うちでは経験者・既卒者の中途採用ばかりだったが、今年は新卒採用を行うことに。さっそく学生さんから卒業生訪問の問い合わせがあり、出身校が同じ社員に対応を打診した。すると「終業後なら対応可能ですが、もちろん業務扱いで残業代つきますよね?」との返答。・・・こういうのって、同窓のよしみでボランティアというわけにはいかないの?
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新卒採用に伴う卒業生訪問、社員には同窓のよしみで特別に対応を引き受けてもらえると思っていたため、その反応に面食らう上司です。
学生さんと気軽に雑談する程度で、残業扱いになる(労働時間にカウントされる)の?との思いがあります。
そこで今回は、卒業生訪問の対応は労働時間にカウントされるのか、その判断ポイントについて詳しく確認していきたいと思います。
労働時間にカウントされるとき
労働時間とは、「社員が会社の指揮下に置かれる時間」であり、会社から指示命令を受けて、会社の業務を行っている時間のことをいいます。
卒業生訪問は、学生の就職活動において、希望する業界や企業で働く先輩から仕事の実情や本音を聞くための活動ですが、対応する社員にとってそれが職務内容そのものまたは職務内容と密接に関連するものの場合、対応が命令されていれば会社の指揮監督下にある労働時間となります。
そのため、卒業生訪問の対応が所定労働時間内である場合はもちろん、所定労働時間外でも労働時間にカウントされることになります。
また、卒業生訪問について対応するかどうかは社員の自由裁量にゆだねる(会社として指示・命令はしていない)としながらも、それに対応しないことについて何らかの不利益が定められている場合は、実質上対応を強制されることになるため労働時間となります。たとえば下記のような場合です。
- 卒業生訪問対応は自由裁量としながらも対応したかどうかのチェックを行い、対応していない場合は欠勤や早退扱いにする
- 賞与や昇格の評価で、卒業生訪問(対応は自由裁量)の対応状況が評価基準になっている
労働時間にカウントされないとき
卒業生訪問が社員の職務に関連するものであっても「対応は自由」とされていて、対応しなくても職務遂行に支障がないときは、指揮命令によって拘束されていることにはならないため労働時間にはあたりません。
社員に直接学生から卒業生訪問の申し入れがあり、社員が自主的に対応するなど、会社が卒業生訪問の対応を命令せず、また対応しなくても特に不利益を科すことがない場合は労働時間にカウントされません。
卒業生訪問が、社員の昼休みにランチしながら行われる場合もあるかもしれません。「ランチしながらなら世間話も多いだろうし、労働時間にあたらないのでは?」とのギモンが浮かぶかもしれません。
ですが「ランチしながらの卒業生訪問対応」について、前段でお伝えしたように、対応しなければ人事評価等でマイナスとなるといった強い不利益措置があるため対応せざるを得ないような場合は、労働時間に該当することになります。
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卒業生訪問においてパンフレットや説明会ではわからない「リアルな仕事内容」や「職場の雰囲気」を伝えると、入社後のギャップによる早期離職の防止につなげることができます。
企業側にとってもメリットの多い機会なので、卒業生訪問を新卒採用のために有効活用するなら、社員に業務命令として対応を指示することを検討するべきでしょう(=対応時間は労働時間と認めることになる)。
そして事前に目的を明確にし、丁寧な対応をするべく受け入れ体制を整備する(マニュアルの共有、社内機密など学生に伝えてはダメな情報の明確化など)ことが採用活動のカギを握ると思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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