採用面接で聞いた希望の勤務場所から異動させてはダメですか

ピンクの手帳とイチゴ柄のハンカチ、ピンクの腕時計。イチゴのかたちをしたトレイとゼムクリップ。ダブルクリップ。いちごのカップケーキのかたちをしたマグネット。パソコンのキーボード。

「採用面接では、勤務を希望する支店や担当部門などを聞いています。なるべく希望通りの配属にしたいからです。

入社2年目の社員に支店への異動を打診したところ、『本社勤務だから入社したのに』と不満げな反応でした。採用面接で聞いた希望の勤務場所から異動させるのはダメなのですか?

 

採用面接のときに希望する勤務場所や仕事内容を聞くことで、勤務場所や職種を限定した採用になるのか?というのが、このご相談内容のキモです。

 

職種や勤務地を限定して採用した場合、職種変更や限定勤務地外への転勤には本人の同意が必要となるからです。

 

採用面接時の聴取だけでなく、求人広告に募集する職種や勤務場所を記載するのはよくあることです。そのため判断に迷われることは多いようで、ご相談をいただきます。そこで今回は、勤務場所や職種について、採用面接時に希望を聞いたり、求人広告で職種・勤務場所を明示すると「勤務場所・職種の限定」となるのか、確認していきたいと思います。

勤務場所・職種の限定となるのか?

パソコンのキーボードの前に置かれたピンクの腕時計、ゼムクリップがいっぱい入った缶、ゴールドのダブルクリップ。

入社時の労働契約で、職種や勤務場所を限定した場合に、職種変更の人事異動や転勤を命じるには、本人の同意を得なければなりません

 

つまり、労働契約で職種や勤務場所が限定されているかどうかは、人事異動命令を出すときにその社員の同意を必要とするかどうかにかかわってくるのです。

 

では、求人広告に載せた職種や勤務場所をみて応募した人を採用した場合、労働契約上「職種や勤務場所を限定した」とみなされるのでしょうか?

 

これについて、次のような旨が裁判例で示されており、職種、勤務場所が限定されていることを否定しています

  • (求人広告の性質上、職種や勤務場所を記載することについて)雇用当初における予定の職種、勤務場所を一応示しているだけで、将来にわたって職種、勤務場所を記載のとおり限定する趣旨とみるのは難しい

次に、採用面接時で希望したとおりの配属がかなった後、希望した職種や勤務地を変更する人事異動命令についてはどうでしょうか?

これについて、次のような旨が裁判例で示されており、採用面接時で希望を聞いただけでは労働契約における職種・勤務地が特定されているとはみなしていません

  • 企業が社員を雇用するにあたって勤務地、配属先その他について意見を求めることは、採否やその後の配属先や処遇の決定のため参考資料を得るだけに過ぎないのが一般的

実務的にどうするか?

パソコンのキーボードの前に広げられた手帳、リングノート、メモ帳。ボールペンとイヤフォン。

求人広告で職種や勤務場所の記載があるからといって、職種・勤務場所を限定するためのものとはみなしていない裁判例がほとんどです。

 

業務運営上のため担当業務や勤務場所を変更することは、会社の人事権として認められますが、冒頭のように社員本人の意に沿わない場合も考えられます

 

将来的に人事異動があり得るのなら、あらかじめ就業規則に明記しておくことがトラブルの芽を摘むことになります

 

あわせて入社時の誓約書や、入社時の労働条件通知書において将来転勤などの人事異動や出向がありうることを記載しておくことも考えておきましょう。

 

採用面接時の希望を聞くことについても、配属先や勤務地を決めるための参考資料にすぎないと考えるべきで、労働契約において職種・勤務地を限定するものと判示する裁判例はほとんどありません。

ただし、支店や営業所で採用する場合には、「勤務地限定の採用」とみられる可能性があります。転勤の可能性がある場合には、そのことを明らかにしておくことがポイントとなります。

 

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人事異動を行うにあたって大切な視点は、「社員の力を活かして会社を伸ばすには、人材の配置や役割をどうするといいのか?」ということです。

 

会社の権利濫用とみなされると人事異動命令は無効になりますし、社員との信頼関係も壊れてしまいます。つまり会社には、人事異動を行う必要性と積極的な理由が問われます。

 

会社として、社員のやる気を引き出すためにも中長期的な人材戦略を考えていきたいですね。

輪切りのオレンジとライム、オレンジ色のマカロン。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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