テレワークの中抜け時間を会社はどう取り扱うといいの?

緑がまぶしい原っぱでリュックサックの上にノートパソコンを広げる男性。オンライン会議。ボーダーシャツにカーディガン姿。手にノートとメモ帳を持って。

「子どもが夏休みで遊んでもらおうとして、仕事の邪魔をしてくる」

「ネット注文の商品が自宅に届くたびに、仕事が中断される」

 

自宅でテレワークをしているとよくある困りごとだと思いますが、会社としてはこの「中抜け時間」をどう取り扱えばいいのか、判断に迷うところではないでしょうか

 

また、自宅で仕事をしているとどうしても、仕事とプライベートのオン・オフの切り替えが難しくダラダラずっと仕事を続けてしまう・・・といった状況も起こりがちです。

 

会社としては労働時間の把握に工夫が必要となることもあるでしょう。

 

そこで今回は、いわゆる「中抜け時間」をはじめとするテレワークにまつわる労働時間マネジメントについて、詳しく確認していきたいと思います。

テレワークにまつわる労働時間マネジメント

リビングのソファに置かれたノートパソコン、ノート、ペン、眼鏡。テレワーク。

テレワークは、上司(会社)の直接的な指揮命令を離れて、通常のオフィス以外の場所で行われます。そこで、「事業場外みなし労働時間制」の適用が問題になります

 

事業場外みなし労働時間制は、社員が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度です。

 

言い換えると、上司(会社)の具体的な指揮監督が及ばない事業場外で仕事を行う場合に活用できる制度であり、テレワークにおいては次の1①、②をいずれも満たす場合には、制度を適用することができます

情報通信機器(スマホやパソコンなど)が、上司(会社)の指示でいつも通信可能な状態にしておくことになっていない

★下記の場合は、①を満たします(注:社員が情報通信機器を所持しているというだけで、制度が適用されないということはありません)

  • 勤務時間中に社員が自分の意思で通信回線を切断できる場合
  • 勤務時間中は通信回線の切断はできず、会社の指示は情報通信機器によって行われるが、社員が自分の意思で情報通信機器から離れることができ、応答のタイミングを社員が判断できる場合
  • 会社支給の携帯電話などを所持していても、その応答を行うかどうか、又は折り返しのタイミングを社員が判断できる場合

 ②いつでも会社の具体的な指示に基づいて仕事を行っていないこと

 ★下記の場合は、②を満たします

  • 会社の指示が、仕事の目的、目標、期限などの基本的事項にとどまり、1日のスケジュール(作業内容とそれを行う時間など)をあらかじめ決めるなど作業量や作業の時期、方法などを具体的に特定するものではない場合

中抜け時間はどうなる?

リビングのソファのサイドテーブルに置かれたノートパソコンとマグカップ。毛糸の網目模様のはいったひざかけ。

在宅勤務でテレワークの場合、子どもの面倒をみたり、宅配便の対応をしたりなど、家庭生活において必要な雑務が生じてやむなく仕事から離れざるを得ない場合があるでしょう。

 

これを「中抜け時間」といいますが、これを会社が把握する方法としては、たとえば1日の終わりに社員から中抜け時間がいくらになったのか報告させることが考えられます。

 

また、テレワーク中の中抜け時間の取扱いとしては、次のような対応が考えられます。

【中抜け時間を把握する場合】

  • 中抜け時間を休憩時間として取り扱うことで終業時間を繰り下げる。もしくは、時間単位年休として取り扱う。

【中抜け時間を把握しない場合】

  • 始業及び終業の時刻の間の時間について、休憩時間を除き労働時間として取り扱う

いずれにせよ、中抜け時間の取扱いについては、あらかじめ会社が就業規則で規定しておくことが、テレワークをスムーズに運用するポイントとなります。

 

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テレワークでは、上司が部下の働きぶりを実際に確認できないので、労働時間の把握を工夫しなければなりません。

 

会社がテレワークの場合における労働時間マネジメントについて、あらかじめ就業規則などで明確にしておくことで、社員が安心してテレワークを行うことができます。

コーヒーの入ったカップ&ソーサ。落ち葉と松ぼっくり、どんぐり、かぼちゃ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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