採用内定を出したある学生について、面接に立ち会わなかった役員から「内定を取消すべき」との意見が。というのも、履歴書の写真が加工アプリで目の大きさやパーツの位置の調整がなされていたため、先日の内定者懇親会で本人に会って驚いたらしい。面接を行った役員や他の面接官はスキル・人柄重視で気に留めなかったようだし、どうすれば・・・
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日本の履歴書では、本人確認のため証明写真を必要とする場合が多いでしょう。また一般的に、履歴書の写真は第一印象を左右する大事なポイントとされています。
そこで自分をよく見せたいとの思いもわかるため、写真加工について面接ではさほど問題にならず、採用内定に至ったようです。
合理的で正当な理由がなければ採用内定の取消しは無効ですが、履歴書写真の加工(元の顔立ちと異なり、多少加工が過ぎる)についてどう考えるべきなのでしょうか。
そこで今回は、履歴書写真の加工を理由とした内定取消は認められるのか、詳しく確認していきたいと思います。
採用内定と内定取消の可否
企業が新規学卒者を採用するとき、「社内にて慎重に審査を行いました結果、内定を決定いたしましたので、通知いたします」といった旨の「採用内定」を出すのが一般的です。
この「採用内定」が「始期付解約権留保付労働契約」(入社するまでの間に、採用内定通知書等に定めた採用内定取消事由が生じた場合や学校を卒業できなかった場合には、労働契約を解約できる旨の合意を含んだ労働契約)の締結と判断される場合には、原則として取り消すことはできません(注:内定通知が必ずしも労働契約の締結と判断されるものではない)。
企業が万が一、内定を取り消す場合は、採用内定取消事由に基づく客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認されうる場合に限られ、一定の制限が課せられています。
判例では、内定取消の違法性について、「採用内定通知書等に記載された採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当して是認することができるものに限られる」としています。
履歴書写真の加工を理由とした内定取消の可否
履歴書等の虚偽記載を理由とした採用内定取消の有効性について、判例では下記のような旨が示されています。
- (虚偽記載の内容が)その内容・程度が重大なもので、信義を欠くようなものでなければ採用内定を取り消せない
- 詐称した事項、態様、程度、方法、動機、詐称していたことが判明するに至った経緯等を総合的に判断すべき
履歴書写真の加工についても、同様に考えることができます。
採用面接時には、本人と対面しているのですから、履歴書の写真が意図的に加工したかどうかを知ることができたはずです(採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実とはいえない)。
また履歴書の写真は本人確認のためであり、容貌や年齢を確認するものではありません。見た目は仕事に直接関係するものではないので、その内容・程度が重大で信義を欠くとまでは言えません。
第一印象を左右するだけに、自分をよく見せたいという心情は理解できるところもあるため、履歴書写真の加工のみを理由とした内定取消は社会通念上相当であるとはいえず、法的に無効となります。
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新規学卒者の内定取消しをする場合には、公共職業安定所長または学校長にその旨をあらかじめ通知しなければなりません(職安法施行規則による)。
なお、採用面接の段階で履歴書写真の加工を理由として不採用にする(内定を出さない)ことは問題ありません。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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