな見解があります。)

 

いわゆる「改正パートタイム労働法」の施行通達には、「期間の定めのある労働契約を反復する場合、それぞれの雇用契約の始まりと終わりの間に一時の間隔を空けているとしても、必ずしも当然に継続勤務が中断されるものではないので留意すること」との主旨があり、やはり勤務の実態に沿って判断することが求められています。

 

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パート社員にどんな業務を任せるか、どんな配置にするとパフォーマンスを余すことなく発揮できるかなど、パート社員の戦力化を進めるための人材マネジメントはますます重要になってきています。

それには仕事へのやる気の維持・向上のための取組みがとても大切です。パート社員には仕事と生活のバランスを重視するニーズが強くあるため、年休管理はモチベーションにも大きく関わってきます。

 

10月は区切りのよいタイミングですので、(年休管理の)定期点検の機会にできるといいですね(過去記事「新年度の準備で気をつけたいパートの年休管理」を合わせて読んでいただくと、より理解を深めていただけると思います)。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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