資材搬入のため2時間の早出出勤を若手に指示したが、なんと遅刻してきた( ゚Д゚)
「いつもの出勤時刻には間に合ったからセーフですよね?」と悪びれずに聞いてきたが、給与カットの対象なんかにはならないの?
(メーカー勤務 資材部課長 談)
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「反省はないんかいっ(怒)」という言葉をグッと飲み込んで、早出の時刻に遅刻してきた場合の対応について考えを巡らす課長です。
給与カットやペナルティーを科すには法律的に問題があってはいけませんし、遅刻の理由を聞いて根本原因を解決しない限り、繰り返されるのではとの思いもあります。
そこで今回は、早出出勤に遅刻した場合の給与カットや懲戒処分について詳しく確認していきたいと思います。
遅刻ばかりする社員に何度注意しても反省の色がない。減給の制裁を行うことになったが、遅刻の回数があまりに多く、給与計算の担当者から「毎月ミスしないかヒヤヒヤするので賞与でまとめて減給するのはダメなんですか」との声が。そのほうがいいのかな・・・
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事務処理を滞りなく進めるため、労基法で厳しく制約されている「減給の制裁」を賞与でまとめて行ってもいいのかな?と判断に迷う人事課のリーダーです。
本人に原因があるとはいえ、減給の制裁は社員に対する経済的なダメージが軽いものではないので、事務の効率を優先させていいのか、との疑問があるためです。
そこで今回は、事務処理の効率のため減給の制裁を賞与でまとめて行ってもいいのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「Aさんには役職手当が支給されているので、残業代の対象外でいいですよね?」
このようなご相談をコンサルティングのなかでよくいただくのですが、判断は慎重にまいりましょう。というのも、役職手当(部長・課長・係長などの役職に伴う手当。役付手当とも)の受給者イコール管理監督者ではないからです。
その役職の会社内における地位、責任と権限などからみるとともに、その地位にふさわしい給与面の待遇を受けているかどうかなど、実態から判断しなくてはなりません。
(管理監督者ではない、という判断になれば残業手当を支払う必要があります(゚д゚)!)
そこで今回は、役職手当と管理監督者の関係について詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社の就業規則では、“懲戒解雇の場合は退職金の全部または一部を支給しない”と書いています。逆にいうと、悪いことをしても退職金をもらえるかもってことですよね?」
悪いことをして辞めさせられる社員に退職金が出るのなら、周りに示しがつかないのでは・・・と、ご相談をいただくことがあります。
心情的によくわかりますが、退職金の全額没収(全額不支給)については運用に注意が必要です。
というのも、就業規則などで退職金の支給について明白に定められていると、退職金は賃金にあたるからです。労基法では、賃金について種々の保護規定が設けられていますから、会社としては冷静な判断が求められることになります。
そこで今回は、懲戒解雇による退職金の不支給は認められるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「なんでうちの会社は他所みたいに毎年給与が上がらないのか、違法じゃないのか、と社員から不満を聞きます。法律的にどうなのかを把握しておきたいです」
賃上げや初任給の額について見聞きすると、社員としては「うちの会社はどうなんだろう?」と期待してしまうもの。会社としてはその期待に応えたいものの、経営を続けていくためシビアに判断しなければならないのでご相談をいただきます。
定期昇給やベースアップが法律的に義務付けられる場合もありますし、また定期昇給とベースアップは法律的に異なっていますから、法律面を押さえておくことは大切ですね。
そこで今回は、定期昇給やベースアップは必ず行わないといけないのか、また賞与についても毎年支給しないといけないのか、お金関係をまとめて確認していきたいと思います。
「作業場では必ず作業帽を被れと注意しているのに、しばらくすると被らない者が出てきます。作業帽の不着用1回200円、みたいに罰金制度をつくってはダメですか?」
着帽を呼びかけるものの、「頭が蒸れて気持ち悪いから被りたくない」「ダサいから被りたくない」と不満をもらす社員がいて困っています・・・といった現場のお悩みをお聞きすることがあります。
会社としては何としてでも社員の安全を守らないといけないので、罰金制度をお考えになる気持ちもわかります。とはいえ、会社が設ける罰金制度については、労基法が定める「減給の制裁」、「損害賠償額の予定の禁止」の内容を押さえておくことが大切です。
そこで今回は、社員の意識づけ向上のための社内罰金制度の取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
「社員の給与を奥さんに支払っちゃダメだと聞きました。奥さんとはいえ他人なのでダメなんですか?」
お金がなくては生活できないので、ちゃんと給与が社員に支払われないと大変なことになってしまいます。
そのため、労基法では賃金の支払いについていろいろな保護規定が定められています。そのひとつに、賃金は直接社員本人に支払わないとダメなことになっています。
とはいえ、やむをえない事情(本人が病気欠勤中、もしくは死亡したなど)があって、会社として「配偶者に支払ってあげたい」というときには、どうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、給与の代理受領が禁止されていることを確認しつつ、本人死亡の際に配偶者に支払うことの可否について、詳しく確認していきたいと思います。
「職場改善のアイデアを社内で募ることになりました。優秀なアイデアには報奨金を出そうと思うのですが、これも社員の給料にあたりますか?」
会社が社員に支払うお金について、すべてが賃金に該当するかというとそうではありません。
「〇〇手当という名称だから賃金」「〇〇補助という名称だから賃金にあたらない」というわけでもありません。
どんな名称であるかを問わず、会社が社員に支払うもののうち、社員が使用従属関係の下で行う労働に対して、その対価として支払うものを「賃金」といいます。
・・・とはいえ、日常の具体的なシーンにおいては判断に迷うことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、職場改善アイデアの報奨金はどうなるのかはじめ、「賃金の定義」について詳しく確認していきたいと思います。
「本当は給料から差し引くべきところですが、かわいそうなのでそのまま出しました。別に法律的にダメじゃないですよね?」
法律的に照らし合わせると賃金カットとなるところを、社長の温情で実行せずに、通常通りに満額支給した・・・こういったエピソードを聞くことがあります。「温情なんて公平さに欠ける」との声があるかもしれませんが、ここで扱いたいテーマから逸れるので、ひとまず置いておきます。
お伝えしたいのは、賃金カットしなかったことで、実は、法律に反することになる場合(不当労働行為)もあり、注意しなければならないということです。
そこで今回は、賃金カットしないことが違法(不当労働行為)となるのはどんなときなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「社員の給与形態を完全出来高払い制にすると、法律的にアウトですか?」
給与の支払い形態を、社員が行った仕事の量に応じて支払う出来高払いにすると法律的にダメなのか、とご相談をいただくことがあります。
出来高払い制や請負制では、会社が仕事の単位量への対価を不当に低く決めたり、原料・資材不足や仕事の繁閑があると、受け取る給与が激減して社員の生活が脅かされるおそれがある・・・ということで、労基法では出来高払い制などについて一定の規制を設けています。
ですが、出来高払い制や請負制による給与の決め方自体を禁止しているわけではありません。
そこで今回は、出来高払い制や請負制をとる場合の注意点について詳しく確認していきたいと思います。
社員がマイホームを建てるときなど、福利厚生の一環で社内貸付制度として、会社が社員にお金を貸している場合もあるでしょう。
ところが、社員の給料や退職金について貸金業者から差押えを受けてしまった。・・・こんなときはどうなるのでしょうか?
社員に給料を支払っている会社としては、給料からの天引きによる返済方法をとっていることも多いでしょうから、もしも差押え債権者の方が優先すると、会社が貸したお金は返ってこない・・・なんていう事態にもなりかねません。
そこで今回は、社員の給料が差押えを受けたとき、会社が社員に貸したお金はどうなるのか、また、返済を受けるために会社が注意しておくべき点について詳しく確認していきたいと思います。
「減給をもって社員を懲戒処分するとき、降格処分なら労基法が制限している“減給の制裁”については考えなくていいですか?」
減給については労基法91条で厳しく制約されていて、1回の懲戒事由では平均賃金の半日分以内、総額にしても一賃金計算期間で1割以内しか減給することはできません。
(減給の額があまりに多額となって、社員の日々の暮らしを脅かすことになってはいけないので、減給の上限が決められています。)
そのため冒頭のようなご相談をいただくこともあるのですが、結論から申し上げますと、降格処分しても、まったく今までと同じ仕事をさせながら給料のみをマイナスするのはダメです。
そこで今回は、降格処分と労基法が規定する「減給制裁の制限」との関係について詳しく確認していきたいと思います。
「年末に退職する社員が、退職日までの分の給与を年明けすぐに支払ってほしいそうです。年末年始は何かと物入りなので給料日まで待てないらしく。そのとおりにしないといけませんか?」
年末年始はお休みで給与計算や経理業務の事務処理スケジュールはどうしても通常よりはタイトになります。そのさなかに退職する社員からの要望。担当者が「え~~っマジ?!」とプチパニックに陥ってもおかしくありません。
ですが、退職時の賃金にまつわる問題はちょっと注意が必要です。なぜなら労基法では、退職者の給与の支払いを迅速に行うことを会社に義務づけているからです。
そこで今回は、退職時の賃金について退職者から「はやく支払って」との要望があった場合に、どのように対応するべきなのかについて確認していきたいと思います。
「給与を3つの口座に分けて振り込んでほしい、と社員からお願いされました。マイホーム購入のためうまくお金を貯めたいそうですが、法律的に社員の希望通りにしないといけませんか?」
給与の振込先の取扱いは、地味なようで、実は会社の担当者が対応に悩まされる問題のひとつだと思います。担当者としては、事務処理の効率化を第一に考えたいものです。ミス防止のためややこしい事務手続きは極力避けたい・・・のがホンネでしょう。
上記のようなご相談をいただくこともあるのですが、たとえ事務処理が煩雑になろうとも、社員さんの要望を会社として聞き入れないとダメなのでしょうか。
そこで今回は、貯金したい社員さんの希望通りに、会社は3つの口座に分けて給与を振り込むべきなのか、について確認していきたいと思います。
「当社では、賞与の支給日に在籍している社員にのみ賞与を支給しています。この要件は定年退職者にも適用されるものでしょうか?」
賞与の支給にあたって、このようなご相談をいただくことがあります。
自己都合で辞める社員については、支給日に在籍していないということで賞与が支給されないのは仕方のないことだと思うけれど、定年退職者は自分の意思で退職するわけではないのに、同じように扱っていいのものだろうか・・・と疑問に思われたようです。
そこで今回は、そもそも賞与の支給日在籍要件とはどのようなことなのか、そして定年退職者にも適用されるかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「企業秘密を社員が漏洩した場合に損害を賠償させることがある、ということを就業規則に規定するのは法律的にアウトですか?」
リスクマネジメントのため、会社の秘密情報と個人情報を適正に管理する体制づくりはどんな会社でも大切です。
(たとえ小さな規模の会社であってもです)
ご相談内容のキモは、社員に自覚を促すべく損害賠償について就業規則に明確化しておきたいけれども、労基法16条の「賠償予定の禁止」に違反しないか?ということです。
企業防衛のために秘密事項を幅広く保護することは、これからの時代においてますます重要になってくるでしょう。
そこで今回は、秘密事項を漏洩した場合に損害賠償を求めることは有効なのか、労基法16条との関係について確認していきたいと思います。
内定式を10月1日以降に行う企業は多いと思いますが、今年はコロナの影響がある中、会場に集まる形式にするか、オンライン開催にするのか、中止にするのか悩まれたのではないでしょうか。
内定式を経た入社予定者に対して、実際の入社日までに入社前研修を実施しようとする企業もあるかもしれません。
そこでよくご相談をいただくのが、入社前の研修に参加する者に対して給料を支払わないといけないのか?という問題です。
もし給料の支払い対象となるのなら、その額をどう設定すればいいのか、時間外割増賃金も必要となるのか、などなどお悩みは深くなるようです。
そこで今回は、入社前の研修と給料支払いの関係について確認していきたいと思います。
「療養中の社員が復職前にリハビリ出勤を希望しています。リハビリ出勤で出社した場合、通常の給料を支払うものなのでしょうか。リハビリ出勤中にもしケガでもしたら、労災は適用されるのでしょうか?」
正常な勤務ができるまでには健康状態が回復していない社員を対象に、短時間の出勤や軽作業などからはじめ、リハビリ的な働き方で復職の支援を行う(試し出勤制度)企業もあるでしょう。
このリハビリ出勤の制度について、厚労省は「処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等あらかじめ労使間で十分検討すること」として、法的な位置づけは明らかにしていません。
そのため、社員の病状の回復につながるなら・・・という思いがある反面、会社として職場の受入れ態勢をどうすればよいのか不安だと、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、給料面をはじめリハビリ出勤の取扱いをどのようにするといいのか、確認していきたいと思います。
「卒業後、当社への入社を前提に、奨学金を在学中の学生に支給するのは法律的にダメですか?当社は優秀な学生を確保できますし、学生にしても経済的に不安なく学業に専念してもらえますよね?」
新型コロナウイルス感染症の影響で、学業の継続が困難な学生を支援しようと、このようなことをお考えの企業もあるようです。
企業の採用力強化につながれば、との思いがあったとしてもここで気をつけなければならないのは、労基法で「前借金相殺の禁止」が定められているということです。
お金の貸し借りがあると身分拘束につながるおそれがあるので、お金の貸し借りの関係と労働契約の関係は完全に分けなければならない、というのがその趣旨です。
「よかれ」と思ったことが法律違反にならないよう、今回は入社前提の契約金はなぜダメなのかについて、確認していきたいと思います。
「賞与の算定期間の一部と産前産後休暇の期間がかぶっている社員がいるのですが、賞与を計算するにあたって、どう考えるといいですか?」
会社には、女性社員の結婚、妊娠、出産、育児と仕事の両立について企業に課せられた責任を理解し、労働働環境を整えることが求められているので、最近はこのようなご相談も増えました。
時代とともに変化する働き方に対応するとは、常に新しい課題と向き合うことの連続だといえます。
産前産後休暇は会社に対して「有給にしなさい」と義務付けられていないので、「賞与はどうなるの?」との疑問が浮かびます。
そこで今回は、産前産後休暇の取扱いとともに、その期間中の賞与の計算をどうするといいのか、詳しく確認していきたいと思います。
8月に休みを集中させて大型の夏休みをつくれば社員も喜ぶだろう。ただ、今よりも休みを増やすと給料の単価がアップするらしい。なんでそうなるんだろう?(@_@)
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会社休日(労基法を上回って会社で定めている休日)や、国民の休日である祝祭日・・・休みとひとくちにいっても色々あります。ですが、「休日」が増えるとその分労働時間が減るということなので、賃金単価へダイレクトにかかわってきます。
これは、同じ休みといえども休日と休暇の法的な違いによって発生するものです。
そこで今回は、休日と休暇の違いを踏まえ、なぜ休日が増えると賃金単価アップにつながるのか?について詳しく確認していきたいと思います。
うちの会社では深夜業を原則禁止している。36協定の制限もあるが、みんなの健康が心配だ。先日、ある部署で緊急案件が発生したときもそう伝えたが、そこの部長から「管理職が深夜残業して対応すれば、36協定も残業代も何も関係ないからいいだろう!」と押し切られてしまった。これでよかったのかな・・・(メーカー勤務・人事担当者 談)
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部下を帰宅させて管理職が深夜まで残って対応しよう、ということで上司の方の責任感を感じますが、人事担当者としての葛藤もわかります。
管理監督者には労基法における時間外・休日労働、そしてそれに対する割増賃金にまつわる規定は適用されませんが、深夜業の割増賃金については注意が必要です。
そこで今回は、管理職の深夜残業に対して割増賃金を支払わなくてよいのか?問題について、詳しく確認していきたいと思います。
いきなりですが、あなたは次の問題に答えることができますか?(〇か×で答えてみてください。レッツチャレンジ!)
Q1「社員が業務命令に逆らって物損事故を起こした場合、会社は生じた損害の賠償を社員に請求してもいい」
Q2「あらかじめ “事故1回1万円”と決めておいて社員に請求してもいい」
Q3「会社が負担した海外留学費用を、帰国後5年以内に自己都合で退職した場合は留学費用を全額返還するよう決めて、社員に請求してもいい」
いかがでしたでしょうか?このQ1からQ3の内容は、実はコンサルティングのなかでよくいただくご質問内容だったりします。
これらの共通事項をまとめると、「労働契約の不履行等に対して損害賠償額を定めたり、罰金や違約金を徴収してもよいのか?」ということです。
では、さっそく詳しく確認していきましょう。(Q1からQ3の解答は記事の最後に!)
「残業代を計算するときに、〇〇手当や××手当も含めないといけないですか?」
割増賃金、いわゆる残業代の計算で問題となるのは、(割増賃金計算の)基礎に算入される賃金と除外される賃金です。残業代の単価が変わってくるからです。そのため、賃金にまつわるコンサルティングをしていると、先のようなご質問をよく伺います。
労基法では、割増賃金の基礎から除外される賃金の種類が限定されています(限定列挙)。つまり、それ以外の賃金は必ず計算に含めなければなりません。なお、除外される賃金は7種類ありますが、その中でも特に「住宅手当」の取扱いに注意が必要でしょう(誤解されているケースが多くあります)。
そこで今回は、割増賃金の基礎賃金について、どういった賃金が算入されて、どういった賃金が除外されるのか、具体的に詳しくみていきたいと思います。
Aさんは上司の信頼が厚く、周囲からも慕われている。育休取得後も職場に復帰するつもりでみんな心待ちにしていたが、育休明けすぐに退職してしまった。これからは、育休明けすぐに退職した場合、育休中に支給した賞与を返還させて、いい加減にならないようにしたい。
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産後復帰を期待していたので育休明けすぐの退職にショックを受け、「復職するといって育休を取っても、いざ無理となったら辞めてもいい(Aさんもそうだったし)」といった雰囲気になるのを回避したい会社側の心情もわかります。
とはいえ、育休期間中に支給した賞与を会社に返還させることに問題はないのでしょうか。さっそく、詳しく確認していきましょう。
「上期の人事評価が5段階評価で最高ランクのS評価の社員がいます。ただ、下期については評価期間中ちょうど育休を取得していたので、勤務実績がありません。そこで年度の評価として、最低ランクのD評価をつけてしまうと、法律的にはダメなのでしょうか?」
会計年度の上期・下期と連動して、人事評価を行っている企業は多いでしょう。業績(社員の努力)とインセンティブの関係がわかりやすいからです。そのため、半期の評価期間と育児休暇期間がかぶっている場合、出勤していない社員に対する評価をどうするべきなのか、悩まれるケースも多いようです。
評価いかんによっては、育児・介護休業法が禁止する「不利益な取扱い」に抵触するのではないか?というのが、いちばんの懸念事項ではないでしょうか。
そこで今回は、育児休業中の社員の人事評価を会社はどう考えるべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「賞与は残業代計算の基礎に入れなくていいから、年俸制にすると人件費削減になるんじゃないの♪??」
・・・一般的に社員の年収に占める賞与の比率は高いので、企業にとっては賞与が人件費管理のポイントといえます。
そのため「年収を決めてから月給と賞与に振り分ける年俸制って使い勝手がいいのでは?」という発想が生まれがちかもしれません。
ですが、年俸制にしたからといっても、労基法の定める管理監督者などに該当しない限り、会社は社員の労働時間を把握して、残業代(割増賃金)を支払わなければなりませんし、年俸制の賞与部分が残業代の算定基礎に含まれるかどうかが問題です。
そこで今回は、年俸制における残業代(割増賃金)の計算について詳しく確認していきたいと思います。
「すでに辞めてしまった社員のことを言っても仕方がない」
社員の退職後にその者による不正が発覚した場合、こう思われる経営者や管理職の方もいらっしゃるでしょう。ご心中、察するに余りありますが、法律的に懲戒処分はできないのでしょうか。
懲戒処分とは、「企業秩序の違反に対して会社によって課せられる制裁罰のこと」として考えられています。企業秩序を乱したことに対するペナルティーですから、あくまでも会社に在籍していることが前提です。
ただ、退職した社員について「懲戒処分にするべきなのか?」という悩みが深くなるのは、退職金の不支給もしくは返還についての問題があるときです。
そこで今回は、社員の退職後に違反行為がわかったとき、会社として懲戒処分と退職金の問題にどう対処するといいのか、について詳しく確認していきたいと思います。
失敗や挫折の経験は、次に進むためのステップです。逆に「失敗がない」というのは、新しいことにチャレンジしていないからだともいえます。ところが・・・
「営業部のエース社員が取引先との大事なイベントでミスをしてしまいました。取引先に迷惑をかけることになり、本人も責任を感じています。そのため『今月の給料から(迷惑料として)引いてほしい』との申し出があったのですが、どう対応するべきでしょうか」
仕事上の失敗に思い悩んだ社員からの減給の申出に、「反省も十分しているようだが、『けじめ』として本人の意向を汲むべきなのか・・・?」と、戸惑う経営者や管理職の方からご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、ミスした社員からの減給の申出に会社はどう対応するべきなのか、減給に関する労基法の規制を確認しながら、詳しくみていきましょう。
当社では、これまで6月と12月にボーナスを出してきたが「毎年必ず6月と12月に賞与を支給しないといけない」となるのかな?業績が悪い年に賞与の支給はキビシイから、減額したり、不支給にすることは、法律的にアウトになるの? (スタートアップ会社 役員 談)
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ほとんどの社員にとって賞与は「支給されて当たり前のもの」という感覚かもしれません。
ですが「賞与の支給がお決まりのもの」ということなら、会社にとっては支給すること自体がリスクとなる可能性もあります。先が見えない時代では、イケイケどんどんで業績が伸びていくとは限らないからです。
そこで今回は、毎年の賞与支給はお決まりのものとして慣行化してしまうのか、あわせて減額や不支給はダメなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
新年度に向けて、就業規則をはじめとする規程の見直しにあたられている企業も多いかもしれません。
たとえば出張について。旅費の水準は、それぞれの企業での出張の実情に応じて考えるべきですが、実は、出張旅費など実費弁償的なものは労基法で定める賃金にあたりません。
とはいえ、給料と実費弁償的なものを混同してしまっているケースは意外と多いのではないでしょうか(これには理由があるのですが)。
社員に関係するお金面については、きちんと整理して把握しておきたいものですよね。
そこで今回は、出張の旅費・日当をはじめ、そもそもどのようなものが社員の給料にあたるのか、またはあたらないのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
社内では管理職として処遇してきたが、労働基準監督官の判断では「労基法に定める管理監督者には該当しない」とのこと。
本人には、時間外や休日労働の対価的な意味も込めて、今まで役職手当を支払ってきた。管理監督者に該当しないということなら割増賃金の支払いが発生する。今まで支払ってきた役職手当を割増賃金に充当できるのだろうか・・・
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このように、役職手当を割増賃金に充当できないことになれば、企業経営に少なくないインパクトを与えることになります。そうならないためのポイントは就業規則の書き方にあります。
そこで今回は、役職手当と割増賃金の関係を就業規則に規定するポイントについて、詳しく確認していきたいと思います。
「退職を予定している社員に背信行為の疑いがあります。退職日が近いのですが、退職金の支払いをしばらく見合せるのはダメですか」
会社としては背信行為の疑いについて、事実関係を確認する必要があります。その調査中に退職日を迎えると退職金を支払ないといけないのか・・・ということで、ご相談をいただきます。
(背信行為の事実が判明してから、いったん支払った退職金を返還してもらうのは大変ですものね)
退職金は退職社員にとって「先立つもの」なので、その支払いをめぐる問題が発生することも少なくありません。
そこで今回は、社員の非行調査中に退職金の支払いを留保することはできるのか、また無用な問題発生を回避するため就業規則に明記しておくべきことについてみていきたいと思います。
「届出を忘れていたので、要件に合致する手当をずっともらっていなかった。さかのぼって手当をもらえませんか?」
多くの企業では、就業規則(賃金規程)で家族手当や住宅手当、通勤手当をはじめとする諸手当の支給条件が規定されていると思います。
支給条件に合致した場合には、社員が所定のフォーマットへ記入し、会社へ届出を行うことによって、会社は本人に手当を支払う・・・という流れが通常考えられます。
ところが、「こどもが生まれたのに、届出をしてこない社員が多くて。周りの社員のなんとなくの世間話や噂を聞いて、慌ててこちら(担当者)が本人に確認するんです・・・」
といった話もよくお聞きします。社員さんから冒頭のような申出があり、対応に戸惑った経験のある人事担当者の方もいらっしゃるかもしれませんね。担当者が気を回して本人に確認できたときはいいですが、毎度うまくいくとは限りません。もともと所定の届出を行わなかった社員本人に、落ち度があることは確かです。では、冒頭の例のように本人の届出ミスがあった場合、会社はさかのぼって手当を支給しなくていいのでしょうか?
今回はこのあたりについて詳しくみていきたいと思います。
人事担当者にとって、毎月必ず発生する賃金実務。給与計算もそのひとつですが、他部署の人からみると「誰にでもできるルーティンワーク」と思われがちなのかもしれません。
けれど、給与計算をはじめとする賃金実務は、実はそんなに単純な仕事ではありません。給与から控除される税金や保険料の知識も必要ですし、自社の賃金体系をしっかり把握しておかなければなりません。
賃金実務は、決して単純作業などではなく、効率性と丁寧さが求められる、工夫のしがいがあるクリエイティブな仕事なのです。新年度からよりスムーズに業務を進めたい、ということでこのところ賃金実務にまつわる法律問題についてよく質問をいただきます。
よくいただくのが次のような内容です。
残業計算が煩雑になる、振込先がたくさんあると手間がかかる、などどれも担当者の頭を悩ませる課題です。
また、会社のコスト面にも関わってきます。今回はこれらについて確認していきましょう。
4月のオフィスでは、フレッシュな新入社員に刺激を受けつつも、部下をもつ人は身の引きしまる思いをされていることでしょう。最近は、従来のような管理職でなくとも「チームリーダー」といった肩書で部下をもち、人材マネジメントを行う人も増えていますね。
部下をもつにあたって必要な法律上の知識を身に付けさせたい、基本的な事項を押さえてもらいたい、と経営者の方から伺うことがあります。
部下の人事評価を行うときに知識が足りないためにいわゆるセクハラやパワハラ、マタハラとなってはいけないから、とのことでした。
そこで今回は、すっきり新しい年度のスタートをきるためにも、ハラスメントにならない人事評価のポイントとして、次の3点をしっかり確認していきましょう。
「毎月、特定の人に〇〇手当を支給しているけれど、なんのために支給しているんだろう・・・」
毎月の給与計算をこなしながらも、ふと浮かぶギモン。みなさんの会社では、手当の目的や意義がよくわからないまま「昔から出しているのでなんとなく」支給していることはないでしょうか?
また、同一労働同一賃金の流れから「なぜその手当を(正社員に、あるいはパートに)支払うのか」と、正社員とパートの諸手当のあり方を吟味しなければならないときが来ています。
つまり、諸手当のチェックをやらないで、やおら賃金制度や人事制度を見直そうとしてもあとあとややこしいことになりがちだといえます。
そこで今回は、賃金制度・人事制度を見直すためのファーストステップ=「諸手当のチェック」で何をやらないといけないのか、下記の点を中心に確認していきたいと思います。
人事制度(人事評価と賃金制度)を刷新したいが、うまく移行できるか心配だ。給料が上がる人はうれしいかもしれないが、反対に下がる人に対してどう対応すればいいのか。社員は納得してくれるだろうか。
クリアしなければならない問題を考えると、うちの会社が制度を新しくするのは無理な話なのだろうか?
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人が生活していくためにお金は必ず必要なので、賃金は社員のやる気に少なくない影響を与えます。賃金は人材マネジメントの中核となるものであり、どのように扱うかで会社の成長に大きく関わると言えます。
そこで今回は、新しい賃金制度へ移行するにあたって社員の理解を得るために必要な、下記の手順を詳しく確認していきたいと思います。
自社に合った賃金制度をつくりたい、と経営者の方からよくお伺いします。とは言っても、今の制度にどんな問題や課題があるのか具体的にはわからない。だからどういった制度が自社には合って、合わないのか、何を基準に見極めるといいのか・・・などと思案されていることも多いようです。
そこでまずは、自社の賃金実態がどうなっているかを把握することから始めてみましょう。月給、賞与、年収総額について、年齢や役職、人事評価などの観点から詳しくみてみると、どんなことがネックとなっているのか、検討しなければならない問題や課題に気付くことができます。
では、現状の賃金実態をつかむための分析ポイントを、詳しくみていきましょう。ポイントは大きく分けて次の3つです。
これらを確認するプロセスで、自社に合った賃金制度のカタチが見えてきます。では、さっそく確認していきましょう。
「年俸制にすると支給するべき額がはなから決まっているので、賞与を調整弁にして年収管理するわけにはいきませんよね。景気動向に対応しづらいのは困る・・・」
今年も残すところ1か月あまりとなりました。12月といえば冬のボーナス、賞与の支給日を間近に控えた企業も多いでしょう。
年収は月給と賞与によって決まりますし、年収に占める賞与のボリュームは大きいもの。社員にできるだけ還元したいという思いはありながらも、会社としては業績をも勘案しなければなりません。
実は、賞与には会社の業績をみながら総額人件費の管理を行うとともに、社員の年収も管理する機能があります(←年俸制の場合も例外ではありません)。
そこで今回は、年俸制における場合も含めて、賞与と年収管理の関係について詳しくみていきたいと思います。
これから社員の給与はみんなが納得できるよう、職務や役割をベースにして決めたい。貢献度のレベルが近い社員を集めてグループにしたのが資格等級というのか。よし、これにもとづいて社員の賃金を決定すればいいんだな。・・・在籍している社員を資格等級に割り当てるとはいえ、どう当てはめていいんだろう・・・
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人事制度を整備するとき、「社員の格付に私情をはさんでしまうのではないか」「せっかく作った資格等級も結局活用できないままになってしまうのでは」といった不安があるので、資格等級にもとづいて社員それぞれの月給を決めるにはどうすればいいのか、といったご相談をよくいただきます。
そこで今回は、資格等級にもとづいて月給を決めるには、具体的にどのようにするといいのかをみていきたいと思います。
「社員の給与を決めるとき、会社として真っ先に考えるべきはどんなことですか?」
まず会社として検討するべきは「その人件費は適正なのか?」です。目標とする利益(せめて赤字にならない)をしっかり出せて、企業の支払い能力に合っているどうかの検討が必要です。
そうすると「適正な人件費から昇給額を設定していくと、若手の昇給を低く抑えざるをえない。採用時の賃金をどれくらいにすればいいのか?」という課題がでてくるかもしれません。
社員の役割や貢献度に見合った賃金を決定することがトレンドだとしても、社員の月給を考えるとき、若手にもベテランにも納得してもらうにため、時には年齢や勤続年数についての「オプション」を検討することも必要となるでしょう。
そこで今回は、社員の月給を決めるとき考えたいポイントについて、詳しく確認していきたいと思います。
「働き手の価値観が変わってきているので、今の時代に合った働き方や賃金のあり方を見直したい」とのご相談が最近増えています。
いままで多くの日本企業では、終身雇用制や年功制が採用されており、会社が家族を含めて社員の面倒をみる、といった考え方が主流でしたが、今や、同一労働同一賃金の議論がすすみ、能力で評価する人事システムが提唱されるなど、人材マネジメントのトレンドは大きく変わろうとしています。
「自社において大切な役割とは何か」「会社に貢献するとはどういったことなのか」について、今までよりも明確にすることが必要でしょう。
実務的には、仕事の難易度などが同じレベルの社員をグルーピングし、資格等級として設定して、その資格等級で求められる役割や行動を示すことになります。とはいえ、具体的にはどのように資格等級を作り進めていけばいいのか・・・といったお声もよく伺います。
そこで今回は、資格等級のつくり方について簡単にみていきたいと思います。
「仕事を頑張ってくれた人に会社の利益を還元したいけれど、どうすればみんなの納得を得られて、法律的にもクリアできるのかな?」
社員の月給をいったん上げると下げるのは法律的に難しく、会社への貢献度によって昇給を考えるなら人事評価を整える必要があります。
「えーーーっ、手間がかかるなあ、もっと簡単な方法ないの?」という声が聞こえてきそうです(;´∀`)
そこで、社員の短期間の頑張りを報いるため、賞与で思い切って評価するという方法があります。
ただし賞与は諸手当と比べると社員の年収に占める比率が高いので、社員に与えるインパクトは小さくないですし、賞与の特色(生活費の補填、社員の年収コントロール、社員へのメッセージ性)といったものについてもあらかじめ考えておく必要があります。
そこで今回は、理想的な配分を実現できる賞与制度のあり方について詳しく確認していきたいと思います。
9月に入り、青空の高さやイワシ雲をみるとさわやかな秋の気配を感じます。とはいえ、台風シーズンの真っただ中。
大型で強い台風が朝の出勤の時間帯に接近すると、社員の通勤に影響が出ます。休校や休園となった、こどもの面倒を見なければならない社員もいるかもしれません。
そのためこの季節になると、「交通機関の混乱に通勤途上の社員が巻き込まれないようにしたいが、その場合、勤怠や賃金の支払いはどう処理するとよいのか」とのご相談をお聞きします。
そこで今回は、台風が来たときの勤怠と賃金の取り扱いについて下記の2つのケースで詳しく確認していきたいと思います。
「この半年間で欠勤が多かった社員とちゃんと働いている社員が同じ賞与額っていうのは、やっぱりナイよなあ・・・」
公務員の賞与支給日は法律や条例で定められていますが、民間企業ではいつに支給しなければならないなど、ガイドラインがあるわけではありません。
「(賞与自体を)支払うのか支払わないのか」「いつ」「どんな計算方法で」といった賞与の支給要件は、自社独自のルールで決められるものです。
ですが、それゆえに「こんな支給要件でいいのか?」と悩まれる経営者や人事担当者の方は多いようで、特に出勤率についてのご相談をいただきます。
そこで今回は、「出勤率」を賞与の支給要件として設ける場合の注意点について、詳しく確認していきたいと思います。
「もっと頑張ってくれると思って期待していたから、決して安くはない費用をかけて研修に行かせたのに。こんなに早く辞めるなんて・・・」
接遇マナーや電話応対、PCスキル・・・今の時期に新卒・中途を問わず、新入りの社員に研修を実施する企業は多いことでしょう。ですが、研修を終えてすぐに退職する社員が出てきてしまいました。
ノウハウや技術を学んで、そのスキルを社内の仕事に活かしてもらうために研修に行かせたのにせっかくかけた費用をどうしてくれるんだ、それなら受講費用を返してほしい!!
・・・社員への期待が高いほど、こんな気持ちになってしまいますよね。とはいえ、世間でコンプライアンスに対する意識が高まるなか、会社としては法律面をまずは把握しておきたいところです。
そこで今回は、会社が研修費用を取り戻せるときとダメなときについて、詳しく確認していきたいと思います。
社員が定期券を紛失するのが心配で1か月ごとに通勤代を支給してきたが、今は万が一なくしても再発行してもらえるIC定期券がある。同業のA社さんでは、マイカー通勤の社員の通勤代をガソリン価格の変動から定期的に見直しているらしい。うちも1か月定期代相当を支払ってきたところを、いちばん安い6か月定期代相当に見直そうか。
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通勤手当として定期券相当額を支給している場合は多いでしょうが、冒頭の例のように、コスト削減のため通勤手当を見直したいと考える会社もみられます。1か月定期の額と6か月定期の額では、後者の方が高い割引率だからです。
とはいえ、6か月定期券相当額への通勤手当の見直しは、社員にとって不利益変更とならないのかが気にかかる点ではないでしょうか。
そこで今回は、通勤手当の見直しで会社が気を付けないといけない点について詳しく確認していきたいと思います。
社員の生活費の一部を補助するために、家族手当を支給している会社は多いと思います。家族手当の内容は「配偶者がいる社員に」「子どもがいる場合」など会社によって様々でしょう。
各社で共通するのは、「会社は社員の生活面に配慮して処遇を考えているので、安心して働いてほしい」とのメッセージを伝えようとしていることです。
ただ、最近では家族手当の支給要件を見直したいと考える企業も増えてきているようです。その背景には、家族構成の変化、共働き家庭が増えてきたこと、行政による児童手当の支給があること、国が(会社の支給する)配偶者手当の見直しを提言していること、などがあるかもしれません。
そこで今回は、家族手当の減額や廃止など見直しを行うときに会社が気をつけるべき点について、詳しく確認していきたいと思います。
うちのライバル企業へ転職する社員にも、退職金を払わないといけないのだろうか。心情的にやりきれないから、退職後の一定期間は競合他社で働くのを禁止にしてしまおう。(スタートアップ企業経営者 談)
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「競合他社への転職を知らずに退職金を支払う事態を避けたい」というのが、会社側のホンネでしょう。
社員を育てるにしても、時間、労力、教育費など何かしらのコストがかかるので、ライバル企業への転職に対して経営陣の気持ちのおさまりがつかないのもわかります。
ただ、ここで問題となるのが競業避止義務と退職金の支払いについてです。特に、下記のような点が問題になってきますので、詳しく確認していきたいと思います。
社内の賃金制度を新しく見直した。それに合わせて賃金表も再設計してみた。さあ、社員を新しい号俸に格付けしてみよう。
ややっ、今支給している給料の額が、なんと号俸数の上限を超えてしまっているじゃないか。現在の支給額に合わせて、号俸を追加して設定すれば、原資の額がどんどん膨れ上がってしまう・・・
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初号俸の金額や昇給ピッチをどう設定するかなど、賃金表のシミュレーションにみなさん頭を悩ませて、ご相談にお越しになります。
結構な時間や労力を割く前に、そもそも賃金表をつくる必要が本当にあるのか?と考えてみることが、賃金制度を構築するうえで大切です。
そこで今回は、今の時代において賃金表は必要なのかどうか詳しくみていきたいと思います。
会社が社員に支払う毎月の給料は、基本給にプラスして、家族手当や役職手当をはじめいろいろな手当を支給している場合が多いでしょう。
とはいえ、「以前は何か意味があったのだろうが、今となっては支給の意味がわからない・・・」といった、支給目的のわからない手当は、みなさんの会社にはありませんか?
そんなときは手当を見直す、もしくは廃止するタイミングです。
とはいえ、慌ててすぐさま手当の支給をやめるのはいったんストップにしておきましょうか。というのも、手当を廃止する前に、ぜひとも考えていただきたいことがあるからです。
そこで今回は、いま支給している手当を廃止に不向きる前に検討しておきたいことについて、詳しくみていきたいと思います。
6、7月は賞与の支給時期にあてている会社さんも多く、賞与に関するご相談がよくあります。頑張ってくれた社員にできる限り賞与として還元したいけれど、原資を確保するのに苦労する、との話も伺います。
けれど経営者がせっかく工面して支給した賞与も、社員にとってはもらって当たり前…とはよくあること。
せっかくの賞与ですから、社員へのメッセージをこめられるツールとしてうまく活用することを考えてみませんか?
今回は、賞与で社員にメッセージを届ける方法についてお伝えしたいと思います。
社員の給料を考えるうえで年俸制や歩合制を導入したい、とのご相談をいただくことがあります。
年俸制や歩合制といえば「人件費が管理しやすい」「本人の成績や会社の業績に応じた支払い」などの点にメリットがある、と思われるからでしょう。
もちろんメリットだけでなく、デメリットもあります。
そのため、デメリットを上回るメリットがあるか、自社の現場の実情にあっているか、今いる社員のモチベーションはあがるのか、などを考えたうえで導入について判断することがポイントです。
そこで今回は、年俸制と歩合制のメリットとデメリットについて詳しく確認していきたいと思います。
就業規則や人事制度のコンサルティングをしていると、退職金についての質問もたくさんいただきます。
なかでもみなさんのご関心が高いのは、次のような内容です。
「法律で退職金を支給しなければいけないと決まっているのですか?」
「どのくらい払うと、世間並ですか?」
「退職金制度がある、と求人広告に載せないと、人材を獲得するのに不利になるでしょうか?」
中小企業では、「人材マネジメント」と「財務」というふたつの側面に留意しながら退職金制度について考える必要があります。
いちばん大切なのは、自社にとってどういった目的で退職金制度を設けるのか?という問いかけに対して明確な答えを用意することです。
今回は、このあたりについて詳しくみていきたいと思います。