理想的な配分を実現する賞与制度とは

デスク上にパソコン。キーボードの前に電卓とボールペン、眼鏡が置かれている。

自社に合った賃金制度を考える経営者から、「頑張ってくれた人に報いたいが、それぞれに生活もあることなので処遇や評価に悩む」とのお話をよく伺います。

社員の月給を一度上げると、法律的に下げることが難しくなります。

また会社への貢献度を図る評価項目が多く複雑になると、運用がややこしくなってしまう可能性も考えられます。

 

これらを考えると、社員の短期間の頑張りを報いるには、賞与で思い切って評価するほうが、スムーズなのかもしれません。

そもそも賞与には大きく分けて

  1. 生活費の補てん
  2. 会社業績に応じた総額人件費のマネジメント
  3. 社員へのメッセージ

といった意味合いがあり、諸手当などと比べると社員の年収に占める比率も高くなります。

そのためどのように配分すれば、社員はもっと頑張れるのか?と経営者の方は頭を悩まされることも多いのではないでしょうか。

今回は、理想的な配分を実現できる賞与制度のあり方についてみていきたいと思います。

今までとこれからの賞与制度のトレンドは

ノートパソコンの上に桜の花。傍らに緑色のマグカップ。

今も多くの会社でみられるのが、基本給に連動した賞与制度です。

「個人の賞与額=基本給×〇か月×評価別の支給係数」といった計算式で算出されることが一般的でしょう。

 

基本給は昇格などと連動して決まるので、社内の序列をはっきり反映します。かつての企業では、常に仕事を最優先させ、残業や休日出勤もいとわない同じ価値観、同質の社員だけで構成されていました。

ですからこのような年功色の強い運用がマッチしていたのだと思います。

 

けれど今の働き手の人口構成をみると、入社以来の苦労を共にする同質の社員を数多く確保することが難しくなってきます。

 

中核的な業務を担当してきた女性社員が出産・子育てでキャリアを中断することや、家族の介護のために連日の深夜残業を避けたい社員も出てくることでしょう。

そこで年功的な制度のなかにいると、「必要な仕事をテキパキこなしているのに評価されない」「会社に認められていない」という思いになってしまいがちです。

 

ですから今後の賞与制度は、

  • 賞与の評価格差を大きくする
  • 成果や貢献度が高い人に賞与を多く配分する

という方向にシフトしていくべきではないでしょうか。

成果や貢献度が高い人に賞与を多く配分するには

グラフデータ資料のうえに、カラフルな数字のクレイアートが載っている。

では「成果や貢献度が高い人に賞与を多く配分する」には、具体的にどうするといいのかについてです。

 

よく用いられるのがポイント制賞与制度です。基本的な考え方を説明します。

 

たとえば自社における成果や貢献度を、「役割の等級」と「半年の人事評価」によって配分しようと決めるとします。

そして以下のようなポイント表を作成します。

 

 

  役割の等級

1等級

 (新人) 

2等級

(一般社員)

3等級

(中堅社員)

4等級

(リーダー)

5等級

(管理職)

半年間の

人事評価

 

 S  120 140 180 210 260
A 110 130 160 195 240
B 100 120 150 180 220
C 90 110 140 170 200
D 80 100 130 160  170

このポイントという指数で賞与額が決まります。

  • 個人の賞与額=ポイント単価×個人のポイント
  • ポイント単価=賞与の総原資÷個人ポイントの総合計

賞与の総原資が、自社にとって理想的な基準(ポイント)で配分されることになります。

「賞与の評価格差を大きくする」方向にシフトしていきたいが、社員に受け入れてもらいやすいよう、当面はソフトランディングを図りたい、といったこともあると思います。特に年功による基本給に連動した賞与制度からの移行を図る際にみられます。

その場合には、「基礎賞与ポイント」として勤続によるポイントを加算するとよいでしょう(年功色があまり出過ぎないように、上限を設けておくことをお勧めします)。

 

また、賞与の総原資をポイント制で分配すると、経営者の判断による微調整ができないので、最初から一定の調整原資(1割程度)を確保しておいてもいいかと思います。

お金によらないインセンティブを考える

ノートパソコンに打ち込む社員の指先。傍らにメモ帳とペン。DREAMの文字の文鎮。

賞与をはじめとするお金によるインセンティブは、とても刺激的なので、苦しくても仕事を頑張っていこうとする原動力になります。

 

けれど刺激的であるがゆえに、常に金額が上がり続けていないとモチベーションが落ちてしまうことにもなりかねません。

(先の経営者による調整原資もこのような対処のために確保しておくものです)

 

これからの時代に右肩上がりで賞与や賃金を用意することは難しいので、お金によらないインセンティブを用意しておく必要があると思います。

 

こういったお話をすると、「ストックオプション」や「福利厚生の充実」といったトピックスが一番に挙がりますが、それ以外にもたとえば、

  • クラブ活動
  • 海外視察研修
  • イベントの実施
  • 住宅貸付金

などが考えられます。そして予想以上に効果があるのが「仕事によるインセンティブ」です。

やりたい仕事に就かせる(異動希望を実現させる)ことで、会社から人材としての価値を認められたというインセンティブ効果が高まります。

 

たとえば入社以来、商品企画に従事してきたメーカー勤務のBさん。

「顧客のために」「お客さまの立場で」とマーケティングの観点から仕事をやってきましたが、製造現場や営業担当から「それでは売れない」と反発に合うこともしばしば。

そこで工場経営や財務の仕事をやってみたいとの希望を出し続けていました。それがかない現場をみるうちに「売れる仕事とは」「経営とは何か」といった視点や課題がわかり、仕事に取り組む目線の高さが変わったそうです。

 

自分の働きぶりを会社はちゃんと見ていてくれている。チャンスがあれば作業的な仕事を抜けてより高度な仕事にチャレンジできる配慮が、うちの会社にはある。

 

この安心感は社員にとってお金に換えがたいモチベーションの源泉になると思います。

会社としてなかなか難しい面もありますが、社員の働きがいのために長期的な異動施策や人材配置を考えていきたいですね。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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