今月末に地方支社へ転勤予定の社員から、転勤を取りやめたいとの申出があった。同居のご家族が急病で倒れられたそうだ。転勤を打診した際には、そんな兆候は全くなかったため、快く転勤の承諾を得ていたのだが・・・急なことで代わりの人材もいないし、どうすれば・・・
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転勤命令に同意を得ていた社員から、倒れた家族の介護のため転勤の同意を撤回したいとの申出があり、対応に戸惑う直属の上司です。
もうすぐ着任予定の地方支社では受け入れ態勢が整っていますし、代替の適切な人員の確保もままならず、このまま辞令を出したいところですが、法的に問題はないか判断に迷っています。
そこで今回は、急病による家族の介護のため転勤命令の同意を撤回したい社員をそのまま予定通り転勤させてよいのか、詳しく確認していきたいと思います。
育児・介護中の社員に対する転勤への配慮とは
育児・介護休業法では、会社に求められる育児・介護中の社員に対する転勤への配慮が規定されています。
子育てや家族の介護を行っている社員には、住居の移転などを伴う転勤によって仕事の継続が困難になったり、仕事と家庭との両立において著しい負担を強いられる場合があります。
そのため、就業場所の変更により働きながらの子育てや介護が困難になる社員がいるときには、その社員の子育てや介護の状況について配慮することを法律で会社側に義務付けています。
つまり、下記のような諸般の事情を総合的に勘案して個別的に判断することになります。
- 配置の変更後の通勤の負担
- その社員の配偶者をはじめとする家族の状況
- 配置の変更後の就業場所近辺における育児サービスの状況
これらのような状況から、会社はどのような「配慮」を行えばよいのかというと、具体的には下記のような内容として考えられています。
- 対象となる社員の子育てや家族の介護の状況を把握すること
- 対象となる社員本人の意向に寄り添って考えること
- 人事異動で就業場所が変更となった場合、子育てや家族の介護に代替手段があるのかどうかを確認すること
実務的にどうする?
前段でお伝えしたように、育児・介護休業法によって会社には「社員の配置(転勤)に関する配慮」が求められます。ですが転勤の問題は、性別や年齢を問わずに発生することなので、会社組織に属する一員として、基本的に社員には転勤に応じるスタンスが求められることになります。
つまり、育児・介護休業法の定める「配慮」とは、人事異動で就業場所の変更を伴う社員について、子育てや家族の介護が困難にならないよう気にかけることをいいます。
配置の変更をしないといった人事異動そのものの結果や、社員の育児や介護の負担を軽減するための積極的な措置を講じることを会社側に求めるものではないとされています。
そこで冒頭の例の社員に対して、具体的には少なくとも下記のような対応を取ることが求められるでしょう。
- 急病で倒れられたご家族へのお見舞いの言葉を伝えるとともに、病状を把握する。
- 介護が必要な場合、社員本人以外で介護ができる親族がいるのかどうか、施設利用は可能なのか、可能であれば利用開始時期はいつぐらいなのか(社員本人にかかる負担の程度を把握する)。
- 転勤先には一定の負荷がかかることになるが、転勤の時期を一定期間猶予できるか社内調整を行う
- 転勤先には、社員の家族の状況等を説明し理解を求める
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人材の確保が難しい時代にあたって、働く意思がある社員を育児や介護で離職させないことは大切です。
また会社の事情や業務に通じた人材をあっさり手放して、新人をイチから教育するほうが会社にとって負担が大きいでしょう。
社員のキャリア継続と仕事への影響を考えて、仕事の配分や人員の配置を検討したいですね。年休の柔軟な取得を推進するのもひとつの方法だと思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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