![窓辺に広げられた本のうえに置かれたコーヒーカップ。カップに生けられたシャクヤクの花。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i3b7487d2b7b0e525/version/1713840127/%E7%AA%93%E8%BE%BA%E3%81%AB%E5%BA%83%E3%81%92%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%88%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AB%E7%94%9F%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%83%A4%E3%82%AF%E3%81%AE%E8%8A%B1.png)
当社のパートさんは3か月更新で来てもらっている(更新手続きは「来月もよろしく」「はい」であやふやだったが)。だが、このご時世で経営が悪化、やむなく辞めてもらうことになった。
今回の更新が最終回であること、残りの年休は全部使ってほしいこと、感謝の気持ちを伝えたところ、こころよく納得してもらえた(内心複雑だったろう)。こんな「解雇」というかたちになって申し訳ない・・・
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長い間にわたって繰り返し更新された労働契約をある時点で「更新しません」と会社側が意思表示して雇止めすることは、解雇といった法律の規制に抵触する場合があります。
では、冒頭の例のように「更新しないことの合意」ができているときはどうなるのでしょうか?
そこで今回は、反復更新された労働契約を不更新にして解雇にならない場合とはどんなときなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
最終回の契約更新を合意すると
![ノートパソコンのうえに無造作に置かれたバラの花たち。ページが開かれた本の上にコーヒーの入ったマグカップ。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i04ad29baa8e1c428/version/1713901194/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%88%E3%81%AB%E7%84%A1%E9%80%A0%E4%BD%9C%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%83%90%E3%83%A9%E3%81%AE%E8%8A%B1%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%8C%E9%96%8B%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97.png)
冒頭でお伝えしたように、長期にわたって反復更新された有期労働契約をある時点で更新しない旨を示して雇止めすることは、解雇またはそれに準じた雇止め法理の適用を受ける場合がありますが、次のようなときには、自動退職となり「解雇」の問題は生じません。
それは、最終回にあたる更新の際に「今回の更新をもって最終回とし、次期更新はしない」「〇月〇日の期間満了をもって本契約を終了する」「今回が最終更新であり、今後更新しないことを承認する」などと、今回が最終回で次回以降の更新を行わないことについて、パート社員ときちんと合意できた場合です。
このように会社と社員間の自由意思によって同意がなされた場合には、「合意による期間満了」ということで自動的退職となり雇止めには該当しません。(←ということで、冒頭の例は雇止めや解雇にあたりません)
労基法第14条に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」では、「雇止めの予告」について示されていますが、その適用除外に「あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く」とされていることからもよくわかります。(←あらかじめ契約の不更新が示されているなら雇止め予告はいらないということ)
実務的にはどうなる?
![エクレアが添えられたコーヒーの入ったカップ&ソーサ。ページが開かれた本とラベンダーの花。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i164e4b50a6e6c122/version/1713901194/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%81%8C%E6%B7%BB%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B5-%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%8C%E9%96%8B%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%8A%B1.jpg)
前段でお伝えした期間満了の合意は、これまでの更新手続きが明確ではなく、事実上期間の定めのない状態になっている場合でも、あらためて「これが最終2か月間の契約」といった旨の合意が成立したときは有効であり、これを再度繰り返し更新されるものではない限り、新契約(最終の契約)の期間が労基法第21条各号に該当する場合は解雇予告の問題は発生しないと解釈されます。
(注)「労基法第21条各号」(←解雇予告の適用除外)とは下記のような臨時的性質の働き手のことです
- 日日雇い入れられる者
- 2箇月以内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
- 試の使用期間中の者
なお、パート社員のほうで最終更新とする旨の特約に合意しなかったときでも、再度の更新はしないことをその際に明確に通知しておくのなら、解雇予告(次回についての更新拒否)としての効力をもつことになるので、それが30日以上の期間があって、更新できないことに相当な理由があれば雇止め(解雇)として有効となります。
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契約が反復更新されて長年働いてきたのに、突然契約が打ち切られるとしたら働き手としては納得がいかないので、もめごとに発展しそうなのは想像に難くありません。
そこで反復更新された契約の終了にあたっては、今回で最終回の契約更新となる旨を丁寧に説明したうえで、その合意をとることが円満な方法といえるでしょう。
![いちごとブルーベリーがサンドされたクロワッサン。ラベンダーの花。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=401x10000:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/ic9143cf0e5839385/version/1713838539/%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%94%E3%81%A8%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%8C%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%B3-%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%8A%B1.png)
![社会保険労務士高島あゆみ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=119x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i592d97b77a4257e3/version/1676599181/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%A3%AB%E9%AB%98%E5%B3%B6%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF.jpg)
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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