会社を欠勤したとき年休を消化するルールにしてもいいですか

デスクの上のパソコンのキーボード。傍らに観葉植物、ホッチキス、クリップ、ペン、花の絵のノート。

この4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが会社に義務付けられています

 

ただでさえ週休二日制で会社の営業日が少ないなか、年休の消化をこれ以上進めるのは難しい・・・と悩まれている職場も多いのではないでしょうか。

 

そのため、「家庭の都合や自分の体調不良で会社を欠勤したとき、この欠勤日を自動的に年休日にするルールにしてはダメですか?」とのご質問をいただくこともあります。

 

そこで今回は、欠勤日を自動的に年休とするルールは法的にOKなのか?について確認していきたいと思います。

年休への事後振替は当然の権利ではない

黄色、紺色、赤色の背表紙の手帳が積まれている。その上にグリーンの葉っぱ。

年休取得を促進する方法のひとつとして、労使協定による計画年休制があります(計画年休制度については過去記事「計画年休で夏休みを大型連休にするときの注意点」をご覧ください)。

 

これと併せて、冒頭のように何らかの事情で会社を欠勤したとき、欠勤日を自動的に年休日へあてることも年休消化のため考えうる手段でしょう。問題はこれが法的に可能かどうかです。

 

このような欠勤日を年休日とすることは、年休を欠勤日に振り替えることに他なりません。

つまり、欠勤した後で社員の方から「年休日に振り替えて欲しい」と申出があったときの事後的な措置となります。

 

ここでポイントなのは、あくまでも「事後的な措置」なのであって、社員にこのような事後に振り替えることを会社に求める権利が法律的に認められているわけではない、ということです。

事後的に欠勤日を年休に振り替えることを認めるかどうかは、会社の自由です。もちろんその取扱いは、それぞれの企業の実情によって異なってきます。

制度として運用するために必要なこと

オフィスの会議室。白の長机と椅子。開かれた窓から太陽の光が差し込んでいる。

では、年休消化の方法のひとつとして考えられる「欠勤の年休への自動振替」は成立しないのでしょうか。

 

この場合、あらかじめ社員から「欠勤日を年休日としてほしい」旨の申出があって、会社がこれを認めているのであれば適法となります。「欠勤したときには」という条件付きで年休を取得したいとの意思表示→実際に欠勤という事態発生→年休が発生、という一連の流れによるものだからです。

 

そこで、この「欠勤の年休への自動振替」を適法に実施するには、「(年休は)社員の請求する時季に与えなければならない」という労基法の定めとマッチする方法で行う必要があります。

よって、次のいずれかの方法によることになります。

①労働協約で明確に欠勤の年休への自動振替を定めていること。

※社員である組合員の団体意思を反映して決定したことになる。

 

②就業規則に規定し、かつそれに対して社員の異議がないこと。

※単に就業規則で定めただけでは、社員の意思に基づくことにはならないためNG。

 この定めについて社員から異議がなく、社員の承諾があることが要件となる。

 

③労働慣行として欠勤の年休への自動振替制度があること。

※就業規則など明文化されたものはないが、以前から年休の残日数がある限り欠勤日を自動的に年休として取り扱っており、社員のほうでも

 この取扱いについて特に異議がない状態である。 

 

④明文化されていないが労使間の申し合わせがあること。

※労働協約や労使協定の締結による文書化はしていなくても、労使間で欠勤の年休への自動振替について労使間で申し合わせがある。

 このような合意もOKであり、社員の集団意思によるものとなる。

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上記の①から④による制度が確立していない場合でも、会社が自動的に年休として処理したことについて社員が追って年休届を出すなどして、社員からの追認があったときも、もちろんその処理は認められることになります。

 

社員にはそれぞれの事情がありますから、年休の使いみち、年休に対する考え方もさまざまでしょう。欠勤の年休への自動振替を制度として確立するまえに、あらかじめ社員からの意見をしっかり聞き、納得を得ておくことがポイントとなります。

夏のバカンス。麦わら帽子、サングラス、ボーダーのTシャツ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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