産後8週間よりも前に仕事に復帰したい、と医師の診断付きでママ社員からの申出。家族の協力もあるので、年休を利用しながらやっていきたいとのこと。最短で職場復帰したい社員を会社としても応援したいが、本来ならまだ産後休業中なのに年休って取れるものなのかな?
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産後復帰について相談を受けたワーママの上司ですが、産後休業と年休の扱いについて判断に迷っています。
本来なら産後8週間を経過しない女性は就業禁止となっている(産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が差し支えないと認めた業務に限って就業可能)ので、年休を申請する余地があるのか?との疑問があるからです。
そこで今回は、産後6週間経過で職場復帰したときの年休申請の扱いについて、詳しく確認していきたいと思います。
年度末が近いので、部員には5日以上の年休を確実に取ってもらわないといけない。だが風邪、コロナ、インフルエンザでダウンする人が出て人手が足りずに、休んでほしい人に休んでもらいにくい状況だ。半休か毎日1時間ずつ時間休を取ってもらって、年休取得5日以上にもっていくか・・・?(とある商社の営業部長談)
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会社には、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが義務付けられています。
そのため上司としては5日以上に至っていない社員の年休取得と、業務の進捗具合の間で「半休と時間休が5日付与義務にカウントされるならなんとかなるかも?」と焦っています。
そこで今回は、そもそもの半休と時間休の取扱いの違いと、半休と時間休が年休の5日付与義務にカウントされるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
休職していたAさんが10月から復職することになった。今年度の残り6か月でAさんにも5日以上の年休を確実に取得してもらわなければならない。とはいえ、年末年始休暇もあるし、2月はもともと営業日が少ないし・・・大丈夫だろうか?
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会社には、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが義務付けられています。
そのため、上司としては年度途中で復職したAさんの年休取得が心配で、「年末年始休暇が5日付与義務にカウントされるならひとまず安心なのに・・・」とひやひやしています。
そこで今回は、年度途中で復職した社員の年休の取扱いと、年末年始休暇をはじめ特別休暇が年休の5日付与義務にカウントされるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「来週の金曜日は計画年休日なのに、欠勤が多いBさんには年休がもうないらしい。Bさんだけ出勤させるのもビミョーだしなあ・・・」
年休の「計画的付与」とは、社員のプライベートな事情で自由に取得できるよう一定の日数を保持しながら、これを超える日数については、会社と社員の間での労使協定によって計画的付与を認めることにしたものです。
年休の計画的付与制度を実施する場合に問題なのは、計画年休の日数分の年休がない社員がいる場合にどうするかです。
その社員の年休日数を増やせば簡単なのもしれませんが、職場のなかでちょっとした不公平感が漂うのもまた事実・・・
そこで今回は、計画年休にあてる年休日数のない社員に会社はどのように対応するべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社の午後休は4時間分だから、10時から3時までの4時間を午後休として休んでもいいですよね?」
午後半休が午後1時から5時までの4時間なのだとしたら、4時間単位をもって半日(0.5日)とするべきで、午前10時から午後3時までの4時間でも半日単位として取り扱っても問題ないでしょ?・・・というのがこの言い分の趣旨です。
半休(半日単位年休)は法律上の制度ではありません。そのため、社内で「半日単位」をどのように扱い、半休制度をどう運用していくのかをきちんと決めておくことが、社員に誤解を与えないためにも重要になってきます。
そこで今回は、「半日単位」の取扱いと半休制度の運用ポイントについて詳しく確認していきたいと思います。
「病気の治療で通院するため、欠勤や早退の多い社員がいます。早退した日を出勤日にしたらいいという声が社内であるのですが、午前10時に早退した日なんかは1時間しか勤務していないのにどうなのか、という声もあって悩みます。」
労基法では、年休取得の要件を「所定期間内の全労働日における8割以上の出勤率」としています。そのため、出勤率が8割を切ると次年度の年休付与がゼロになってしまい、通院が難しくなるのではないか・・・と心配された人事担当者さんからのご相談です。
とはいえ、早退で1時間しか勤務していない日でも出勤したものとして、出勤率に含めてもいいのか、と判断に迷われるのもわかります。
そこで今回は、年休の発生要件である出勤率に午前10時で早退した日を含めてもいいのか、について確認していきたいと思います。
「社員が年休日に出社していたことが判明しました。組合活動のたまった事務を片付けるためだったようですが、この日は年休日として扱っても大丈夫ですか?」
会社は、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させなければなりません。
そのため、会社としては積極的に年休を消化させたいけれど、「出社していたのに年休日として成立するの?」と疑問に思われたようです。
結論からお伝えすると、取得した年休をどのように利用するかは社員の自由なので、年休日として成立します。ですが年休日の組合活動に対して、会社として注意すべき点もあります。
そこで今回は、年休を取得して組合活動を行う社員への会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「遅刻常習犯の社員が、つい先日も30分遅刻してきました。1時間の年休(時間休)を取得して遅刻と差し引きゼロにしてほしい、と言ってきましたが、会社として聞き入れないといけませんか?」
あまりに遅刻が度重なるとボーナスの査定に響くから・・・というのが、どうやら社員のホンネのようです。
とはいえ上司や人事担当者としては、遅刻をあとで年休に振り替えることが適法なのか、という点をまずは押さえておきたいところでしょうし、また周囲に与える影響(モラルハザードが生じるなど)も気がかりではないでしょうか。
そこで今回は、遅刻を年休でチャラにしたい(年休充当したい)社員への会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「取引先から緊急の要請があったときに担当者が休みだったら、会社に呼び出しても問題ありませんか?」
昭和の時代なら「そんなん企業戦士として当たり前や!!」と片付く案件だったかもしれませんが、令和の時代ではコンプライアンスやモラルの意識が高まり、対応に悩まれることも多いようです。
問題は、すでに年休日が開始している(午前0時以降)のに、社員を呼び出したい案件(年休の取り消し事由)が発生した点です。
その日になって、すでに年休日としてスタートしているのに一方的に取り消すことは労基法違反となるからですが、取引先の期待にも応えたい・・・どうすれば・・・(一一")
そこで今回は、突発的な案件が発生した場合の年休取り消しの問題に会社としてどのように対応すべきなのか詳しく確認していきたいと思います。
「当社ではもうすぐ年休の起算日がやってきます。育児休業中の社員がいるのですが、新規分の年休は発生するのでしょうか?それなら、育休中でも年休が取れるということですか?」
年度末に向けて、職場のメンバーの年次有給休暇の取得状況を正確に把握しようと、管理簿と向き合っている人事総務部の方もいらっしゃるでしょう。
育児休業中の社員について、年休の扱いをどのようにすればいいのか?と疑問に思われた担当者の方からご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、そもそもの年次有給休暇の付与要件を確認するとともに、育児休業と年休の関係について、くわしく確認していきたいと思います。
「定年を迎えた社員をパート社員として再雇用するとき、正社員時代に消化できなかった年休の残りをリセットしてはダメですか?それとも繰り越すものですか?」
定年退職者をパート社員や嘱託社員として再雇用した場合、未消化の年休についてどのように対応すればいいのか、とのご相談です。
形式的には、正社員時代の労働契約とその後の労働契約は別のものなので、年次有給休暇の付与日数に迷われるケースは多いのではないでしょうか。ズバリ、判断のポイントは「継続勤務なのかどうか?」です。
そこで今回は、定年後の再雇用者に正社員時代での未消化の年休を与えないといけないのか、それともリセットしていいのかについて、確認していきたいと思います。
「来年のカレンダーを確認すると、当社の創立記念日と日曜日がかぶっています。こんな場合、どっちの休みになるのでしょうか。祝日のように振替えないとダメでしょうか?」
次年度の年間カレンダー(会社の営業日)を考えるにあたって、このようなご相談をいただくことがあります。
毎週日曜日を労基法上の休日と定めている場合、その日と創立記念日のような特別休日が重複した場合、その日は法定休日になるのか、それとも特別休日なのか、疑問に思われるのは当然のことだと思います。
そこで今回は、特別休暇(創立記念日など)と労基法上の休日が重なった場合、どちらが優先されるのか、詳しく確認していきたいと思います。
当社では午前の半日と午後の半日の労働時間が異なるので、それに合わせて半休を設定しています。
午前のほうが短いので「午前半休は午後半休より損」との不満も聞きますが、「家族の通院の付き添いなどで午前半休はありがたい」といった声もあり、いっそ半休は午前休だけ取れることにしてはダメですか?
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年休を取得しやすい環境を整えようとする経営者や人事担当者からご相談をいただきます。中でも、半日単位年休は「日単位年休」のなかでの任意の制度なので、どこまで自由に運用を決めてもよいのか?と、判断に迷われるケースは多いようです。
そこで今回は、半日単位年休の取得を午前中に限定してもよいのかどうかについて、詳しく確認していきたいと思います。
取引先への納品スケジュールが迫っているので、休日出勤の必要性を担当部署に伝えたところ、ある社員から「その代わりにいついつに代休をとります」との返答がありました。
当社では代休の前例がなく、その旨を伝えると、「ふつう、休みの日に出勤すれば代休ってとれますよね?」とのこと。中途入社の社員なので、以前勤めていた会社では代休制度があったようです。周りにいた社員も「代休がないうちの会社って変なの?」とザワついて、対応に困ってしまいました。
(※ここでの「休日出勤」とは、法律上の休日労働のことをいいます)
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休日労働と代休をめぐる社内の問題、コンサルティングをしているとよく伺います。
労基法では代休についての規定はなく、代休を付与するかは企業の自由なのですが、「会社の義務」と誤解されているケースは多いようです。
そこで今回は、社員は一方的に代休とることができるのか、会社はそれに応じないといけないのか、確認していきたいと思います。
当日の朝の電話で欠勤した社員。あとで「年休で処理してください」と言ってくる。毎回「病気なんだから当然でしょ」といった態度がなんだかなあ。仕事の段取りをつけて計画的に年休をとる人との差が・・・。会社として病欠を必ず年休に振り替えないといけないもの?
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こういった年休取得にまつわるお悩みを、企業の人事担当の方からよくご相談いただきます。ご相談のキモは「病気による欠勤日を後日年休に振り替えることができるのか」ということです。
法定の年休を社員が権利として取得できるのは、あくまでも事前請求が要件となっているからです(事前とは前日の終業時刻より前ということです)。
そこで今回は、社員は当然の権利として欠勤日を後日年休に振り替えることができるのか、そして会社は後日の年休振替を行わないといけないのか、確認していきたいと思います。
「部署間で休暇の取りやすさが違うなら不公平です。そのため、社員が休むときのルールを全社的に統一したいと思っています。このルールは会社が一方的に決めてもいいのでしょうか?」
プライベートと仕事の両立をめざして、このようなご質問をコンサルティングのなかでいただくことがあります。
これに対する回答としては、「会社休暇についてはOKですが、法定年次有給休暇については法律で規制があるので何もかも自由に決めてはダメです」となります。法定休暇と会社休暇では、法律上の取扱いなどで大きな差異があるからです。
なお、法定休暇とは法律で付与義務が定められているもので、会社休暇とは法定休暇以外に就業規則で自由に設定したものをいいます。
今回は、法定休暇と会社休暇の違いに触れながら、会社休暇についてどのくらい“自由に(勝手に)”ルールを決めてよいのかについてみていきたいと思います。
「シフトで夜勤にあたっている社員が、急な事情で休むことになりました。夜勤は午後9時30分に出勤して翌日の午前6時までなのですが、年休の何日分をつかうことになりますか?」
昼と夜がひっくりかえった交替制のシフト勤務は、2暦日をまたぐことになります。ということは2日分の年休をつかうことになる?でも、昼間の勤務と同じ実働7時間30分の勤務なのに、不公平じゃない?いったい、年休の取得単位をどう考えるといいの?・・・ということで、先のようなご相談をいただくことがあります。
労働時間と年次有給休暇では、同じ「1日」という概念であっても、それぞれ考え方や取扱いが異なります。前者の「1日」は労働時間の長さを計る基準であり、後者は社員に与える休息時間の単位だからです。
そのため、どうしてもややこしく混乱しがちでもあるので、今回は年休日の取得単位をどう考えるべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「チームメンバーが“年休をとりたい”と言ってきたときどんな対応をするといいのか、リーダーから相談を受けます。リーダーの対応いかんで年休の取りやすさに差が出ると不公平ですし、法律的に押さえておかないといけない点はありますか?」
経営者の方や、人事担当者の方からこのようなご相談をいただくことがあります。部下から年次有給休暇の申請があったとき、リーダー(所属長)をはじめ、その承認の権限をもつ管理職は、これをどう取り扱ったらいいのか?という問題です。
「皆こんなに忙しいのに、急に休みたいなんて、ありえない!」などの思いから、メンバーから年休申請があるとリーダーの顔がひきつっている・・・というお話を伺うこともあります。
リーダーがちょっとした法律面の知識をもっているだけで、メンバーの年休申請にも適切に対応できますし、モヤモヤの解消にもつながります。
それでは、さっそく確認していきましょう。
「社員の年休取得率が思っていたより進まないので、時間単位年休を導入してみようかと考えています。注意すべき点はありますか?」
「年休を取得しやすくして社員に年休消化を勧めたい」ということでご相談をいただくことがあります。
時間単位年休の導入にあたって、まず押さえておくべきはその導入要件についてです。
これを踏まえないで、たとえ会社が「これからは時間単位年休を取ってもいいですよ」と認めたとしても、そもそも導入の根拠がないので、法的な年次有給休暇の取得として扱われないからです。
そこで今回は、時間単位年休を職場へ導入するにあたって、押さえておくべき要件とはいったい何なのか、詳しく確認していきたいと思います。
「社員が裁判員として裁判に参加しないといけない場合、年次有給休暇を取得する扱いにしてはダメでしょうか?」
会社には、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが義務付けられています。そのため、「積極的に年休を消化させたい」ということで、先のようなご質問をコンサルティングのなかでいただくことがあります。
裁判員の仕事は、国民に課せられた公の職務にあたります。
よって労基法の定めるところにより、その職務を全うするために必要な時間について、会社は社員の労働を公民権行使の保障として免除しなければなりません。
とはいえ、会社として有給の休暇とする必要があるかは別の問題です。
そこで今回は、社員が裁判員として裁判に参加するとき、年休との兼ね合いを会社としてどう扱うべきなのか、確認していきたいと思います。
「Aちゃんの会社では生理休暇で休んだ日は出勤扱いにならないそうだけど、うちの会社ではどうなんだろう?」
労基法では、所定期間内の全労働日における8割以上の出勤率を年休取得の要件としています。
そのため、会社としては法律上の年休付与の出勤率を計算するにあたって、出勤とみなされる日、全労働日から除外される日をきちんと把握しておく必要があります(冒頭のような質問が社員からあるかも)。
たとえば生理休暇で休んだ期間について、労基法上では出勤したものとはみなされませんが、会社と社員の合意によって出勤したものとみなすことは差し支えありません。
そこで今回は、法律上の年休計算にあたって出勤とみなされる日とはどんな日なのか、詳しく確認していきたいと思います。
「突然の納期変更や機械トラブルがあったとき、計画年休日が目前にあると対応できません。そんなとき計画年休日を変更できますか?」
年休の「計画的付与」とは、社員が私的な理由で自由に取得できるよう一定の日数を留保しながら、これを超える日数については、会社と社員の間での労使協定によって計画的付与を認めることとしたものです。
年休取得率をアップさせるための制度とはいえ、業務上の突発的な出来事と計画年休日が重なってしまうような事態を考えると、とても悩ましいですよね。
そこで今回は、会社が計画年休日を変更することは認められるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「年休の買い上げは法律的にアウトなのに、会社が買い上げても有効になるときがあるとか。それってどんなときですか?」
年休の買い上げとは、社員が取得できなかった年休の残日数を会社が一定の金銭で買い取り、行使できなかった年休請求権(年休の残日数)に応じて、会社が補償的な取扱いをすることです。
ただ、年休はそもそも社員の心身の疲労を回復させ、働くためのモチベーションを支えることを目的としています。年休と金銭をバーターにしては、心身の休養と疲労回復は果たせません。
そのため労基法では買い上げによって年休を実際に与えない行為を禁止しているのですが、実は年休の買い上げが有効となる場合もあります。
そこで今回は、年休の買い上げがどんなときに有効になって、法律的にアウトになるのか、詳しくみていきたいと思います。
始業時刻前の職場に「今日は休ませてください」と電話があったときに、年休をどう取り扱えばいいのか困惑する、というお話をコンサルティングのなかでよく伺います。
実は、法定の年次有給休暇の取得は、「この日に休暇をとりたい」いう社員の意思表示だけで成立します(会社の時季変更権の行使を解除条件としています)。年休日を決めてその旨を伝えさえすれば、会社からの承認は必要ない、ということです。
言い換えると、会社の時季変更権の行使がない限り、社員はそのまま休んでもよいことになります。当日は、労働義務の免除という法的な効果が生じ、適法な休暇として成立します。
ただし、このように法律で決められた社員の権利を主張できるのは、あくまでも事前に年休申請があったときの話です。
そこで問題になるのは、当日の朝になって「年休をとりたい」と電話があった場合です。当日の申請は、法的には事前申請ではなく事後申請になるからです。今回は、当日の朝になって「休みたい」との電話があったとき、年休の取扱いをどうすればよいかをみていきましょう。
「社員が時間単位年休を取得したとき、年休の残日数をどんなかんじで年休管理簿に記録していくといいですか?」
新型コロナウィルスの影響もあって、いまは職場での働き方についても柔軟なスタイルを検討していかなければならない状況です。取得状況の記録がややこしいから、という理由で時間単位年休の導入にためらいがあるとすれば、もったいないと思います。
たしかに、職場に時間単位年休制度を採り入れた場合、年休管理の記録簿の取扱いは、今までのように「年度当初の残日数-取得日数=残日数」というわけにはいきません。
日単位での取得分と時間単位での取得分が入り混じることで従来のように単純ではなくなるので、注意しなければなりません。そのため、コンサルティングのなかで冒頭のようなご質問をいただくわけです。
それではさっそく、時間単位と日単位年休の管理をどのようにしていくとよいのか、確認していきましょう。
年度末に向かって、年次有給休暇の取得にまつわるご相談をよくいただきます。法改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが会社に義務付けられたことも、理由のひとつかもしれません。
突発的な災害や、事前に想定しえない事象の発生時に、社員にかかる通勤の負担を軽減するため、フレックスタイム制の導入を考える企業もみられます。ご相談のなかには、フレックスタイム社員の年休管理に関するものもありました。
「フレックスタイム社員のなかに、実際に働いた時間が清算期間中の総労働時間に足りない者がいます。年休を取得したことにして、総労働時間に足りない分を穴埋めすることはできますか?」
つまり、フレックスタイム制において、実際に労働した時間が清算期間における総労働時間として決められた時間に比べて不足が生じた場合に、年次有給休暇でそのマイナス時間を清算できるのか?というご質問です。
一見すると理屈に合ったやり方のように思えますが、これは法律的には可能なのでしょうか?さっそく詳しくみていきたいと思います。
寒さもすこししのぎやすくなりました。春の訪れまであと少しのようですね。
春といえば旅立ちのシーズンですが、年休の日数がたくさん残っている社員が年度末に退職することになったとします。
年度末の忙しさで退職前に年休をとることができなかった場合、その社員の年休請求権はどうなるのでしょうか。
年休は原則として社員の希望通りに与えなければなりませんが、退職予定者の場合には、年休の残日数があっても退職日を迎えると行使することができません。
コンサルティングをしていると、退職が予定されている社員に対しては、「年休取得の申出があっても年休を与えなくてもよいのではないか?」との意見を伺うこともあります。
(これにはちゃんと理由があるので後述しますね)
そこで今回は、退職予定者の年休請求を会社は認めなくてもいいのか、どのように対応するべきなのか、について確認していきたいと思います。
「現場を束ねるリーダー社員が、どんなときなら時季変更権をつかっていいのか?と悩んでいます。年休申請を原則すべて認めるとなると、その分をフォローしようとリーダー社員の負担増となっているようです。時季変更権がつかえるときの具体例を知りたいです。」
年休取得の義務化の流れもあってか、コンサルティングをしていると、マネジメントの負担増に悩む管理職のお話を伺うことがあります。
事業運営のため会社に認められた年休の時季変更権は、どんなときでも行使できるものではありません。社員の希望通りに年休を与えることが、年休取得にまつわる基本的な原則だからです。
したがって、時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限定して認められます。では、「事業の正常な運営を妨げる場合」とはどんな場合をいうのでしょうか?そこで今回は、時季変更権の行使が認められる「事業の正常な運営を妨げる場合」とはどんな場合なのか、詳しく確認していきたいと思います。
休暇とは、労働義務のある日に「働かなくていいですよ」と就労義務が免除された日のことです。このような休暇は、「法定休暇」と「会社休暇」の2パターンに区別されます。
法定休暇は、法律で社員に必ず付与しなければならないと決められたもので、年次有給休暇や産前・産後休暇などがあります。
会社休暇は、就業規則などに定められることによってはじめて成立する、その会社オリジナルのものです。たとえば冠婚葬祭のための慶弔休暇や、勤続年数の節目に与えるリフレッシュ休暇などが挙げられます。
この法定休暇と会社休暇は、休暇が発生する要件や法律上の効果がそれぞれ異なっています。
特に日常のオフィスで「どう違うのか?」と問題になるのは、法定の年次有給休暇と会社休暇の違いについてでしょう。
そこで、今回はこれらの違いについて詳しく確認していきましょう。
「12/10から産前休暇ですが、いま残っている年休を(12/10から)消化して、そのあとで産前休暇に入りたいのですが・・・」
労基法では、産前産後休暇中における賃金について有給とすべきことを義務付けていません。その取扱いは当事者間の自由にゆだねられ、就業規則に有給の定めがない限り無給になります(ただし健康保険による出産手当金が支給されます)。
生活に影響を与えるため、女性社員から前述のように「産前休暇の一部を年休に替えたい」との申出も少なからずあるようです。
会社としては、「こどもが生まれたあと復職してからのために、年休を残しておいたほうがよいのでは?(年休よりも産前休暇を優先してほしい)」との思いがあり、この女性社員からの年休の申出を断るべきか、とのご相談でした。
そこで今回は、「年休を消化してから産前休暇に入りたい(産前休暇の一部を年休に替えたい)」との社員からの対応に、会社としてどのように対応するべきかについて、詳しく確認していきましょう。
【人事担当者のよくある悩み】
うちの会社では、年休申請書をを直属の上司に提出することになっている。各部署から人事部に申請書が集約されて、社員それぞれの年休日数を管理している。
ところが、ある部署でこの正規の申請をしないで休んだ社員がいる。直属の上司には口頭で翌日休むことを伝えたそうだが、「用紙を提出しなさい」との上司の注意を無視して、当日休んだらしい。日頃からルーズな社員のようで、上司は「無断欠勤の処理にすべし!!」とお怒りだ。
正規の手続きで人事部に情報が届かなければ、勤怠管理でミスして給料計算にも影響が出てしまう。だからといって、ペナルティーとして無断欠勤にしてしまうのもやりすぎでは?
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今回は、このように正規の申請手続きをしないで休んだ社員に、会社としてどのように対応するべきなのか、詳しく確認していきましょう。
この梅雨の時期、休日でも外出せずに家のなかでのお楽しみタイムが増えます。しとしと雨音に耳を傾けながら、DVDや音楽鑑賞、読書など趣味の時間を過ごすのもいいですよね。
さて、そんな休日について、コンサルティングの中で実はよくいただくご質問に、「休日と年次有給休暇は同じものではないのですか?どう違うのですか?」というものがあります。
確かに「仕事を休む」という行為では、休日と休暇も同じです。
これらに加えて、仕事中の休憩時間についても「仕事を休む」という意味でいっしょです。
これらの本来の意味合いは、実は、まったく違うものですが、たとえばお休みの日が人ごと、週ごとに異なるといったシフト制をとっている職場では、これらの管理が煩雑になりがちではないでしょうか。
けれど、もしも混同してしまうと(特に休日と休暇)、会社の年間休日数をミスカウントしてしまうおそれがあります。
では、休日、休暇、休憩はそれぞれどのように違うのでしょうか?
うっかりミスを防ぐためにも、今回はこれらを詳しく確認していきましょう。
「ものづくりの仕事が心底好きで、めったに年休をとらない現場社員がいます。ちゃんと休んでね、と伝えても”休んでもやることがないし、仕事をしたい”そうで・・・どうしたらいいんでしょう??」
この春から、会社には社員に少なくとも年5日の年休を取得させることが義務付けられていますので、このように休もうとしない部下に頭を悩ます上司の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
GW明けの職場では仕事の再開にエンジンをかける人、まだ休んでいたいと思う人、もう夏休みに向けて仕事のダンドリを始める人・・・いろんな人がいて、休みに対する考え方も多様性に富んでいます。
とはいえ、まったく休みを取らないのでは健康状態やモチベーションの維持といった面で会社としては心配になりますよね。
そこで今回は、休まない社員を強制的に休ませてもいいのか?について詳しくみていきたいと思います。
「社員が体調不良や家族の事情で、前もって年休申請ができずに欠勤することになったとき、欠勤日を自動的に年休日にして年休を消化する、というルールにしてはダメですか?」
この4月から、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが会社に義務付けられています。
ただでさえ週休二日制で会社の営業日が少ないなか、年休の消化をこれ以上進めるのは難しい・・・と悩みを抱える職場も少なくないようで、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、欠勤日を自動的に年休とすることは法的に認められるのか?について確認していきたいと思います。
最近は日の入り時刻が遅くなり、18時を過ぎてもまだ明るいですね。日(昼)が長くなるにつれて、季節が夏に変わっていくのを感じます。
日といえば、労働時間、休日、年次有給休暇では、同じ「1日」という概念であっても、それぞれ考え方や取扱いが異なることをご存知でしょうか。
もともと勤務シフトに夜間勤務がある場合や、トラブルシューティングのため徹夜勤務が発生した場合など、この「1日」をどう考えるかで社員の働き方が変わってくるのでマネジメント上注意が必要です。
今回は、労基法の「1日」の概念と、労働時間、休日、休暇それぞれの取扱いについてみていきましょう。
みなさんの会社では、半日単位年休の制度をじょうずに運用されているでしょうか。
コンサルティングをしていると、半日単位年休の存在自体を知らないというケースに、意外と多く出会います。
また、半日単位年休と時間単位年休の違いがわからない、といったこともよくお聞きします。
後で詳しくお伝えしますが、時間単位年休は法律上の年休制度ですが、半日単位年休は法律上の制度ではありません。
そのため両者をちゃんと区別する必要はありますが、年休取得に関する選択肢の幅が広がります。
そこで今回は、次の3点についてみていきたいと思います。
部下に”時間単位年休を仕事の合間にとったり、遅刻したときの穴埋めに使ってもいいですか?”と聞かれたら、どう対応するといいのかな?職場を出たり入ったりすると職場のセキュリティに問題が出そうなので、できれば仕事の合間に年休をとってほしくない。また、遅刻の穴埋めに年休を使うことで、職場の規律が乱れてしまわないだろうか・・・
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年次有給休暇は、もともと日単位による取得しか認められていませんでしたが、平成22年4月1日施行の改正労基法によって、労使協定による時間単位の年次有給休暇制度が新しく認められました。
制度のスタートから10年近く経ちますが、コンサルティングの中で冒頭のようなご相談をよくいただきます。
問題点は次の2点に集約できますが、今回はこれらについて詳しく確認していきたいと思います。
「えっ、こんな忙しいときに年休とりたい?!繁忙期は年休を別の日に替えてもらってもOKだとは聞くけど、ホントにいいのかな・・・」
年休の時季変更権について、どんなときなら使ってもよくて、またいつまでに使わないといけないのか、と悩む上司の方は多いようです。部下のせっかくの休みを邪魔してはいけない、との思いがあるからですね。
「事業の正常な運営を妨げる事由」があるときには、その日でない日を年休とするように指示する、会社の時季変更権の行使が認められていまが、「事業の正常な運営を妨げる事由」については、個別の具体的な状況において客観的に判断する必要があります。
年末年始の時期は、年休の申請件数も増える時期でしょう。
そこで今回は、年休の時季変更権をどんなときに行使すれば正当と認められ、またいつまでに行使するとよいのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
このほどの労働基準法改正によって、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、会社が時季を指定して取得させることが必要となりました。なお、これに違反すると所要の罰則が科されます。来年(2019年)4月からすべての企業において実施となり、中小企業も例外ではありません。
とはいえ年休取得をめぐっては、「自分が休むと仕事が回らない」「ただでさえ毎日残業なのに、休めば納期に間に合わない」「休んだ分だけ成果をあげるチャンスを逃す」といった社員さんの声が現場から聞こえてくるかもしれません。
仕事が増え続ける職場において、年休取得への不安感を捨ててしっかり休みながらも今までと変わらないもしくはそれ以上の結果を出すには、会社と社員の双方が意識を変えていく必要があります。
そこで今回は、法改正の概要をみながら、年5日以上休むため会社と社員でやるべきこと、反対にやらずに捨てることについてみていくことにしましょう。
「当社もやっと完全週休2日制になって休みが増えたのは社員にとって良いにしても、年休を取るのが難しくなってしまいました。取れなかった年休を貯金みたいに積み立てることはできませんか?」
取れずじまいの年休が積みあがるのが心配なので、このようなご相談をいただくことがあります。年休取得率はアップさせたいけれど、やり残しの仕事が増えてしまうのも避けたいですよね。
いまの時季は夏休みもあるので、仕事を滞りなく進めることを考えると、さらに年休取得が難しくなる、といった事情もあるでしょう。
このような問題への対応のひとつとして、「年休の積立制度」というものがあります。
そこで今回は、年休の積立制度とはどういったものなのか、また運用上の注意点について詳しく確認していきたいと思います。
「当社の年休申請届には、年休の利用目的を書いてもらう欄があります。そもそも、会社は社員がどんな理由で年休をとるのかを聞いてもいいのでしょうか?」
企業の人事担当の方から、年休の申請用紙にまつわるご質問をいただくことがあります。「年次有給休暇の利用目的」の記入欄があるフォーマットを使われている会社は多いのではないでしょうか。
ところが、「利用目的を記入するのは強制なのか」「プライベートのことに会社が口を出すのか」といった社員の不満の声への対応に悩まれるケースは多いようです。
結論から申し上げますと、利用目的の記載欄を設けること自体には問題はありませんが、運用次第では違法となる場合もあります。
そこで今回は、年休の利用目的を社員に書かせてもいいのかどうかについて、詳しくみていきましょう。
強い寒波の影響で、厳しい冷え込みが続く毎日ですね。
冷えや乾燥、室内外の寒暖差から体調を崩す社員が出てくるかもしれません。具合が悪いまま仕事をしていると普段よりもパフォーマンスは落ちますし、何より本人の健康状態が心配です。休んでしっかり体調を整えてもらいたいところですよね。
けれど次のようなとき、会社としてどんな取り扱いをしてよいのか迷う、とのご相談を受けることがあります。
今回はこれらのように、社員が体調不良で休むとき会社のとるべき対応について確認していきたいと思います。
10月に入りました。今年度の下半期もスタート、4月に新入社員が入社してきてちょうど半年が経過しましたね。
入社後6か月で年休が10日発生することになります。そこでよく年次有給休暇の取扱いについてご相談を受けます。
特に多いのが、「入社日と年休の付与日が異なると管理が面倒なので、これを統一したい」とのことでした。
確かに中途入社の人を合わせると、社員さんの入社日が同じでないことは当然ありうるわけですが、それぞれの入社日から起算して6か月後の年休付与日を管理するのは大変です。
次いで多いご相談が年休の買い上げについて。仕事が忙しかったために取得できなかった分を、会社としてはせめて買い取ってあげたいとうお声をよくお聞きします。
そこで今回は、次の2点についてみていくことにしましょう。
チームの仕事をこなすのにどれだけの人数が必要なのか、実はわかっていない。子育て中のメンバーもいるので、急な休みの場合でもみんなでフォローできるようにしたい。(新任の若手チームリーダー談)
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仕事をみんなで把握して、お休みや時短のメンバーがいても、残りのメンバーで主体的に仕事をこなそうとするチームは理想的ですね。では、具体的にはどうしていくと、そんなチームが実現するのでしょうか?
そこで今回は、理想的なチームづくりのポイントとなる次の3点について確認していきましょう。
当社では、お盆近くに計画年休日を設定して大型連休にしている。「家族旅行を楽しめる」と社員からも好評だ。・・・そんな大型連休中にトラブルが発生、夏休みなんて言っていられない!!はやく担当の社員を呼び出して、対応にあたらせよう・・・
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まとまった休みを取ることができると、旅行やイベントで家族との団欒を楽しめるなど、社員にとって大きなメリットになります。
会社にとっては年休の消化が進み社員の年休取得率アップにつながるメリットもあります。そのため、計画年休制度を積極的に取り入れている企業もあるでしょう。
ただし、ここで問題なのは当初定めていた計画年休日を変更して、他の日に振り返ることはできるのかという点です。もし法律に違反するようなら、せっかくの計画年休が台無しですよね。
そこで今回は、計画年休日の変更をはじめ、大型連休を設定するとき会社が注意すべき点について詳しく確認していきたいと思います。
「年休を取りたいけど、申請期限を過ぎてしまった。今日言って明日休むのはマズイよなあ・・・(;´∀`)」
昔、「日本を休もう」というCMがありましたが、あれから30年近くたった今も世間的にうまく休めるようになった、とはまだまだいえない状況なのかもしれません。
休まない(休めない)理由は様々かもしれませんが「年休取得のルールがない」ということも、実は大いに影響してきます。
ルールがないから遠慮して休めない(遠慮しない人だけが休めてしまう)、という事態を招きがちですし、冒頭の例のようにルールを硬直的に取り扱うと法律的な問題が生じます。
そこで今回は、年休取得のルールの作り方とその運用について詳しく確認していきたいと思います。
会社が人材育成を行う目的は、大別して2つあります。
この目的の実現のため、会社は社員へ先行投資するのです。研修の実施もそのひとつと言えます。そのため会社としては、実施する研修の効果を高めるため、期間、内容、対象者の範囲、講師など熟考したカリキュラムを実施します。
そんな準備に労力を費やしてきた研修の実施期間に「年休を取得したい」と参加対象の社員が申請してきた・・・「おいおい、ちょっと待ってくれよ、なんで今?」と言いたくなってしまうかもしれません。
そこで今回は、会社として研修期間中の年休申請にどのように対応するべきか、について詳しく確認していきたいと思います。
「こどもが急に熱を出したので・・・」
「ちょっと体調が悪くて・・・」
当日の朝に休みたい旨の電話連絡。
急なことで実のところ、人員配置に支障をきたすのだけれど、事情がわかるだけにどうすればいいのか対応に困る。
しかもたびたびとなると、仕事の進捗にも差し障る。さて、どこまで聞き入れなければいけないのか・・・
社員想いの経営者、部下思いの管理職の方ほどよく悩まれる問題です。
当日朝の年次有給休暇の申請を欠勤扱いにしてもOKなのか、がご相談のポイントです。
会社としてどう対応するとよいのでしょうか。
今回は、このあたりを詳しくみていきましょう。
「退職日まで残りの年休を消化したいです。今までずっと忙しくて取れずじまいだったので、いいですよね?」
辞める社員からの年休取得の申し出。引継ぎがないまま休まれると後任の社員に過度の負担をかけることになってしまうので、仕事の引継ぎをきちんと行ってくれるかどうかが気になります。
かといって、会社としては退職日を超えて年休の時季変更権を行使することはできません。
では、会社としてどのような対応をとると、仕事に支障をきたすことなく、辞める社員も残る社員も困らず、うまくいくのでしょうか?
そこで今回は、辞める社員の年休取得の申し出に慌てることのないよう、とるべき会社の対応について詳しく確認していきたいと思います。