一方的に代休をとりたいと主張する社員と会社の対応

白磁の花びんに活けられたラナンキュラスの花。ピンクのマスキングテープ。ピンクの目覚まし時計。

取引先への納品スケジュールが迫っているので、休日出勤の必要性を担当部署に伝えたところ、ある社員から「その代わりにいついつに代休をとります」との返答がありました。

 

当社では代休の前例がなく、その旨を伝えると、「ふつう、休みの日に出勤すれば代休ってとれますよね?」とのこと。中途入社の社員なので、以前勤めていた会社では代休制度があったようです。周りにいた社員も「代休がないうちの会社って変なの?」とザワついて、対応に困ってしまいました。

(※ここでの「休日出勤」とは、法律上の休日労働のことをいいます)

 

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休日労働と代休をめぐる社内の問題、コンサルティングをしているとよく伺います。

労基法では代休についての規定はなく、代休を付与するかは企業の自由なのですが、「会社の義務」と誤解されているケースは多いようです。

そこで今回は、社員は一方的に代休とることができるのか、会社はそれに応じないといけないのか、確認していきたいと思います。

代休は法律上のものではない

積み重ねられた水色のスケジュール帳、花柄の手帳、ブルーのメモ帳。水色のボールペン。スマートフォン。

まず、休日労働を行った社員に、代休を与える法律上の義務は会社にはありません。

 

代休制度は法律上、社員に当然認められているものではなく、就業規則に代休制度について規定されていることによって、はじめて代休の付与を求める権利が発生します。

 

代休とは、本来は社員が働く義務を負っている所定労働日に休日労働の代償として休むわけですから、社員が代休をとるには会社の許可や承認が必要となります。

 

社員が一方的に代休をとれるわけではありません

 

就業規則において、たとえば「原則として社員の希望する日に代休を付与する」との旨が規定されていることで、社員は会社に「いついつを代休日にします」と希望する日を代休日として会社に請求することができます。

一方的な意思表示では成立しない

眼鏡、電卓、ボールペン、メモ帳、キーボード、マウス、イヤフォン、スマホ。

前段でお伝えしたように、社員が代休を請求すること(代休請求権)は、就業規則の定めによる労働契約によってはじめて認められるものです。

 

この代休請求権を社員に付与した場合には、次のいずれもケースにしてもOKです。

  • 社員の請求による
  •  会社の指定による
  •  上記2つの併存

ただ、いずれの場合であっても社員の一方的な指定だけで代休の成立が認められる、と通常は解釈されません

 

この点が年次有給休暇とは異なる点です。法定の年次有給休暇は原則、社員の意思表示により年休が成立する(ただし会社には時季変更権があります)ので、会社の承認を必要としないからです。

 

繰り返しになりますが、代休は、社員の一方的な意思表示だけで成立するものではなく、原則として会社の許可や承認が必要なものと解釈されています。

 

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休日労働と代休をめぐる社内の問題として、ほかには「社員が代休を取れなかった場合はどうするの?」というものがあります。会社がその取れなかった日数分を買い上げないといけないのか?とのご相談をいただくことがありますが、代休を請求できる一定の期間を設けて、その間に取得できなかった場合、代休請求権は消滅する、と決めても構いません。

 

法律上は休日労働について、労基法で定められた割増賃金を支払ってさえすればよく、それ以上に代わりの休日を与えないといけないわけではないからです。

 

自社における代休の取扱い方をきちんと社員に説明できると、「代休がなくて社員は損をしているのでは?」といった疑念や誤解もきっと解けるはずです。

いま一度、確認の機会にしていただければと思います。

クリップでまとめたメモパッド。ボールペン。ガーベラとバラの花。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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