資格等級と月給をどうリンクさせる?

机の上にカラフルな文房具が並んでいる。色鉛筆、はさみ、ノート、ボールペン、クリップ、ホッチキス。

人事制度を整備するとき、資格等級にもとづいて社員それぞれの月給を決めるにはどうすればいいのか、そんなご相談をよくいただきます。

 

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これからの人材マネジメントのトレンドは、職務や役割を基軸にしたものになっていく、ということはわかりました。貢献度のレベルが近い社員を集めてグループにしたものが、「資格等級」なんですね。資格等級のつくり方のイメージも大枠はつかめました。この資格等級にもとづいて賃金を決定する。そのためには、今いる社員を資格等級に当てはめないといけないですよね。これが、どう当てはめていいのかわかりません。今すでに担当してやってもらっている仕事もあることですし・・・。

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せっかく作った資格等級も結局活用できないままになってしまうのでは、との不安もよくお聞きします。

そこで今回は、資格等級にもとづいて月給を決めるには、具体的にどのようにするといいのかをみていきたいと思います。

仕事の難易度を分析する必要性

パソコンのキーボードを前に、円グラフ、棒グラフで示された資料データをチェック。

資格等級と月給をリンクさせる、ということは言い換えると、「誰にどんな仕事を担当してもらい、その人にいくらの月給を支払うために、どのランクの資格等級に位置付けるか」ということです。そこで月給の金額水準を設定する必要がありますが、ここで一番のポイントとなるのが「仕事内容の難易度」です。

 

たとえばとても難しい仕事をいきなり新人に与えても、やり遂げることができません。そこで社内にどれだけのタスクがあるかを棚卸しして、それらの難易度を分析し、誰にどのタスクを担当してもらって、月給をいくら支払うかを考えていくことになります。

 

また、会社を伸ばしていくために必要なタスクを誰にやってもらうかを決めるのは、人材マネジメントの基本といえます。効率的に仕事を進めていくにはどのくらい要員がいるのか、どれくらいの人件費がかかるのか、といったことも見えてくるからです。

ですからタスクを誰にどう割り振るかを考えるかはとても重要で、そのタスクがどの程度の難易度なのかを図ることが必要になってきます。

 

ただ、労力がかかるのも事実なので、面倒だな、と敬遠されることもあるようです。

けれど仕事の難易度を考えることは、月給の額を決めるだけでなく、人材の配置や育成を検討するときの土台となるものですから、ぜひ一度はしっかりとやっておきたいですね。

仕事を棚卸しして難易度を図る

数値の推移を示した資料をもとに説明する男性社員。

仕事の難易度を分析するにあたって、まずは会社全体の仕事をタスク単位で棚卸しすることから始めましょう。ですから人事担当者だけで行わずに、各部門のリーダークラスを巻き込んでいくことが大切です。

抜け漏れがなく、わかりやすいように整理しながらタスクの棚卸しを行えば、業務分担やローテーションの見直し、業務改善にも役立ちます。せっかく手間をかけるなら、二次利用、三次利用の波及効果を考えたいところです。

 

会社全体の仕事の棚卸しを終えると、次は具体的に仕事の難易度を図っていくことになります。

そこで指標となるのが次の3点です。 

  1. 仕事を習得するのに必要な期間
  2. 仕事を遂行するのに必要な調整の範囲
  3. その仕事は所属部門の業績にどのくらい影響があるのか

1)について、習得期間の長さで仕事の難易度を図ることができます。

2)について、直属の先輩と調整するだけで仕事が完成するのか、それとも係長なのか、部課長なのか、それとも他部署との調整が必要なのかで、難易度が変わってきます。

3)について、そのタスクをたとえ失敗しても同僚でカバーできる人がいるのか、係長レベルしかいないのか、部課長レベルなのか、それとも失敗すると自分の部署だけでなく他部署にも影響を及ぼすようなものなのかで、難易度を図ることができます。

資格等級と月給をリンクさせるプロセス

オフィス内で仕事中の女性社員。ファイルを手にしている。

では、仕事の難易度を図り、資格等級に照らし合わせて月給を決めるプロセスを、次の事例で確認してみましょう。

 

まず前段の3つの指標に基づいて、社員が担当するそれぞれのタスクの難易度を点数化します。

たとえばAさんが担当している仕事の難易度を点数化していくと、10点になりました。

 

仕事の難易度(得点)と資格等級の関係性が、以下の表のようにリンクづけされていた場合、Aさんは3等級に位置づけられることになります。

資格等級 資格等級のレベル感 難易度(得点範囲)
4等級  リーダー 12~16点
3等級 ベテラン担当者 9~12点
2等級 担当者 6~9点
1等級 新人 3~6点

もし、仕事の難易度自体は高いものであるけれど、そのタスクを指導やサポートを受けながら行っていたとしたら、本人が担当しているタスクはそれほど高いレベルのものといえるのだろうか?というケースがあるかもしれません。

そんな場合は、全体の点数に「(仕事を遂行するうえでの)自立レベル」を調整係数としてかけて計算するといいかと思います。調整係数の例をあげてみます。

自立レベルによる調整係数
*どのくらい指導やサポートを受けないで仕事を行うことができるか?*
1)指導やサポートを受ける 2)難しいところだけ指導やサポートを受ける 3)ほぼひとりで自立して仕事ができる 4)後輩の指導をしながら仕事ができる
 ×0.8  ×0.9 ×1.0 ×1.1

先のAさんの自立レベルが2)だとしたら、「10点×0.9=9点」となりますから、担当する仕事への責任感をもってもらうために3等級と位置付けるか、あと一歩努力する必要があると自覚を促すために2等級と位置付けるか、人材育成からの視点を含めて検討することになります。

 

 

このように仕事の難易度を分析し、資格等級とリンクさせて月給を決定していくことは、人事評価にも重要な意味を持ちます。

それだけでなく業務の見直しや要員計画にも役立つので、残業時間の削減や年休取得率アップにもつながるプロセスとなります。

手間がかかる分だけ得られる効果が大きいので、チャレンジしてみる価値は十分あると思いますよ!

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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