本採用しないのは解雇になりますか?

ホルダーに立てられたたまごが3つ。ひとつのたまごから緑の葉っぱが生えてきた。成長。芽生え。

「試用期間の間に実際の働きぶりをみて、本採用にするのはちょっと・・・(問題がある)という場合、本採用しないというのは解雇にあたりますか?」

 

試用期間中に社員としての不適格性がわかったため、そのまま社員としての雇用を維持し難く、本採用しない場合には、会社から「あなたは本採用しません」と、本人に意思表示しなければなりません

 

そのため、上記のようなご相談をいただくのですが、みなさん「(試用期間の)期間満了」なのか「労働契約の打ち切り(解雇)」にあたるのか、判断に迷われるようです

 

そこで今回は、本採用拒否は解雇にあたるのか、またどんな場合なら本採用拒否が正当となるのか、詳しく確認していきたいと思います。

本採用拒否ってどんなこと?

パルプ製のパックに詰められた卵たち。卵のうえに飾られた春の花。

試用期間中の労働契約が法律的にどんなものであるかというと、一般的には「解約権留保付の本採用契約(社員として不適格とジャッジしたときは解約できる権利が留保されている労働契約)」として解釈されています。

 

この期間中に「社員としてふさわしくない」と、不適格性が認められたため本採用しない場合には、その旨の意思表示を会社からしなければなりません。

 

そのまま黙っていたまま試用期間が過ぎてしまう(解約権の留保期間が過ぎてしまう)と、今度は正社員としての不適格性の有無を判断するステージに移行することになります。

つまり、労働契約を解約する理由がその分制限される(労働契約の解約がその分難しくなる)ということです。

 

この「本採用しない」という意思表示は、留保されている解約権の行使とはいえども、それは「労働契約の解約」であって、「期間満了」などの自動退職ではありません。労働契約をそこで打ち切ることになるので、法律上は「解雇」にあたります

 

なお、試用期間中の解雇であっても、入社後14日を経過した場合には、30日前に解雇を予告するか、30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払う義務が会社にあります

本採用拒否はどんなときに正当となるか

カレンダー、広げられたスケジュール帳、スマホ、ボールペン、置時計。コーヒーの入ったピンクのカップ&ソーサ。ラナンキュラスの花。

前段でお伝えしたように、本採用拒否は「解雇」にあたるので、一般的な解雇の有効要件を充たす必要があります。

 

採用するかどうかを決める段階(面接など)では、その人の資質、性格、スキルその他会社の社員としての適格性をもつかどうかを、適切に判断することはできません。

 

そのため、試用期間という一定の期間を設けて、その間に実際の働きぶりや言動をみることによって、最終的に社員として雇用するかどうかを決めることになります。

 

したがって本採用拒否は、本採用後の社員を解雇する場合よりも、広い範囲の解雇事由が認められています

 

とはいえ、広い範囲の解雇が認められるといっても、解約権の趣旨・目的に照らし合わせて、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当として認められる場合にだけ許されることになります。社員は、その企業との雇用関係がずっと続くものとして期待して、他の企業へ就職するチャンスと可能性を捨ててまで入社してきているからです。

 

まとめると、会社が試用期間中の働きぶりなどから、採用決定時には知らなかった(というより知り得なかった)事実を知ることになり、引き続き雇うことが適当でないとの判断に至ったとき、解約権の趣旨や目的からして、客観的にも相当であると考えられる場合には、留保した解約権を行使することができる(本採用拒否ができる)、ということです。

 

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以上のように、人の解雇には法律面でいろいろな制約が課されているので、簡単にできるものではありません。人の問題は、モノのように簡単に買って、ポイ捨てしたりするようなわけにはいかないのです。

 

経験者を採用するにしても、会社で環境や人間関係に慣れて、必要な仕事の知識を学んで、本当の戦力となるには、どうしても採用から2~3年はかかります。新卒採用であれば、もっと時間がかかるのが普通です。

 

そうであるからこそ、採用計画は中長期的かつ戦略的に考えていきたいですね。

満開の八重桜。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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