出向中の期間は退職金の在職年数にカウントされますか

パソコンのキーボード。手持ち金庫と小銭。手帳のうえに置かれた電卓。メモ帳とボールペン。コーヒーの入ったマグカップ。

「社員が出向していた期間は、退職金を計算するにあたって、在職年数に通算されますか?」

 

退職金の計算は、一般的に「基本給×在職年数×一定係数(人事評価などよる)」といった方式によることが多く、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。この計算式をみても明らかなように、在職年数は退職金の金額に少なくない影響を及ぼすからです。

 

退職金は、法律上必ず支給しなければいけないものではありませんが、就業規則によって退職金制度を規定している企業は多いでしょう。「社員が定年するのはまだまだ先だ・・・」と思いたいところですが、現実的には中途退職が一定の割合で発生しますから、いざ社員の退職時になって慌てないようにしておきたいですね。

 

そこで今回は、出向期間は退職金の算定における在職年数に通算されるのか、また退職金はまとまった金額となりますから、出向先企業にも退職金の負担を求めることができるのか、詳しく確認していきたいと思います。

在職年数への通算と退職金の負担割合

ノートパソコン、眼鏡、リングノート、イヤホンが繋がれたスマホ。

冒頭でお伝えしたように、在職年数は退職金の金額にかかわる重要な構成要素です。就業規則に出向中の期間を通算する旨が規定されていれば問題はありません

 

ですが、そのような規定がなくても、社員は出向期間中も出向元の企業と労働契約が存続しているので、特別な合意がない限り、出向期間も在職年数として通算されるべきでしょう。

 

では、退職金にかかる出向元と出向先との負担割合についてはどうでしょうか。出向元で働いている期間にかかる退職金は、出向元が負担することで異論はないでしょう。問題は出向期間中に発生した退職金です。

 

これについては、出向元と出向先との間で交わされた出向協定に基づいて決定されることになります。たとえば、出向元と出向先でそれぞれの雇用期間に応じて、退職金の総額を按分する方法などが考えられます。

 

ただしどのような方法をとるにしても、社員に支給される退職金の総額が、出向によって減額されることのないように注意しなければなりません。

退職金の支払い義務者はどっち?

スマホと眼鏡。コーヒーの入ったマグカップとチョコチップクッキー。

前段では退職金の負担割合についてお伝えしましたが、では、そもそもの「退職金の支払い義務者」は出向元と出向先のどちらになるのでしょうか。

 

退職金は、「基本給×在職年数×一定係数(人事評価などよる)」といった計算式からもわかるように、長期にわたる雇用システムを前提とした制度です。

 

そこで、出向期間が通常の場合なら3年程度であることを考えると、基本的には出向元が退職金の支払い義務者であると考えられます。

 

裁判例でも、下記のような内容から、出向元が支払い義務者であると認定したものがあります。

  • 出向社員に対して、出向元と出向先に勤務した期間に比例して、退職金の支払いを負担する旨の規程がある
  • その規定の趣旨は、出向社員の退職金の計算方法、最終的な負担者とその割合を定めたものに過ぎない
  • 退職した者に対する退職金の支払い義務者を定めたものではない

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自社の退職金がどの程度の水準なのか、また、いま社員が退職したらいくらの退職金が必要になるのか、把握しているでしょうか?

 

「出向中の期間は退職金の在職年数にカウントされるのか?」といったことも、この把握が後手に回っているからこそ起きる問題ともいえます。

 

退職金制度がある場合は、まず自社の退職金の状況を定期的に把握し、もし課題が見つかれば、早めに対応することが大切です。

白のチューリップ、カスミソウ、スターチスのブーケ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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