「もうすぐ6年目になるパート社員がいますが、無期転換の申込があっても断れますか?」
該当するパート社員さんはここ1年ほど体調を崩しがちなので、無期転換後の仕事内容に耐えられるのかな・・・と心配している店長さんです。(この会社では無期転換後に職務内容と労働条件の変更があるようです)
有期労働契約が会社との間に継続して、通算した期間が5年を超えた6年目に無期転換申込権が発生しますから、会社としては差し迫った問題です。
健康状態を優先してもらうためにも、法律的に無期転換の申込を拒否できるのかについて把握しておきたいというのはよくわかります。
そこで今回は、6年目のパート社員から無期転換の申込があったときに受理しないことができるのか、詳しく確認していきたいと思います。
産後8週間よりも前に仕事に復帰したい、と医師の診断付きでママ社員からの申出。家族の協力もあるので、年休を利用しながらやっていきたいとのこと。最短で職場復帰したい社員を会社としても応援したいが、本来ならまだ産後休業中なのに年休って取れるものなのかな?
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産後復帰について相談を受けたワーママの上司ですが、産後休業と年休の扱いについて判断に迷っています。
本来なら産後8週間を経過しない女性は就業禁止となっている(産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が差し支えないと認めた業務に限って就業可能)ので、年休を申請する余地があるのか?との疑問があるからです。
そこで今回は、産後6週間経過で職場復帰したときの年休申請の扱いについて、詳しく確認していきたいと思います。
今月もノルマの達成が無理そうな部下がいる。チームとしての数字が達成できないと、部下の指導がなっていないと自分の評価が下がってしまう。社会人なんだから仕事は自己責任でしょ。なんで上司がそこまで面倒みなきゃいけないの、法律とかで決まっているの?
(システム会社営業部 リーダー職 35歳 談)
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チームに仕事の遅い人がいて、どうやら煮詰まっている様子のリーダーです。部下をもつと、仕事の指揮監督とともに日常の人材マネジメントが任せられるので、ストレスが溜まるのもわかります。
ただ、上司として自分の法律上の地位や権限、負っている義務について理解していないと、トラブルが生じることもあります。
そこで今回は、なぜ上司が部下を教育・指導しないことが問題になるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「Aさんには役職手当が支給されているので、残業代の対象外でいいですよね?」
このようなご相談をコンサルティングのなかでよくいただくのですが、判断は慎重にまいりましょう。というのも、役職手当(部長・課長・係長などの役職に伴う手当。役付手当とも)の受給者イコール管理監督者ではないからです。
その役職の会社内における地位、責任と権限などからみるとともに、その地位にふさわしい給与面の待遇を受けているかどうかなど、実態から判断しなくてはなりません。
(管理監督者ではない、という判断になれば残業手当を支払う必要があります(゚д゚)!)
そこで今回は、役職手当と管理監督者の関係について詳しく確認していきたいと思います。
「毎週月曜日は始業の9時から定例会議をやっているのですが、参加メンバーのフレックスタイム社員がこの頃毎回サボるようになり、会議の雰囲気も悪くなって困っています」
半年前から営業部でフレックスタイム制を始めたところ、残念なことに自分勝手に振る舞う人が出てきてしまいました。
こんな社員には注意するのが当たり前というところですが、「フレックスタイム社員にコアタイムでもないのに時刻指定で勤務を命じていいのか?」との疑問から、強く言って法律違反にならないのだろうか・・・と判断に迷う上司の方の心情もわかります。
そこで今回は、定例会議を毎回サボるフレックスタイム社員に会社としてどのように対応すべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「営業部は変形労働時間制ですが、働くママには適用しちゃダメですよね?!あれ、でもAさんは小さいお子さんがいるワーママなのに変形勤務で働いている・・・?」
人事部に異動してきたBさんはキラキラした瞳で先輩を質問攻めですが、一方の先輩は当惑したような顔で・・・。というのも、Bさんの知識が少々ごっちゃだからです。
変形労働時間制がとられる場合にも、妊産婦が請求した場合には適用制限がありますし、育児や介護をしている社員には育児などに必要な時間をとれるよう配慮しなければなりません。
「その点では、働くママと変形労働時間制の関係について考えてみていいかも・・・」と新人さんへの指導を前向きに考え始めた先輩です。
そこで今回は、妊産婦・育児・介護社員等に対する変形労働時間制の適用について、詳しく確認していきたいと思います。
「仕事が終わった後に、会社が薦めるWEB学習をやっていますが、残業代申請の対象になりますか?何本も教材をこなしたので、結構な時間になるんですけど・・・」
新型コロナウイルス感染症対策のため、対面での研修や教育などが制限されたことをきっかけにWEB学習(eラーニング、オンライン研修)を導入した企業もあるでしょう。
インターネット環境が整っていれば、パソコンやタブレットを用いて時間や場所を問わず学べるのがWEB学習のメリットのひとつですが、会社としては冒頭のような社員からのギモンにきちんと答えられるようにしておきたいものですよね。
そこで今回は、WEB学習は労働時間としてカウントされて終業後の学びの時間は残業代の対象となるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「パート社員にも健康診断を受けてほしいが、今まで対象外だったのになんで受けないといけないのか、と拒否する人もいてどう対応すればいいのか・・・」
社員の健康管理ができていなくて、仮に労災でも発生したら大変です。
会社には安全配慮義務がありますが、これを怠ったため労災が発生すると、労災保険だけでなく民法上の損害賠償義務が生じます。
そのため会社の方針として健康診断の対象を全社員にしたものの、受診したがらないパート社員に対して、法律上では受診の対象ではないのに受診を義務づけてもいいのだろうか?と悩んでしまう人事担当者さんなのでした。
そこで今回は、健康診断を受けたがらないパート社員への会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「6年目のパート社員から無期転換の申込みがなく、契約期間の満了日も近いのに手続きを進めようもないのでヤキモキしています。今後のことを考えて、無期転換の申込期限を設けるのはダメですか?」
会社としては人員管理のため後任者の採用なども考えないといけないので、滞りなく仕事を回すためにもいつまでもこのパート社員の意思表示を待っていられない・・・というのがホンネでしょう。
とはいえ、法律上6年目の契約期間満了日まではいつでも無期転換の申込ができることになっていますし、申込をするかどうか、またいつ申込を行うのかは、本人の自由となっています。
そこで今回は、無期転換の申込期限を設定することに法律的に問題がないかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
4月1日発行の、「近代中小企業」4月号(2023年4月1日発行)に寄稿しました。
「近代中小企業」4月号では、「インフレに向けた与信管理」「人事・採用の最前線」とのテーマで2大特集企画が組まれています。
わたくし高島は、「人事・採用の最前線」特集企画において、タイトルを「共働き夫婦の悩みを解消する残業命令の出し方!」として、4ページ記事を書かせていただきました。
いまや女性の経済的自立と男性の家庭進出は、時代の要請です。
社会や仕事の環境、家族の状況が変わった時、夫と妻の役割を分離していると柔軟に対応できないからです。
そこで収入、家事、育児などを夫と妻で分担するときのいちばんの不安材料となるのが「残業問題」ではないでしょうか。
「不景気で事業を縮小せざるを得なくなったとき、まず採用内定の取消しをやれば、人員整理は比較的スムーズに進みますよね?」
採用内定者はまだ給与をもらって生活していないので、経済的なダメージは既存社員を整理対象にするより少ないのでは(とはいえ、心苦しいけれど・・・)・・・ということでのご相談です。
採用内定の取消しには法律的に慎重を期する必要がありますし、また景気の波を乗り越えて会社の再建を考えたとき、将来を担う若手社員がいないというのでは企業の経営は立ち行かなくなるおそれもあります。
そこで今回は、事業縮小や人員整理を理由とする採用内定の取消し問題について詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社の就業規則では、“懲戒解雇の場合は退職金の全部または一部を支給しない”と書いています。逆にいうと、悪いことをしても退職金をもらえるかもってことですよね?」
悪いことをして辞めさせられる社員に退職金が出るのなら、周りに示しがつかないのでは・・・と、ご相談をいただくことがあります。
心情的によくわかりますが、退職金の全額没収(全額不支給)については運用に注意が必要です。
というのも、就業規則などで退職金の支給について明白に定められていると、退職金は賃金にあたるからです。労基法では、賃金について種々の保護規定が設けられていますから、会社としては冷静な判断が求められることになります。
そこで今回は、懲戒解雇による退職金の不支給は認められるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「なんでうちの会社は他所みたいに毎年給与が上がらないのか、違法じゃないのか、と社員から不満を聞きます。法律的にどうなのかを把握しておきたいです」
賃上げや初任給の額について見聞きすると、社員としては「うちの会社はどうなんだろう?」と期待してしまうもの。会社としてはその期待に応えたいものの、経営を続けていくためシビアに判断しなければならないのでご相談をいただきます。
定期昇給やベースアップが法律的に義務付けられる場合もありますし、また定期昇給とベースアップは法律的に異なっていますから、法律面を押さえておくことは大切ですね。
そこで今回は、定期昇給やベースアップは必ず行わないといけないのか、また賞与についても毎年支給しないといけないのか、お金関係をまとめて確認していきたいと思います。
「パート社員の前の有期労働契約と次の有期労働契約期間との間に、契約のない期間があっても契約期間は通算しないといけませんか?」
無期転換の申込とは、5年を超えて有期労働契約を継続更新した場合には、その働き手の申し込みよって、雇用期間の定めのない労働契約に移行するものです。
つまり、有期労働契約が会社との間に継続して、通算した期間が5年を超えた6年目に無期転換申込権が発生します。契約の通算の仕方がとても重要になってくるので、冒頭のようなご相談をいただきます。
このような「契約の空白期間」については法律で定められており、クーリング期間といいます。
そこで今回は、無期転換申込権に大いに関係するクーリング期間について詳しく確認していきたいと思います。
前の総務部長が退職したので、後任として職務にあたることになった。バタバタの引継ぎだったが、「戸棚の書類をみれば大丈夫」だって。
どれどれ・・・ガチャ。(←キャビネットの扉を開ける音)
はいはい、これが就業規則の原本ね。ん?職場代表の意見を聴いてないし、労基署へ出した形跡もないっっ?!これ絶対ダメなやつ!!
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就業規則はその作成、変更の都度、労基署に届け出なければならない旨が労基法に定められています。
では、就業規則を作成したものの労基署への届け出をサボっていた場合はどうでしょうか。有効なものとして扱われるのでしょうか。
そこで今回は、労基署に届出ていない就業規則はそもそも有効なのか、またあわせて職場代表の意見を聴いていない、社員に周知していないときはどうなのか、について詳しく確認していきたいと思います。
当社のパートさんは3か月更新で来てもらっている(更新手続きは「来月もよろしく」「はい」であやふやだったが)。だが、このご時世で経営が悪化、やむなく辞めてもらうことになった。
今回の更新が最終回であること、残りの年休は全部使ってほしいこと、感謝の気持ちを伝えたところ、こころよく納得してもらえた(内心複雑だったろう)。こんな「解雇」というかたちになって申し訳ない・・・
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長い間にわたって繰り返し更新された労働契約をある時点で「更新しません」と会社側が意思表示して雇止めすることは、解雇といった法律の規制に抵触する場合があります。
では、冒頭の例のように「更新しないことの合意」ができているときはどうなるのでしょうか?
そこで今回は、反復更新された労働契約を不更新にして解雇にならない場合とはどんなときなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「作業場では必ず作業帽を被れと注意しているのに、しばらくすると被らない者が出てきます。作業帽の不着用1回200円、みたいに罰金制度をつくってはダメですか?」
着帽を呼びかけるものの、「頭が蒸れて気持ち悪いから被りたくない」「ダサいから被りたくない」と不満をもらす社員がいて困っています・・・といった現場のお悩みをお聞きすることがあります。
会社としては何としてでも社員の安全を守らないといけないので、罰金制度をお考えになる気持ちもわかります。とはいえ、会社が設ける罰金制度については、労基法が定める「減給の制裁」、「損害賠償額の予定の禁止」の内容を押さえておくことが大切です。
そこで今回は、社員の意識づけ向上のための社内罰金制度の取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
部下「自宅に仕事を持ち帰ってやるのは残業にならないのに、なんでテレワークだと通常業務の扱いになるんですか?」
上司「・・・・(たしかに・・・←心の声)」
自宅への持ち帰り仕事は労働時間にカウントされないのに、テレワークがカウントされるのはどうしてなのか・・・部下から質問を受けて言葉に詰まる上司。
「自宅で仕事を行う」ということで、両者は一見同じようにみえるかもしれませんね。ですが、ポイントとなるのは労基法上の労働時間についての定義です。つまり、「会社側の指揮命令下に置かれている時間として評価できるか?」という点が問われることになります。
そこで今回は、自宅への持ち帰り仕事とテレワークは労働時間の扱いでどのように違うのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
年度末が近いので、部員には5日以上の年休を確実に取ってもらわないといけない。だが風邪、コロナ、インフルエンザでダウンする人が出て人手が足りずに、休んでほしい人に休んでもらいにくい状況だ。半休か毎日1時間ずつ時間休を取ってもらって、年休取得5日以上にもっていくか・・・?(とある商社の営業部長談)
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会社には、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが義務付けられています。
そのため上司としては5日以上に至っていない社員の年休取得と、業務の進捗具合の間で「半休と時間休が5日付与義務にカウントされるならなんとかなるかも?」と焦っています。
そこで今回は、そもそもの半休と時間休の取扱いの違いと、半休と時間休が年休の5日付与義務にカウントされるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「サーバー攻撃なんかがあったら、その対応で残業時間の上限規制を守れそうにないですよね。システム障害とか放置できないし・・・」
時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結と労基署への届け出が必要ですが、36協定を結んだ場合でも時間外労働の上限規制があります。
そんななかでトラブルが発生したら、「初動対応」VS「残業時間の上限規制」の間で現場はパニックになりそうです。
そこで労基法には例外として、災害等による臨時の必要がある場合には行政官庁の許可を受けて時間外・休日労働の上限規制を解除する規定があるのですが、働き方改革関連の法改正によって「行政官庁の許可が下りる新基準」が示されました。
そこで今回は、災害等による臨時の必要がある場合に残業が許可される新しい基準とはどういうものなのか、詳しく確認していきたいと思います。
「社員の給与を奥さんに支払っちゃダメだと聞きました。奥さんとはいえ他人なのでダメなんですか?」
お金がなくては生活できないので、ちゃんと給与が社員に支払われないと大変なことになってしまいます。
そのため、労基法では賃金の支払いについていろいろな保護規定が定められています。そのひとつに、賃金は直接社員本人に支払わないとダメなことになっています。
とはいえ、やむをえない事情(本人が病気欠勤中、もしくは死亡したなど)があって、会社として「配偶者に支払ってあげたい」というときには、どうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、給与の代理受領が禁止されていることを確認しつつ、本人死亡の際に配偶者に支払うことの可否について、詳しく確認していきたいと思います。
「パートのAさんには時給1,050円で週3日(週18時間)、うちの店に来てもらっていいます。無期転換すると、この労働条件をグレードアップさせないといけませんか?」
パートさんが入社してからもうすぐ6年目に突入するので、無期転換について考え始めた店長さん。Aさんは働きぶりも優秀で条件面のグレードアップに異存はないものの、まずは法律ではどうなのかを把握しておきたい様子です。
無期転換したときの労働条件について、結論からお伝えすると、基本は今までと変わりません。労働契約の期間が有期から無期になる(期間の定めのない労働契約)だけです。
とはいえ、「別段の定め」をすることで、期間の定め以外の労働条件を変更することは可能です。
そこで今回は、無期転換時の労働条件はどうなるのか、「別段の定め」があるときとないときについて詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社ではパート社員向けの就業規則をつくっていないのですが、まさか正社員の就業規則が適用されることはないですよね?」
・・・この「まさか」の予感は的中してしまうかもしれません。
常時10人以上の社員が働く会社には就業規則を作成して労基署長に届け出る義務があります。そんな職場でパート社員がいるのに、パート社員について適用される就業規則が作成されていないとなると、困ったことが起きてしまいます。
ひとつは、法違反の問題。もうひとつは就業規則を下回る労働条件を個別に労働契約で決めたとしても、無効となって就業規則の基準で契約したものとされる問題です。
ライフスタイルに応じた働き方で、さまざまな雇用形態の社員が同じ職場で働くことは珍しくないですし、無用なトラブルは避けたいですよね。
そこで今回は、パート社員の就業規則にまつわる問題について詳しく確認していきたいと思います。
「36協定の過半数代表者の立候補者を募集しているのに、誰も手を挙げてこなくて困っています。かといって会社から指名するのはダメだし、いっそのこと(職場の)親睦会の会長を過半数代表者にしてしまおうかな?」
36協定だけでなく、労基法その他の法律において過半数代表者との労使協定を必要とする事項は増えています。ですが、過半数代表者を選ぶにあたって立候補者がまったく出てこない・・・といったお話を伺うことがあります。
会社側が指名することは、法律で定める過半数代表者の要件を満たさないのでできませんし、「じゃあ一体どうすればいいの?」となりますよね。
そこで今回は、過半数代表者の選出手続き、また社員親睦会の会長を過半数代表者にすることの可否について詳しく確認していきたいと思います。
「正社員の〇〇さんと仕事内容はほとんど変わらないのに、給料に差があったりボーナスがないのはおかしい、とパートから不満を漏れ聞いて困っています」
・・・パートと正社員が同じ職場でごっちゃになって働いていて、同じような仕事をしていたら賃金面も同等にしないとだめなのだろうか、「同一労働同一賃金」というし・・・
このように「同一労働同一賃金」という言葉をめぐって、お悩みを抱える経営者、人事担当者の方は少なからずいらっしゃるようです。
法律で定める意味としては(ごく簡単にいうと)「パートと正社員の待遇に不合理な差をつけてはダメ」ということで、すぐさま「同じ仕事=同じ給料」といっているのではありません。
そこで今回は「いわゆる同一労働同一賃金」をめぐる問題について、詳しく確認していきたいと思います。
「パート社員が無期転換すると、それからもうずっと働き続けないといけないということですか?言い方は悪いですが、辞めるときはイコール“死んだとき”になってしまいますよね?!」
有期雇用の社員が無期転換した場合、文字通り、労働契約期間の定めがない雇用となります。つまり、雇用の終了は解雇か、社員の自己都合退職、死亡ということになるので、このようなご相談をいただいたことがあります。
解雇となると解雇の無効をめぐる問題が生じるので、もめごとに発展する法的リスクが発生します。それを避けるには、定年制を導入して雇用期間の「終わり」を決める必要があります。
そこで今回は、無期転換した社員と定年制をめぐる問題について詳しく確認していきたいと思います。
上司が部下を大きな声で怒鳴りつける、暴言を吐く、机をバーンッと強く叩いて机上の書類を部下に投げつける・・・
↑いわゆる「パワハラ」です。皆さんこれには異論ナシですよね。
上司が部下の顧客対応に注意したり叱責する、反省を促すため顛末書の提出を命じる、業務態度不良を繰り返す部下に叱責がきつくなる・・・
↑これについてはどうでしょうか?
上司には部下を指導、教育する義務がありますが、それを受ける部下にしてみれば上司の叱責などを「いじめ」と受け取る場合もあるかもしれません。ここに、パワハラ問題の難しさがあります。
どこまで指導すればいいのか迷われる上司の方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、職場でのパワーハラスメントと上司の指導教育にまつわる問題について詳しく確認していきたいと思います。
「正社員なら簡単に辞めてもらうのは法律的に難しいかもしれないけれど、パート社員ならいつでも辞めてもらえますよね?」
これは大きな誤解です。このように思われていることは多いかもしれませんが、実は逆なんです。
民法上は「期間の定めのある契約(パート)」は、会社はその期間中に原則として解雇できず、「期間の定めのない契約(正社員)」の場合はいつでも解雇できると規定されています。
とはいえ、雇用期間を定めて採用したパート社員の勤務成績がめちゃくちゃサイアクで、これ以上続けてもらうのはムリじゃないの・・・?といったケースもあるかもしれません。
そこで今回は、有期の雇用期間の途中でパート社員を解雇するにあたって、会社が気をつけなければならないことについて詳しく確認していきたいと思います。
「会社の休みの日に、別の会社でスキルアップ(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
副業・兼業で、いまの仕事(本業)で必要な能力を伸ばしたい社員と伸ばしてほしいと思う会社。会社として押さえておくべきは、労働時間マネジメントと残業代(割増賃金)の取扱いです。
労基法では、複数の職場で勤務する(本業&副業・兼業)場合、労働時間を通算することになっています。労働時間を通算して法定労働時間を超えるとき、会社は自社で発生した法定外労働時間について、36協定を締結したうえで残業代(割増賃金)を支払う必要があります。
とはいえ、「これは時間外になるの?休日労働扱いになるの?」と、具体的にどうすればいいのか、判断に迷われることもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、副業・兼業での残業時間にまつわる問題(割増賃金、休日労働)について、詳しく確認していきたいと思います。
新型コロナウイルスの影響でテレワークをはじめ、場所・時間にとらわれない働き方が広がりつつあります。
働き手にとっては「副業・兼業をしやすい環境になってきた」との感覚があるかもしれませんが、会社にとっては労働時間マネジメントのあり方が気にかかるところではないでしょうか。
本業の時間外や休日に他の仕事をやることによって、メンタル的にも肉体的にも疲れが溜まりすぎやしないかと、社員の健康状態が心配だからです(企業が社員の副業・兼業を禁止する理由のひとつでもあります)。
実務的には、副業・兼業によって自社の36協定との兼ね合いはどうなるのか、どこから時間外労働になるのかをまずは理解しておくことがポイントとなります。
そこで今回は、副業・兼業で2つ以上の職場で働く場合に労働時間はどうカウントするのか、詳しく確認していきたいと思います。
職場では、社員同士が職場コミュニティをつくり、人間関係を築いています。あえてケンカしたいとは思わないまでも、やはり人間同士の集まり、人間関係上の軋轢、ハラスメント、もめごと、トラブルetc.・・・が生じます。
会社には職場環境配慮義務があり、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど職場でのいやがらせ防止等などが求められています。
「法律で決まっているから会社がやらないといけないのか」
・・・と思われるかもしれませんが、ハラスメントによる社員の意欲ダウン、優秀な人材流出、訴訟リスク・・・といったことを考えると、経営に与える影響は甚大です。
そこで今回は、会社が気をつけたい「職場のハラスメント」対策について、詳しく確認していきたいと思います。
うちの会社は業界的に深夜残業がよくあり、社員の体調が心配だ。業務多忙で睡眠不足になっても、疲れがたまっていて眠りが浅い・・・といった声も聞く。睡眠障害や不眠はメンタル不全につながりやすいから、会社としてどう対応すればいいのか・・・
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最近では、社員の健康対策に考えをめぐらす経営者、人事担当者も多いことでしょう。疲れるとストレス耐性が落ちるので、「休む=自分のコンディションを整える」時間を取ることはとても大切です。
社員の生活時間や睡眠時間を確保する方法のひとつとして、「勤務間インターバル」の導入というものがあります。比較的新しい制度なので、「聞いたことはあるけれど、具体的にどうするの?」という声もあるかもしれませんね。
そこで今回は、勤務間インターバルを導入する具体的な例などについて、詳しく確認していきたいと思います。
「子どもが夏休みで遊んでもらおうとして、仕事の邪魔をしてくる」
「ネット注文の商品が自宅に届くたびに、仕事が中断される」
自宅でテレワークをしているとよくある困りごとだと思いますが、会社としてはこの「中抜け時間」をどう取り扱えばいいのか、判断に迷うところではないでしょうか。
また、自宅で仕事をしているとどうしても、仕事とプライベートのオン・オフの切り替えが難しくダラダラずっと仕事を続けてしまう・・・といった状況も起こりがちです。
会社としては労働時間の把握に工夫が必要となることもあるでしょう。
そこで今回は、いわゆる「中抜け時間」をはじめとするテレワークにまつわる労働時間マネジメントについて、詳しく確認していきたいと思います。
休職していたAさんが10月から復職することになった。今年度の残り6か月でAさんにも5日以上の年休を確実に取得してもらわなければならない。とはいえ、年末年始休暇もあるし、2月はもともと営業日が少ないし・・・大丈夫だろうか?
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会社には、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが義務付けられています。
そのため、上司としては年度途中で復職したAさんの年休取得が心配で、「年末年始休暇が5日付与義務にカウントされるならひとまず安心なのに・・・」とひやひやしています。
そこで今回は、年度途中で復職した社員の年休の取扱いと、年末年始休暇をはじめ特別休暇が年休の5日付与義務にカウントされるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「来週の金曜日は計画年休日なのに、欠勤が多いBさんには年休がもうないらしい。Bさんだけ出勤させるのもビミョーだしなあ・・・」
年休の「計画的付与」とは、社員のプライベートな事情で自由に取得できるよう一定の日数を保持しながら、これを超える日数については、会社と社員の間での労使協定によって計画的付与を認めることにしたものです。
年休の計画的付与制度を実施する場合に問題なのは、計画年休の日数分の年休がない社員がいる場合にどうするかです。
その社員の年休日数を増やせば簡単なのもしれませんが、職場のなかでちょっとした不公平感が漂うのもまた事実・・・
そこで今回は、計画年休にあてる年休日数のない社員に会社はどのように対応するべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
Aさんを関連会社に出向させて2か月半。当社ではほぼ残業がなかったが、出向先では毎日3時間ほどの残業があり、土曜日は休日出勤だそうだ。仕事の進め方や作業手順など当社とでは異なる点もあり、ストレスを感じていると相談を受けた。精神状態が不安定になれば、出向の打ち切りなども考えないといけないのだろうか・・・
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出向先でストレスを抱える出向社員から相談された上司が、会社としての対応に悩んでいます。
というのも、会社には社員に対する安全配慮義務があるからです。
とはいえ、出向先との関係もあるので、出向元としてはどのような対応をとるべきなのか、悩みは深くなるようです。
そこで今回は、ストレスを抱える出向社員に対して、出向元の会社はどのような対応をとるべきなのか、詳しく確認していきたいと思います。
「職場改善のアイデアを社内で募ることになりました。優秀なアイデアには報奨金を出そうと思うのですが、これも社員の給料にあたりますか?」
会社が社員に支払うお金について、すべてが賃金に該当するかというとそうではありません。
「〇〇手当という名称だから賃金」「〇〇補助という名称だから賃金にあたらない」というわけでもありません。
どんな名称であるかを問わず、会社が社員に支払うもののうち、社員が使用従属関係の下で行う労働に対して、その対価として支払うものを「賃金」といいます。
・・・とはいえ、日常の具体的なシーンにおいては判断に迷うことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、職場改善アイデアの報奨金はどうなるのかはじめ、「賃金の定義」について詳しく確認していきたいと思います。
「本当は給料から差し引くべきところですが、かわいそうなのでそのまま出しました。別に法律的にダメじゃないですよね?」
法律的に照らし合わせると賃金カットとなるところを、社長の温情で実行せずに、通常通りに満額支給した・・・こういったエピソードを聞くことがあります。「温情なんて公平さに欠ける」との声があるかもしれませんが、ここで扱いたいテーマから逸れるので、ひとまず置いておきます。
お伝えしたいのは、賃金カットしなかったことで、実は、法律に反することになる場合(不当労働行為)もあり、注意しなければならないということです。
そこで今回は、賃金カットしないことが違法(不当労働行為)となるのはどんなときなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「始末書の提出が前提でけん責処分にしたのに、一向に始末書を出してくる気配がありません。反省の色が見えないので、さらに減給しようかと考えています。」
ここで問題となるのが、「一事不再理の原則」です。ひとつの違反行為に対して二重の処分をすることは許されません。
「それなら、そもそも“始末書を提出させてけん責処分にする”というのもダメなんですね?」
これは「併科」の問題であって、「一事不再理の原則」とは関係ありません。・・・「一事不再理の原則」のことを「二重処罰の禁止」ということがあるので、ややこしく誤解されがちかもしれません。
そこで今回は、始末書の提出拒否をもって、新たな懲戒処分を下すことがダメなわけについて詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社の午後休は4時間分だから、10時から3時までの4時間を午後休として休んでもいいですよね?」
午後半休が午後1時から5時までの4時間なのだとしたら、4時間単位をもって半日(0.5日)とするべきで、午前10時から午後3時までの4時間でも半日単位として取り扱っても問題ないでしょ?・・・というのがこの言い分の趣旨です。
半休(半日単位年休)は法律上の制度ではありません。そのため、社内で「半日単位」をどのように扱い、半休制度をどう運用していくのかをきちんと決めておくことが、社員に誤解を与えないためにも重要になってきます。
そこで今回は、「半日単位」の取扱いと半休制度の運用ポイントについて詳しく確認していきたいと思います。
「AさんとBさんはパート社員で、うちの店で働いてくれてもうすぐ半年になります。ふたりとも週30時間未満の勤務なので、まるまる10日の年休は与えなくてもいいですよね?」
週所定労働時間が30時間未満のパート社員の年次有給休暇の日数は、その勤務日数(週所定労働日数)に応じて比例付与されることになります。そのため、上記のようなご相談をいただくことがあります。
AさんとBさんは週30時間未満の勤務だということですが、「おふたりは週にいったい何日働いているの?」というところが重要になってきます。
もし、週の勤務日数が5日以上なのだとしたら、正社員と同じ日数の年休を付与しないといけないからです。
そこで今回は、週30時間未満で働くパートタイマーの年休の取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
「懲戒解雇を行った場合、社内の掲示板で対象の社員を公表することを就業規則に定めようと思うのですが、何か問題はありますか?」
懲戒処分の内容を公表することで、今後の社員の指導・教育に努めたいとのことでご相談がありました。
とはいえ、公表することで、懲戒処分の対象社員から逆に名誉棄損で訴えられるリスクがあるのでは?とも心配されています。
結論からお伝えすると、「懲戒解雇が有効」なのであれば社内公表することで特段の問題はありません。逆に言えば、「懲戒解雇が無効」であるような場合は違法となりますから注意が必要です。
そこで今回は、懲戒解雇について社内公表する場合の注意点について詳しく確認していきたいと思います。
「社員の給与形態を完全出来高払い制にすると、法律的にアウトですか?」
給与の支払い形態を、社員が行った仕事の量に応じて支払う出来高払いにすると法律的にダメなのか、とご相談をいただくことがあります。
出来高払い制や請負制では、会社が仕事の単位量への対価を不当に低く決めたり、原料・資材不足や仕事の繁閑があると、受け取る給与が激減して社員の生活が脅かされるおそれがある・・・ということで、労基法では出来高払い制などについて一定の規制を設けています。
ですが、出来高払い制や請負制による給与の決め方自体を禁止しているわけではありません。
そこで今回は、出来高払い制や請負制をとる場合の注意点について詳しく確認していきたいと思います。
「病気の治療で通院するため、欠勤や早退の多い社員がいます。早退した日を出勤日にしたらいいという声が社内であるのですが、午前10時に早退した日なんかは1時間しか勤務していないのにどうなのか、という声もあって悩みます。」
労基法では、年休取得の要件を「所定期間内の全労働日における8割以上の出勤率」としています。そのため、出勤率が8割を切ると次年度の年休付与がゼロになってしまい、通院が難しくなるのではないか・・・と心配された人事担当者さんからのご相談です。
とはいえ、早退で1時間しか勤務していない日でも出勤したものとして、出勤率に含めてもいいのか、と判断に迷われるのもわかります。
そこで今回は、年休の発生要件である出勤率に午前10時で早退した日を含めてもいいのか、について確認していきたいと思います。
この夏から他社へ出向することが決まったAさん。初めての経験だけに不安で胸がいっぱいです。
それだけに良からぬ想像をしてしまいます。
「出向中にもし、出向先の会社が潰れたら私はどうなるの?出向期間がまだ残っていても元の会社にすぐ戻れるの?」
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出向(在籍出向)では、出向元と出向先の両方で二重の労働関係が成立します。つまり、出向社員は、出向元企業の社員であると同時に、出向先の社員でもあるということです。
そのため、Aさんのように不安を抱くのも無理はないかもしれません。
そこで今回は、出向期間中に出向先が破産したとき、出向社員はすぐ出向元に復帰できるのか、詳しく確認していきたいと思います。
社員がマイホームを建てるときなど、福利厚生の一環で社内貸付制度として、会社が社員にお金を貸している場合もあるでしょう。
ところが、社員の給料や退職金について貸金業者から差押えを受けてしまった。・・・こんなときはどうなるのでしょうか?
社員に給料を支払っている会社としては、給料からの天引きによる返済方法をとっていることも多いでしょうから、もしも差押え債権者の方が優先すると、会社が貸したお金は返ってこない・・・なんていう事態にもなりかねません。
そこで今回は、社員の給料が差押えを受けたとき、会社が社員に貸したお金はどうなるのか、また、返済を受けるために会社が注意しておくべき点について詳しく確認していきたいと思います。
「いきなり会社を辞めたいと言われると、会社側としては引継ぎやら後任者の選定、人員の補充など大変なので、“退職願は3か月前までに提出すること”と就業規則で義務付けてもいいですか?」
退職の申出が突然あったと思いきや、そのまま出社しなくなってしまった・・・そうすると、社内の業務だけでなく取引先との関係もあるので、残された周りの社員はそれらのフォローのためにてんやわんやになってしまいます。
そんな事態を防ぐために「退職願の提出は3か月前までに」と決めたいのは、心情的には理解できます。
ですが、あまりに長い予告期間を設けることは、社員を不当に拘束することにもなりかねません。
そこで今回は、退職願の提出時期はどのくらいにするのが適当なのか、詳しく確認していきたいと思います。
「口約束であっても採用は成立する、と聞いたのですが、じゃあ、電話で簡単な面接のやりとりをして、顔を合わさないまま採用することもできるのですか?」
はい、端的にいうとその通りです。
採用が決定したということは、労働契約が成立したということです。労働契約は基本的に当事者の合意のみで成立するので、口約束だけでも成り立ちます。
ですが、それだけですとあとあと「言った、言わない」「思っていたのと違う」などと、トラブルに発展しがちなのは想像に難くありません。会社側には事前の対策が必要です。
そこで今回は、そもそも採用とは具体的にどういうことなのか、また会社があらかじめ注意しておきたい点について詳しく確認していきたいと思います。
「社員が年休日に出社していたことが判明しました。組合活動のたまった事務を片付けるためだったようですが、この日は年休日として扱っても大丈夫ですか?」
会社は、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させなければなりません。
そのため、会社としては積極的に年休を消化させたいけれど、「出社していたのに年休日として成立するの?」と疑問に思われたようです。
結論からお伝えすると、取得した年休をどのように利用するかは社員の自由なので、年休日として成立します。ですが年休日の組合活動に対して、会社として注意すべき点もあります。
そこで今回は、年休を取得して組合活動を行う社員への会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「ハローワークの手続きで困っています。離職証明書の離職理由で“希望退職の募集又は退職勧奨”という項目がありますが、希望退職の募集と退職勧奨はどう違うんですか?」
人事担当者さんのギモンですが、雇用保険被保険者離職証明書にある細かな記載によく気が付かれました(=゚ω゚)ノ
希望退職と退職勧奨の両方とも、「労働契約の合意解約の申入れ」という点では共通しているものの、会社と社員のどちら側による解約の申入れなのか、という点で両者は異なります。
そのため後日トラブルにつながる可能性もありますから、両者の違いを踏まえながら、特に退職勧奨について理解を深めておくことが大切でしょう(退職勧奨は場合によっては無効になることもあります)。
そこで今回は、退職勧奨と希望退職の募集の違いについて詳しく確認していきたいと思います。
「ある社員が退職願を出してきたのですが、その後に重大な服務規律違反が発覚しました。懲戒解雇にあたるような事案でしたが、もうすでに退職願が出されているだけに、懲戒解雇はできませんよね?」
退職願の提出から一通りの業務の引継ぎが終了し、あとは退職日を迎えるだけ・・・と思いきや、よもやの事態が発生。そんなとき、会社としては対応に慌ててしまいますよね。
結論から申し上げると、たとえ退職願が出されていたとしても、まだ社員として雇用関係があるのなら、懲戒解雇しても問題ありません。
ですが、退職願と懲戒処分の関係については、民法での決まり事と情状酌量の2点について考慮しなければなりませんから注意が必要です。
そこで今回は、退職願が出されている社員を懲戒解雇してもよいのかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
「減給をもって社員を懲戒処分するとき、降格処分なら労基法が制限している“減給の制裁”については考えなくていいですか?」
減給については労基法91条で厳しく制約されていて、1回の懲戒事由では平均賃金の半日分以内、総額にしても一賃金計算期間で1割以内しか減給することはできません。
(減給の額があまりに多額となって、社員の日々の暮らしを脅かすことになってはいけないので、減給の上限が決められています。)
そのため冒頭のようなご相談をいただくこともあるのですが、結論から申し上げますと、降格処分しても、まったく今までと同じ仕事をさせながら給料のみをマイナスするのはダメです。
そこで今回は、降格処分と労基法が規定する「減給制裁の制限」との関係について詳しく確認していきたいと思います。
「これから注力したい商品の資材が、供給元の都合でどうしても当社の終業時刻ギリギリになるそうで。資材搬入のたびに残業になってしまうのも何なので、昼休みを2時間にして対応するのは問題ないですか?」
つまり、終業時刻を1時間今よりも後ろにずらして業務に対応するため、現行の休憩時間1時間を2時間にしたいということですね。勤務時間の途中でわりと長い時間の手空き時間がある業務形態では、同じようなお悩みをお持ちかもしれません。
労基法では、与えるべき休憩時間の長さの最低ラインを規定しているので、最長の長さについては規制していません。
ただし、考えないといけないのは、途中の休憩時間が長くなると必然的に拘束時間が長くなってしまうという点です。
そこで今回は、休憩時間を2時間に設定するにあたって検討しておくべきことについて確認していきたいと思います。
「遅刻常習犯の社員が、つい先日も30分遅刻してきました。1時間の年休(時間休)を取得して遅刻と差し引きゼロにしてほしい、と言ってきましたが、会社として聞き入れないといけませんか?」
あまりに遅刻が度重なるとボーナスの査定に響くから・・・というのが、どうやら社員のホンネのようです。
とはいえ上司や人事担当者としては、遅刻をあとで年休に振り替えることが適法なのか、という点をまずは押さえておきたいところでしょうし、また周囲に与える影響(モラルハザードが生じるなど)も気がかりではないでしょうか。
そこで今回は、遅刻を年休でチャラにしたい(年休充当したい)社員への会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「忙しい今の時期に、期間限定で入ってもらっているパートさんがいるのですが、その期間が終わる前に解雇予告をしないとダメですか?」
パート社員など期間限定の働き手の場合は、期間満了で雇用が終了することになります。雇用期間が満了すれば自動的に退職となるものであって、「解雇」にはあたりません。
そのため、期間満了の場合は、労基法20条(解雇の予告)の問題は発生しないといえます。
とはいえ、期間雇用の契約を反復更新している場合、働き手としては継続雇用の期待が高くなるのも想像に難くありません。そのため、「解雇予告をしておかないと誤解が生まれてトラブルになるのでは?」と心配されて、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、パート社員の期間満了(更新された場合も含む)にあたって、解雇予告が必要かどうか、詳しく確認していきたいと思います。
今年のゴールデンウィークは、最大で10連休にもなるようなカレンダーの並びですね。これだけ長い期間ともなると、合間に商談などのため、出張に出かけなくてはならない場合もあるかもしれません。
そこでよくいただくのが、「出張期間中に休日があった場合はどう取り扱えばいいですか?」というご相談です。
たとえば、出張期間の中日に日曜日があるような場合は休ませないといけないのか(それなら出張に来た意味なくない?)、ただでさえ出張スケジュールをたてるのは大変なのに、頭がぐるぐるします・・・といったことを経営者や管理職の方からお聞きします。
そこで今回は、出張期間中であっても休日には社員を休ませないといけないのか、その取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
「退社時に『俺のも押しといて』と、同僚にタイムカードを押させる社員を見かけては注意しています。他人に自分のタイムカードを押させるなんて許されないですよね?」
同僚と同じタイミングで退社するときに、ズボラして自分のタイムカードも一緒に押してもらう・・・というのは容易に想像できますが、違法行為とまでは言わないにしても、決してよい行動とは言えませんよね(^^;)
というのも、労働時間マネジメントのためタイムカードの打刻は正確に行われないといけないので、不正打刻は許されないからです。単なるズボラというのではなく、他人による不正なタイムカードの打刻は完全にアウトです。
そこで今回は、タイムカードの不正打刻の問題について詳しく確認していきたいと思います。
「うちのパート社員は時間をうまく使って、よく働いてくれています。正社員よりもよくやってくれている、と思うこともしばしばです。もし、経営がうまくいかなくなって人減らしが必要になったとき、パート社員より先に正社員を対象にするのはダメですか?」
不況、業績の低迷など経営上の理由で過剰人員となった場合、経営の縮小や部門の閉鎖・廃止によって人員整理を考えないといけないこともあるかもしれません。
いわゆる「整理解雇」を行うとき、整理の順序としてパート社員と正社員のどちらが先なのか、というのがこの相談内容のポイントです。
人員整理の対象者を考えるときには、雇用形態の順序が問われるからです。
そこで今回は、人員整理を行うときの対象者の順序について、詳しく確認していきたいと思います。
「取引先から緊急の要請があったときに担当者が休みだったら、会社に呼び出しても問題ありませんか?」
昭和の時代なら「そんなん企業戦士として当たり前や!!」と片付く案件だったかもしれませんが、令和の時代ではコンプライアンスやモラルの意識が高まり、対応に悩まれることも多いようです。
問題は、すでに年休日が開始している(午前0時以降)のに、社員を呼び出したい案件(年休の取り消し事由)が発生した点です。
その日になって、すでに年休日としてスタートしているのに一方的に取り消すことは労基法違反となるからですが、取引先の期待にも応えたい・・・どうすれば・・・(一一")
そこで今回は、突発的な案件が発生した場合の年休取り消しの問題に会社としてどのように対応すべきなのか詳しく確認していきたいと思います。
「国内出張はいいけれど海外出張は危険だから行きたくない、という社員がいます。業務命令違反ということで、懲戒処分にしても問題ないですか?」
いろんな人がいて、いろんな考え方があり、その対応に悩まされる・・・ということで、いろんなご相談をいただくわけですが、そのなかで出張にまつわるものもあります。
出張とは、働く場所である勤務地の変更をいいますが、一時的な勤務場所の変更であり、社員に対する指揮命令権には変更がありません(←転勤との違い)。
ただ、海外出張は国内出張と比べて働く環境が著しく異なり、社員本人やその家族に対する影響が大きいので、同じように考えるわけにはいきません。
そこで今回は、国内出張と海外出張の違いを踏まえ、海外出張を拒否する社員を懲戒処分できるのかについて確認していきたいと思います。
会社がセクハラの事実を把握するのは、本人からの直接の申告よりも、噂やなんとなくの雰囲気から周囲が察知→周りの人が人事・総務部へ相談、という流れが多いようです。
たとえ噂レベルであってもセクハラの問題を察したときは、人事・担当者の耳に入れて対策を講じることが、事態を打開するポイントとなります。
(パワハラ・セクハラ・マタハラ等は複合的な問題として生じることもあるので、今では一元的に対応できる相談体制を考えないといけないかもしれません。)
職場のセクハラについては、男女雇用機会均等法により、会社にその対策(やらないといけないこと)が義務付けられていますが、今回は逆の視点から、セクハラの申告があったときに会社がやってはいけないことについて、確認していきたいと思います。
この記事のタイトルをご覧になって、どうも腑に落ちない、なんだかひっかかると思われる方もいらっしゃるかもしれません。
「ワークとライフ、仕事とプライベートのどちらかなんて選べない、そんなのどっちも大切に決まっているよ!」といった意見は、いまの時代ではとても多いでしょう。
とはいえ、会社の残業命令(ワーク)に社員が「NO」を突き付け、自分の都合(ライフ)を優先させる・・・なんていうことはできるのでしょうか?
なぜなら、就業規則に時間外労働のあることが規定されており、かつ、36協定が結ばれていれば、原則として社員はこれに応じないといけない義務があるからです。
そこで今回は、仕事と私用のどちらが優先するのか、詳しく確認していきたいと思います。
「ヤバっっ!新年度のバタバタで36協定の手続きをスッカリ忘れていた!!気がついたら有効期間(←いつも締結している日付)をだいぶ過ぎている!!((((;゚Д゚))))
・・・36協定って日付をさかのぼってもいいのかな?」
企業の総務部や人事部の担当者にとって、背筋が凍りつく瞬間です。なぜなら、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて社員に時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結と労基署への届け出が必要だからです。
冒頭のような事態が発生しないに越したことはないのはもちろんですが、あとでカバーすることが可能なのかどうかは、気になるところではないでしょうか。
そこで今回は、36協定の日付を遡及しても有効になるのか、詳しく確認していきたいと思います。
お客様各位
日頃は当事務所のコンサルティングをご利用いただき、誠にありがとうございます。
2022年4月1日(金)より、下記のようにコンサルティング価格を改定させて頂きます。
つきましては、2022年4月1日以降の新規のご契約・更新のご契約にかかるご請求については改定後のコンサルティング価格となりますので、予めご確認いただきますようお願いいたします。
今後もより良いコンサルティングを継続してお届けし、お客様にご満足いただけるよう努めてまいります。
何卒ご理解のほどお願い申し上げますとともに、変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。
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「最近入った社員は乱暴な発言やふるまいがあるトラブルメーカーです。周囲からも反感を買っています。うちの試用期間は3か月ですが、さらに様子をみたいので、延長しても法律的に構いませんか?」
通常、企業では試用期間といういわばテスト期間を設けて、その間に実際の働きぶりや言動をチェックして、最終的に社員として雇用するのかを決定しています。
採用面接だけでは、その人の資質、性格、スキルなどが社員としてふさわしいかどうかを適切に判断できないからです。
とはいえ、試用期間は労働契約という合意にもとづくものであるので、会社側の一方的な意思で試用期間を延長することはできません。
そこで今回は、試用期間の延長はどんな場合に認められるのか、また試用期間における協調性のない社員への対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社の就業規則には“法定労働時間”と“所定労働時間”というワードが出てくるのですが、違いはなんですか?」
言葉は似ていても、“法定労働時間”と“所定労働時間”の意味合いは全く異なります。
36協定の時間外労働の制限の適用も、法定労働時間を超えた時間が対象なのであって、所定労働時間を超えた時間ではありません。
長時間労働は社会的な問題(過労死など)ですし、ココロとカラダの健康管理やワーク・ライフ・バランスの観点からみても、労働時間マネジメントの基礎的事項を押さえることは、ビジネスパーソンとしての必須課題といえます。
そこで今回は、“法定労働時間”と“所定労働時間”の違いとはどんなことなのか、詳しく確認していきたいと思います。
「うちのパート社員は、朝の10時から夕方の4時までの勤務です。残業が発生することもあります。子育てママさんが、きっちり4時に帰りたいので昼休みをナシにしてその分働きます、と言ってきました。法律的に問題はないでしょうか?」
社内の子育て世代のため、会社としてできるだけ柔軟な対応をとっていきたいとのことで、家事・育児と仕事の両立サポートについて、ご相談をいただくことがあります。
休憩は、所定労働時間が6時間以下であれば与えなくてもいいですが、残業によってその日の労働時間が6時間を超えた場合には与える必要があります。この労基法上の決まりを考慮に入れて、会社の対応を考える必要がありますよね。
そこで今回は、所定労働時間6時間のパート社員への休憩時間の与え方について、詳しく確認していきたいと思います。
「ある社員に転勤を打診すると、病気を理由に拒否してきました。持病のある社員に転勤命令を出すのはダメなのでしょうか」
病気の社員に対して勤務地を変更する配転を命じるということは、会社による転勤命令権の濫用にあたってしまうのか?というのが、このご相談のキモです。
会社は社員に対して健康配慮義務を負っているので、上司としてそのあたりを心配されたご様子でした。
自分の部下が実は病気を抱えていて働いていた、という事実を知ってショックなのに、さらに転勤命令の有効性を考えると、どんな対応をとるべきなのか?と悩んでしまいますよね。
そこで今回は、転勤命令の有効性とともに、会社として病気の社員に対する転勤命令をどう考えるといいのか、詳しく確認していきましょう。
「当社ではもうすぐ年休の起算日がやってきます。育児休業中の社員がいるのですが、新規分の年休は発生するのでしょうか?それなら、育休中でも年休が取れるということですか?」
年度末に向けて、職場のメンバーの年次有給休暇の取得状況を正確に把握しようと、管理簿と向き合っている人事総務部の方もいらっしゃるでしょう。
育児休業中の社員について、年休の扱いをどのようにすればいいのか?と疑問に思われた担当者の方からご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、そもそもの年次有給休暇の付与要件を確認するとともに、育児休業と年休の関係について、くわしく確認していきたいと思います。
「勤務時間の自己申告制をとっている部署がありますが、実際は記録よりも遅くまで働いているようです。会社として正確な労働時間を把握するために、社員のパソコンの起動・終了時刻をチェックしようと思うのですが、本人たちに無断でやって問題ありませんか?」
労働時間の「自己申告制」は、社員に労働時間を自主的に記録させて、どれだけ働いたのかを自己管理させる方法です。ただ、いつの間にか労働時間が長くなる傾向があり、管理職や人事担当者には、本人にまかせっきりにしないで労働時間をきちんと把握することが求められます。
そのため、冒頭のようなご相談をいただくわけですが、「プライバシーの問題が発生するのでは?」と、みなさん不安に思われるようです。
そこで今回は、社員の労働時間の把握をしっかり行うため、会社側が社員のパソコンを無断でチェックしてもいいのか問題について、確認していきたいと思います。
「年末に退職する社員が、退職日までの分の給与を年明けすぐに支払ってほしいそうです。年末年始は何かと物入りなので給料日まで待てないらしく。そのとおりにしないといけませんか?」
年末年始はお休みで給与計算や経理業務の事務処理スケジュールはどうしても通常よりはタイトになります。そのさなかに退職する社員からの要望。担当者が「え~~っマジ?!」とプチパニックに陥ってもおかしくありません。
ですが、退職時の賃金にまつわる問題はちょっと注意が必要です。なぜなら労基法では、退職者の給与の支払いを迅速に行うことを会社に義務づけているからです。
そこで今回は、退職時の賃金について退職者から「はやく支払って」との要望があった場合に、どのように対応するべきなのかについて確認していきたいと思います。
「給与を3つの口座に分けて振り込んでほしい、と社員からお願いされました。マイホーム購入のためうまくお金を貯めたいそうですが、法律的に社員の希望通りにしないといけませんか?」
給与の振込先の取扱いは、地味なようで、実は会社の担当者が対応に悩まされる問題のひとつだと思います。担当者としては、事務処理の効率化を第一に考えたいものです。ミス防止のためややこしい事務手続きは極力避けたい・・・のがホンネでしょう。
上記のようなご相談をいただくこともあるのですが、たとえ事務処理が煩雑になろうとも、社員さんの要望を会社として聞き入れないとダメなのでしょうか。
そこで今回は、貯金したい社員さんの希望通りに、会社は3つの口座に分けて給与を振り込むべきなのか、について確認していきたいと思います。
「定年を迎えた社員をパート社員として再雇用するとき、正社員時代に消化できなかった年休の残りをリセットしてはダメですか?それとも繰り越すものですか?」
定年退職者をパート社員や嘱託社員として再雇用した場合、未消化の年休についてどのように対応すればいいのか、とのご相談です。
形式的には、正社員時代の労働契約とその後の労働契約は別のものなので、年次有給休暇の付与日数に迷われるケースは多いのではないでしょうか。ズバリ、判断のポイントは「継続勤務なのかどうか?」です。
そこで今回は、定年後の再雇用者に正社員時代での未消化の年休を与えないといけないのか、それともリセットしていいのかについて、確認していきたいと思います。
「当社では、賞与の支給日に在籍している社員にのみ賞与を支給しています。この要件は定年退職者にも適用されるものでしょうか?」
賞与の支給にあたって、このようなご相談をいただくことがあります。
自己都合で辞める社員については、支給日に在籍していないということで賞与が支給されないのは仕方のないことだと思うけれど、定年退職者は自分の意思で退職するわけではないのに、同じように扱っていいのものだろうか・・・と疑問に思われたようです。
そこで今回は、そもそも賞与の支給日在籍要件とはどのようなことなのか、そして定年退職者にも適用されるかについて、詳しく確認していきたいと思います。
当社の就業規則に「業務上の都合により会社は配転、出向、転籍を命じることがある」と記載されている。ということは、よその会社への転籍も業務命令ということで会社が一方的にやってもいいということ?
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人事部のAさん、仕事のなかで就業規則を見直していると、ふと疑問を覚えました。転籍とは、今までの会社(転籍元企業)の社員としての地位を失って、他の企業に雇用されるものです。
社員の人生に大きな影響を与えることなのに、「転籍を命じることがある」というような就業規則の規定(包括的同意といいます)だけで、あっさりと社員を転籍させていいものなの?・・・と感じたようです。
そこで今回は、他社への転籍をめぐる問題について、詳しく確認していきたいと思います。
「来年のカレンダーを確認すると、当社の創立記念日と日曜日がかぶっています。こんな場合、どっちの休みになるのでしょうか。祝日のように振替えないとダメでしょうか?」
次年度の年間カレンダー(会社の営業日)を考えるにあたって、このようなご相談をいただくことがあります。
毎週日曜日を労基法上の休日と定めている場合、その日と創立記念日のような特別休日が重複した場合、その日は法定休日になるのか、それとも特別休日なのか、疑問に思われるのは当然のことだと思います。
そこで今回は、特別休暇(創立記念日など)と労基法上の休日が重なった場合、どちらが優先されるのか、詳しく確認していきたいと思います。
商品到着の遅延で売り場に陳列できず、何もすることがない。やっと商品が搬入されてきたら、「昼休憩の時間だから」とパートさんもアルバイトくんもランチに行ってしまった。午前中は何もすることがなかったのだから休憩しているのと同じでしょ。私ひとりで陳列することになって・・・"(-""-)" (小売業 リーダー職26歳 談)
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商品の到着を待っている時間は、休憩時間と同じようなものなのだから、その分ランチ休憩を削って商品の陳列を優先してほしい・・・というのが、リーダー社員の心の叫びです。その気持ちはよく分かりますが、休憩時間かどうかの判断基準に注意しなければなりません。
というも、休憩時間とは単に作業に従事しない時間をいうのではないからです。
そこで今回は、商品の到着を待つ時間を休憩時間としていいのか、休憩時間かどうかの判断基準について詳しく確認していきたいと思います。
「現在の就業規則では、“休職期間の満了時になお休職事由があるときは退職とする”とありますが、そんなのかわいそうじゃないですか?」
就業規則を見直すためのコンサルティングで、このようなご質問をいただくことがあります。休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然休職が解除されて復職となりますが、問題は休職期間が満了しても復職できない場合です。
結論から申し上げると、そもそも休職とは解雇を猶予する措置をとる制度なので、休職期間が満了しても復職できない場合について、冒頭の例のようにあらかじめ就業規則に明記しておくのが望ましいといえます。
とはいえ休職制度の趣旨についてあやふやな理解でいると、休職中の社員に適切ではない、曖昧な態度をとってしまいがちです(後になっていざこざの原因になります)。
そこで今回は、休職期間満了による自然退職は有効なのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「仕事が終わっているのに同僚らと雑談しているのか、タイムカードの打刻時が終業時刻よりだいぶ後の社員がいて対応に困っています」
コンサルティングでタイムカードの打刻にまつわるお悩みを伺うことがありますが、実は、これは注意してあたらないといけない案件です。
というのも、「部署の懇親会のため(タイムカードの打刻が遅くなった)」「社内の部活動のため」「本人の私用によるため」といったことを会社側が立証しない限り、タイムカードの打刻時近くまで働いていたものとして取り扱わなければならないからです。
このことから会社は、社員の労働時間マネジメントをしっかり行わなければならないことがわかります。
そこで今回は、タイムカードの取扱いで問われる会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「企業秘密を社員が漏洩した場合に損害を賠償させることがある、ということを就業規則に規定するのは法律的にアウトですか?」
リスクマネジメントのため、会社の秘密情報と個人情報を適正に管理する体制づくりはどんな会社でも大切です。
(たとえ小さな規模の会社であってもです)
ご相談内容のキモは、社員に自覚を促すべく損害賠償について就業規則に明確化しておきたいけれども、労基法16条の「賠償予定の禁止」に違反しないか?ということです。
企業防衛のために秘密事項を幅広く保護することは、これからの時代においてますます重要になってくるでしょう。
そこで今回は、秘密事項を漏洩した場合に損害賠償を求めることは有効なのか、労基法16条との関係について確認していきたいと思います。
「当社の現在の就業規則では、懲戒解雇について“予告期間を設けることなく即時解雇する”と書いてあるのですが、30日分の解雇予告手当は必要ないのですか?」
就業規則を見直すためのコンサルティングにおいて、このようなご質問をいただくことがあります。
懲戒解雇は、社員の秩序違反行為に対するペナルティーとして最も重いものであり、悪質な場合に課せられる最上級の処分です。なぜなら、解雇することで社員としての身分を消滅させる懲戒行為だからです。
そのため、懲戒解雇は「即時解雇」として解雇予告期間をおかないのが通常ですが(もちろん、事案の性質、その事案を起こした動機、その影響の程度、本人の弁明を聞くなど慎重な配慮が必要です)、たしかに「30日分の解雇予告手当」との関係は気にかかるところですよね。
そこで今回は、懲戒解雇イコール即時解雇とすることに問題はないのか、無効とならないのか、詳しく確認していきたいと思います。
「入社試験のときに健康診断を実施しないといけないのですか?」
コンサルティングのなかで、このようなご質問をいただくことがあります。就業規則において、採用選考時に履歴書や職務経歴書とともに健康診断書(3か月以内に受診したもの)の提出を求めることが規定されているので、疑問を感じられたようでした。
労働安全衛生法では「雇入時の健康診断」について規定していて、会社に対して安全配慮義務を課している(罰則付き)ので、どうもややこしくなってしまいがちです。
というのも、雇入時の健康診断について「労働者を雇い入れるときは(行わなければならない)」としていますが、採用選考時に実施することを義務付けたものではないからです。
そこで今回は、採用時における健康診断で気をつけるべき点について確認していきたいと思います。
内定式を10月1日以降に行う企業は多いと思いますが、今年はコロナの影響がある中、会場に集まる形式にするか、オンライン開催にするのか、中止にするのか悩まれたのではないでしょうか。
内定式を経た入社予定者に対して、実際の入社日までに入社前研修を実施しようとする企業もあるかもしれません。
そこでよくご相談をいただくのが、入社前の研修に参加する者に対して給料を支払わないといけないのか?という問題です。
もし給料の支払い対象となるのなら、その額をどう設定すればいいのか、時間外割増賃金も必要となるのか、などなどお悩みは深くなるようです。
そこで今回は、入社前の研修と給料支払いの関係について確認していきたいと思います。
母校である大阪府立大阪女子大学の同窓会斐文会よりご依頼いただき、斐文会報367号(2021年10月10日発行)に寄稿しました。
大阪女子大学は大阪府立大学と大阪府立看護大学とともに、2005年4月に統合・再編され、いまの公立大学法人大阪府立大学になりました。さらに来年の4月には大阪市立大学との統合によって、大阪公立大学(公立大学としては日本最大の規模だそう)になるそうで、時代の流れを感じます。
そんななか、卒業生相互の親睦を図り、母校の発展のため活動を続けておられる同窓会事務局の方々には頭が下がります。
卒業生の現在の活動を紹介するコーナーにおいて、「社会保険労務士、セミナーなどの活動を中心に自由に執筆してください」とのことでしたので、学生時代に思いを馳せながら書きました。
当社では、新卒でも中途でも正社員採用の場合は、3か月間の試用期間を設けています。パート社員を正社員に登用することを考えているのですが、この場合も試用期間を設けるものでしょうか。
試用期間について就業規則に規定があるので、適用するべきなのか判断に迷います。
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パートの戦力化のため、正社員登用制度を導入する企業もみられます。ある程度の責任を伴う仕事を任される正社員をめざす選択肢があるというのは、働き手のモチベーションアップにつながるからです。
そのため、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、パート社員から正社員に登用した場合に試用期間はどうなるのか、設けるべきなのかについて確認していきたいと思います。
当社では午前の半日と午後の半日の労働時間が異なるので、それに合わせて半休を設定しています。
午前のほうが短いので「午前半休は午後半休より損」との不満も聞きますが、「家族の通院の付き添いなどで午前半休はありがたい」といった声もあり、いっそ半休は午前休だけ取れることにしてはダメですか?
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年休を取得しやすい環境を整えようとする経営者や人事担当者からご相談をいただきます。中でも、半日単位年休は「日単位年休」のなかでの任意の制度なので、どこまで自由に運用を決めてもよいのか?と、判断に迷われるケースは多いようです。
そこで今回は、半日単位年休の取得を午前中に限定してもよいのかどうかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「新入社員には、配属先がどこであっても、まず工場勤務からスタートしてもらいます。当社の製品をよく知ってもらうための、いわゆる工場実習です。本社採用であっても1年程度の工場勤務があるわけですが、このことについて労働契約時に明示しておかないとダメですか?」
新人研修の一環として、現場での実習を行う企業もあるでしょう。工場などでの現場研修が終わると、本社採用者は本社に戻ります。
そのため、労働契約時に明示することが義務付けられている「就業の場所」「従事する業務内容」は本社に関するものだけでいいのか、それとも研修とはいえ現場での勤務についても明示するべきなのか?と判断に迷われるようです。
そこで今回は、本社採用者にも現場での勤務があることを労働契約時に明示しておくべきなのか、について確認していきたいと思います。
取引先への納品スケジュールが迫っているので、休日出勤の必要性を担当部署に伝えたところ、ある社員から「その代わりにいついつに代休をとります」との返答がありました。
当社では代休の前例がなく、その旨を伝えると、「ふつう、休みの日に出勤すれば代休ってとれますよね?」とのこと。中途入社の社員なので、以前勤めていた会社では代休制度があったようです。周りにいた社員も「代休がないうちの会社って変なの?」とザワついて、対応に困ってしまいました。
(※ここでの「休日出勤」とは、法律上の休日労働のことをいいます)
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休日労働と代休をめぐる社内の問題、コンサルティングをしているとよく伺います。
労基法では代休についての規定はなく、代休を付与するかは企業の自由なのですが、「会社の義務」と誤解されているケースは多いようです。
そこで今回は、社員は一方的に代休とることができるのか、会社はそれに応じないといけないのか、確認していきたいと思います。
「顧客の都合でどうしても当社のフレキシブルタイムに重要案件の打ち合わせが入ってしまったが、法的にいいのだろうか?」
フレックスタイム制には通常、コアタイムとフレキシブルタイムの時間帯があります。コアタイムは必ず勤務しなければならない時間帯なので、ここに会議や打ち合わせを予定するのはノープロブレムです。
ただ、フレキシブルタイムは社員が自由に出勤・退勤の時刻を選択できる時間帯なので、会社側が「会議や打ち合わせに参加しなさい」と、時刻を指定しての勤務命令はできないのでは?との疑問が浮かんできます。判断に迷われる管理職の方も多いでしょう。
とはいえ、仕事の都合上やむをえない事情で取引先が来社することはありえますし、その時間帯がフレキシブルタイムだから担当者は不在、というのでは会社の対応として合理的とはいえませんよね。
そこで今回は、フレキシブルタイムに会議や打ち合わせを予定することに問題はないのか、会社がとるべき対応についてみていきたいと思います。
「新幹線や在来線を使う地方への出張が社員から敬遠されがちです。日帰り出張では帰宅時間が遅くなるのに残業代も出ない、といった不満を聞きます。訪問先の都合から時刻指定で乗車してもらうこともあるので、移動も労働時間としてカウントするべきでしょうか」
交通機関に乗っている時間を労働時間としてカウントするのか?というご相談はよくいただきます。出張で遅い時間に帰ってくるのに、残業代を出さなくていいのだろうか・・・と後ろめたく思われる管理職や人事担当の方もなかにはいらっしゃるようです。
出張の疲れによる社員さんの愚痴を聞くと、どうしてもそう感じてしまうのが人情というものですよね。ですが、まず大切なのは労基法上ではどのように取り扱うのか?について正確に把握することです。
そこで今回は、出張中において単に交通機関に乗っているだけの時間は労働時間としてカウントされるのか、確認していきたいと思います。
当日の朝の電話で欠勤した社員。あとで「年休で処理してください」と言ってくる。毎回「病気なんだから当然でしょ」といった態度がなんだかなあ。仕事の段取りをつけて計画的に年休をとる人との差が・・・。会社として病欠を必ず年休に振り替えないといけないもの?
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こういった年休取得にまつわるお悩みを、企業の人事担当の方からよくご相談いただきます。ご相談のキモは「病気による欠勤日を後日年休に振り替えることができるのか」ということです。
法定の年休を社員が権利として取得できるのは、あくまでも事前請求が要件となっているからです(事前とは前日の終業時刻より前ということです)。
そこで今回は、社員は当然の権利として欠勤日を後日年休に振り替えることができるのか、そして会社は後日の年休振替を行わないといけないのか、確認していきたいと思います。
「採用面接では、勤務を希望する支店や担当部門などを聞いています。なるべく希望通りの配属にしたいからです。
入社2年目の社員に支店への異動を打診したところ、『本社勤務だから入社したのに』と不満げな反応でした。採用面接で聞いた希望の勤務場所から異動させるのはダメなのですか?」
採用面接のときに希望する勤務場所や仕事内容を聞くことで、勤務場所や職種を限定した採用になるのか?というのが、このご相談内容のキモです。
職種や勤務地を限定して採用した場合、職種変更や限定勤務地外への転勤には本人の同意が必要となるからです。
採用面接時の聴取だけでなく、求人広告に募集する職種や勤務場所を記載するのはよくあることです。そのため判断に迷われることは多いようで、ご相談をいただきます。そこで今回は、勤務場所や職種について、採用面接時に希望を聞いたり、求人広告で職種・勤務場所を明示すると「勤務場所・職種の限定」となるのか、確認していきたいと思います。
「療養中の社員が復職前にリハビリ出勤を希望しています。リハビリ出勤で出社した場合、通常の給料を支払うものなのでしょうか。リハビリ出勤中にもしケガでもしたら、労災は適用されるのでしょうか?」
正常な勤務ができるまでには健康状態が回復していない社員を対象に、短時間の出勤や軽作業などからはじめ、リハビリ的な働き方で復職の支援を行う(試し出勤制度)企業もあるでしょう。
このリハビリ出勤の制度について、厚労省は「処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等あらかじめ労使間で十分検討すること」として、法的な位置づけは明らかにしていません。
そのため、社員の病状の回復につながるなら・・・という思いがある反面、会社として職場の受入れ態勢をどうすればよいのか不安だと、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。
そこで今回は、給料面をはじめリハビリ出勤の取扱いをどのようにするといいのか、確認していきたいと思います。
「自分の生活スタイルを崩したくない、との理由から変形労働時間制で働きたくないという社員がいます。プライベートを持ち出されると強く言えず、これを認めないといけないのでしょうか?」
感染症対策と経済活動の両立を図るため、法定労働時間の柔軟な枠組みをめざす変形労働時間制を職場に導入するケースもあるでしょう。
業務の繁閑にあわせて労働時間の効率的な配分を行い、全体として労働時間を短縮することができるからです。
そんな会社側の思いとは裏腹に、変形労働時間制のもとで働きたくない社員が出現すると、対応に戸惑ってしまいますよね。その理由を真摯に聞けば聞くほど、「会社として何か配慮が必要なのか?」と悩まれる人事担当者の方もいらっしゃるようです。
そこで今回は、変形労働時間制で働きたくない社員を会社は認めないといけないのか、その対応について詳しく確認していきたいと思います。
「契約社員を新しく採用することになりました。“契約更新による有期雇用期間の限度は最長5年間まで”とするのは、法律的に問題ありませんか?」
かつては、有期労働契約を更新するときに法律上の制限は何らなく、会社と働き手の当事者間にゆだねられていました。ですが、今は法律によって5年を超える有期労働契約の更新について、働き手に無期転換申込権が発生します。
そのため、有期労働契約の更新について、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。
企業が人材を有期で雇用するのは、終身雇用の正社員を解雇するのが法律的に厳しく規制されるなかで、景気変動への対応のため雇用調整する必要があるからです。無期雇用転換によって、雇用調整にまつわるトラブルを避けたいと考える企業も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は5年を超える契約更新はしないとすることは有効なのか、そして注意するべき点について詳しく確認していきたいと思います
「ランチは、午前の仕事をあらかた片付けてから、自分のペースでとりたい」
「平日に出勤するよりも、休日のオフィスの方が落ち着いて仕事ができるので、休日に出勤して仕事したい」
フレックスタイム制が導入された職場では、このように“休憩も休日も自由に自分で決めたい”との声が上がることは想像に難くありません。
ですが、フレックスタイム制は、始業・終業時刻のみを社員が自分で決める労働時間制なのであって、休憩や休日についてはフレックス制とはなっていません。
とはいえ、たとえば11時30分に出勤してきたフレックスタイム社員に対して、ほんの30分後に「昼休憩は12時から1時間と決まっているので必ずランチにしてください」というのも現実的ではなく、柔軟性に欠けますよね。
そこで今回は、フレックスタイム制で休憩時間や休日をどのように運用すると、フレックス制のメリットを活かすことができるのかについて、みていきたいと思います。
「社員が出向していた期間は、退職金を計算するにあたって、在職年数に通算されますか?」
退職金の計算は、一般的に「基本給×在職年数×一定係数(人事評価などよる)」といった方式によることが多く、冒頭のようなご相談をいただくことがあります。この計算式をみても明らかなように、在職年数は退職金の金額に少なくない影響を及ぼすからです。
退職金は、法律上必ず支給しなければいけないものではありませんが、就業規則によって退職金制度を規定している企業は多いでしょう。「社員が定年するのはまだまだ先だ・・・」と思いたいところですが、現実的には中途退職が一定の割合で発生しますから、いざ社員の退職時になって慌てないようにしておきたいですね。
そこで今回は、出向期間は退職金の算定における在職年数に通算されるのか、また退職金はまとまった金額となりますから、出向先企業にも退職金の負担を求めることができるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「1年契約の契約社員について、最初の3か月間を試用期間にしても法律的に問題ありませんか?」
勤務態度の悪い人は3か月で契約解除にしたいが、かといって優秀な人に3か月で辞められるのは困る・・・ということで、試用期間の設定について、ご相談をいただきます。
試用期間中の労働契約は、一般的には「解約権留保付の本採用契約※」と考えられています。採用時の面接だけでは企業側のチェックが難しいからです。(※社員として不適格とジャッジしたときは解約できる権利が留保されている労働契約)
とはいえ、法律でいろいろな制約が課されているので、解雇は簡単にはできません。
そこで今回は、1年契約の契約社員(1年間の有期雇用契約)について、最初の3か月間を試用期間にすることができるのか、詳しく確認していきましょう。
「みなし労働時間制にしても、結局上司が部下の労働時間を把握しないといけないなら、意味なくないですか?」
会社は常に労働時間を把握して、社員にいま何時間働かせているのか、法律上で許されるタイムリミットまであと何時間なのかを知っておかなければなりません。労働時間にまつわる法律の規定に違反してはいけないからです。
とはいえ、オフィスを出てセールスする営業職などでは、労働時間の算定が一般的に難しいため「みなし労働時間制」をとるわけであって、それなのに社員の労働時間を把握しないといけないのなら、「どうしろというんだ」という気持ちになりそうです。
そこで今回は、みなし労働時間制をとっている場合でも、会社には労働時間を把握する義務があるのかどうか、詳しく確認していきましょう。
「会社には社員に対する安全配慮義務があるとはいえ、社員のうっかりした危険な行動までも会社だけの責任になってしまうのですか?」
安全配慮義務とは、企業が人材を採用するときに特別なとりきめをしなくても、労働契約に付随する義務として、「安全衛生上の管理をきちんとして社員を労働災害から守って働かせます」と約束することです。
とはいえ、冒頭の疑問のように、労働災害は社員の行動や作業動作などを抜きにしては発生しません。
つまり、労働災害を防止するには、社員にも自ら行動を律し、安全を遵守することが求められます。
そこで今回は、社員に求められる自己安全義務と健康保持義務とはいったいどういうことなのか?について、詳しく確認していきたいと思います。