賞与で社員にメッセージを届けるには

リボンがかけられたギフトボックスが4つテーブルに並んでいる。シャンパンが注がれたグラスが2つ。

6、7月は賞与の支給時期にあてている会社さんも多く、賞与に関するご相談がよくあります。

 

頑張ってくれた社員にできる限り賞与として還元したいけれど、原資を確保するのに苦労する、とのお話も伺います。

 

けれど経営者がせっかく工面して支給した賞与も、社員にとってはもらって当たり前…とはよくあること。

 

せっかくの賞与ですから、社員へのメッセージをこめられるツールとしてうまく活用することを考えてみませんか?

 

今回は、賞与で社員にメッセージを届ける方法についてお伝えしたいと思います。

賞与を支払うときの注意点

赤のラッピングペーパーにリボンがかけられたギフトボックスが3つ。

そもそも賞与とは、法律で支払いが義務づけられているものではありません。「支払うのか支払わないのか」「いつ」「どんな計算方法で」といった支給条件は会社ごとに決めれば良いのです。

 

そこで就業規則などでこれらを明確に規定している場合は、社員と約束したことと同じですから必ず支払わなくてはいけません

 

・・・ということは、就業規則に書かなければいいの?

 

たとえ規定していなくても、たとえば10年以上にわたって年2回の賞与が支給されるなど、慣行として支給されていれば、賞与の支払い義務があることになってしまいます。

 

ですからどのように就業規則に規定しておくかがポイントです。たとえば「賞与は月給の3か月分を支給する」と規定すると、業績が厳しく支払いを今回は見送りたいときでも、支払い義務が生じます。社員との約束はそう簡単には破れないのです。

 

 

「利益が出たときには賞与を支給したい」ということであれば、「会社業績が低下した場合、その他やむを得ない事由がある場合には支給しない」との旨を書いておくことです。

遅くまで残業している社員へのアラート

オレンジ色の目覚まし時計。

ダラダラ作業をしているために毎晩残業の社員。一方でテキパキと効率良く仕事をこなすので、定時退社の社員。残業代がつくためダラダラ社員のほうがテキパキ社員より月給が高い・・・こんなことはありませんか?

 

「残業代の分、基本給を下げたい!」という気持ちにもなるかもしれません。しかし、給料を切り下げることは、「労働条件の不利益変更」として法律で規制されていますから、簡単なことではありません。

 

では、どうすればいいのか?そこで、ダラダラ社員の残業代について、賞与で調整するのもひとつの方法です

「うちは時間当たりの生産性を高く評価したい。だから仕事の質を維持しながら効率アップできる方法を考えてほしい」とのメッセージを送ることができるのです。

 

自律的に仕事をこなすテキパキ社員に対しては、「いつもの働きぶりをみているよ」と賞与で報いてあげることができます。本人も働きぶりをちゃんと評価されていることがわかって、やる気が出ますし、月給についての不公平感(「ダラダラしている人のほうが残業代が高くつくなんてどういうこと?」)も同時に払しょくされます。

 

なお賞与の査定で差をつけるとき、年休の取得率が高い社員を低い査定にすることはできません。法律で年休取得を理由とした不利益な取り扱いは禁止されていますから、注意が必要です。

賞与のほうが月給よりも好都合なこともある

インデックスがつけられたリングノート。カラフルなダブルクリップとマーカーペン。

このように賞与は社員へ半期など短期間の貢献度合いに対して、「よく頑張ってくれてありがとう」もしくは「工夫してもっと頑張って」など、評価を伝えることのできるメッセージツールです。

 

頑張ってくれた社員の月給を上げると、一度上げたものは下げることが難しくなってしまいますが、賞与では思い切った評価ができます

 

社員の短期間での頑張りに報いたいとき、賞与はうまく活用すれば最適なツールといえます。

 

過去記事「年俸制と歩合制のメリット・デメリット」でもお伝えしましたが、これらは評価の明確な基準など仕組みをよく考えておく必要があります。

 

とはいえ、そのため評価項目が多くなったり、複雑化すると、運用がややこしくなる側面もあります。それならば月給は一定額として、賞与で評価するほうが、かえってスムーズだといえるかもしれません。

 

 

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賞与はその会社独自の運用ルールとして決められるものです。「よその会社はああだから、どうだから」といったことは関係ないのです。

 

新聞やテレビなどメディアで報道される、大企業の支払い水準(「給料の〇〇か月を賞与として支給」)に惑わされず、自社の支払い能力を第一に優先したうえで、効果的に活用したいですね。

メイソンジャーに注がれたソーダーといちご。カットスイカ。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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