![オフィスのデスク。ノートパソコンのキーボードの上に置かれた黒縁眼鏡。ガラスの小瓶に飾られた桜の小枝。手帳の上に置かれたスマートフォン。コーヒーの入ったカップ&ソーサ。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/ie8b2be79fc653a71/version/1706062008/%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%AF-%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%BB%92%E7%B8%81%E7%9C%BC%E9%8F%A1-%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%B0%8F%E7%93%B6%E3%81%AB%E9%A3%BE%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%A1%9C%E3%81%AE%E5%B0%8F%E6%9E%9D-%E6%89%8B%E5%B8%B3%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3-%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B5.png)
産後8週間よりも前に仕事に復帰したい、と医師の診断付きでママ社員からの申出。家族の協力もあるので、年休を利用しながらやっていきたいとのこと。最短で職場復帰したい社員を会社としても応援したいが、本来ならまだ産後休業中なのに年休って取れるものなのかな?
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産後復帰について相談を受けたワーママの上司ですが、産後休業と年休の扱いについて判断に迷っています。
本来なら産後8週間を経過しない女性は就業禁止となっている(産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が差し支えないと認めた業務に限って就業可能)ので、年休を申請する余地があるのか?との疑問があるからです。
そこで今回は、産後6週間経過で職場復帰したときの年休申請の扱いについて、詳しく確認していきたいと思います。
そもそも産前産後休業とは
![緑が鮮やかなふじの花に手を伸ばす女性の手。マリッジリングをはめた指先。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i516b08d76b728101/version/1706095380/%E7%B7%91%E3%81%8C%E9%AE%AE%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%B5%E3%81%98%E3%81%AE%E8%8A%B1%E3%81%AB%E6%89%8B%E3%82%92%E4%BC%B8%E3%81%B0%E3%81%99%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E6%89%8B-%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%92%E3%81%AF%E3%82%81%E3%81%9F%E6%8C%87%E5%85%88.png)
会社は、6週間(多胎妊娠※の場合は14週間)以内に出産する予定の女性社員が休業を請求した場合にはその者を働かせてはなりませんし、産後8週間を経過しない者を働かせてはダメです。
※多胎妊娠とは双子以上の妊娠のことです。
この産前6週間、産後8週間の休業を産前産後休業といいます。
この基準となる「出産」とは、妊娠4か月以上(←1か月を28日で計算、つまり85日目以上)の分娩をいい、「生産」だけでなく「死産」や「流産」も含まれています(←人工妊娠中絶であっても、妊娠4か月以上の場合にはこの出産に該当します)。
なお、出産日は産前休業の期間に含まれます。
産前産後休業については有給であることが義務づけられておらず(←この期間中は健康保険の出産手当金の対象になります)、このため無給が続くと女性社員の生活に影響を与えるので、産後6週間を経過した女性社員が請求した場合であって医師が支障ないと認めた業務に就かせることは可能となります(←産後6週間はたとえ本人が働きたいと言っても強制的な休業です)。
産前産後休業と年次有給休暇
![緑がまぶしい公園のベンチ。本がのぞいた緑色のトートバッグが置かれている。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=535x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i4dec2fcca64dd62d/version/1706095380/%E7%B7%91%E3%81%8C%E3%81%BE%E3%81%B6%E3%81%97%E3%81%84%E5%85%AC%E5%9C%92%E3%81%AE%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81-%E6%9C%AC%E3%81%8C%E3%81%AE%E3%81%9E%E3%81%84%E3%81%9F%E7%B7%91%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0%E3%81%8C%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B.png)
年休は、社員の労働義務を免除して賃金請求権を残すものなので、年休が成立するには労働義務のあることが前提となります。
つまり、休日のようにもともと労働義務のない日には年休を取得することはできません。
産前休業は、前段でお伝えした通り、女性社員の請求による休業なので、請求がないかぎり労働義務は存続します。よって、産前休業を取得しないで年休権を行使することもできます。
会社としては、繁忙期など時季変更権の行使をなし得る状況でない限り、社員の年休取得を拒否することはできません。
産後休業は、強制休業で労働義務がないので年休を請求する余地はありません。ただし、産後6週間を経過して、女性社員からの請求によって、医師が支障なしと認めた業務に就かせる場合は、強制休業の状態ではなくなる(=通常モードの労働義務のある状態)ので、年休権の行使ができることになります。
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産後休業が無給である場合、経済的な影響を避けるため産後休業を終了して(職場復帰して)、年休申請をすることは当然考えられる状況です。
年休取得の目的は社員の自由であるため、「そんな理由じゃダメ」ということで年休取得を認めない扱いはできませんので、心に留めておきたいですね。
![太陽が降りそそぐガーデンテーブルに置かれたすずらんの花。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=424x10000:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i7d30f36169e5884a/version/1706061639/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%81%8C%E9%99%8D%E3%82%8A%E3%81%9D%E3%81%9D%E3%81%90%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%99%E3%81%9A%E3%82%89%E3%82%93%E3%81%AE%E8%8A%B1.jpg)
![社会保険労務士高島あゆみ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=117x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i4c4f89dd683c8a94/version/1685083761/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%A3%AB%E9%AB%98%E5%B3%B6%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF.jpg)
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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