当社では、パート社員に夏・冬・決算期の年3回の賞与を少ないながらも出してきた。ただ業績が年々悪化しているため、パート社員の賞与支給は決算期のみにしてはどうか、との案が浮上した。就業規則の内容を変更して、パート社員のみ賞与カットしても問題ないのかな?
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業績悪化に伴う人件費削減が必要とはいえ、「パート社員だけ賞与カット」という対象者を限定した労働条件の引き下げが有効なのか、頭を悩ませる人事担当者です。
そこで今回は、パート社員に限定した賞与カットが就業規則による労働条件の不利益変更として認められるのか、詳しく確認していきたいと思います。
就業規則による不利益変更
就業規則の変更によって労働条件の引き下げを行うことは、就業規則による労働条件の不利益変更にあたります。
これは労契法によって規制されるので、会社は社員と合意しない限り、原則として不利益変更はできません。
ただし合意がない場合であっても、変更後の就業規則が「周知」され、かつ、さまざまな事情を考慮して「合理的な」ものであるときは、変更後の就業規則は有効となります。
逆にいえば、会社は社員と合意できれば、就業規則を変更して労働条件を引き下げることができるということになりますが、社員と会社には交渉力の格差があることから、この合意の有無は慎重に判断されることになります。
よって、就業規則の変更に合理性があるかどうかは社員との間で合意を得るときにポイントとなりますし、合意を得られなかったときのためにも就業規則の変更に合理性が認められることが重要です。この合理性については、下記の①~⑤に照らして判断されます。
- 社員の受ける不利益変更の程度
- 労働条件の変更の必要性
- 変更後の就業規則の内容の相当性
- 労働組合等との交渉の状況
- その他の就業規則の変更にかかる事情
パート社員限定の不利益変更はどうなる?
パート社員のみ労働条件を引き下げる場合、前段でお伝えした「合理性の要件」③の「変更後の就業規則の内容の相当性」も特に問われることになります。
就業規則の変更は、労働条件を集団的かつ一方的に変更することを意味しますが、その不利益は社員全体に公平に配分するべきという考え方があるからです。一部の社員にだけ不利益が集中する場合、不利益を緩和するべく適切な経過措置や代償措置をとることが必要となります。
冒頭の例のように、パート社員に年3回支給してきた賞与を決算期のみ支給とする変更は本人たちに不利益をもたらします。そのため、まずは人件費削減の必要性がどの程度なのかを検討することです(必要な経費と無駄な経費をしっかり見極めるなど)。
もし、その必要性が高いとしても、パート社員だけ賞与の支給回数や支給額をカットするのではなく、正社員を含めた全社員に対する賞与の支給額の調整を図るべきだと考えられます。社員全体の理解を得られるような内容に向けて検討することがポイントとなるでしょう(その方が社員の合意につながりやすく、合意ができない場合における就業規則の変更に合理性が認められやすくなる)。
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本文でもお伝えしたように、労契法では社員との合意を得ないで、会社による就業規則の変更だけで労働条件の変更ができる可能性を規定しています。
ですが、合理性の判断は最終的には司法の判断によることになります。
賃金の減額などには高度の合理性が求められることになるので、運用には注意が必要です。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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