うちでは自転車通勤を認めていて、健康のため自転車通勤をしているシニア社員がいる。ただ最近は身体にこたえるようで、出社直後の顔色は悪くしんどそうで、始業後もしばらくは仕事に取り掛かれないようだ。いくら健康のためといっても、自転車通勤を辞めて電車通勤にしてほしいが・・・
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自転車通勤をしているシニア社員の健康状態が気にかかり、電車通勤にしてもらいたいと考える直属の上司です。
とはいえ会社が自転車通勤を認めている以上、「自転車通勤から電車通勤にしなさい」と命令できるのか?と悩んでいます。
そこで今回は、社員に自転車通勤を辞めてほしいとき会社がとるべき対応について、詳しく確認していきたいと思います。
自転車通勤にまつわる問題
運動不足の解消や通勤の自由度アップのため自転車通勤を希望する社員がいて、それを認める企業もあります。
一方、安全面の懸念から就業規則で自転車通勤を制限したり、禁止する企業もみられます。自転車通勤を認めるにしても、下記のような問題を検討し、取り扱いルールを決める必要があるでしょう。
- 駐輪場の問題(違法駐輪のリスク)をどうするか
- 自転車事故にまつわる保険加入をどうするか
- 通勤用自転車の業務使用をどうするか
- 電車通勤したとき(雨天時など)の通勤手当をどうするか
自転車通勤が許可制なのであれば、場合によっては許可しないことができるため、電車通勤への切り替えを指示できると考えられます。
ですがどんな場合に電車通勤に切り替えるか等、自転車通勤にまつわるルールが曖昧であるとそこまでの指示ができるかは難しいところでしょう。
自転車通勤にまつわる明確なルールがない場合、会社側が一方的に電車通勤を命じることは、社員の権利や利益を害することもあり得ます(自転車通勤によって通勤時間が短縮できた、満員電車が余計に身体の負担になる、など)。自転車通勤が今まで認められてきただけに、処遇の不合理な不利益変更との苦情があがるおそれもあります。
実務的にどうする?
今後のことを考えると就業規則の変更によって、一定の場合に自転車通勤を制限する(電車通勤へ切り替える)旨を明記することが望ましいでしょう。
ただし、就業規則による労働条件の不利益変更は労契法によって規制されており、会社は社員と合意しない限り、原則として不利益変更はできません。
ただし合意がない場合であっても、変更後の就業規則が「周知」され、かつ、さまざまな事情を考慮して「合理的な」ものであるときは、変更後の就業規則は有効となります。
就業規則の変更に合理性が認められることが重要であり、この合理性については、下記の①~⑤に照らして判断されます。
- 社員の受ける不利益変更の程度
- 労働条件の変更の必要性
- 変更後の就業規則の内容の相当性
- 労働組合等との交渉の状況
- その他の就業規則の変更にかかる事情
社員の受ける不利益を最小限にしたうえで、自転車通勤を制限するのであれば、合理的で必要な規制と考えられるため、最終的に就業規則の変更は認められるでしょう。
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冒頭の例について、就業規則の変更がなされるまでは、会社としては「あなたの健康状態が心配なので、なるべく電車通勤にしてもらえないか」と、命令ではなく「お願い」にとどめることになります。
とはいえ、会社に勤務する社員には、労働契約により約束された労務を提供する義務がありますから、命じられた仕事を完全にこなすことができる心身の状態で出勤しなければなりません。
その観点から、「(自転車通勤がしんどくて)始業後もしばらくは仕事に取り掛かれない」状態を改めるよう注意することは可能です。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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