仕事後に出張先へ移動するとき残業代の対象になりますか

スマホで顧客からの連絡を確認するビジネスマン。

2019年がスタートしました。今日からいよいよ通常モードでお仕事開始ですね。

 

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さっそくエンジンをかけて仕事に取り掛かるも、夕方近くに地方の営業所から緊急トラブル発生の一報が。

追って届いた報告によると、的確な対応のためには現地に赴かなくてはいけない模様だ。

翌日の朝イチから対応にあたるには、交通の便を考えると今日中の現地入りが望ましい。

担当者には終業時刻後に新幹線で現地へ向かってもらわなくてはならないが・・・。

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思いがけない緊急事態が発生、ピンチをチャンスに変えるためにも素早い対応が求められます。

そこで新年早々ではありますが、担当社員に出張を命じ、こちらでの仕事に目途を付けてから終業時刻後に新幹線で目的地へ向かってもらうことにしました。

 

さて、このように仕事が終了してから終業時刻後の出張旅行は労働時間にカウントされ、また残業代の対象となるのでしょうか

経営者や管理職の方におかれては、終業時刻後に新幹線で遠方に向かう社員の心情を考えると、ますます判断に迷われるのではないでしょうか。

そこで、今回はこのシチュエーションについて確認していきたいと思います。

一般的な出張中の労働時間の取扱い

茶色のビジネスバッグと新聞を手にしたビジネスマン。

一般的に直行・直帰の出張の場合には、自宅を出発したときから自宅に帰ってくるまでが出張時間となります。

 

とはいっても出張には移動時間が多く含まれ、「会社による直接の具体的な指揮命令下で仕事に従事している時間」とはいえません。

 

そのため労働時間の把握が困難になることも少なくないため、就業規則の規定によって、「(通常の事業場外労働として)当日の所定労働時間労働した」とみなして取り扱うことには問題がありません。

 

(詳しくは過去記事「出張中はどこまで労働時間にカウントするか?」をご覧ください)

 

では、冒頭のように交通機関の種類、乗車する便について終業時刻後のものを利用するように指定して社員に出張命令を行うような場合、これについてはどう考えるとよいのでしょうか。

 

所定労働時間が終了してからの業務ということになるので、いくら出張は所定労働時間の労働としてみなされるとはいっても、時間外労働にはあたらないのでしょうか。

終業時刻後の出張旅行はどうなる?

夕暮れ時の駅のホーム。

この場合の出張命令の内容をよくよく考えてみると、移動のための電車やバスなどの中での行うべき業務を具体的に特定して、指示したものではありません。

あくまでも電車などで移動して、目的地に着くことが指示の内容です。

 

また、電車などの交通機関に乗客として乗っている時間そのものは、労働時間にはあたりません。

 

駅弁を食べながらビールを飲んだり、マンガや週刊誌を読んだり、スマホで動画をみたり、ウトウト居眠りするのも本人の自由だからです。

つまり、乗車中に果たすべき具体的な業務はなく、自由に休息していてもよい状況だといえます。

 

まとめると、指定された交通機関に乗って単に目的地に着けばよいということなので、たとえ時刻の指定があってもその乗車中の時間は、一般的な出張時間と同じであり、それは拘束時間ではあるけれども労基法上の「労働時間」には該当せず、休憩時間に類似した時間として考えられています。電車などの場所内にとどまるという単なる物理的な拘束時間であって、「労働」や「業務」は行っておらず、拘束時間中の自由時間ということになります。

よって、終業時刻後の出張旅行はそもそも労働時間ではないので、時間外労働の問題も発生しません。

 

なお、以上のことから、満18歳未満の年少者に対して新幹線などの夜遅くの便を指定して、出張を命令したとしても労基法第61条1項(年少者の深夜業禁止)の深夜労働違反とはなりませんし、労基法第60条(年少者への労働時間制限)の時間外労働違反にもあたりません。

 

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法律上の解釈は前述のようになりますが、やはり1日の仕事を終えてから出張旅行に赴くのは身体に負担がかかるもの。

出張に出ている担当社員の通常業務をチームで分担するなど、本人にかかる負荷をなるべく小さくして、出張明けに休みを取りやすくするなどの配慮を考えたいですね。

 

そのためにも、普段から仕事内容についてのコミュニケーションを十分にとり、お互いにフォローし合える体制づくりが欠かせないと思います。

スマホで会社へ電話する外出先の社員

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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