社員の届出ミスvs会社の支払い義務、諸手当の支給はどうなる?

自分のデスクでノートパソコンに向き合って作業する男性社員。

「届出を忘れていたので、要件に合致する手当をずっともらっていなかった。さかのぼって手当をもらえませんか?」

 

多くの企業では、就業規則(賃金規程)で家族手当や住宅手当、通勤手当をはじめとする諸手当の支給条件が規定されていると思います。支給条件に合致した場合には、社員が所定のフォーマットへ記入し、会社へ届出を行うことによって、会社は本人に手当を支払う・・・という流れが通常考えられます。

 

ところが、「こどもが生まれたのに、届出をしてこない社員が多くて。周りの社員のなんとなくの世間話や噂を聞いて、慌ててこちら(担当者)が本人に確認するんです・・・」といった話もよくお聞きします。社員から冒頭のような申出があり、対応に戸惑った経験のある人事担当者の方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

担当者が気を回して本人に確認できたときはいいですが、毎度うまくいくとは限りません。もともと所定の届出を行わなかった社員本人に、落ち度があることは確かです。

 

では、冒頭の例のように本人の届出ミスがあった場合、会社はさかのぼって手当を支給しなくていいのでしょうか?

今回はこのあたりについて詳しくみていきたいと思います。

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どのくらいの役職につくと管理職扱いになりますか

並んで出勤する男性管理職と女性管理職

会社組織において一定の管理監督的地位にある社員については、労働時間や休日・休憩等の適用が除外されるので、会社に残業代(割増賃金)の支払い義務はありません。

 

コンサルティングで企業の方とお話ししていると、

「A社では課長になると管理職扱いになって残業手当の支給がなくなるそうですが、B社では主任になると管理職扱いになると聞きます。管理職にあたる、あたらない、の基準がよくわかりません。一体どのくらいのポジションに就くと、管理職扱いになるのですか?」

といった質問をよくいただきます。

 

残業代等の支給の有無が判断される「一定の管理監督的地位」とは、その職務権限と実際の処遇によって決まることになります。

そこで今回は、

  • 労働時間等が適用除外される管理職とは?
  • 管理職にあたる、あたらない、の具体的な判断基準

これらについて詳しくみていきたいと思います。

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人事担当者が悩みがちな賃金実務のよくあるギモン

半円状に並んだ紫、桃、橙、緑、青、黄の6色のマーカーペン。

人事担当者にとって、毎月必ず発生する賃金実務。給与計算もそのひとつですが、他部署の人からみると「誰にでもできるルーティンワーク」と思われがちなのかもしれません。

 

けれど、給与計算をはじめとする賃金実務は、実はそんなに単純な仕事ではありません。

給与から控除される税金や保険料の知識も必要ですし、自社の賃金体系をしっかり把握しておかなければなりません。

 

特に最近では、時間外労働・休日出勤といった労働時間マネジメントについての理解が大切です。

勤怠チェックの際に、社員それぞれのタイムカードの打刻の状況から、長時間労働が恒常的になっていないか、仕事のボリュームや進め方、本人の健康状態などに気付くことができると理想的ですね。このように賃金実務は、決して単純作業などではなく、社員一人ひとりのコンディションをみるクリエイティブな仕事だと思います。

 

新年度からよりスムーズに業務を進めたい、ということでこのところ賃金実務にまつわる法律問題についてよく質問をいただきます。

よくいただくのが次のような内容です。

  • たとえば「19時03分」とタイムカードの打刻があれば、本当に1分単位で残業の計算をしないといけないですか?
  • 給与の振込先金融機関を会社が指定するのはダメですか?

残業計算が煩雑になる、振込先がたくさんあると手間がかかる、などどちらも担当者の頭を悩ませる課題です。また、会社のコスト面にも関わってきます。今回はこれらについて確認していきましょう。

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賃金の見直しは諸手当のチェックから始まる

インスタントカメラで写した写真が3枚、青空のもとで飾られている。マイホーム(住宅手当)、心(会社の気持ち)、壁(通勤手当)。手当のイメージ。

多くの企業では、月給が基本給と諸手当で構成されているのではないでしょうか。

そこで賃金がテーマのコンサルティングでは、制度自体を見直すときは、まず手当についてチェックすることをお勧めしています。

なぜなら、手当の目的や意義がよくわからないまま「昔から出しているのでなんとなく」支給しているケースも多く、それらを整理してから基本給の検討を進めるほうが、スムーズに制度を見直せるからです。

 

また、世間では同一労働同一賃金の議論が高まっており、「なぜその手当を(正社員に、あるいはパートに)支払うのか」と、正社員とパートの諸手当のあり方を吟味しなければならないときが来ています。

 

近年の人材マネジメントの傾向としては、生計補助的な意味合いのある家族手当や住宅手当などはできるだけ廃止する方向にあります。

けれど一方で、会社が社員の生活のことを考慮している、という手当の持つメッセージ性が損なわれる点も考えなければなりません。

そこで今回は、賃金制度を見直すときのファーストステップとして、

  • 手当を支給する目的や意義を再確認し、
  • それらをよく検討した結果として手当をやめるとしたら、
  • どんなことに気を付けなければいけないのか?

について、確認していきたいと思います。

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新しい賃金制度へ移行するステップ

机の上にかさ高く積み上げられた書籍。

人事制度(人事評価と賃金制度)を刷新したいとは考えているものの、今の体制から新しい制度へうまく移行できるのか心配だ。

給料が上がる人はうれしいかもしれないが、反対に下がる人に対してどう対応すればいいのか。

社員のみんなは果たして納得してくれるのか。

クリアしなければならない問題を考えると、うちの会社が制度を新しくするのはハードルが高いことなのだろうか、と考えてしまう。

 

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人事制度を新しく改定するとき、こんな不安はありませんか?

コンサルティングをしていると、実はこのような声をよくお聞きします。

特に賃金は人材マネジメントの中核となるものであり、どのように扱うかで会社の成長に大きくかかわってきます。人が日常生活を送るうえでお金は必ず必要なものなので、社員のやる気に少なくない影響を与えるからです。社員に理解してもらえるよう、丁寧かつ迅速な対応が求められます。

 

そこで今回は、新しく構築した賃金制度へ移行する3つの手順についてみていきましょう。

  1. 新しい資格等級へ移行する
  2. 新しい給料へ移行する
  3. 法律的な条件をクリアする

みなさんの新しい制度に対する、不安のハードルが下がるヒントになればと思います。

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課題がわかる賃金分析の3つのポイント

鉢植えから芽生えた若葉。

自社に合った賃金制度をつくりたい、と経営者の方からよくお伺いします。

とは言っても、今の制度にどんな問題や課題があるのか具体的にはわからない。だからどういった制度が自社には合って、合わないのか、何を基準に見極めるといいのか・・・などと思案されていることも多いようです。

 

そこでまずは、自社の賃金実態がどうなっているかを把握することから始めてみましょう。

月給、賞与、年収総額について、年齢や役職、人事評価などの観点から詳しくみてみると、どんなことがネックとなっているのか、検討しなければならない問題や課題に気付くことができます。

 

では、現状の賃金実態をつかむための分析ポイントを、詳しくみていきましょう。

ポイントは大きく分けて次の3つです。

  1. 世間水準と比較してみる
  2. 人事評価や役職に見合っているか確認する
  3. モデル賃金を設定してみる

これらを確認するプロセスで、自社に合った賃金制度のカタチが見えてくると思います。

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経営者が知っておきたい賞与の話

赤、ピンク、ゴールド色をした球状のクリスマスオーナメントが、クリスマスツリーのかたちに並べられている。中央にサンタクロースのオーナメント。

今年も残すところ1か月あまりとなりました。

12月といえば冬のボーナス、賞与の支給日を間近に控えた企業も多いのではないでしょうか。

 

年収は月給と賞与によって決まりますし、年収に占める賞与のボリュームは大きいもの。

企業サイドからみれば、賞与には会社の業績をみながら総額人件費の管理を行うとともに、社員の年収も管理する機能があります。

 

社員の年収管理で大きな役割を持つ賞与ですが、

「年俸制にすると、賞与を調整弁にして年収管理するわけにはいかないですよね?」

との質問をいただくことがあります。

 

そこで今回は、年俸制における場合も含めて、賞与と年収管理の関係について詳しくみていきたいと思います。実は、賞与と年収管理の関係に着目することで、賃金制度の現状課題を見つけることもできるのです。

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資格等級と月給をどうリンクさせる?

机の上にカラフルな文房具が並んでいる。色鉛筆、はさみ、ノート、ボールペン、クリップ、ホッチキス。

人事制度を整備するとき、資格等級にもとづいて社員それぞれの月給を決めるにはどうすればいいのか、そんなご相談をよくいただきます。

 

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これからの人材マネジメントのトレンドは、職務や役割を基軸にしたものになっていく、ということはわかりました。貢献度のレベルが近い社員を集めてグループにしたものが、「資格等級」なんですね。資格等級のつくり方のイメージも大枠はつかめました。この資格等級にもとづいて賃金を決定する。そのためには、今いる社員を資格等級に当てはめないといけないですよね。これが、どう当てはめていいのかわかりません。今すでに担当してやってもらっている仕事もあることですし・・・。

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せっかく作った資格等級も結局活用できないままになってしまうのでは、との不安もよくお聞きします。

そこで今回は、資格等級にもとづいて月給を決めるには、具体的にどのようにするといいのかをみていきたいと思います。

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月給を決めるとき考えたいポイントとは

ノートパソコンやノートを広げ、ミーティングする社員

賃金制度のコンサルティングをしていると、「どんなことに気を付けて、社員の月給を決めるといいのですか?」との質問をいただきます。

 

まず会社として考えるべきは、「その人件費は適正かどうか」ということです。

つまり目標とする利益(もしくはせめて赤字にならない)をしっかりと出せて、企業の支払い能力に合っているどうかを検討する必要があります。

 

このことをお伝えすると、続いて次のようなことを伺います。

「適正な人件費を考えるということですね。そうやって昇給額を考えていくと、若手社員の昇給水準をどうしても低く抑えないといけませんよね。採用時の賃金設定に悩みます。」

 

社員の役割や貢献度に見合った賃金を決定することが、これからのトレンドであるしても、若手社員やベテラン社員の月給を考えるとき、場合によっては、年齢や勤続年数についての「オプション」を検討してみてもいいかもしれません。

では、次から詳しくみていきましょう。

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役割と貢献度に応じた資格等級をつくるには

色とりどりカラフルなマジックペン、色鉛筆、クレヨン、絵の具のパレット。

これからの時代にマッチした賃金体系など人事制度を考えたい、とのご相談が最近増えてきています。

これまでは「会社が家族を含めて社員の面倒をみる」との考え方が主流だったが、今は働く人の勤労観も変わってきているので改めて働き方や賃金のあり方を見直したい、というのがその理由です。

 

かつて多くの日本企業では、終身雇用制や年功制が採用されていました。けれど今や、政府主導で同一労働同一賃金の議論や、能力で評価する人事システムの推進が提唱されるなど、人材マネジメントのトレンドは大きく変わろうとしています。

 

そこで「自社において大切な役割とは何か」「会社に貢献するとはどういったことなのか」について、明確にすることが必要となってきます。

その関連記事として「これからの正社員とパートの賃金体系のあり方とは」では、人事管理の仕組みをつくるポイントのひとつとして、「社員のランクを決めること」とお伝えしました。

 

社員のランクを決めるとは、従事する仕事の重要度や会社への貢献度のレベルを格付けすること。仕事の重要度や貢献度が同じレベルの社員を集めたものを、資格等級として設定するのですが、

「具体的にはどうやって資格等級をつくっていくといいのですか?」

との質問をいただきました。

今回は、資格等級のつくり方についてみていきたいと思います。

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正社員とパートの賞与・諸手当をどう考える?

赤鉛筆と青鉛筆で折れ線グラフの推移を示す

前回の記事(これからの正社員とパートの賃金体系のあり方とは)で、正社員とパートの賃金体系を考えるにあたって、賃金差が単なる「年齢や勤続年数によるもの」という理由しかないのであれば、合理的な説明をもって会社の説明義務を果たすことは難しくなる、ということをお伝えしました。そこで、

「合理的な説明になっていない事例は、他にどんなものがありますか?」

との感想をいただきました。

 

合理的な説明ができていないケースがよくみられるのは、賞与や手当について。確かにこれから同一労働同一賃金の議論が高まってくるなかで、正社員とパートの賞与や諸手当も含めた賃金のあり方について、どのように対応するかを考えておく必要があるでしょう。

現実的かどうは別として、無期雇用フルタイム社員と有期・パート社員の会社への貢献度が同一の場合、賞与も同一に支給するべき、との議論もあります。

ですから、両者の役割や貢献度がどのように違うかについて、明確な説明をできるようにしておきたいですね。

今回は、具体的な事例を交えながら、これからの正社員とパートの賞与や諸手当のあり方についてみていきましょう。

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これからの正社員とパートの賃金体系のあり方とは

デスク上にパソコンのキーボード、マウス、電卓、手帳、スマートフォン、コーヒーカップ、観葉植物が並んでいる。

政府では、「日本の非正規雇用労働者の賃金水準は欧州諸国と比べて低い状況」「不合理な待遇差の解消は重要な政策課題」として、同一労働同一賃金の実現に向けた立法化が検討されています。

 

政府が同一労働同一賃金の目標にあげるヨーロッパ諸国では、職務評価制度が確立されています。産業別労働組合と経営者の間で賃金が決定され、たとえば「受付」という職務について、同じ地域であればどこの企業でも同じ賃金となります。「技能」「努力」「責任」「作業条件」・・・といった職務評価基準がしっかりと運用されているのです。そのため定期昇給はなく、賃金を上げるには職務間の移動(「受付」から「秘書」などへ職務を変更する)を行うことになります。

 

一方、日本ではこのような企業を問わない、横断的な賃金制度は確立されていません。企業ごとに年齢、勤続年数、仕事の内容、学歴、会社への貢献度といったさまざまな要素で、賃金が決定されています。職務別にではなく、新卒を一括採用するケースが多いからです。

また、日本では職務評価基準が確立していないので同一労働同一賃金の原則の適用はない、との判例もあります。

 

では今、検討されている同一労働同一賃金とはいったいどのようなもので、企業はどう対応していくといいのでしょうか。

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理想的な配分を実現する賞与制度とは

デスク上に電卓と千円札2枚、五千円札1枚、一万円札1枚、五百円玉1枚、百円玉2枚、五十円玉1枚、十円玉2枚、一円玉3枚が並べられている。

自社に合った賃金制度を考える経営者から、「頑張ってくれた人に報いたいが、それぞれに生活もあることなので処遇や評価に悩む」とのお話をよく伺います。

 

確かに、社員の月給を一度上げると、法律的に下げることが難しくなります。

また会社への貢献度を図る評価項目が多く複雑になると、運用がややこしくなってしまう可能性も考えられます。それならば社員の短期間の頑張りを報いるには、賞与で思い切って評価するほうが、スムーズかもしれませんね。

 

 

そもそも賞与には大きく分けて

  1. 生活費の補てん
  2. 会社業績に応じた総額人件費のマネジメント
  3. 社員へのメッセージ

といった意味合いがあり、諸手当などと比べると社員の年収に占める比率も高くなります。そのためどのように配分すれば、社員はもっと頑張れるのか?と経営者の方は頭を悩まされることと思います。

今回は、理想的な配分を実現できる賞与制度のあり方についてみていきたいと思います。

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台風が来たとき勤怠と賃金の支払いをどう処理する?

パープルのレインブーツ。傍らに雨傘が2本、傘立てに立てられている。

9月に入り、朝晩の暑さは少し和らぎましたね。青空の高さやイワシ雲をみるとさわやかな秋の気配を感じます。とはいえ台風シーズンの真っただ中なので、その進路が気にかかるところです。予報によると今年のピークは9月だそうですね。

 

大型で強い台風が朝の出勤の時間帯に接近すると、社員の通勤に影響が出ます。休校や休園となったこどもの面倒を見なければならない社員もいるかもしれません。

 

ですからこの季節になると、「交通機関の混乱に社員が巻き込まれないようにしたいが、その場合、勤怠や賃金の支払いはどう処理するとよいのか」とのご相談をお聞きします。

 

そこで今回は、

  1. 始業時刻の開始前に公共交通機関が停止していたとき
  2. 勤務時間中に公共交通機関に影響が出たとき

この2つのケースにおける、勤怠と賃金の取り扱いについて具体的に確認していきたいと思います。

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賞与の支給要件に「出勤率」を設ける場合の注意点

方眼ノートの上にボールペンが載っている。その傍らに卓上カレンダーが3枚置かれている。社員の出勤率をチェック中。

夏の賞与支給の時期が近づいてきましたね!

公務員の賞与支給日は法律や条例で定められていますが、民間企業ではいつに支給しなければならないなど、ガイドラインがあるわけではありません。慣例に従って、同じ時期に支給する企業が大半ではないでしょうか。一般的には6月末から7月にかけての期間に夏のボーナスが支給されることが多いようですね。

 

賞与の支払いについての注意点は、過去記事(「賞与で社員にメッセージを届けるには」)にも書きましたが、「支払うのか支払わないのか」「いつ」「どんな計算方法で」といったことは、自社独自のルールで決められるものです。

 

けれどそれゆえに、「こんな支給要件でいいのか?」と悩まれることも多いようです。

そのなかでよくご相談を受ける、「出勤率」を支給要件として設ける場合の注意点について、今回はみていきたいと思います。

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中小企業が人事制度を作っても使い物にならなかった理由とは?

パズルのピースが広げられている。

「人事制度を当社にも作ろうかと思っています。本やセミナーで学んだものを参考にしようと思うのですが複雑すぎてよく理解できないし、うちの会社に合っているのかどうもしっくりこなくて」

 

人事制度に関するご相談で、経営者からよくお聞きするトピックスのうちのひとつです。

私はこの違和感はとても大切だと思っています。

 

なぜなら中小企業で社員数が少ないうちは、複雑な制度は必要ないからです。

書籍等で紹介されている人事制度は、たいていが大企業向けのものです。

大企業では何万人と社員がいるので、全員のことを経営者ひとりが把握するのは到底無理なこと。ですから不公平な処遇にならないよう、詳細な評価基準や制度が必要となるのです。

 

ところが社員数が50人までの中小企業の社長なら、社員全員をよく知っているのもよくあること。

そんな場合は詳細な制度を作る前にまず、経営者の考えを社員にわかりやすく伝えることのほうが大切です。

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シミュレーションで賃金制度を決めて後悔する会社の特徴

円グラフや折れ線グラフが示されたビジネス資料のうえに、電卓、赤ボールペン、黒ボールペンが置かれている。

前回ここ最近の記事では、給料の高さによらない会社の価値や魅力についてお伝えしてきましたが、もちろんズバリ賃金制度そのものについてのご相談をお受けすることもあります。

 

そこでよくお聞きするのは次のような内容です。

「以前にも他の社労士さんやコンサルタントに相談して、賃金改定のシミュレーションをたくさん出してもらったが、どれにすればいいのか決め手がわからなかった」

「昇給ピッチの計算方法やその条件について説明を受けたが、現実感がなかった」

「ものすごく難しい数学的な式で理解できなかった」

 

会社のこだわりポイントや今後の方向性が明確にされないまま、テクニカルな試算結果の検討を行っても現実的な納得感は湧きませんし、どの試算結果がいいかなんて選べませんよね。

数学的な式を当てはめたシミュレーションもさることながら、会社のこだわりや方向性を考えずに賃金制度をつくることはできません。

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通勤手当の見直しは不利益変更にあたるか

ピンク色の電卓、預金通帳、コーヒーの入ったマグカップがテーブルに並んでいる

コスト削減のため通勤手当を見直したい、とのご相談を伺います。

通勤手当として定期券相当額を支給している場合は多いと思います。

 

以前は定期券を紛失する心配があり、1か月ごとに支給していたけれど、今は万が一なくした場合にも再発行可能なIC定期券が普及していて安心だ。

マイカー通勤が多いA社さんでは、ガソリン価格の変動から定期的に見直しているらしい。

だからうちも1か月定期代相当を支払ってきたところを、いちばん安い6か月定期代相当に見直したい。

 

このような背景から、見直しを検討される会社が多いようです。

1か月定期の額と6か月定期の額では、後者の方が高い割引率です。

では6か月定期券相当額への通勤手当の見直しは、社員にとって不利益変更とならないのでしょうか。

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家族手当の見直しで気をつけるべきこととは

お父さん、お母さん、お姉さん、お兄さんなどの顔が書かれた指人形

社員の生活費の一部を補助するために、家族手当を支給している会社は多いと思います。

家族手当の内容も、「配偶者がいる社員に」「子どもがいる場合」など会社によって様々でしょうが、支給要件を見直したいとのご相談を最近よく伺います。

 

その背景には、家族構成の変化、共働き家庭が増えてきたこと、行政による児童手当の支給があること、国が(会社の支給する)配偶者手当の見直しを提言していること、などがあるかと思います。

 

家族手当の減額や廃止など見直しを行うときに、気をつけるべき点をみていきましょう。


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同業者へ転職する社員の退職金をどう考える?

前回、「副業(兼業)」についてお話ししましたが、似た言葉に「競業」があります。

 

就業規則に「競業避止義務」を設けている場合もあると思いますが、これは「社員には労働契約上、会社へ不当に損害を与えないよう誠実に働く義務があるので、同業他社での兼業を禁止する」ことが目的です。

 

「うちの企業秘密を他社に漏らしてほしくない」

「だから退職後2年間は同業他社で働いてほしくない」

「それができないなら正直、退職金は払いたくない」

 

これらは、就業規則のコンサルティングで、退職金について規定するときによくでるお話です。

この場合には、

  • 退職後の競業避止義務はどうなるのか?
  • 退職金の不支給は有効なのか?

 といったことが問題になります。今回はこれらについて詳しくみていきましょう。

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今の時代に賃金表は必要なのか

デスクの上に手帳とボールペン。会議中。傍らに資料と付箋。

賃金制度を見直した。それに合わせて賃金表も再設計した。

社員を新しい号俸に格付けしようとしたら、なんと号俸数が足りない。

新しい号俸に当てはめようとすると、原資の額がふくれ上がってしまう・・・

 

初号俸の金額や昇給ピッチをどう設定するかなど、賃金表のシミュレーションにみなさん頭を悩ませて相談にお越しになります。

 

結構な時間や労力を割く前に、賃金表をつくる必要が本当にあるのか、まず考えてみませんか。

それでは以下から詳しくみていきましょう!


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手当を廃止する前に考えておきたいこと

電卓、給料明細、数枚のお札が机に並んでいる。

毎月の給料は基本給にプラスして、家族手当や役職手当などいろいろな手当を支給している場合が多いと思います。

 

けれど「以前は何か意味があったのだろうが、今となっては支給の意味がわからない・・・」といった、支給目的のわからない手当は、あなたの会社にはありませんか?

 

そんなとき手当を見直す、もしくは廃止する前に考えておきたいことがあります。


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賞与で社員にメッセージを届けるには

青空に浮かぶハート形した色とりどりの風船。

6、7月は賞与の支給時期にあてている会社さんも多く、賞与に関するご相談がよくあります。頑張ってくれた社員にできる限り賞与として還元したいけれど、原資を確保するのに苦労する、との話も伺います。

 

けれど経営者がせっかく工面して支給した賞与も、社員にとってはもらって当たり前…とはよくあること。

 

せっかくの賞与ですから、社員へのメッセージをこめられるツールとしてうまく活用することを考えてみませんか?


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年俸制と歩合制のメリット・デメリット

ピンクの豚の貯金箱。電卓、お札、小銭、ノートが傍らに置かれている。

年俸制や歩合制を導入したい、というのもよく受ける相談のひとつです。

 

「人件費が管理しやすい」「本人の成績や会社の業績に応じた支払い」

などの点にメリットがある、と感じるからです。

 

もちろんメリットだけでなく、デメリットもあります。

デメリットを上回るメリットがあるか、現場の実情にあっているか、などを考えて導入を決めなければいけません。


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退職金を支給する目的を答えることができますか?

結婚式場で青空にあがるいろとりどりのバルーン。

就業規則や人事制度のコンサルティングをしていると、退職金についての質問もよくいただきます。

よくいただくのは、次のような内容です。

 

「法律で退職金を支給しなければいけないと決まっているのですか?」

「どのくらい払うと、世間並ですか?」

「退職金制度がある、と求人広告に載せないと、人材を獲得するのに不利になるでしょうか?」

 

中小企業では、「人材マネジメント」と「財務」というふたつの側面に留意しながら退職金制度について考える必要があります。

 

いちばん大切なのは、自社にとってどういった目的で退職金制度を設けるのか?という目的を明確にすることです。

今回は、このあたりについて詳しくみていきたいと思います。

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