新入社員の親が就業規則の閲覧を要求してきます

ページがめくられた本のうえにいちじくのショートケーキが置かれている。傍らにクリスマスローズの花。ベリーののったムース。

「労働条件の通知に〇〇の記載がないが、どうなっているのか。確認するために就業規則を見せてもらいたい。そもそも就業規則は社員に渡すものじゃないのか?

 

新入社員のAさんの親御さんからの電話があり、対応に戸惑う人事担当者です。というのも、子の働く環境を心配してなのか、今回に限らずしばしば人事部に電話があるからで、対応する担当者も疲労困憊ぎみなのでした。

 

とはいえ会社で働くのは本人(子)であって、親は部外者ですから会社としてどのように対応するといいのでしょうか。

 

そこで今回は、新入社員の親御さんから就業規則の閲覧を要求されたとき、とるべき会社の対応について詳しく確認していきたいと思います。

社員の親に就業規則を渡さないといけないの?

木製のテーブルに置かれたノート、イヤフォンケース、イヤフォン、スマートフォン、カフェオレのグラス。

労基法第106条では、会社による就業規則の周知義務を定めています。

※(注)「労基法第106条の方法による周知」とは、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付すること等の方法によって、社員に周知することです。

 

就業規則が有効となるには、合理的な労働条件を定め、その内容を社員に周知していることが必要です。とはいえ、就業規則の効力発生要件としての周知方法は、必ずしも労基法第106条の定める周知方法と同一の方法による必要はなく、ケースバイケースで適した方法によって社員一般に知らされていれば有効となります。

 

入社時に就業規則を配布する企業もあり(大企業に多い)、冒頭の例の新入社員の親御さんが勤務する会社ではそうなのかもしれません。

 

そのため、「そもそも就業規則は社員に渡すもの」ということで配布を求めたのかもしれませんが、就業規則の配布は法律で義務付けられているものではありません。あえて、親御さんの要求(就業規則の配布)に応じる義務は会社にはありません。

親御さんへの会社としての対応はどうなる

ノートパソコンのキーボードの上に置かれたグラフの資料。傍らに手帳。

子の働く環境が心配だからとはいえ、自社の社員でもない親御さんがアレコレ口を出してくる・・・会社としてどのように対応するべきでしょうか。

 

そもそも会社に入社するということは、会社との間で労働契約を結んだということです。労契法により、労働契約とは「社員が会社に使用されて働き、会社がこれに対して賃金を支払うことについて、社員と会社が合意することによって成立する」ものとされています。

 

このように労働契約は会社と本人の間において結ばれるものなので、会社が直接親御さんに対応するのではなく、あくまでも社員である本人(子)を通じて対応するという方法をとって何らの問題もありません。

 

会社と本人との間で労働契約が成立すると、社員として企業組織に組み入れられ、職場秩序に従い、会社からの指揮命令を受けて働くことになります。たとえ親が口を挟んでこようとも、学校を卒業したばかりの新入社員だとしても、ひとりの社会人としてこのような自覚もってもらうことが必要です。

 

よって、社員本人から親御さんに対して説明してもらう、また説得してもらうということを会社として心掛けるようにしたいところです。

 

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社員の親御さんからクレームめいた電話があると、企業としてどのように対応すればわからず、振り回されてしまうこともあるかもしれません。

 

本文でもお伝えしましたが、あくまでも会社が労働契約を締結しているのは本人(子)なので、労基法や労契法が定めるキホン(原理原則)に立ち返り、シンプルに物事を考えるようにしたいですね。

ガーデンテーブルにいちごジャムの瓶、いちごが盛り付けられた器。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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