ノンアルコール飲料を飲みながら残業している社員がいる。定時を過ぎたらお酒でリラックスしながら仕事をしたいが、それはさすがにマズイので、ノンアルコール飲料で気分だけでも味わいたい・・・ということらしい。それでもどうかと思うので注意すると「お酒じゃないのになんでダメなんですか?」と悪びれる様子もなく・・・
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酒税法では、アルコール分1%(1度)以上の飲料を酒類と定義しています。
ノンアルコール飲料は、アルコール度数が1%未満の飲料をいうので、確かにお酒ではないけれど、パッケージはお酒と似ているし、仕事中に飲むのは職場の風紀上良くない、と考える人事担当者さんです。
「お酒じゃないから仕事中に飲んでも良い」といった雰囲気が職場に広がらないよう、就業規則で禁止し、違反者には懲戒処分を行うということにしてはどうかと悩んでいます。
そこで今回は、ノンアルコール飲料を飲みながらの仕事を就業規則で禁止し、違反者を懲戒処分できるのか、詳しく確認していきたいと思います。
就業規則でノンアルコール飲料を禁止できるの
企業が存続し、事業を円滑に運営していくために、企業秩序は必要不可欠といえます。社員は、労働契約を締結して会社に雇用されることによって、会社に対して労務提供義務を負うとともに、これに付随して企業秩序遵守義務その他の義務を負うものとされています。
そこで会社が、就業規則において服務規律を明確に定めれば、これが会社のルールつまり労働契約の内容となり、これに従うこと自体を業務命令とすることができます。
では、「職場でアルコール飲料を飲みながら仕事すること」について、どのように考えるとよいのでしょうか。
ノンアルコール飲料はアルコール度数が1%未満の飲料を指すため、酒税法における「酒類」には該当しません。とはいえ、ノンアルコール飲料はお酒のような飲用シーンや満足感を想定して造られた飲料であり、主に甘味による満足感を得るための飲料であるジュースとはコンセプトが異なります。
また、ノンアルコール飲料はパッケージが酒類とよく似ているので、それを職場で仕事をしながら飲んでいるところを他の社員が見た場合、変な誤解を生んでしまう可能性もあり得ます。
前述の通り、アルコール度数が1%未満の飲料は酒税法における「酒類」にはあたらないため、子どもが飲んでも法律上問題はありませんが、メーカー側は酒類に準じて未成年者等の飲用を推奨していません。
このような社会的な背景から、職場で仕事をしながらのノンアルコール飲料の飲用を禁止することは、職場の風紀、企業秩序を守るために必要かつ合理的であるといえます。
服務規律違反と懲戒処分
服務規律によって維持される会社の秩序は、懲戒処分によってその実効性が担保されることになります。ですが、服務規律違反があったからといって、会社は当然に懲戒処分ができるわけではないことに注意が必要です。
会社が社員を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことが必要であり、その就業規則の内容を社員に周知させる手続きを取っておかなければなりません。
そして何より、処分の相当性(懲戒処分と服務規律違反とのバランスがとれていること)が有効要件となります。職場でのノンアルコール飲料の飲用を禁止した場合の違反については、企業秩序違反としては軽微なものといえます。
まずは違反者に対して注意・指導を行い、それでも行為をやめない場合に懲戒処分の対象となり得るでしょう。基本的に軽微な服務規律違反であるので、戒告、けん責といった軽い処分から行うことが相当といえます。
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服務規律は、基本的には「社員のあるべき姿」を示すものです。そのため、「禁止事項(やってはダメ)」ではなく「遵守事項(こうしてね)」とした表現のほうが、社員にグッと伝わりやすくなります。
「職場で仕事をしながらのノンアルコール飲料の飲用を禁止」することについては、たとえば下記のような定め方が考えられます。
【就業規則における服務規律の記載例】
・社員は次の事項を遵守しなければならない。
1) 職場(就業時間・休憩時間)でのノンアルコール飲料の飲用は避けること
2) ・・・・・
3)・・・・
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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