うちでは、賞与の支給日在籍用件を就業規則に規定している。ところが、この秋に社員のAさんが突然亡くなった。賞与の算定対象期間には在籍していたことになるが、12月の支給日にはいない・・・。亡くなった社員に賞与の支給日在籍要件は適用されるのだろうか?
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賞与の支給日在籍要件とは、算定対象期間のすべてまたは一部に在籍していても、支給日に在籍していなければ支給されないことをいいます。
自己都合による退職なら、支給日に在籍していないということで賞与の不支給は仕方のないこと(本人もわかっていて辞める)とはいえ、死亡した社員はどうなるんだろう・・・と判断に迷う人事担当者さんです。
そこで今回は、賞与の支給日在籍要件は死亡による退職者に当てはまるのか、詳しく確認していきたいと思います。
賞与の支給日在籍要件とは
通常の賃金については、支払いの算定対象期間中に働いていれば、たとえ支給日に在籍していなくても、支払期日になればその請求権が発生することになります。
これに対して賞与の支給日在籍要件とは、算定対象期間のすべてまたは一部に在籍していても、支給日に在籍していなければ給付を受けられないという就業規則の条項をいいます。
算定対象期間の一部に在籍していたにもかかわらず、たまたま支給日に在籍していなかったがために賞与が支給されないのは不公平では?との見方もあるかもしれませんが、賞与の支給日在籍要件が就業規則において定められており、周知がなされていれば、その規定は有効なものとなります。
賞与は、社員の働きぶりに対応した直接的な報酬という側面のほか、将来に向けたモチベーションアップの期待等も勘案して支給されるものとして考えられるためです。
亡くなった社員はどうなるの
自らの意思で退職した自己都合退職者には、賞与の支給日在籍要件が適用され、賞与が不支給となってもやむかたなし、といえるでしょう。
定年退職のように退職日を自分で選択できない場合にまで、支給日在籍要件を適用することは社員にとって不利益ではないか、という見解もありますが、判例ではこのような場合でも支給日在籍要件を認めています(定年退職を迎える社員にしても支給日より先に定年となることはわかっているので、賞与の不支給が本人に不測の損害を与えることにはならないと考えられる)。
整理解雇など社員に責めに帰すべき事由が認められない、会社の都合で解雇された社員については、支給日在籍要件を適用してよいか、判例上の見解が分かれています。ただし、その解雇が賞与の支払いを避けるためのものと認められた場合、解雇は無効となり、結局賞与は支払わなければなりません。
社員が亡くなった場合は、自己都合退職と解雇の場合との中間にあるといえます。どちら寄りと考えるかで結論は異なるでしょうが、会社が恣意的に社員の地位を失わせるおそれがある場合ではなく、その社員に会社が不測の損害を与えるとはいえないことから、支給日在籍要件の適用は差し支えないと考えられます。
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本文でお伝えしたように、賞与の支給には算定対象期間中に働いたことへの「ご褒美」と、将来の働きに対する「期待」という2つの意図が含まれています。
そのため賞与の支給は就業規則によって、その会社独自のルールで決められるものです(よって、支給日在籍要件を定めても違法ではない)から、柔軟によく考えたいところです。
そもそも会社が賞与を支給する義務があるかどうかも、就業規則の定め方によることになります。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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