計画年休で夏休みを大型連休にするときの注意点

青空にそびえるヤシの樹

バーゲンやビアガーデンのCMをみると、夏もいよいよ本番!という気分になりますね。

 

会社によっては、夏休みとリンクさせて計画年休日を定めている場合もあるのではないでしょうか。これによって大型連休も実現できますよね。

まとまった休みを取ることができれば、家族旅行や長期レジャーを楽しめるなど社員にとってメリットがあります。

 

一方、会社にとっても年休の消化が進んで、社員の年休取得率アップにつながるメリットもあります。

このようなことから、計画年休制度を実施している会社も多いかもしれません。

 

けれど夏の大型連休中に急なトラブル発生。事情を詳しく知る社員がいない。夏休みなんて言っている場合ではない、計画年休日にあたっている社員を呼び出して出勤させなければ。さっそく電話しよう!

 

いえいえ、落ち着いて、ちょっと待ってください。

当初定めていた計画年休日を変更して、他の日に振り返ることはできるのでしょうか?

計画年休制度とは

カレンダーの日付を虫眼鏡で拡大。

計画年休制度とは、労使協定により年休を与える時季を定めると、それに従って年休を与えることができる制度です。この要件を満たせば、社員はこの協定に拘束されることになるので、個人の意思(「この日は休まずに出勤したいんです!」など)に反してでも、強制的に年休を取らせる効果が生じます。

 

計画年休制度を運用するにあたって、具体的には次のような方法があります。

  1. 社員一斉に年休を取得させる
  2. 仕事の班別にメンバー交代で年休を取得させる
  3. 個人ごとに計画を設定して年休を取得させる

 

なお、5日分は社員が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。

もし使える年休が5日以内の社員を計画年休制度で休ませるなら、休業扱いとして休業手当を支払う方法が考えられますが、一般的に有給の特別休暇を与えて処理する会社が多いですね。

計画年休日に出勤させてもいいのか

休日の閑散としたデスクでノートパソコンを広げる社員。コーヒーを飲みながら作業。

前述のように計画年休制度のもとでは、社員が他の違う日に年休を取得したいと言ってきても、会社はこれを拒否することができます。

 

反対に、会社が当初の計画日には出勤して別の日に年休を取得するように指示しても、社員はこれを拒むことができます。

 

つまり冒頭のように計画年休日に社員を出勤させたいとなったとき、原則として働かせることはできないことになります。

この対応策としては

 

  1. 労使協定を結び直して、新たな計画年休日を定める
  2. あらかじめ労使協定に計画年休の変更に関する要件を加えておき、特別な事情による変更がある旨を定めておく

といったことが考えられます。

これらを根拠にして、当初定めていた計画年休日を変更することができます。

 

なお、急な個人的事情などによって計画年休日の前に退職する社員が、計画年休日の変更を申し出てきたとき、会社はこれを拒否できないとされています(退職日を超えて計画年休日を与えることができないため)。

制度の運用にポジティブな意味づけを

互いの健闘をたたえて握手する社員。デスクの上に広げられたノートパソコン。

このように計画年休制度を実施するには、いろいろ考慮するべき点があります。

けれど、冒頭のシチュエーションでそもそも問題なのは、「大型連休中のトラブル発生時に代替要員を確保できる体制を準備しておかなかった」ことです。

前述のように、「計画年休日をグループ別の交代制にする」、「個別に計画年休日を設定する」、といった方法を検討するのもひとつです。

 

ただし「いざとなったら休みでも呼び出せばいい」と考えていると、根本的な問題(代替要員を確保すること)は解決しません。

発想を切り替えて、行動を修正する必要があります。

そこでお勧めしたいのは、計画年休制度を「4人体制チームなら1人休んでも3人で回るチームにする機会」として、とらえ方を換えること。

 

この場合「3人で回るなら1人減らせる」と考えることもできます(こうなったら困るので、あえて生産性の低い仕事のやり方を続けるケースも見かけますね)が、誰だって働き詰めではパフォーマンスを十分に発揮できません。

1人休んでも3人で回るということは、1人は必ず休めるということ。休むことが仕事へプラスになると、会社がポジティブに考えている表れでもあります。

 

1人休んでも3人で回るチームにするには、まず人材を育てる必要があります。1人休んで、仕事を振る相手が育っていなければ、仕事ができる人ほど膨大な量を抱え込むことになってしまうからです。ですから「後輩指導を会社は評価する」という姿勢を明確にすることが大切です。評価基準のひとつに加えることも考えられますね。

人が育てば、誰かが休んでも代替要員が難なく見つかります。

それは会社として受注できる仕事の量が増え、処理できる仕事の幅が広がるということ。

 

このように発想を切り替えて、計画年休制度にポジティブな意味づけを行えば、技術的な効果(大型連休の実現、年休取得率のアップ)だけでなく、会社のキャパシティを広げることにもつながりますよ!

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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