入社前の研修は給料支払いの対象になりますか

便箋と封筒。万年筆。秋の花々。

内定式を10月1日以降に行う企業は多いと思いますが、今年はコロナの影響がある中、会場に集まる形式にするか、オンライン開催にするのか、中止にするのか悩まれたのではないでしょうか。

 

内定式を経た入社予定者に対して、実際の入社日までに入社前研修を実施しようとする企業もあるかもしれません

 

そこでよくご相談をいただくのが、入社前の研修に参加する者に対して給料を支払わないといけないのか?という問題です。

 

もし給料の支払い対象となるのならその額をどう設定すればいいのか、時間外割増賃金も必要となるのか、などなどお悩みは深くなるようです。

 

そこで今回は、入社前の研修と給料支払いの関係について確認していきたいと思います。

就業規則との関係

コーヒーの入ったカップ&ソーサ。傍らに白の腕時計。

就業規則ではその適用対象者が規定されていますが、入社予定者は対象外となっています。よって、就業規則の規定に基づいて、入社予定者に給料を支払う義務は会社に発生しません

 

就業規則に入社前の研修に関する規定を定めている場合は、それに基づいて給料を支払う義務が発生することになります。

 

また、会社が入社予定者に対して「入社前の研修を実施しますので、参加の場合には〇〇円の日当を支払います」といった旨の申し込みを行い、入社予定者がそれに応じた場合、この個別の契約に基づいて、会社にはその約束の額を支払う義務が生じます

 

ここまでお伝えすると、「なーんだ、個別の契約を結んでいなかったり、入社前の研修のことが就業規則に書いてなかったら支払わなくていいのか、つまり何もしないほうがラクということか~」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとお待ちください!

 

なぜなら、労基法に違反していないかを確認する必要があるからです。

労基法との関係

パソコンのキーボード、開かれたリングノートとボールペン、コーヒーの入ったマグカップ。観葉植物のグリーン。

労基法では、「入社前研修に〇〇円を支払うこと」などといったことが定められているわけではありません。賃金については、「最低賃金以上の額を支払いなさい」としているだけです。

 

就業規則や個別の契約に基づく支払い義務がなく、入社前の研修が労基法の定める「労働時間」にあたる場合、最低賃金の額以上を支払えば労基法違反にはなりません

 

「労働時間」に該当するかどうかのポイントは、「会社の指揮監督下にあるかどうか」です。さらに、その研修が仕事と認められるか(業務性があるか)どうかです。

具体的には、会社がその研修への参加を義務付けているか、参加しなかった場合の不利益があるか、業務との関連性がどのくらいあるか、などが問われることになります。

 

まとめると、入社前の研修(の時間)が「労働時間」にあたる場合には、労基法上の賃金支払いの義務がありますから、最低賃金以上の額を支払う旨を入社予定者にアナウンスし、研修の参加を呼びかければ労基法違反とはなりません。

 

また、労基法で割増賃金を支払わなければならないのは1週40時間1日8時間の枠を超えた場合です。研修の時間がこの枠内に収まるのなら、たとえ予定より延長になったとしても最低賃金以上の額を支払うことで足ります。

 

なお、「労働時間」にあたらないのであれば、賃金支払いの義務は発生しません。

 

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入社前研修に給料支払いの義務が発生する場合、入社予定者からすれば会社の給料に対する考え方を垣間見る機会となります。労基法にかなっているとはいえ、最低賃金ラインの支払いであれば「れっきとした研修なのに最低賃金なのか・・・(ガッカリ)」といった印象を与えかねません。何事も最初の印象は肝心です。

 

それなら、いっそのこと「入社前研修って当社にとってそんなに必要なの?」ということを考えてみてもいいかもしれませんね。

桜の小枝と桜餅。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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