サービス残業とはそもそもどんなもの?

デスクのうえに置かれた手帳。パソコンのキーボード、黒の目覚まし時計、小さな鉢植えの観葉植物。

今日も定時を過ぎてから、30分も残業した。単純に計算して1か月(の営業日が)20日だとしても、毎日ならトータルで10時間にもなる。10時間といったら、余裕でハワイへ行けるじゃないか。何が言いたいかというと、結構な時間だということだ。それなのに、18時までの残業は申請しないのがうちの会社では常識のようだ。

これが「サービス残業」ってやつか。やってられない・・・・

 

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この春、学校を卒業して入社したばかりの新入社員Aさん。慣例になっている「サービス残業」に不満を抱いているようです。Aさんの会社の就業時間は、朝の9時に始まって、途中1時間の昼休憩を挟み、夕方17時半で終わりの7時間30分労働です。

 

つまり、「17時半から18時までの所定時間外の働きに対して賃金が支払われない」というのがAさんの認識です。・・・が、これは正確ではありません。

では、いわゆる「サービス残業」とはどのような状態のことをいうのでしょうか。さっそく詳しく確認していきましょう。

サービス残業にあたるのはどんな場合?

会議室の赤い椅子と観葉植物。

「所定労働時間外に働いたにもかかわらず、割増賃金(残業代)が支払われないのはサービス残業だ」と認識されているケースは、もしかすると多いのかもしれません。

 

ただ、これは正確ではありません。サービス残業とは、「所定労働時間外」の労働時間に対する賃金の不払いのことをいうのではないからです。正確には、「法定労働時間(1週40時間、1日8時間)外の労働についての割増賃金の不払い残業」のことをいいます。

 

というのも、労働契約上の所定労働時間を超えて法定労働時間に達するまで、その時間の賃金請求権を放棄して、(会社に貢献する意味での)サービスとしての残業を行っても違法ではないからです。

 

また、サービス残業の問題が発生するのは、いわゆる「正社員(フルタイム)」で月給制の場合がほとんどだと思います。ですがこの場合、「所定労働時間を超えて法定労働時間に達するまでの賃金については、月給のなかに含めて労働契約を結んでいる」として、会社が明示することもできますし、もしくは黙示的に会社と社員の間で合意することもできるからです。

実務的にはどうなる?

白の目覚まし時計とサボテンの鉢植え。

前段について、単純化した例をあげると下記のようになります。

【前提】

  • 所定労働時間は、9:00~17:00(うち休憩1時間)の7時間

【残業】

  • 終業時刻(17:00)後、18:00まで残業(1時間残業)

【結果】

  • 法定労働時間(1日8時間)を超えないと、1日あたりとしては法律上の時間外労働にあたらず、割増賃金の支払いは不要

また、月給制の場合は、月によって所定労働時間が大幅に異なります。カレンダーの並びをみると、ゴールデンウイークのある5月と大の月(日数の多い月)である7月とでは、違いは明らかです。それなのに、月額賃金は同じなので理屈が合わないという実態があります。そこで、上記の例でいう、法定労働時間に達するまでの17:00から18:00までの「1時間」の労働について、「法定内の残業1時間分は月額賃金のなかに含む」と定めれば有効となります。

 

ただし、法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超える法定労働時間外労働については、労基法第37条で割増賃金を支払うべき義務が会社に課せられています。繰り返しになりますが、サービス残業とは、この法定労働時間を超えた時間外労働に対して割増賃金が支払われないことをいいますから、混同しないよう注意が必要です。

 

なお、労基法第37条による割増賃金を支払うべき義務は強行法規であり、たとえ会社と社員の間で合意のうえで割増賃金を支払わない申し合わせをしても、法37条に抵触することになるので、無効となります。

 

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IT技術の発展によって、社員に時間管理をまかせるほうが効率化を図れる仕事が増えてきていること、また社員自身の自己管理能力を育てるために、残業時間の管理について「自己申告制」をとる場合もあるでしょう。

 

ですが、制度に対する理解不足から自己申告制の運用が適正に行われていないケースもみられます。そのため会社が労働時間を適正に管理できていなくて、サービス残業(割増賃金の不払い)という事態を引き起こしているのなら、もったいないですよね。

 

会社には、社員の労働時間を把握しそれをきちんと算定する義務がありますから、制度と運用の乖離が生じることのないようにしたいですね。

コーヒーの入った白とピンクのマグカップが2つ並んでいる。ピンクのカーネーションが活けられたガラスの花びん。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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