休暇の取得ルールは会社が勝手に決めていいですか

メモ帳とボールペン。パソコンのキーボードとイヤフォン。白のマグカップ。イチゴチョコのかかったドーナッツ。ピンクのバラの花束。

「部署間で休暇の取りやすさが違うなら不公平です。そのため、社員が休むときのルールを全社的に統一したいと思っています。このルールは会社が一方的に決めてもいいのでしょうか?」

 

プライベートと仕事の両立をめざして、このようなご質問をコンサルティングのなかでいただくことがあります。

 

これに対する回答としては、「会社休暇についてはOKですが、法定年次有給休暇については法律で規制があるので何もかも自由に決めてはダメです」となります。法定休暇と会社休暇では、法律上の取扱いなどで大きな差異があるからです。

 

なお、法定休暇とは法律で付与義務が定められているもので、会社休暇とは法定休暇以外に就業規則で自由に設定したものをいいます。

 

今回は、法定休暇と会社休暇の違いに触れながら、会社休暇についてどのくらい“自由に(勝手に)”ルールを決めてよいのかについてみていきたいと思います。

法定休暇と会社休暇の違い

ページが開かれた洋書。そのうえに並べられたパンジーの花。

休暇とは、本来なら労働義務のある労働日に、社員が会社から「その日は働かなくていいですよ」と労働義務を免除された日のことをいいます。

 

この休暇については、法律の定めによって発生する法定休暇と、就業規則の定めによって発生する会社休暇の2種類があります

 

法定休暇は、法律で必ず付与しなければならないことが定められていますが、一方の会社休暇はその会社独自のものであり、設けるかどうかは自由です。

【会社休暇】

  • 会社有給休暇(法定年次有給休日に準じるもの。就業規則で所定の日数を定める)
  • 慶弔休暇(結婚や葬儀など、就業規則で定める事由により発生する。就業規則で所定の日数を定める)
  • 特別休暇(就業規則に定める特別な事由により発生する。就業規則で所定の日数を定める)

法定休暇(特に法定年次有給休暇)と会社休暇では、法律上の取扱いなどで大きな違いがあるので、この区別をよく理解しておく必要があります。

その違いをまとめると、下記のようになります。

【何を根拠に(休みが)発生するの?】

  • 法定年次有給休暇→労基法
  • 会社休暇→就業規則

 

【休暇はどうすると成立するの?】

  • 法定年次有給休暇→社員が指定する(「この日に休みます」)
  • 会社休暇→社員が請求する(「〇〇〇の理由でこの日に休んでいいですか?」)

 

【会社の承認が必要か?】

  • 法定年次有給休暇→いらない
  • 会社休暇→必要

 

【取得する理由を(届出用紙に)記入しないといけないか?】

  • 法定年次有給休暇→いらない
  • 会社休暇→必要

 

【取得するのに制限を設けてもいいか?】

  • 法定年次有給休暇→ダメ
  • 会社休暇→OK

 

【単なる繁忙というだけで社員の取得を拒否していいか?】

  • 法定年次有給休暇→ダメ
  • 会社休暇→OK

 

【時間単位で分割してもいいか?】

  • 法定年次有給休暇→労使協定を結ぶことで5日分までならOK
  • 会社休暇→OK(自由に決めてOK)

 

【有効期間中の買い上げ】

  • 法定年次有給休暇→ダメ
  • 会社休暇→OK(自由に決めてOK)

 

【有効期間を1年としてもいいか?】

  • 法定年次有給休暇→ダメ(時効は2年)
  • 会社休暇→OK(自由に決めてOK)

2つの休暇を区別して取り扱うこと

ドーナッツの載った赤のお皿。かじりかけのドーナッツ。ミルクコーヒーが入った赤のマグ。

前段でお伝えしたことについて、少し補足しておきたいと思います。

前段の「法定年休と会社休暇の違いのまとめ」をご覧いただくとお分かりのように、法定年次有給休暇には、法律で厳格な規制があります。

 

つまり、法定年次有給休暇は原則として、社員の「いついつに休暇をとりたい」との意思表示により休暇が成立します(ただし会社には時季変更権があります)が、会社の承認を必要としません。また、休暇の利用目的を記載する必要もありません

 

休暇の取得ルールも「2日前までに所定の用紙によって行うこと」と定めたとしても、訓示的な意味合いであるなら有効ですが、“これ以外の方法は一切認めない”というのは無効となります。また、買い上げも禁止されています。

 

一方、会社休暇は、社員からの請求を会社が承認してはじめて成立する、というルールにしても問題ありません。単なる繁忙というだけの理由で、その請求を拒否しも違反とはなりません。また、遅刻早退をカバーするために、時間単位に分割するのもOKです。会社年休が1年で消滅するルールにしても、労基法が定める時効の適用がありませんので差し支えありません。

 

このように、法定休暇と会社休暇では、法的な効力に違いがあることを理解して、区別して取り扱うことが、会社と社員の両方ともに求められるでしょう。

 

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いま大手の企業を中心に広がり始めている「ワクチン休暇」は、会社休暇にあたります。

すでに今ある制度(就業規則に特別休暇についての規定があるなど)で対応できるのであれば、「何か新たな制度をつくらなければ!」と慌てる必要はありません。

 

まずは、自社の就業規則にどのように規定されているか、落ち着いて確認していきましょう。

包装紙にラッピングされた白い花たち。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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