育休中の社員に年休は付与されますか？

「当社ではもうすぐ年休の起算日がやってきます。育児休業中の社員がいるのですが、新規分の年休は発生するのでしょうか？それなら、育休中でも年休が取れるということですか？」

年度末に向けて、職場のメンバーの年次有給休暇の取得状況を正確に把握しようと、管理簿と向き合っている人事総務部の方もいらっしゃるでしょう。

育児休業中の社員について、年休の扱いをどのようにすればいいのか？と疑問に思われた担当者の方からご相談をいただくことがあります。

そこで今回は、そもそもの年次有給休暇の付与要件を確認するとともに、育児休業と年休の関係について、くわしく確認していきたいと思います。

会社に入社した後、最初に年次有給休暇の権利が発生するのは、入社日から６か月間継続して勤務した場合です。つまり、最初の年休の付与要件は、次の１．かつ２．となります。

1. ６か月間継続勤務したこと
2. 全労働日の８割以上出勤したこと

１．の「継続勤務」とは実際に出勤することを意味するのではなく、労働契約の存続期間つまり、職場における在籍期間をいいます。

たとえば、長期療養のため休職とされている期間も継続勤務期間として取り扱われます。もちろん、育児休業を取得している期間も継続勤務となります。

では、２．の要件について、育休中の社員はあてはまるのでしょうか。

これについて労基法では、「育児介護休業法の規定による育児休業又は介護休業をした期間は、年休の付与要件とされる８割以上出勤の算定においては、出勤したものとみなされる」としています。この期間は、もちろん全労働日にも含まれます。

 よって、年休の付与要件を満たせば育児休業中の社員にも年休は発生することになります。

年休の付与要件を満たせば育児休業中の社員にも年休が発生するのは、前段でお伝えした通りです。

それでは、育休中に年休を取得することはできるのでしょうか？もしそうだとしたら、「育児休業」と「年休」が入り混じって、どちらの休みなのかややこしくなりそうですよね？

これについて行政通達では、「年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものだから、育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はない」との旨を示しています。

つまり、年休は給与を減らされることなく、労働義務が免除される日なので、そもそも休日や労働義務が課せられていない日に年休を取得しようがない、ということです。

そのため育休中には年休がそもそも成立しようがないので、もし育休中の社員から年休の申請があったとしても、会社として認めなくても労基法上問題ありません。