![パソコンのキーボードの前に広げられた本とコーヒーの入ったマグカップ。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=536x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/id2e2311c2170501b/version/1727057634/%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%AE%E5%89%8D%E3%81%AB%E5%BA%83%E3%81%92%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%9C%AC%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%A5%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97.png)
うちに総合職で入社すると、仕事の責任と成果を求められるし転勤の可能性もあるので、一般職と比べると給与は高い。なのに、ある総合職の社員に転勤を打診するとイヤらしい。示しがつかないし、一般職より高い基本給の差額を会社に返してもらうことにしようか?
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転勤ができないような事情(本人や家族の健康面など)がないにも関わらず、転勤を拒否する総合職の社員に戸惑いを隠せない上司です。
総合職には転勤を含めたジョブローテーションでキャリアを積んでもらい、会社を支えるコア業務を担ってほしいからです。そのため、転勤命令拒否に対してペナルティーを与えるか?との案が出ましたが、給与の一定額を返還させるのは有効なのでしょうか。
そこで今回は、転勤命令拒否に対して会社が行う処分について、詳しく確認していきたいと思います。
転勤命令拒否と懲戒処分
![オフィスの椅子に置かれた鞄とカメラ、観葉植物の鉢植。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=536x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i04d3f6fdba168ad3/version/1727068932/%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%A4%85%E5%AD%90%E3%81%AB%E7%BD%AE%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%9E%84%E3%81%A8%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9-%E8%A6%B3%E8%91%89%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AE%E9%89%A2%E6%A4%8D.png)
会社が出した転勤命令を拒否する総合職の社員。そこで転勤命令に従わなければ懲戒処分にしていいのか問題です。
結論からお伝えしますと、転勤命令拒否に対する処分には慎重に対応するべきです。
懲戒処分のなかでも懲戒解雇は違反行為がかなり悪質でない限り、無効となるおそれがあります。転勤命令に従わないことが、誰がどうみても悪質とはいえないでしょう。
とはいえ、けん責、減給、出勤停止では「(社員の受けるペナルティーの影響が)軽すぎる」ということで、あえて懲戒処分を受け入れて転勤しないことを選択する社員が出てこないとも限りません。
そこで転勤命令拒否の社員の処分として、懲戒処分ではなく普通解雇を選択することが適当だと考えられます。ですが、普通解雇であっても雇用関係が消滅するということで社員に与える影響は大きいため、その有効性は厳格に問われることになります(具体的には、会社の必要性と社員の不利益のバランス、解雇理由の説明、代替案の検討、社員への警告等が問われる)。
実務的にどうする?
![オフィスの休憩テーブル。クロワッサンのお皿とテイクアウトコーヒーが2つ並んでいる。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=536x1024:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i9619965eda030163/version/1727068932/%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%81%AE%E4%BC%91%E6%86%A9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9A%BF%E3%81%A8%E3%83%86%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%8C%EF%BC%92%E3%81%A4%E4%B8%A6%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B.png)
転勤命令拒否の社員への対応は、その社員だけでなく、これからの転勤命令に影響することも考えなくてはなりません。
前段でお伝えしたように、解雇は有効性が厳しく問われますから、実務的には人事権の裁量の範囲内でうまく対応するべきです。組織運営上、配置転換(人事異動)、転勤は必要なものなので、「転勤命令には必ず応じてもらいたい」との会社の姿勢を示す必要があります。
実施する転勤が、会社の事業戦略に即したものなのか、社員のキャリアパスを見据え必要な経験やスキルを習得させるためのものなのか等、再検討することも必要でしょう。そのうえで転勤の背景や目的、期待する役割を本人に明確に伝えることが大切です。
なお、総合職と一般職との給与差額の返還を求めることはできません。総合職として仕事をして責任を果たしている以上、「不当に利益を得ている」とはいえないからです。
実務上スムーズに配置転換(人事異動)、転勤を実現するには、命令で行うよりも本人の同意を得ることをおすすめします。同意を得られないときは命令になりますが、同意を得るための会社の努力が命令の権利濫用性を低下させ、社員の離職やその後のトラブル防止につながります。
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日本の企業では、ジョブローテーションによってキャリアを積ませて人材を育成する、という考え方から転勤制度が広まりました。
ですが、いまでは転居で家族のライフスタイルが変わってしまうため(ワークライフバランスが維持しにくい)、転勤にデメリットや負担感を感じる人もいます。
社員にとって転勤が、本人の希望するキャリア面でプラスになる(エリアの実情や現場を知る経験、社内外の新しい人脈獲得、価値観のブラッシュアップ、など)よう配慮することが、会社側にも求められている時代だといえます。
![グラスに立てかけられたワッフルコーンのアイスクリームとマーガレットの花。傍らに牛のオーナメント。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=423x10000:format=png/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/iec31837b6f167772/version/1727057426/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AB%E7%AB%8B%E3%81%A6%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E8%8A%B1-%E5%82%8D%E3%82%89%E3%81%AB%E7%89%9B%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88.png)
![社会保険労務士高島あゆみ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=119x1024:format=jpg/path/s6f1e3f4dce7a8c9c/image/i470afb57682c41c7/version/1710402516/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%A3%AB%E9%AB%98%E5%B3%B6%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF.jpg)
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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