採用内定者が当社の面接試験で「就活セクハラを受けたが、軽く受け流して内定をゲットした」との旨をSNSに投稿していた。社内調査の結果、そのような事実はなく、偽・誤情報の投稿と判明した。本人は目立ちたかっただけかもしれないが・・・内定を出したもののどうする?
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就活ハラスメントとは、採用する企業やその採用担当者が優越的な立場を利用して就職活動中の学生に行うハラスメントのことをいいます。決して許されないことであるのはもちろん、発覚すれば会社も大きなダメージを受ける行為です。
ところが採用内定者によって、事実無根の内容(就活セクハラ)をSNSで拡散され、内定を取り消すべきか思案する人事担当者さんです。
そこで今回は、就活セクハラを受けたと偽・誤情報をSNSで投稿した者の内定取り消しができるのか、詳しく確認していきたいと思います。
採用内定の取消しとは?
「社内にて慎重に審査を行いました結果、内定を決定いたしましたので、通知いたします」など、採用内定だけを通知(手紙、電話、メール、口頭など手段は不問)していて、なんら指示や条件がつけられていない場合であっても、会社と当人の間にはそれに基づく法律関係と信頼関係が生じています。
そのため、一方的にその関係を破棄し、解約するにはそれに応じた「相当な事由」がなければならないと考えられています(民法による)。
その後労働契約の成立段階に移行した場合(必要書類や入社誓約書の提出、入社日の通知、入社前教育の開始、内定式で正式採用を通知した場合など)も、卒業前の学生の場合には、始期付きの解約権を留保した労働契約(※)とされていて、一般社員を解雇する際の正当な理由とはその性質を異にします。
(※)入社するまでの間に、採用内定通知書等に定めた採用内定取消事由が生じた場合や学校を卒業できなかった場合には、労働契約を解約できる旨の合意を含んだ労働契約
「採用内定取消の正当な理由」とは、下記のようになります。
- 条件付き労働契約の場合の条件の成就または不成就(卒業したら採用する、卒業しなかったら採用しない など)
- 採用内定取消事由を約束している場合のその取消事由の発生(健康状態の問題発生、所定の資格の未取得 など)
- その他の不適格事由の発生(犯罪行為による逮捕、起訴 など)
偽・誤情報をSNSで投稿した者の内定取り消しは?
では冒頭の例の、採用内定者が「就活セクハラを受けた」と偽・誤情報をSNSで投稿した場合はどうでしょうか。
もし会社に勤務する社員がSNSで不適切な投稿(自己顕示欲から会社の秘密情報や会社内での悪ふざけを投稿するなど)をし、それが企業秩序を乱し、会社の信用・名誉を失墜させるような場合には、重大な懲戒処分の対象となります。採用内定者であっても、偽・誤情報をSNSで投稿する行為は悪質といえます。
また就活セクハラについては、令和7年6月11日に労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、本改正によってカスタマーハラスメントや求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)の防止措置が事業主の義務となることが定められています(公布の日から起算して1年6月以内に政令で定める日施行)。
このような状況下で、採用内定者が「就活セクハラを受けた」と事実ではない偽・誤情報をSNS投稿したことは、極めて悪質な行為であり、社員としての適格性が強く疑われ、企業から内定を取り消すことも可能だと考えられます。
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就職活動中の学生は、採用面接の内容に守秘義務を負うわけではありません。
よって、自分が受けた採用面接がどのような様子であったかといった情報をSNSなどで公表することについては、このことだけで内定取り消しにつながるものではありませんので、念のため。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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